グルメな博多駅長の激推し!博多駅で買える、いつもとちょっと違う「福岡の和菓子スイーツのお土産」3選

1日数十万人が利用する九州最大の駅「博多駅」。3年ほどのコロナ禍を経て、にぎわいが戻ってきた。最近は出張で訪れるビジネスマンや通勤客、グルメや買い物を楽しむ人たちで活気があふれ、外国人観光客も増えている。 そんな博多駅で「福岡のお土産」を買うとき、皆さんはどんなものを選んでいますか。博多通りもんや筑紫もちなど昔ながらの定番はあるけれど、ちょっと違うものを贈りたい、自分でも食べてみたいという人は少なくないだろう。そこでJR九州の博多駅長・鐘ヶ江理恵さんに、博多駅で買える激推し「福岡の和菓子土産」3選を紹介してもらった。

九州中のお土産について詳しい博多駅長の鐘ヶ江さん

 

 

2021年5月から博多駅の駅長を務めるJR九州の鐘ヶ江理恵さん。

彼女にお土産の話を聞くのは駅長や女性だからではない。鐘ヶ江さんの前職は、子会社であるJR九州リテール株式会社の取締役常務執行役員 専門店事業本部長 兼 商品部長。

同社は事業の一つとして、JR九州の駅構内を中心に店舗展開するお土産セレクトショップ「銘品蔵」を運営している。

 

 

もともと食通だった鐘ヶ江さんは在籍中、九州各地の素晴らしいスイーツやお菓子などを探し出して銘品蔵で販売したり、メーカーとコラボ商品を企画したりしてきた。

九州中にある既存のお土産から新商品まで常にチェックしてきた、いわば「九州のお土産の目利き」といえる。

 

鐘ヶ江さん

博多駅にあるお菓子だけでも数百種類は食べたことがあります。

 

今回は「自分が手土産にしたい、おすすめの福岡のお菓子を3つ教えて」というオーダーに特別に応えてくれた。

 

和と洋がうまく融合した「博多ぶらぱい」

 

まず向かったのは、JR線北改札口の左右にある通路を進んだ先にあるショッピングゾーン「マイング」。

90店が集結する中、和菓子コーナーの一角にある「博多菓匠 左衛門(さえもん)」の前で足をとめた。

 

 

あんのおいしさに定評のある老舗の和菓子会社

 

左衛門といえば、昭和4(1929)年にぜんざいの店として創業した和菓子の老舗。

北海道産の小豆で求肥を包んだ「博多ぶらぶら」は、博多銘菓として50年以上のロングセラーとなっている。

しかし、鐘ヶ江さんが「博多ぶらぶらもいいけど、私のイチオシはこれです」と指さした商品は「博多ぶらぱい」。

確かに「BEST SELLER NO.2」と書かれている。

 

バターの風味豊かなパイで自慢のあんと餅を包む

 

博多ぶらぱいは、北海道十勝産の小豆と佐賀県産の餅米を使用した 「博多ぶらぶら」を、発酵バターを使ったパイ生地に包み込んで焼き上げたパイ。

4個入り900円、8個入り1800(共に税込)

 

鐘ヶ江さん

博多ぶらぱいを知ったのは、銘品蔵の店長に『これ、すごくおいしいんですよ』と教えてもらったのがきっかけです。

コロナ禍で博多駅を利用する観光客が減り、箱入りのお菓子はなかなか売れなくなりました。

そこで箱ではなく個包装でお菓子を売っていた時期があり、私も試食して大好きになりました。

 

 

鐘ヶ江さん

バターの風味豊かなサクサクのパイに、甘さ控えめのこしあんと求肥のモチモチ感が見事にマッチ。

 

パイもあんこも求肥もそれぞれおいしくて、和洋がうまく融合したお菓子です。

トースターやオーブンで温めるとバターの香りとサクサク感が増して、さらにおいしく食べられますよ。

 

と、さらにおいしくする食べ方まで紹介してくれた。

 

左衛門

公式サイト:http://www.saemon.jp/

 

季節ごとの旬の素材を生かした「季節鶴乃子」

 

続いて向かったのは、駅の筑紫口側にある「博多デイトス」。

1階の「みやげもん市場」には明太子や福岡の銘菓がズラリと並び、その一角に店を構えるのが「石村萬盛堂」だ。

 

ホワイトデーを発案した歴史あるお菓子会社

 

明治38(1905)年に創業し、120年近くにわたり多くの人に愛されてきた石村萬盛堂。

バレンタインのお返しに、男性から女性にマシュマロを贈るという「ホワイトデー」を発案し日本に広めた会社としても知られている。

 

「仙厓もなか」など長く親しまれてきた和菓子から、博多の風習を表現した新商品「祝うてサンド」まで和洋のお菓子がそろう中で、鐘ヶ江さんがおススメするのは同社の代表格といえる「銘菓 鶴乃子」だ。

 

あまおう、日向夏、栗のこだわりマシュマロ

同社は創業から高級菓子として珍重される鶏卵素麺を作っており、卵黄だけを使うため卵白が大量に余っていた。

それをどうにか活用したいと考えた初代・善太郎氏が卵白を泡立てて卵の殻に入れ、中にあんを入れたお菓子を開発。

その後すぐマシュマロの技術が伝来し、1910年に銘菓 鶴乃子が誕生した。

 

 

鐘ヶ江さん

前職のとき、商品を売るためには製造現場や作り手の思いを知ることが大切だと考え、社員たちと鶴乃子の工場見学に行きました。すると皆さんが粉だらけになりながら丁寧に作られていて、大変感動しました。

 

一般的なマシュマロは、棒状に伸ばしたものをカットするのですが、石村さんは1つずつ丸い型に入れて作る。

善太郎氏が『独創』を商品づくりの信条としていたからこそ、こだわりの丸い鶴乃子が生まれて、100年以上受け継がれているんですよ。

 

 

皇室・宮家へ献上する「献上鶴乃子」などもあるが、鐘ヶ江さんのお気に入りは季節限定シリーズの「季節鶴乃子」だ。

4月から夏まで店頭に並ぶのは「日向夏 鶴乃子」(6個入り540円、12個入り1080/税込)で、秋は栗、冬から春にかけてあまおう苺が登場する。

 

鐘ヶ江さん

驚くほどふんわり柔らかなマシュマロ生地に、甘酸っぱい苺あん、さわやかでほろ苦い日向夏あん、まろやかな栗あんが入っています。

 

特に私が好きなのは日向夏で、日向夏の酸味と苦み、生地の甘みのバランスが絶妙なんです。

 

石村萬盛堂

公式サイト:https://www.ishimura.co.jp

 

妙楽寺や茶舗など3者によって誕生した新名物「博多ういろう」

 

最後に案内してもらったのは、マイングの入口にある「博多銘品蔵 博多口店」。

福岡のお菓子や明太子、ラーメンなどの定番土産から、知る人ぞ知る名品まで九州の魅力ある商品がそろっている。

 

 

 

店内には、ワンランク上の九州の貴重な商品をラインナップした「プレミアムコーナー」があり、人気を集めている。

実はこのコーナーを提案して、20217月にカタチにしたのは鐘ヶ江さんだ。

思い入れのあるこのコーナーでも今、鐘ヶ江さんのイチオシが「博多ういろう」だという。

 

鐘ヶ江さん

ういろうは米粉と砂糖を練り合わせ蒸して作る和菓子で、名古屋や山口の名物というイメージが強いかもしれません。

 

でも、ういろうが中国から伝来した地は福岡なんですよ。

明の時代(1368年~)、中国から妙楽寺(博多区御供所町)に来た陳外郎(ういろう)さん一族が広めたお菓子で、妙楽寺には『ういろう伝来之地』という石碑も立っています。

 

 

そこで、発祥の地である福岡にふさわしい「ういろう」のお土産を作ろうと、妙楽寺、1716年福岡で創業した「光安青霞園茶舗」、人気番組だった「TVチャンピオン」でフレンチシェフとして優勝したNORIKOシェフ(現材は筑前堀女将)3者がタッグを組んだ。

そして試行錯誤の末、2021年春に誕生したのが「博多ういろう」というわけだ。

 

上品な甘みで素材の良さが際立つ4種のういろう

 

商品は「博多ういろう」3個入り(抹茶・ほうじ茶・白あん各1)1280円、6個入り(同各2)2480円。

「博多ういろうあまおういちご」いちご3個入り1280円の3種類(価格は全て税込)

 

八女の最高級茶葉を石臼でひいた抹茶、八女のほうじ茶、北海道産の白いんげん豆で作る白あん、福岡県朝倉産の本わらび粉、あまおういちごなど、こだわり抜いた材料で丹念に作られている。

 

鐘ヶ江さん

この博多ういろうは、本わらび粉を配合されているので、もっちりと柔らかい食感が特徴です。

 

どれも上品な甘さで素材の味をしっかり感じられます。

羊羹と比べて低糖質・低カロリー・ヘルシーで、お子さんからシニアの方まで喜ばれると思いますよ。

 

筑前堀

公式サイト:https://hakatauirou.com

 

 

最後に、とっておきのお土産選びのコツも教えてくれた。それは、お土産を買うときにパッケージの裏の表記までチェックすること。

例えば「〇〇土産」と地名を書かれていても、原材料の産地や製造会社は全く違う都道府県ということもあるそう。

 

鐘ヶ江さん

お土産を渡す相手に『〇〇に行ってきたよ』と話すなら、できればその土地のものでその土地で作られたものの方が想像が広がり、話が弾みそうです。

 

そして、お土産を買うことがその土地の作り手さんを応援することにもつながります。

ちょっとしたことですが、きっと幸せの輪が広がりますよ。

 

 

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編集者・ライター
佐々木 恵美
福岡市出身。九州大学教育学部(人間環境心理学専攻)を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌をメインに雑誌や新聞、Web、国連や行政の報告書などを制作。特にインタビューが好きで、著名人をはじめ数千人を取材。

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