ブルマーシャン

福岡のレトロ喫茶の聖地!創業50年の「ブルマーシャン」。2024年より新たな店主が引き継ぎ、歴史を紡いでゆく【福岡市中央区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡に今なお現存する「昭和レトロ喫茶店」をピックアップしてご紹介していきたいと思います!

「ブルマーシャン」の場所は「清川サンロード商店街」のビルの地下

 

今回ご紹介する「ブルマーシャン」があるのは福岡市中央区清川。

最寄駅である福岡市地下鉄「渡辺通駅」から徒歩5分の場所にある「清川サンロード商店街」の中です。

まずは商店街の中ほどにある衣料品店「やまだい」を目指しましょう。

 

 

すると頭上にこちらの電照看板が見えるので、矢印に沿って直進します。

 

 

その先に、地下へと誘うスタンド看板が出現します。ここから地下へと進みます。

 

 

昭和感あふれるタイル張りの階段を降りていくと・・・

 

 

「ブルマーシャン」を発見!古びたオレンジの半球型オーニングテントと、個性的なフォントは早くもレトロ感を演出してくれています。

ガラスのドアを開けていざ店内へ。

 

昭和にタイムスリップしたかのような店内空間は、まさに「福岡のレトロ喫茶の聖地」

 

創業当初の1970年代の空気が今なお息づく店内。

色褪せたブルーの壁とカーペット敷きのフロアで構成された空間には、年季の入ったベルベットの椅子が整然と並んでいます。

 

 

印象的なフロアを隔てるパイプ状のパーテーションは、触れると「カラン」という心地よい音が鳴り響きます。

 

 

個性的なピラミッド型の布製ランプシェードも実に味があります。

 

 

こちらは使い込まれたカウンター席。良く見ると上部がアール状にラウンドしています。1970年代らしい個性的な造形です。

 

 

奥の棚には時代を感じさせてくれる置物がディスプレイされています。

この他にもオブジェと化しているブラウン管テレビや古びたポスターなど、レトロなアイテムが至る所に散見され、まさに「福岡のレトロ喫茶の聖地」と呼ぶにふさわしい空間に仕上がっています。

 

 

テーブルの上に置かれたこちらの器具。若い方はきっと分からないと思いますが、これは「ルーレット式おみくじ」と言いまして、自分の星座の部分にお金を入れてレバーをスライドすると上部のルーレットが勢いよく回り、そのあとにおみくじが出てくるというもの。

昔の喫茶店にはかなりの高確率で置いてあり、幼い頃、私も親によくせがんでやらせていただいたものでした。

やったことがないという方はぜひトライしてみてくださいね。

 

2024年1月より親戚の女性が事業承継

2024年1月よりブルマーシャンを事業承継し、新しい店主となった小嶋美津樹さん。なんと弱冠28歳なのです!

 

このブルマーシャンが誕生したのは約50年前のこと。

 

創業から2回店主が替わった後、先代店主・小嶋ヤスヨさんが店を受け継ぎ、44年もの間営業を続けてこられました。

 

そんな小嶋ヤスヨさんも86歳と高齢になり、お店の後継者を探していたところ、親戚にあたる小嶋美津樹さんが事業承継することになり、今年の1月より新しい店主となられました。

 

福岡市出身の小嶋美津樹さんは、市内の高校を卒業後、飲食業界で接客業に従事しながら、時折ブルマーシャンでお手伝いをしていたそう。その後、オーストラリアへのワーキングホリデーを経て、様々なお仕事を経験していくうちに「自分のお店を持ちたい」という夢を抱くようになったそうです。

 

ちょうどそんなタイミングで以前お手伝いをしていたブルマーシャンが後継者を探しているという話を聞き、事業承継することを決めたそうです。

 

先代から続く古き良き喫茶メニューを忠実に継承

 

こちらがメニューブック。あまりにも年季が入りすぎて店名の印刷がかすれています。

 

 

中は手書きのメニューがズラリ。モーニングメニューからお昼のランチメニュー、ドリンクやトースト、サンドイッチなどの軽食までラインナップされています。

それにしてもなんと良心的なお値段!

 

 

先代のメニューを忠実に再現するように心がけているという小嶋さん。そのひとつひとつの所作まで教えを守っておられます。

ハンドドリップで抽出するコーヒーのケトルも、先代から引き継いだものをそのまま使用しています。

 

 

お湯が沸くと「コーッ」という独特の音がする年季の入ったケトル。ドリップするともくもくと湯気が漂います。

ドリップは一度に行わず、少量のお湯を注いだら、その都度少量のお湯を沸かし、数回に分けて時間をかけてドリップします。

この一連の所作も先代の教えを忠実に守っているのです。

 

 

今回オーダーしたのは、フードメニューの一番人気「オムライス(税込650円)」と先ほど淹れていただいた「コーヒー(税込450円)」。

オムライスは「これぞオムライス!」と言わんばかりのベーシックなビジュアル。お皿やコーヒーカップもレトロ感に溢れています。

 

 

卵焼きとチキンライスをスプーンですくい、ケチャップを絡めていただきます。

シンプルかつスタンダードな味は、まさに古き良き喫茶店の王道の味

 

添えられた福神漬けで味変しながら楽しんでみてくださいね。

 

 

また、ブルマーシャンは終日喫煙OKとなっており、コーヒーと一緒に至福の一服を満喫することができます。

 

最近は喫煙OKの喫茶店も少なくなったので、愛煙家にとって良き憩いの場所にもなっているんです。

 

重厚なガラスの灰皿も懐かしさ満点です!

 

 

ドリンクメニューも豊富で、中でも一番人気なのが「クリームソーダ(税込550円)」。

 

シロップがたっぷり入った甘いソーダにアイスクリームがトッピングされたクリームソーダは、レトロ喫茶店の定番メニューと言えるでしょう。

この空間で味わうと、美味しさも倍増すること間違いなしです!

 

現在の客層は、昔ながらの常連さんが3割、近隣のオフィスワーカーが2割、そしてSNSを見て来店する若い世代が5割という構成なんだそう。

 

昨今のレトロ喫茶ブームも相まって、はるばる遠方からわざわざ来店するという方もいらっしゃるそうです。

 

最後に小嶋さんにこれからのブルマーシャンについて尋ねてみると、「これまでのお店の雰囲気を保ちながら、自宅に帰ってきたような居心地の良い空間を作っていきたいです」という頼もしい答えをいただきました。

 

創業50年の歴史を背負った28歳の新店主は、きっとブルマーシャンの新しい歴史を紡いでくれることでしょう!

 

 

ブルマーシャン

住所:福岡市中央区清川1-7-12 B1F

営業時間:10:00~20:00

電話番号:092-522-1614

定休日:日曜日

 

 

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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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