手音

静寂の空間でネルドリップコーヒーと向き合うひととき。「珈琲美美」の流れを組む自家焙煎珈琲店「手音(てのん)」【福岡市南区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡に今なお現存する「昭和レトロ喫茶店」をピックアップしてご紹介していきたいと思います!

西鉄大橋駅から徒歩6分。九州大学大橋キャンパス入口そばに位置する「手音(てのん)」

 

今回ご紹介する「手音(てのん)」の場所は、福岡市南区塩原

 

最寄り駅の「西鉄大橋駅」東口を出て「日赤通り」を渡って歩くこと6分。「九州大学大橋キャンパス」の正面入口の並びにあります。

 

 

塩原の住宅街の中に溶け込むかのような赤いレンガ造りの外観。

 

二つのアーチ形の窓がレトロな雰囲気を醸し出しています。

 

 

風にたなびく白い布製の大きな暖簾が「手音」の目印です。

 

 

ドアの横にある店名とコーヒー豆を組み合わせた小さな看板のデザインは、和菓子屋「TUGI」のオーナーであり落款作家の廣貞さんによるもの。

 

余計な装飾は一切排除。じっくりコーヒーと向き合あえる店内空間

 

店内を照らすのは天井から吊り下がる丸傘のペンダントライトと、窓から差し込む光のみ。

 

BGMや余計な装飾などを一切排除したシンプルかつ機能的な空間は、まるでコーヒーと向き合うために作られたかのようです。

 

 

松の木から切り出したという重厚な一枚板を使ったカウンター席。

 

カウンターや内装は糸島在住の家具職人・村上レシピさんによるもの。村上レシピさんはカフェや美容室をはじめ、様々な個性派ショップの内装を数多く手がけられていることでも有名です。

 

 

心地よい風が吹き抜ける4席の2人掛けテーブル席。差し込む光と窓越しのグリーンと家具とのバランスがなんともフォトジェニック。

 

ちなみに珪藻土を使用した壁は元々白かったのですが、日々店内で焙煎するコーヒーの煙が徐々に壁に付着し、20年の時を経て味のある飴色に変色しているのです。

 

 

全てのテーブルの上に置かれている陶器製のシュガーポットと布製のメニューブック。

 

「手音(てのん)」が誕生するまで

いつもシャツ姿がお似合いの店主・村上崇さん。

 

店主を務めるのは福岡生まれの村上崇さん。

 

佐賀の大学に在学中、趣味で喫茶店めぐりをする中で次第にコーヒーに興味を持ち始め、教員になる夢をシフトチェンジ。「コーヒーを仕事にする」という新たな目標を決め、福岡有数の名店「珈琲美美」の門を叩くことに。

 

それから約5年間、珈琲美美で修行を行い、焙煎技術を習得。2003年5月、この南区塩原の地に「手音」を開業されました。

 

ネルドリップ抽出やハンドピック、板氷とシェイカーを使う独創的な作り方のアイスコーヒーといったスタイルは、珈琲美美の教えを今なお忠実に守っておられます。

 

開業した2003年は、ちょうど福岡はカフェブームの真っ只中。

 

スターバックスに代表されるシアトル系コーヒーチェーンやオリジナリティのあるおしゃれな個人経営カフェが世の中を席巻する中、昔ながらの喫茶店にスポットが当たりづらかった時代。その中でも自家焙煎コーヒー店というジャンルはとても珍しい存在で、当初は「ここは喫茶店?それともカフェなの?」といった言葉を投げかけられることも多かったんだそうです。

 

それでも珈琲美美での教えを忠実に守りながら、「流行に左右されず、変わらないこと」を続けること20年。今では喫茶店やカフェというジャンルを超越した「手音」というオリジナルのスタイルを確立されました。

 

カウンターに座り、抽出風景を眺めるひととき

 

オーダーが入ると、まず丁寧にコーヒーをハンドピックを行い、焙煎した豆の中から欠損した豆を取り除きます。これも極上の一杯を提供するためにとても大事な作業なのです。

 

 

いつでも最適な温度でコーヒーを提供できるよう、使用するカップは常時お湯で温められています。

 

 

コーヒー豆をグラインダーで挽き、ネルのフィルターにセットし、ドリップを行う村上さん。静寂の中、村上さんの「手の音」だけを聞きながら抽出シーンに目を凝らします。

 

 

お湯を注ぐたびにネルのフィルターの中でコーヒー豆がドーム形に膨らんでいきます。この膨らみこそが新鮮なコーヒー豆を使っている証拠。

 

抽出された黒色の液体は真っ白なカップの中に静かに落ちていきます。

 

このように手音に行かれた際には、カウンター席に座って、まるで職人芸のような村上さんの抽出シーンをじっくりご覧になられることをおすすめします。

 

 

手音で使われている全てのコーヒー豆は、手廻しコーヒー焙煎機を使って日々焙煎されています。手廻しコーヒー焙煎機とは直火にかけてハンドルを回すことで中のコーヒー豆が焙煎されるというもの。

 

手音で使っているものはメーカーに依頼して作ってもらった特注品なんだそうです。

 

 

焙煎されたコーヒー豆はレジ横の棚に並んでおり、100g 850円から購入できます。

 

3種類のブレンドコーヒーの他、キリマンジャロ、モカ・ハラール、ブラジル、エルサルバドル、マンデリンといったストレートコーヒーもラインナップされています。

 

購入の際にはお好みの味を村上さんに伝えてみてくださいね。

 

静寂の中、極上の一杯を堪能

 

こちらがネルドリップで丁寧に淹れていただいたブレンドコーヒー。

 

お供には「crea-pa」のケーキをチョイスしてみました。器のセレクトも素敵です。

 

 

ブレンドコーヒーは焙煎度の低い順に「爽(そう)」700円、「薫(くん)」750円、「玄(げん)」750円の3種類があります。

 

今回オーダーした「薫(くん)」は、香ばしさとコクのバランスのとれた濃い味わいを楽しめる一杯。

 

濃い目のコーヒーがちょっと苦手という方は、別添えのミルクと砂糖を入れてみてくださいね。

 

 

店内で提供している「crea-pa」のケーキは、佐世保在住の菓子研究家・田中博子さんの手作り。

 

ドライフルーツが入ったフルーツケーキはしっかりとした食感と程よい甘さで、コーヒーとの相性も抜群でした。

 

 

従来のお客さんは高めの年齢層でしたが、最近はSNSの影響からか20代前半女性やアジア圏からのインバウンドの来店も多いそうで、村上さんご自身も驚いておられるそう。それも時代が「手音」に追いついてきたのかもしれません。

 

南区・塩原の地に産声を上げて20年。大橋駅界隈の開発で、まわりの風景はだんだん変化していきましたが、この手音だけは何も変わらず、20歳を迎えました。

 

これから25年、30年とこのまま変わらず、塩原の街にあり続けて欲しいと願ってやみません。

 

 

手音(てのん)

住所:福岡市南区塩原4-12-10

営業時間:11:00〜20:00

電話番号:092-512-6117

定休日:不定休(公式サイトにてご確認下さい)

公式サイト:https://tenon-coffee.com/

 

 

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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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