福岡が日本のアムステルダムに?音楽プロデューサー「NAMY」が新たな拠点に福岡を選んだ理由

生まれ育った新潟県から東京に出た高波由多加さんが、国籍も年齢も性別も異なる人々が集うクラブで出会ったのは、「テレビでは流れない」音楽たち。 さまざまな土地の物語が生み出したワールドミュージックの奥深さに衝撃を受けたそうです。 こうした楽曲をもっと多くの人に届けたい、そしてユニークなミュージシャンにファンが付く業界にしたいとの思いから、高波さんは「NAMY」としての活動をスタートしました。 2008年には音楽プロデューサーとして独立し、今や東京・新潟を拠点に世界中で活動を続けています。 そんな中で次なるベースとして選んだのが福岡市です。「音楽を世界と『貿易』するには、福岡がとてもいい港なんですよ」と話すNAMYさんは、全くゆかりの無い土地にどんな景色を見出したのでしょうか。この地で新たに目指すビジョンについてお聞きしました。

始まりはクラブで出会ったワールドミュージック、多彩な音楽とつながる場所を増やしたい

生まれ育った新潟県上越市から進学のために上京し、そのまま社会人生活を送っていたNAMYさん。

通っていたクラブではさまざまな背景を持つミュージシャンがテレビでは聴いたことがないような音楽を奏でていました。
土地の歴史やリズムを伝えるワールドミュージックの魅力に触発されたNAMYさんは東京近郊でDJイベントを重ねるようになり、2008年には音楽の世界への独立を決めたそうです。
最初は自身がアーティストとして表に立っていましたが、「Namy &Inc.」を立ち上げてからはプロデューサーとしての活動がメインになったとか。
 

プロデューサーになったのは、ミュージシャンや楽曲をクラブ以外のさまざまな場所で伝えたかったから。
ファンが増えればミュージシャンも生活ができるようになるでしょう。
それもあって全国津々浦々で音楽とつながれる場を設けたかったんです。
それでNAMYは僕という一個人ではなく、こうした考えやビジョンを共有するプロジェクトと説明しています。
この考えにミュージシャンも乗っかってくれて、結果的に独立してからもたくさんのいい音楽に出会えました。

 
楽曲と共に、音楽を自由に楽しむ土壌も提案してきたNAMYさん。
Spotifyでは総再生回数9,000万回超の覆面プロジェクト「AmPm(アムパム)」、「暮らしとプレイリスト」をテーマにプレイリストとトークを配信するポッドキャスト、サブスクで国内やアジアの若いシンガーが80~90年代の邦・洋楽の名曲をカバーするプロジェクト「Tokimeki Records」など、さまざまな形態で発信を続けています。
 
独立後は海外のファンも増え、イベント出演や買い付けなどで各国を旅する生活に。
世界中の音楽好きが集結するオランダ・アムステルダムのダンスミュージックイベント「ADE」や欧州で開催されるワールドミュージックエキスポ「WOMEX」などにも積極的に参加しては世界のミュージックシーンに触れてきたそうです。
実は、これら世界的なイベントで見た「人と音楽のつながり」が、福岡でのプロジェクト構想にリンクしているのだとか。
一体どういうことなのでしょうか?

ふところが深い福岡だからこそ、世界の音楽が貿易できる「港」になるはず

NAMYさんと福岡の出会いは今から12年ほど前に遡ります。
さまざまな土地でのプレイを望んでいたNamyさんは知人に頼み込んで福岡のイベントに出演。
そこから沖縄的ワールドミュージックバンド「八重山モンキー」のDJやイベント「オトノタビ」などを手掛け、徐々に来福する機会が増えたそうです。
一時期は毎月のように通っていたとか。
そこまで惹きつける福岡の音楽的魅力とはどんな点にあるのでしょうか?
 


まず福岡は新しい音楽を受け入れるスピード感と懐の深さがありますよね。
大きなイベント同士も張り合うわけではなくて共存している。
『中洲ジャズ』とか『TheCreators 』なんて、主催者も地元の人達でしょう。
ただ会場を借りているだけじゃない。
地域で音楽やお祭りを盛り上げようとする気質を感じるんです。
こういう地盤があるなら、国内の音楽にとらわれず、アジアや世界と音楽の貿易をするのにぴったりだと思う。
今後は日本のアムステルダムになるのではないでしょうか。

2月には福岡を新拠点に!その場所から生まれる音楽のカタチを届けていく


NAMYさんは今年2月ごろには本格的に福岡にも拠点を構えるそうですが、そこでもう一つ進んだ音楽のカタチを目指しているそうです。



イベントだけではなく、日々の暮らしの中から音楽を通してつながれる環境づくりを進めていきたいんです。
ミュージシャン達と楽曲を共同制作する、つまりコライトする時があります。
それも音楽環境が良いスタジオにこだわるわけではなくて、暮らしに近い何気ない会話ができる場所で宿泊して、自然と会話したりすりょうな機会も作るようにしています。
そういう環境でミュージシャン同士が一緒に時間を過ごす中で不意に生まれるものを大事にしたい。
その場所で、その瞬間に生まれる音楽のカタチをみんなに届けたいんです。

 
この考えは、「音楽の貿易港」構想にも通じています。
海外のミュージシャンとのコライトにより、国の枠を超えて音楽がつながる。
それはワールドミュージックの新しいカタチとも言えるのではないでしょうか。

 


一つの土地にミュージシャンが集まって生まれた曲、というストーリーを聴き手にも伝えるとすごくいいんじゃないかって思うんです。
ドキュメンタリー映画みたいにミュージシャン同士の会話を記録しておいて、それも伝えるようにする。
そうするとストーリーが伝わって、より興味が湧くでしょ。


 
NAMYさんが展開する「Namy& Inc」では、3年間でリリース作品が200を超えており、これまでにコライトした作品が約1/3、コラボレーション先はアジアのアーティストだけでも10を超えています。
日本の音楽レーベルの中でも海外アーティストとのコライト作品がとても多い存在なんですって。
アジアの玄関口である福岡で展開すれば、もっと音楽の交流も盛んになるはずです。
 



コロナ禍で海外とはオンラインのやり取りが多かったのですが、これから直接会った時の空気感で何が生まれるか、本当にワクワクしています。
福岡でいろんな化学反応を巻き起こしていきたいですね。


11月に開催された『Namy & School』では、子どもも保護者も夢中になって楽しんだそう
 
 
NAMYさんは感性豊かな子ども達にも音楽と触れ合う場を提供したいと、昨年11月に子ども向けの移動式音楽学校『Namy & School』をスタートしました。
記念すべき第一回は福岡市動植物園で開催
簡単な打楽器で遊びながら音楽を学ぶ子ども達の楽しそうな表情を見ると、NAMYさんの言う化学反応が早くも巻き起こっていることを感じます。
 
聴く、歌う、演奏する、そしてつながる…。その先にも、実はもっと多くの喜びが待っているのかも。
新しい可能性を呼び起こすようなNamyさんのアイデアに触発され、福岡のミュージックシーンはどんな進化を遂げるのでしょう。
福岡の未来にまた一つ、大きな楽しみが増えたようです。
 
福岡市動植物園で開催された『Namy & School』はこちら
>>https://fukuoka-leapup.jp/tour/202210.912
 

高波由多加 (NAMY)さんプロフィール

高波由多加 (NAMY
Namy& / PLAY TODAY Founder.
旅する選音家としてシーンに人に寄り添う音楽を国内外のミュージシャン達とともに時には創り、時にはセレクトしたりと日々を楽しく活動中。
Spotifyでの総再生回数が8000万回を超える覆面プロジェクトAmPm(アムパム)をはじめ Tokimeki Records, Snowk 等、海外のリスナーが多い音楽プロジェクトを手がける。
好きな言葉は「人生楽あり楽あり」「童心旅行」大好物は山芋とイクラ。
NAMYさんのnoteはこちら
>>https://note.com/yutakatakanamy

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ライター
大内 理加
壱岐出身。福岡市内の編集制作会社を経てライターとして独立。現在は、福岡のweb、紙媒体を中心に食、カルチャー、地域活性など、ジャンルを問わずに執筆しています。趣味は、街ぶらと1人旅。妖怪と忍者、サメ・ワニ映画などのワードに飛びつく癖がありますが、話し出すと大体苦笑いに終わります。

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