東京から移住した元放送作家が語る「フクオカ」の魅力と、●●と。⑦

ゴリパラ見聞録ディレクターから受けた刺激│きむ兄からの提言「おっさんこそ挑戦すべき」

福岡へ移住する前からきむ兄が大好きだった「ゴリパラ見聞録」。元放送作家らしき視点で、なんとディレクターの富永さんに突撃取材!同世代ならではの、そして地方で働く人ならではの視点や気づきは、業界が違えどもうんうんと頷けること間違いなし!

福岡の人気テレビ番組を担当するテレビディレクターさんを取材しました。基本的には福岡県でしか放送されていませんが、数年前からCS放送での放送が始まったのをきっかけに、福岡以外に浸透し、全国に熱狂的なファンが存在するまでになりました。かく言うきむ兄も、東京にいたときに番組を見てから大ファンになりました。

私のハードディスクレコーダー 2016年頃から録画をしていました

番組の名は「ゴリパラ見聞録」。福岡を拠点に活躍するお笑い芸人のゴリけん&パラシュート部隊(斉藤優 矢野ペペ)が日本全国を旅するドキュメンタリーバラエティです。フクリパでも取り上げた記事に番組の詳細や人気の秘密が掲載されているので、この記事を読む前にご覧いただけると、この記事がさらに楽しく読めると思います。
 
今回は、裏方である元放送作家の視点から、同じく裏方であるディレクターさんはどんな考えで番組を作っているのか。そして、全国区になりつつあるゴリパラ見聞録という番組にどんな思いを持っているのか。たっぷりとお話を伺いました。

ゴリパラ見聞録 独占インタビュー! グダグダなオッさんたちの珍道中! 『ゴリパラ見聞録』に期待する“福岡アンバサダー”としての新たな手腕

楽屋の3人が面白い!そんな番組を作りたくて

ゴリパラ見聞録の総合演出として全てのロケに同行し、撮影から編集までを一手に担っている富永治明さん(44歳/Twitterはこちら)。まさに「ゴリパラ見聞録・第四の男」として、番組には欠かせない存在です。これだけの人気番組ですから練りに練った企画で始まったのかと思いきや、始まったキッカケは「喫煙所の雑談」だったそうです。
 
富永さん

10年以上前、当時担当していた深夜番組がリニューアルすることになって、番組プロデューサーが「何かいい案ないか?」と言ってきたんです。そのときに、この番組の骨格を提案したんです。3人は楽屋でのやり取りがものすごく面白くて、それに近い環境で番組を作れたら面白いと思ったんです。
 
学生時代とかで「いい加減な旅」の思い出って皆さんあるじゃないですか?

例えば、「福岡から車で広島まで行ってお好み焼きを食べる」計画を立てて旅に出たとします。
福岡から広島って4時間ほどかかるんですどね。お好み焼きを食べるというなんの面白みもない旅なんですけど旅をした仲間内では、その後何十年も思い出を語れる旅になる。
何をそんなに語れるのかなぁと考えたら「旅の道中」だなと。

あの時、「アイツはパーキングであんな事したよな?」、「アイツが道に迷ったせいで…」みたいな事を延々と語れるんですよ。
「旅は道中」そんなイメージで番組を作れば面白くて視聴者も共感を持ってくれるんじゃないかと思いました
 
でも、その時は番組が10年以上も続くとは思っていませんでしたし、単純に面白い番組を作ることしか考えていませんでした。番組の基本的なスタイルは当時も今も変わっていませんね。


ゴリパラ見聞録の総合演出・富永治明さん

ゴリパラ見聞録の魅力は、何と言っても「ゴリけん・パラシュート部隊の3人による人間性丸出し劇場」です。「これ、テレビで流しちゃうんだ」と思えるほど、人間の嫌らしい部分や汚らしい部分を余すところなく放送しています。こうした番組の方向性はどのように固まっていったのでしょうか?
 
 
富永さん

初めの2回は演者も僕も手探りな感じでしたけど、3回目のロケで印象的な出来事があったんです。あるやり取りで、矢野くんが斉藤くんに「性根が腐っている」と言ったんです。斉藤くんはそれが悔しかったのか、「それはツッコミじゃない。悪口だ」と言って泣き出してしまったんです。
 
テレビ番組って、ロケ中には3人はよく文句も言うし、ケンカもする。

「何で?」と本気でイライラすることもあるしムカつくこともある、でもすごいなとリスペクトする部分もあるし、優しいところもある。

すごく当たり前の事を言いますが、人にはいろんな一面があるじゃないですか?

テレビ的に「いい部分・いい話」だけ切り取って作る、ということはしないと決めました
 
番組を始めてしばらくして、斉藤くんがゴリパラをやっていて、自分は何が面白いかはわからんけど、周辺の評判はいい」と言っていました。演者からすれば自分たちの素に近いものを出していることが多いので、そういう感想になったのかなと思います。

「福岡のディレクターなのに」多くの出会いと経験をもらった

ゴリパラ見聞録がいわゆる一般的なテレビ番組と違うのは、演者・スタッフの人数が圧倒的に少ないところです。例えば東京で1時間のテレビ番組を作る場合、数人の演者に対し、数十人のスタッフが番組作りに関わります。
 
これに対し、ゴリパラは演者・スタッフ合わせて4〜5人しか映りません。これはラジオ番組のスタッフより少ない場合もある人数です。少人数の制作も計算に入れていたのでしょうか?
 
富永さん

ゴリパラは当時、福岡の番組で一番少ない制作費で始まった番組なんです。カメラマンを出すお金がないから、僕がカメラを回す。運転手を出すお金がないから、演者が車を運転する。ない袖は振れないから、限りある資源でやるしかなかっただけです。決して望んでそうしたわけじゃないです。
 
通常、番組を作るとき、ディレクターは企画書を作って、リサーチをして、取材依頼をして、演者と打ち合わせをした後にカメラを回します。でも、ゴリパラには台本もないし、ロケ先もカメラを回して始めてロケ先がわかる。

なので、制作側も出演者と状況が全く一緒で「何にも知らない」んですよ。だから僕が3人に対して「○○してくれ」と演出する事もできないし、基本的には出たこと勝負です。
 
ゴリパラって、他の番組作りと手法が違うので、他の番組作りには全く役立っていませんが、度胸だけはつきましたね。

 
 
ゴリパラ人気が福岡以外に広がったキッカケは、2013年にCS放送が始まったこと。全国にゴリパラが知られるにつれ、3人は人気者になっていきます。そして、富永さんにもちょっとずつ環境の変化が訪れます。


久々にテレビマンモード全開でお話を聞くきむ兄

富永さん

ゴリパラ見聞録を通じていろんな方と出会わせてもらいました。
3人が所属するワタナベエンターテインメントの会長、吉田正樹さんや社長のミキさんには番組をヒットさせるためのいろいろな考え方を教えていただきました。

また、ゴリパラキッズ(番組ファンの呼称を指す言葉)だった映画監督の本広克行さんから「さぬき映画祭(https://www.tnc.co.jp/goripara/diary/archives/123)」に招待されたんです。その場には、北海道から生まれた超人気番組水曜どうでしょう(https://www.htb.co.jp/suidou/)」のディレクター・藤村忠寿さんと嬉野雅道さんもいました。藤村さんはゴリパラのDVDを見て「これは面白い!」と言ってくださり、両番組のコラボもさせてもらいました。
 
藤村さんとの出会いは大きかったですね。番組作りの考え方とか、いろいろな話が聞けましたし、藤村さんや本広監督には今も可愛がってもらっています。福岡のテレビディレクターがこんな貴重な経験をさせてもらえるのは、ゴリパラの3人のおかげですよね。


富永さんが金髪にしたのも、番組きっかけでした

まさか10年も続くとは、番組を作っている富永さんも思っていなかったゴリパラ見聞録。富永さんは、ここまで人気が出たワケをどう分析しているのでしょうか?
 
富永さん

その時にやれることをやっていたらたまたま思わぬ事になった、が正直な感想です。一般的なテレビ番組だと、ディレクターやタレントなどポジションごとに役割があって、その役割ごとにそれぞれが能力を最大限発揮してきっちり仕事をすれば、それでOKだったんです。
 
それでOKなんですが、ゴリパラは違いました。おじさん4人がしなくていいことまでやるんですよ。

でも、ゴリパラが始まった当初は、演者の3人もディレクターの僕も能力が足りなかったと思うんです。だから、番組を面白くするために、3人を面白くするために、常に全力で番組作りに取り組んでいました。3人に出会わなければ、演者をどうやって人気者にするかという考えにはならなかったと思います。
 
全員が「番組を面白くするんだ」という当事者意識と熱量を持って取り組んだ環境が、ここまで評価された一因なのかと思います。実際、今でもロケ中に僕を含めた4人が揉めることもあります。40歳を過ぎたおじさん4人が本気になって、番組のために言い合いになるのは、なかなかないと思いますね。

野心はないけど「チャレンジ精神」は大切

しかし、3人に感化されて、富永さんの性格にも変化があったそうです。
 
富永さん

僕は基本的に慎重でビビりな性格なんです。モノづくりに対するこだわりはあるけど、3人のように「売れたい!」という欲求も野心もありませんでした。でも、3人からたくさんの刺激をもらううちに、「現状にあぐらをかいてはいけない気持ち」や「チャレンジ精神を持つ」ことの大切さを学びました。
 
福岡のディレクターには僕なんかよりもよっぽど優秀な人はたくさんいます。

でも現状で食えているので、東京で勝負しようと思わないし、そもそもそんな野心もない人が多い。
 
僕は3人に出会う前、30代の初めにはディレクターとして生計を立てることが出来ていました。情報番組などを担当していて、「将来もこんな感じかなー」と思っていました。だけど、3人に出会って、ゴリパラ見聞録を通じて、価値観をガラッと変えられました。「チャレンジしているようで実はしていなかったんだな、僕は」と。

そう思ってからは、少しずつ僕なりのチャレンジをしています。まだまだビビりですけどね。
 
番組の人気が出るにつれて、3人の環境も変わりましたけど、僕の環境も変わりましたね。

最後に、今後のゴリパラ見聞録の展望と、フクリパ読者へのメッセージをいただきました。
 
富永さん

僕は3人とも、実力的には全国区の芸人だと思っています。ゴリけんさんはある意味天才だし、斉藤くんのセンスは福岡の枠には収まりきらない。矢野くんの現場を冷静に見る能力も高いんです。ただ3人とも緊張しいなので、東京の番組に出ると本来の実力がなかなか発揮できない

なかなかの内弁慶芸人なのかもしれません。ただ、僕は毎回「ロケ」という最前列で腹を抱えるほど笑わせてもらっているのでその面白さは保証します。

3人の面白さが今後、全国に広まって欲しい思いは人一倍あります。
 
だからこそ、仕事においては「誰に見つけてもらうか」はスゴく重要だと思います。

ゴリパラはたった数人のおじさんたちの頑張りを全国のキッズが本気で好きになって広めてくれました。

キッズがいなかったらこの状況は絶対にありえない。

本当に感謝しています。コロナの影響でいろいろ出来ていないので、今年こそは冷泉公園やイベントでキッズに会いたいですし、こんな中でもなんとか楽しませたいです。
 
3人が全国区の人気者になっても、僕が他の仕事で結果を残したとしても、その軸にはゴリパラがあってウダウダ、ガタガタ、グダグダ、ずーっとやれていれば最高ですね。

おっさんのチャレンジには福岡が最高の環境!?

 
今回の取材で、きむ兄が最も響いたのは「チャレンジしているようで、チャレンジしていなかった」という言葉でした。
 
きむ兄自身も、放送作家から転身して福岡に移住したのも、ある意味「チャレンジ」です。移住当初は周りから「本当に移住したんだね」と驚かれましたが、確かに42歳で単身移住は、なかなかのチャレンジと思われたのでしょう。
 
でも、僕はアラフォーにさしかかる「おっさん」にこそ、挑戦をしてほしいと思っています。40歳を過ぎると、地位も環境も安定していて、挑戦する環境がなくなっていきます。きむ兄は、現状の維持よりは、リスクを常に取っているほうが人生が楽しいと思っている派です。きむ兄の2021年最大の挑戦は「金髪にする」でした。これにも驚かれましたが、やって良かったと思います。
 
ゴリパラ見聞録を通じた富永さんの価値観の変化を記事にすることで、「現状にあぐらをかかないこと」「チャレンジすること」の大切さを、きむ兄の同世代の人や、これからアラフォーになる人たちに見てほしい、そんな思いからこの記事を書きました。何かにチャレンジしたいけど勇気が出ない。そんな読者の方にちょっとでも参考になればいいなと思います。
 
少なくとも福岡には、富永さんやきむ兄といった「チャレンジおっさん」がたくさんいますし、チャレンジの環境も整っています。まずは福岡でチャレンジするのもいいのではないでしょうか。
 

ゴリパラのDVDが発売されます

 
この記事を見て、番組に興味を持った方に朗報です。2022年3月21日(月)に「 ゴリパラ見聞録 DVD 外伝 ゴリパラクエスト」が発売されます。過去の傑作選やDVDのためにロケをしたものもあるので、3人や富永さんの魅力を知るにはもってこいのDVDです。
 


ゴリパラ見聞録DVD外伝 ゴリパラクエスト
2022年3月21日発売!
ご予約はこちら

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移住系ライター
きむ兄(木村公洋)
2020年秋に東京から福岡に移住した元・放送作家。現在は中小・ベンチャー企業、フリーランスのPRに関するアドバイス・企画立案戦略をサポート。マスコミ業界に15年いた目線から福岡の魅力、東京との違いを発信します。東京で見なかったもの「高校の同窓会中止のお知らせが新聞の全面広告に載っていた」

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