【謎解き!フクリパ】

日本でも有数のラグビー王国福岡!高校ラグビーや代表選出も多い福岡がラグビー王国になった理由とは

あの感動と再び出会う――。今年・2023年は、幾多の名勝負を繰り広げてきた『ラグビーワールドカップ』が、フランス国内で4年ぶりに開催される年です。これまでのラグビーワールドカップにおいて、福岡とゆかりのある選手らが、大いに活躍してきました。今回、ラグビーを巡る謎解きにトライしてみます。

今年はイギリス・ラグビー校でラグビーが誕生して200周年

画像提供:日本ラグビーフットボール協会

今年、4年振りにフランス国内で『ラグビーワールドカップ2023』が開催される。
そして、ラグビーが誕生して200年だ。
1823年、イギリスの名門私立校『ラグビー校』で在校生のウィリアム・ウェブ・エリス少年が、フットボールの試合中にボールを手に抱えて突然ゴールに向かって走り出したのだ。
以後、ラグビー校でボールを持って走ることが一般的になり、『ラグビースクールフットボール』が人気となる。

今日、ラグビーワールドカップの優勝チームに贈られる優勝カップの名称は、少年の名前にちなんで「ウェブ・エリス・カップ」だ。
なお、エリス少年は、その後オックスフォード大学へ進学し、フランスに渡って宣教師となった。
もっとも、このエピソード自体は、彼の死後に広まり、実話だったという証拠は無いそうだ。

当時、七つの海を制していたといわれるイギリスは、世界各地に植民地を抱えていた。
そして、イギリス本国生まれのラグビーは旧英国領へも広がる
今日、世界ランキングで第1位アイルランド、第3位ニュージーランド、第4位南アフリカ、第5位イングランドは、イギリス本国もしくは旧英国領だ。

ラグビーW杯日本代表の福岡ゆかりの選手は2015年には5人、2019年には4人……。福岡とゆかりのあるラガーマンらが世界と戦っている

画像提供:日本ラグビーフットボール協会

通算わずか1勝で16連敗中の日本が、過去に優勝2回の強豪南アフリカを捨て身の猛攻で破り、世界中に「ブライトンの奇跡」と衝撃を与えたラグビーワールドカップ2015。
同大会に出場した日本代表の登録メンバー31人のうち、五郎丸歩(福岡県出身)、福岡堅樹(福岡高出身)、藤田慶和(東福岡高出身)、山田章仁(小倉高出身)、カーン・ヘスケス(宗像サニックスブルース)の5人は福岡ゆかりの選手だった。

そして、大会ホスト国となった日本が強豪のアイルランドやスコットランドとの激戦を制して初のベスト8進出を決め、日本中に空前のラグビーブームを巻き起こしたラグビーワールドカップ2019。
同大会でも福岡とゆかりのある選手は、福岡堅樹(福岡高出身)、流大(福岡県出身)、ジェームス・ムーア(宗像サニックスブルース)、ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラレッドスパークス)の4人を数えた。
 
ラグビーワールドカップ2023でも福岡ゆかりの選手らの活躍が期待される。

日本、福岡県のラグビー競技人口・チーム数は何人・何チームなのか?

日本におけるラグビー競技人口やチーム数は、何人・何チームなのだろうか?

日本で活動するラグビーユニオン(15人制)の学生・社会人・クラブが所属する公益財団法人日本ラグビーフットボール協会の競技者登録数・チーム数は、2022年3月1日時点において10万6,306人、2,718チームを数える。

一方、福岡県における競技者数・チーム数については、2021年11月に発足した一般社団法人福岡県ラグビーフットボール協会の設立趣意書において、次のように記す。
「近年の、福岡県におけるラグビーフットボールの競技者数は、概ね7,000人を超える会員数と、140を超えるチーム数があります」

東福岡高を筆頭に花園での活躍著しい福岡の高校ラグビー

〝花園〟の愛称で親しまれる『全国高等学校ラグビーフットボール大会』━━。
2023年1月7日に開催された第102回大会の決勝戦において、福岡県代表の東福岡高校は兵庫県代表の報徳学園高校に勝利し、6大会ぶり7回目の優勝を成し遂げた。
同大会において直近10年で3回の優勝も含め、同8回のベスト4入りを果たした東福岡高校は、高校ラグビー界の強豪校だ

1世紀を超える歴史をもつ同大会においてもベスト4入り18回(うち優勝7回)の東福岡高校の存在は際立つ。
そして、同校を筆頭に同10回(同3回)の福岡高校・中学、同2回の修猷館高校・中学、同1回(同1回)の福岡電波高校、同1回の福岡工業高校、同嘉穂高校、同福岡商業学校など福岡県勢の活躍が目を引く。

備考:福岡県出場高校がベスト4入りした大会分のみ抜粋 ※は両校優勝分

【参考】ベスト4入り(うち優勝回数)ランキング
◎18回(7回)東福岡高校
◎10回(3回)福岡高校・中学
◎2回修猷館高校・中学
◎1回(1回)福岡電波高校、1回福岡工業高校、同嘉穂高校、同福岡商業学校

【謎】なぜ、福岡は日本有数の〝ラグビー王国〟になったのか?

日本ラグビーフットボール協会名誉会長の森重隆・株式会社森硝子店代表取締役

岩手県釜石市、東京都府中市、横浜市、埼玉県熊谷市、大阪府東大阪市……。
『ラグビーのまち』をはじめラグビー関連を謳う都市は多い。そうした中、
福岡は〝ラグビー王国〟として独特の存在感を醸し出す。

日本ラグビーフットボール協会の森重隆名誉会長は、首記の〝謎〟について次のように考える。

「かつて福岡の社会人ラグビーが強かった時代に企業のトップは、ラグビーを通じての〝人間づくり〟に熱心に取り組みました。
そして、素晴らしい素質を備えたラグビー指導者らが育ち、そのDNAが福岡の地で代々受け継がれてきた点も大きかったと考えます」

「ラグビー自体はきついスポーツです。しかし、彼らはラグビーそのものの楽しさを同時に教え、さらに『One for all All for one』(みんなは1人のために、1人はみんなのために)や『ノーサイド』などのラグビーの精神も浸透させていきました」

「福岡には少年チームやラグビースクールが数多くあり、さらに世界が注目する高校生の国際大会である『サニックスワールドラグビーユース交流大会』が開催されていることも大きな財産です」

1970年に発足した草ヶ江ヤングラガーズは、日本代表をはじめ幾多の有力選手を輩出してきた。
この成功体験で福岡の各地で少年チームやラグビースクールが相次いで誕生した。

また、『サニックスワールドラグビーユース交流大会』を開催しているサニックスは、2022年9月に小中学生を対象とした『サニックス ラグビーアカデミー』を開講している。

約100年前に九州へラグビー伝来、戦後の社会人ラグビーで福岡勢の黄金期を迎えた

福岡をはじめ九州にラグビーが伝わったのは、1920年頃といわれている。

そして、日本でのラグビーの発展に大きく寄与したのは、戦後に始まった全国社会人ラグビーフットボール大会だった。
1949年2月に開催された第1回大会で初代王者に輝いたのは、福岡を拠点にした配炭公団ラグビー部だ。
続く第2回大会で三井化学(当時三井東圧化学)が栄冠を勝ち獲り、福岡勢での連覇となった。

第3回大会で八幡製鉄(現日鉄八幡製鉄所)が初優勝する。
以後、黄金期を迎えた八幡製鉄は、歴代1位となる12回の優勝と2回の準優勝を成し遂げた。
当時は重厚長大産業が隆盛を極めた時代だった。
北九州をはじめ大牟田などの工業都市に有力企業が立地し、大学や高校で活躍した有力選手らが集まって来た。


備考:福岡県勢が優勝、もしくは準優勝した大会を抜粋。※第6回大会は両チーム優勝
第1回から第4回までは全国実業団ラグビーフットボール大会として開催。
第2回優秀の三井化学は当時、三井東圧化学(福岡県大牟田市)
第5回から全国社会人ラグビーフットボール大会に改称。

福岡の社会人ラグビー界にみる新陳代謝の動き

日本ラグビーフットボール協会は2003年、各地域リーグと全国社会人ラグビーフットボール大会を発展解消し、『ジャパンラグビートップリーグ』を発足させた。
そして、数々の名勝負を繰り広げる中、地元・福岡から宗像サニックスブルース、コカ・コーラレッドスパークス、九州電力キューデンヴォルテクスが参戦した。

2021年6月、日本ラグビーフットボール協会運営のトップリーグに代わって、一般社団法人ジャパンラグビーリーグワンが正式に発足した。
これに先立ち2021年4月、コカ・コーラレッドスパークスの活動終了が発表され、新リーグへの参入申請の取り下げが受理された。

2022年1月からジャパンラグビーリーグワンが開幕した。
しかし、同年3月に宗像サニックスブルースは、同年5月末で活動を休止することを発表した。
ジャパンラグビーリーグワンに福岡から参戦しているチームは、現在は九州電力キューデンヴォルテクスのみだ。

その一方、新たな芽吹きもみられる。
活動休止となったコカ・コーラレッドスパークスの選手らの受け入れを掲げて2022年4月、『ルリーロ福岡』が福岡県うきは市に誕生した。
その後、宗像サニックスブルースの選手らの受け入れも表明したルリーロ福岡は、地域リーグ『トップキュウシュウA』(主催:九州ラグビーフットボール協会)に新規加盟して、初優勝をなし遂げた

【謎】なぜ、日本人はラグビーというスポーツを愛してやまないのか?

画像提供:サニックス(『サニックスワールドラグビーユース交流大会』) ©MasafumiONO

ラグビーに興味がある人は4割、男性50~60代では6割━━。

ラグビーワールドカップ2019期間中の10月17日、カルチュア・コンビニエンス・クラブは、18~69歳の男女1,501人を対象にした『ラグビーに関するアンケート調査』結果を発表した。
日本のラグビーは長年、愛してやまない熱心なファンらが支えてきた中、日本でのワールドカップ開催をきっかけに大きな広がりをみせたことがわかる。

森名誉会長は、首記の〝謎〟について、次のように考える。

「ラグビーの発祥国であるイギリスに騎士道があり、日本には武士道があります。
共に名誉を重んじながら、一致団結してみんなで一生懸命に頑張るという点でも相通じるものがあります」

「古来、≪和を以て貴しとなす≫ことを重んじてきた日本人の資質は、ラグビーの神髄ともいえる『One for all All for one』や『ノーサイド』の精神を受け入れる上でも相性が極めてよかったといえるでしょう。
だからこそ、日本人は、ラグビーを愛してやまないのではないでしょうか」

日本初のラグビーの試合が横浜で開催されて150周年

日本で初めて開催されたラグビーの試合は1873年、横浜でイギリスの船員によるものだった。
従来、日本でのラグビー発祥は1899年、慶應義塾の英語講師エドワード・B・クラークらによる学生への指導とされてきた。
最近の研究で横浜での初試合の事実が明らかになり、さらに横浜駐屯の英国兵らが1866年、アジア初のラグビークラブである『横浜フットボールクラブ』を設立したことも分かった。

そして2019年9月、横浜市中区の山下町公園内に『ラグビー発祥地 横浜』と銘打った記念碑を建った。
今年は、日本でラグビーが開催されて150周年という節目の年だ。
ラグビー王国である福岡の地において、血沸き肉躍る感動を体験されてみてはいかがだろうか。

【参照サイト】
公益財団法人日本ラグビーフットボール協会
https://www.rugby-japan.jp/

公益財団法人日本オリンピック委員会「競技紹介:ラグビーフットボール」
https://www.joc.or.jp/sports/rugby.html

笹川スポーツ財団
https://www.ssf.or.jp/ssf_eyes/dictionary/rugby.html

スポジョバ「ラグビーの発祥地と起源を解説!日本にはどうやって取り入れられた?
https://spojoba.com/articles/217

ラグビーリパブリック「横浜にラグビー発祥の記念碑」
https://rugby-rp.com/2019/09/05/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/39933

All About「ラグビーの歴史とは? 観戦する前に起源やボールの形の由来を知ろう」
 https://allabout.co.jp/gm/gc/424423/

『歴史改正』(History-Revision))「ラグビーの歴史アレコレ(9)~大牟田=≫八幡=≫福岡~福岡県のラグビー事情」
https://history-revision.com/muttering/archives/224

ラグビーW杯開催で「ラグビーに興味を持った人」3割と意識が高まり「テレビでラグビーW杯を観戦した人」は4割に!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000367.000000983.html

サニックスラグビーアカデミー 受講生募集中!!
https://sgrum.com/web/sanixrugbyacademy/

サニックスワールドラグビーユース交流大会
https://sanix-sports.info/rugby/

日本ラグビーフットボール協会『2021年度 チーム登録数および競技者登録数』
https://rugby-japan.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/file/html/154835_62b8577650ee1.pdf

福岡県ラグビーフットボール協会「設立趣意書」
https://www.rugby-fukuoka.jp/association/shuisho/index.html

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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