天神ビッグバンの経済波及効果は11プロジェクトで推計

公益財団法人福岡アジア都市研究所(福岡市博多区、理事長・坂井猛九州大学大学院教授)は2026年4月16日、福岡市の都心部機能更新誘導方策である天神ビッグバンによる経済波及効果が総額1兆8,943億円であるとの推計を発表した。
2015年2月から始動した天神ビッグバンでは、デザイン性の高いビルへの建て替え等に対して、容積率を最大50%緩和する天神ビッグバンボーナスが設けられており、その適用対象は、感染症対策に取り組む「2026年12月31日までの竣工予定のビル」と定められていた(※複数街区での段階的・連鎖的な建て替えは特例として個別判断)。
2026年末に天神ビッグバンが1つの区切りを迎えるため、『福岡アジア都市研究所』は、天神ビッグバンの経済波及効果をあらためて推計した。
今回の推計対象は、天神ビッグバンボーナスの認定を受けた8つのビルに加えて、現在、認定に向けて検討が進められている3つのプロジェクトを加えた計11プロジェクトであり、全面開業した場合を想定している。
今回の推計において対象とした11プロジェクトは、下記の通りだ。
1.『天神ビジネスセンター』
2.『福岡大名ガーデンシティ』
3.『ヒューリックスクエア福岡天神』
4.『ONE FUKUOKA BLDG.』
5.『天神ブリッククロス』
6.『天神住友生命FJビジネスセンター』
7.『(仮称)天神1-7計画』
8.『天神ビジネスセンターⅡ』
9.『天神二丁目南ブロック・駅前東西街区(新天町・パルコ街区)』
10.『天神一丁目15・16番街区』
11.『福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡地区』
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出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所『(推計の詳細)「天神ビッグバン」経済波及効果の推計』

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所『(推計の詳細)「天神ビッグバン」経済波及効果の推計』
福岡アジア都市研究所では、天神ビッグバンがスタートした当初の2015年に今後の投資規模を想定して、建設および経済活動による波及効果および雇用効果を推計した。
今回、推計の対象となった11プロジェクトの総延べ床面積99万2,840平方メートル、純増面積53万7,501平方メートルであり、前回想定分(総延べ床面積75万7,000平方メートル、純増面積31万2,800平方メートル)を大きく上回っている。
その結果、今回推計を前回推計と比較した場合、下記のような変動がみられた。
◎建設投資による波及効果:2.16倍
(前回推計2,921億円⇒今回推計6,301億円)
◎経済活動による波及効果(純増):2.24倍
(同8,466億円⇒同1兆8,943億円)
◎経済活動による雇用効果:1.04倍
(同5万7,200人⇒同5万9,550人)
福岡アジア都市研究所が今回、推計した天神ビッグバンの建設投資による波及効果、経済活動による波及効果および雇用効果は、下記の通りだ。
◎建設投資による波及効果:総額6,301億円
◎経済活動による波及効果(純増):総額1兆8,943億円
◎経済活動による雇用効果:5万9,550人
以下、それぞれの推計内容をみていく。
建設投資による波及効果は6,301億円
福岡アジア都市研究所による天神ビッグバンの経済波及効果に関しては、前回推計と同様、「建設投資による経済波及効果」と「経済活動による経済波及効果」で推計している。
このうち、建設投資による波及効果とは、ビル建設時に発生する経済効果を指す。
建設工事そのものに加えて、資材調達や設備投資、関連サービスなどを通じて、福岡市内へ波及する経済効果を推計している。
今回推計した建設投資による波及効果は総額6,301億円であり、前回推計2,921億円の2.16倍となった。
背景には、推計対象となった11プロジェクトの総延べ床面積が99万2,840平方メートルとなり、前回想定分75万7,000平方メートルを大きく上回ったことなどがある。
建設事業費は延べ床面積を基に5,264億円と推計
建設投資による波及効果は、11プロジェクトの総延べ床面積99万2,840平方メートルに対して、1平方メートル当たり建築費単価53万179円(国土交通省『建築着工統計調査』2021年:福岡県のSRC事務所・ホテル建設費)を乗じ、建設事業費5,264億円として算出した。
さらに、この需要額に派生する1次効果、2次効果を加算した結果、建設投資による波及効果は、総額6,301億円と推計している。

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所『(推計の詳細)「天神ビッグバン」経済波及効果の推計』
経済活動による波及効果は1兆8,943億円
建設時の1回限りとなる建設投資による経済波及効果に対して、経済活動による経済波及効果は、新たなビルが稼働することで継続的に発生していくものだ。
福岡アジア都市研究所では、経済活動による経済波及効果について、建て替え後の売上高(推計)から建て替え前の売上高(同)を差し引いた「純増分」を基に、福岡市内への経済波及効果を推計した。
今回推計した経済活動による波及効果(純増)は総額1兆8,943億円であり、前回推計8,466億円の2.24倍となった。
天神地区11プロジェクトの新ビル売上高は2兆3,431億円
経済活動による経済波及効果については、延べ床面積をオフィス系売上高、商業系売上高、ホテル売上高に分類して産業別の売上高を推計する手法で算出している。
また、建て替え前は『平成28年経済センサス活動調査』、建て替え後は『令和3年経済センサス活動調査』を用いている。
オフィス系売上高は従業者1人当たりの売上高、商業系売上高は1平方メートル当たりの売上単価を基に積算した。
一方、ホテル売上高は、事例から得られる従業者1人当たり売上高を参考に算出している。
これらからの算出結果によると、11プロジェクトの新ビル売上高は2兆3,431億円となった。
旧ビル売上高は6,407億円だったため、差し引き1兆7,024億円の純増になるとの計算だ。
そして、純増額1兆7,024億円を需要額として、『平成27年福岡市産業連関表(35部門表)』を用いて自給率を算出し、派生する1次効果、2次効果を加算した結果、経済波及効果は総額1兆8,943億円と推計している。

出典:公益財団法人福岡アジア都市研究所『(推計の詳細)「天神ビッグバン」経済波及効果の推計』
経済活動による雇用効果は1.04倍の5万9,550人と推計

福岡アジア都市研究所では、経済活動による雇用効果についても推計している。
今回推計した雇用効果は5万9,550人であり、前回推計分5万7,200人から人数で2,350人増、倍率で1.04倍となった。
一方で、今回の推計の基になった延べ床面積99万2,840平方メートルは、前回想定分75万7,000平方メートルから1.31倍に増えている。
また、延べ床面積の純増面積53万7,501平方メートルは、前回分31万2,800平方メートルの1.72倍へ拡大した。
これに伴い、建設投資による波及効果は前回推計の2.16倍、経済活動による波及効果(純増)についても2.24倍へと大きく拡大している。
このように、延べ床面積や経済波及効果が前回推計を大きく上回る結果となった一方で、経済活動による雇用効果については微増にとどまっている。
福岡アジア都市研究所の発表をもとに要因を考察すると、コロナ禍以降のリモートワーク・テレワークの浸透、DXの進展やAI活用による生産性向上、オフィススペースの高機能化、Eコマースの普及といった構造的変化が背景にあるものと考えられる。
単純な雇用人数だけでは測れない、都市機能の質的変化が進んでいると見ることもできる。

参照サイト
公益財団法人福岡アジア都市研究所『天神ビッグバンの経済波及効果について』
https://urc.or.jp/news/economic-ripple-effect/
公益財団法人福岡アジア都市研究所『(推計の詳細)「天神ビッグバン」経済波及効果の推計』
https://urc.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/report_detail.pdf
福岡市『規制緩和によって民間投資を呼び込む『天神ビッグバン』着実に進行中!!』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/kaihatsu/shisei/20150226.html









