現在の世界史データベースの開発状況
平野
このデータベースそのものを充実させていくことが最も重要なのですが、これだけではただ膨大な情報の塊を作っているだけで、人間が利用しやすい形になっていません。そこで、世界史データベースの開発に取り組むと同時に、具体的な利用用途を明確にしたアプリケーション開発にも取り組んでいます。
以下、現時点で構想・開発を進めている3つのサービスについてまとめます。
①Service1:世界史データを閲覧するアプリケーション
全人類が使うことを想定した、年表軸で世界の史実や人物を検索することのできるもの。平たく言うと、世界史データベースのビューワー。
②Service2:経営課題の解決に寄与するアプリケーション
世界史情報から、会社を経営上での課題解決寄与するデータを集めたもの。「リーダーの役割」や「継承問題」といった課題に対して、歴史的事例を紹介する。
③Service3:地図上で歴史情報を閲覧するアプリケーション
地図上で史実や人物を検索することのできるアプリケーション。
草野
平野
「世界史データベース」を基点に、別々のアプリケーションを複数構築していることや、それぞれのサービスが補完し合う構造になっていることにびっくりしたのですが、①から③のどのサービスも、完成すると色んな使い方ができそうです。そして、ただただ眺めて資料を読み込んでいくだけでもすぐに時間が経ってしまいそうだなと感じました。
平野
確かに、専門家がひとつの事象を紹介する際に、歴史上の人物やできごとを俯瞰して検証できるだけで、解像度も表現の幅もぐっと広がりそうです。この世界史データベースがもたらす様々なサービスが、出典として様々な分野の研究開発のエビデンスになるのも、そう遠くない将来だと想像するだけでワクワクしてきます。
そんな世界史データベース開発ですが、大変なことも多いと思うので、いま何に時間がかかっているのか、一般の人がわかる範囲で聞いてみました。
平野
歴史を表現するための構成要素を検討している図
例えば、織田信長と明智光秀の人生においてお互いの関係性が深かったことは皆さんご存知かと思うんですが、二人には主従関係があって、このとき光秀がどのような立場だったのかといった具体的な関係性が見えてこないと、光秀の行動原理が見えてこないんです。
これは非常にわかりやすいです!
コテンラジオにハマった人の多くが、「学校の勉強のように年号を覚える暗記にはないおもしろさがある」と話しているのがまさにここで可視化されますね。
光秀を、信長を暗殺した人として覚えてしまうと、なぜそこに至ったかの背景にまではたどり着かず、結果として「謀反をおこした悪い家臣」という認識で止まってしまいます。
しかし、実際光秀が置かれていた状況、その当時の日本の情勢、信長陣営の家臣たちの動きなどを含めてとらえることで、その見え方は大きく変わる可能性があります。その行為そのものがまさに「メタ認知」であり、例えるなら、組織の中で造反されたケースを検証する際の参考として本能寺の変を捉えることもできるように思います。
草野
このように一つひとつの記法について、ルールを整えて入力を進めていくと、膨大な時間がかかります…。
実際に画像を見せてもらいましたが、確かにこれは気の遠くなるような作業です。
草野
平野
全体像を描くことも、その構想を進行管理することも、そして細かな情報をミスなく整理することも、どれも本当に大変な作業だなと思いつつ、完成したらビジネスにも趣味にも、きっと多くの人が活用できるものになるだろうなと感じました。
年表軸で見ながら、気になった場所をマップで見に行く。そこで気づいた横のつながりから、新しい史実に出合う。永遠に遊べそうな気がします。