陸の『グリーンカーボン』vs. 海の『ブルーカーボン』
引用)『福岡市ホームページ「福岡市博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」』
地球上で年間に排出される二酸化炭素は94億トン。
それに対して、陸域における二酸化炭素の吸収量19億トン・海域で同25億トンであり、差し引き51億トンが大気中に残って地球温暖化の要因となっている。
国土交通省港湾局発行『海の森 ブルーカーボン CO2の新たな吸収源』によると、人間の活動によって1年間あたり94億トンもの二酸化炭素が大気中に排出されている。
これに対して、陸上における森林など植物による二酸化炭素の吸収量は19億トンだ。
一方、水に溶けやすい二酸化炭素は海面において大気中から海水中へ移行し、さらに海の植物による光合成で25億トンの二酸化炭素を吸収している。
つまり、森林のある陸上よりも海の方が、二酸化炭素を多く吸収しているのだ。
森林などの光合成によって吸収される二酸化炭素は『グリーンカーボン』と呼ばれている。
それのに対して、海草や海藻の光合成や植物プランクトンなどの生物作用で海中に取り込まれている二酸化炭素は『ブルーカーボン』と称されている。
国連環境計画(UNEP)が2009年に発表した報告書『ブルーカーボン』によると、「ブルーカーボンにより年間総排出量のおよそ0.5%を吸収・隔離できる」「温暖化を1.5℃に抑えるために必要な削減量の2.5%は、ブルーカーボン生態系による吸収源対策で達成可能」とされている。
二酸化炭素の吸収源としての海の可能性を提示したことでブルーカーボンに大きな期待が寄せられている。
博多湾における二酸化炭素削減の〝経済価値〟化で環境保全
引用)『福岡市ホームページ「福岡市博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」』
福岡市は2020年10月、『福岡市博多湾ブルーカーボン・オフセット制度』をスタートさせた。
カーボンオフセットとは、温室効果ガスの主成分である二酸化炭素をやむを得ず排出した場合、その分を他所で取り組んだ二酸化炭素(カーボン)の排出削減や吸収促進の活動に対して、資金援助をすることで埋め合わせ(オフセット)ていく行為だ。
博多湾ブルーカーボン・オフセット制度では、博多湾の藻場で吸収・固定された二酸化炭素の削減・吸収量を所定の方法で数値化することで〝経済価値〟化して、取引可能な形態であるクレジットとして『博多湾ブルーカーボン・クレジット』を販売する。
クレジットの販売収益は、市民をはじめ企業や漁業関係者らで組織された『博多NEXT会議』を中心とした藻場づくりなど博多湾における環境保全活動に活用している。
博多湾ブルーカーボン・オフセット制度の実績は、2020年度のカーボンオフセット認証実績43.4トン、2021年度は同48.5トンだった。
2022年度については二酸化炭素のクレジット販売量45.9トン、販売価格は二酸化炭素1トンあたり8,800円(税込み)で0.1トン単位で販売している。
2022年度分の受付期間は2022年11月1日~年12月23日。
参照サイト
国土交通省港湾局発行『海の森 ブルーカーボン CO2の新たな吸収源』
https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001394945.pdf
福岡市博多湾ブルーカーボン・オフセット制度
https://www.city.fukuoka.lg.jp/kowan/kankyotaisaku/shisei/hbn_zm.html