日本では魚介類を平均年23キロ消費、魚介類の自給率59%
出典:水産庁『令和4年度 水産白書』
日本では1人あたり年間で23.2キロの食用魚介類を消費している━━━━。
水産庁が2023年6月2日に発表した『令和4年度 水産白書』によると、食用魚介類の1人1年あたりの消費量(純食料ベース)は、2021年度において23.2kg(概算値)だった。
この数字は、2001年度の40.2kgをピークに減少傾向にある。
一方、2021年度における食用魚介類の自給率(概算値)は59%だった。
2022年の水産物輸入量(製品重量ベース)は前年比0.9%増の222万トンであり、輸入額は前年比28.6%増の2兆711億円だった。
品目別でみると、サケ・マス類、カツオ・マグロ類、エビなどが、輸入額の上位を占めていた。
サケ・マス類のうち、サーモンについては、世界の総生産量ベースで年間約400万トンだ。
このうち、ロシアやアラスカなどでの天然漁獲高は年間約100万トンで近年、頭打ち状態にある。残り約300万トンは養殖生産量であり、増加傾向がみられる。
養殖のうち7割以上は、ノルウェーとチリでの生産だ。
サーモン養殖においては、年間を通して海水温が低く、天候や波が穏やかなどの海面条件が求められ、サーモン養殖に適した海域は限られているのだ。
このような状況下、日本の水産ビジネスにおいて、新たな動きがみられる。
日本でもサーモン陸上養殖が本格化、福岡産も今夏に出荷予定
三井物産~FRDジャパン~さいたま市、
三菱商事~マルハニチロ~富山県入善町、
丸紅~プロキシマーシーフード(ノルウェー)~静岡県小山町、
伊藤忠商事~極洋とソウルオブジャパン(ピュアサーモングループ日本法人)~津市……。
上記のように日本においては昨今、大手商社が中心になってサーモンの陸上養殖事業が本格化し始めている。
陸上養殖とは、文字通り、陸上に設けた工場で地下水などをろ過しながら循環させて魚介類を養殖していくことだ。
陸上養殖では、天候に左右されず安定的に生産できるというのが利点となっている。
さらに餌や排せつ物による環境負荷を抑えることも可能だ。
福岡県内においても2023年5月17日、豊前市にある九州電力の火力発電所の敷地内に建設中だったサーモン陸上養殖場が完成した。
九州電力株式会社、ニチモウ株式会社、西日本プラント工業株式会社、株式会社井戸内サーモンファームが共同出資したフィッシュファームみらい合同会社では、同養殖場で生産した『みらいサーモン』について、2023年夏頃の初出荷を予定している。
地元局RKBも『道の駅むなかた』隣でサーモン陸上養殖事業開始
画像提供:RKB毎日ホールディングス
福岡都市圏においてもサーモンの陸上養殖事業の動きが、本格的に始まっている。
株式会社RKB毎日ホールディングス(RKB毎日HD)は2023年2月17日、宗像市と企業立地協定を結んで、『道の駅むなかた』(宗像市江口)の隣接地である約1万8000平方メートルにおいて、サーモンの陸上養殖事業を手掛けていく。
RKB毎日HD は2023年5月11日、サーモン陸上養殖事業を担当する宗像陸上養殖株式会社を資本金1億円で設立した。
陸上でのサーモン養殖の事業化に向けては、NECグループのNECネッツエスアイ株式会社の関係会社であるネッツフォレスト陸上養殖株式会社と業務提携して取り組んでいく。
今回のサーモン陸上養殖事業に関して、RKB毎日HDでは先日、発表したプレスリリースにおいて、次のようなコメントを掲載している。
RKB毎日ホールディングス
安心・安全で高品質なサーモンの安定的生産を目指します。
また、陸上養殖場での雇用創出や生産されたサーモンの販売を通じた地域の経済活性化をはかると共に、海洋環境の保全や国内での安定的な食糧確保などSDGsにも貢献してまいります。
参照サイト
水産庁『水産白書』
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/
株式会社RKB毎日ホールディングス『サーモン陸上養殖事業への参入について』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000101791.html
宗像市『株式会社RKB毎日ホールディングスと「企業立地協定」を締結』
https://www.city.munakata.lg.jp/w003/010/010/050/050/020/20230222105949.html
九州電力ほか4社『九州最大規模となる陸上養殖場が完成し、「みらいサーモン」の生産を開始しました』
https://www.kyuden.co.jp/press_h230320-1.html
三菱商事『サーモン陸上養殖事業が富山・入善町で始動 豊かな水資源と先端の知見で環境にも配慮』
https://globe.asahi.com/article/14815488