店主プロフィール

下田 洋平さん
ブックバーひつじが店主。県外から福岡に移住後、2019年2月に白金エリアで開業し、今年で7周年を迎える。コロナ禍をきっかけにお酒の軸を焼酎へ寄せ、追加で棚をつくったことから本やZINEの取り扱いをスタート。街の“隙間”を埋めるように店を育てている。
変化を重ねて見つけた、焼酎とZINEのある空間
―「ブックバーひつじが」は今年でオープン7周年を迎えられて、今や白金を代表するお店のひとつになっています。この7年でお店のコンセプトは変化してきたのでしょうか?

下田:最初は福岡の人がどんな感じなのか、お酒は何を飲むのか全然わからなくて。焼酎も今はたくさんありますけど、当初は6本くらいしかありませんでした。オープン当初はアーティストや作家の絵の展示やイベントなどを積極的に行っていましたね。コンセプトをしっかり決めるというよりは「その時面白いと思うものをやってみる」というスタンスでした。
それがコロナ禍で長期間店を開けることができなくなって。制限された中だと醸造酒がどうしてもダメになってしまうので、ある程度長期保存ができる焼酎に軸足を置いてみようと思いました。元々焼酎が好きだったこともありますし、あの時期は世の中が大変なことになっていたので、「集客しなきゃ」というプレッシャーもありませんでした。外食や外での飲酒ができないことが当たり前だったので、逆に自分が本当に好きなものを置こうと思えたんです。

それと同じタイミングで、客席を減らしてできたスペースに新しく本棚を作ったところ「ZINEを売ってみようかな」という気持ちになって。それがあれよあれよと気がつけばこんな感じで、今のスタイルに辿り着きました。やっていく中で自分でもZINEを作って出したり、最近は県外の書店さんと一緒にエッセイをまとめたフリーペーパーを作成したりもしています。
日本の作り手をリスペクトする、焼酎の品揃え
―今や「ブックバーひつじが」の代名詞である焼酎とZINEが揃ったのにはそんな理由があったんですね。ぜひ焼酎とZINEそれぞれのこだわりを教えてください。
下田:福岡にはもともと焼酎文化があるので、ボトルキープで焼酎を飲む人も多いんですけど、いろんな銘柄の違いを提案する場所ってまだまだ足りていないなと思って。だからその足りない「隙間を埋める」ことを意識して焼酎をセレクトしています。当店に来て初めて焼酎を飲む人も多くて、ここで推しの焼酎に出会ってハマっていく人も増えているのはうれしいですね。

焼酎の他にも、はちみつを主原料として発酵させたお酒「ミード」も置いているんですが、これはZINEがきっかけで出会いました。滋賀県にある「ANTELOPE」というミードメーカーが、自社の製品やミードというお酒のことをたくさんの人に知ってもらうために制作したZINEを発行していて、それを販売することになって。「せっかく本とお酒の両方を取り扱っているのでZINEを読んで興味を持った人にお酒も楽しんでほしいな」と思って、お酒の方もそのあとすぐに取り扱いを始めました。
作り手をリスペクトしたいっていう気持ちから、焼酎の酒蔵に足を運んだり、お店にお招きしてイベントを実施したりすることもあります。
200種1000冊、面白さと隙間を埋める視点で選ぶZINEの世界
―取り扱っているお酒の魅力が伝わりました!ZINEについてはいかがですか?

下田:販売しているZINEは、自分が読んで面白いものだというのが、まずは大前提ですね。あとはなるべく近場の本屋にないものを取り扱うようにしています。最近は福岡の独立系書店でも扱うところが増えてきたから、なるべくバッティングを避けて。ZINEも「隙間」を埋める気持ちでやっています。昨年は著者を招いたイベントも実施しました。
ーぜひ下田さんのおすすめのZINEを教えてください!

下田:現在はおよそ200種、1000冊のZINEを取り扱っているんですが、まずご紹介したいのが、「OK マガジン」という、久留米の方々が作っているカルチャーマガジンです。どこか懐かしい味のあるデザインと中綴じなのもいいんですよね。福岡発のプロダクトとして、個人的にめちゃくちゃ推しています。

あとは、しりひとみさんの作品はどれも面白くておすすめです。昨年発売された「死んでないけど走馬灯」は、当時ミュージシャンの尾崎世界観さんがSNSで紹介されたことがきっかけでかなり話題になりました。そのときまだ全国のオンラインショップで取り扱っていたのが当店だけだったので、2日で50冊くらい売れたんです。大好きな作家の本を自分のお店を介してたくさんの人に届けられたというのは嬉しくて、思い入れが深いですね。
路地を曲がれば面白い店に出会える、白金エリアの魅力
―下田さんは白金エリアにどのような魅力を感じていますか?
下田:移住してきた時は全く土地勘がなくて、かろうじて知っていた博多と天神のどちらにも行ける薬院周辺で物件を探していたんです。そしたらたまたまこの場所に空き物件が出てきて、「ブックバーひつじが」をオープンする運びになりました。白金に住んでみたら静かで、街の治安も良いんです。
このエリアの一番の魅力は、小さな個人店が多いことですね。チェーン店が少なくて、小さな路地を曲がるとそこに面白い店がある。一人飲み、二人飲みで回遊している人が多いエリアだから、当店にもその流れでお客さんが来てくれることがあります。
あとは本屋が意外とあるのも白金エリアの魅力のひとつ。アートブックをメインに扱う「青旗」さんや、カフェとギャラリーを併設した「本灯社」さん、古書を扱う「古本 nekonote」さんなど、当店から歩いて行ける距離にいろんなお店があるんです。それがこのエリアの良さだと思います。
―薬院・白金エリアで下田さんがよく行くお店を教えてください!
下田:飲食店だと、当店からすぐの場所にある「らあめん蔵持」。しょうゆラーメンに分厚いチャーシューが乗っていて、お腹がいっぱいになります。店先でたい焼きも売っているので食べ歩きにもおすすめ。大将には当店のオープン時からとてもよくしてもらっています。

高砂1丁目にある「LIBROM Craft Brewery」もおすすめです。店内でクラフトサケの醸造をしているお店で、当店でもお取り扱いをしています。これは「OK マガジン」と共通するんですけど、今は身近なところでものづくりをしている人をリスペクトしたいという気持ちがあって。当店でも飲めるんですけど、せっかくご近所にあるのでできれば「LIBROM」さんの空間の中でも楽しんでいただきたいです。
あとは平尾2丁目にある「BAR スンクジラ」も焼酎を扱う場としてすごくリスペクトしていて、僕もよくおじゃましているお店です。ありとあらゆる本格焼酎をはじめとした蒸留酒を楽しめるバーで、いつ行っても新しい刺激を受け取ることができます。自分の住むエリアにこんなお店があって幸せだなと思っています。
お酒とZINEを探しに、ふらっと寄り道大歓迎!
―素敵なお店のご紹介をありがとうございます!最後にこの記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします!
下田:2月でオープン7周年を迎えるにあたって、今回周年関連品としては初の試みとなるオリジナルの焼酎ボトルを数量限定で制作しました。ボトルキープしてもらうために作ったので、ぜひ専用ボトルで自分だけの一杯を楽しんでください。そして来年は「ブックバーひつじが」が初めてのひつじ年を迎えます。オープン当初は干支のひつじ年を遠く感じていましたが、あと1年となると、いよいよ迫ってきた感じがしてすでにちょっとプレッシャーです。何ができるかは分かりませんが、12年に1度なので何かしたいですね。

バーだからといって、必ずお酒を飲まなきゃいけないということはなくて、販売しているZINEをちらっと覗きに来るだけでも大歓迎です。夜の営業がメインですが、暑すぎず寒すぎず、気候のいい時期は昼営業もしています。ZINEを眺めに来てなんとなく刺激されて帰るとか、挨拶ぐらいで帰るみたいな人たちがいてくれた方が面白いなと思っているので、ぜひ昼でも夜でもふらっと遊びに来てください。書店に立ち寄る気軽さ、みたいな感じで来てもらえたら嬉しいですね。
【ブックバーひつじが】
◼︎住所:福岡市中央区白金2-15-3 2階[map]
◼︎アクセス:西鉄天神大牟田線「薬院駅」より徒歩9分
◼︎営業時間:20:00頃~(現在昼営業休止中)
◼︎定休日:不定休
◼︎TEL:なし
◼︎Instagram:@hitsujiga






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