老舗旅館「旅館魚半」とは?200年の歴史を持つ「旅館魚半」の歩み:伝統が息づくリブランドへ
「ONCRI-KARATSU」として生まれ変わる前の「旅館魚半」は、約200年前の江戸時代、天保年間に魚屋『半兵衛』として創業しました。そこから時を経て、1959年に現在の海岸沿いへ移転し、割烹旅館『旅館魚半』として開業。
以降、数々の増築を重ね、唐津の歴史ある旅館として発展してきました。
「旅館魚半」の主な歩み
江戸時代(天保年間):魚屋「半兵衛」として創業
1959年:海岸沿いに移転し、割烹旅館「旅館魚半」として開業
1980年:宿泊棟「渚館」を増築
1992年:浴場棟、プール、コンベンションホールを新築
2000年:大浴場棟の屋上に露天風呂を増設し、さらに別館「モーラー邸」を増築
約200年もの歴史の中で、時代の変化に合わせながら施設を拡張し、進化を続けてきた「旅館魚半」。その伝統を引き継ぎながら、「ONCRI-KARATSU」として、今年、新たな物語が始まります。
「旅館魚半」から「ONCRI-KARATSU」へ。
「旅館魚半」からリブランドされる「ONCRI-KARATSU」は、以下のような施設になる予定です。
特徴的な施設内容
①海を望むカフェ
②地元の新鮮な食材を使った鮨のメインダイニング
③最大50名収容可能なパーティースペース
④大浴場、屋外プールなど、リゾートならではの付帯設備
全23室の客室で、静けさと贅沢なひとときを提供。唐津の美しい海岸線を一望できるこの施設では、リゾート感と地元の魅力を兼ね備えた唯一無二の宿泊体験ができるようになるそう。
また、地元の雇用創出や観光業の活性化にも貢献するこのプロジェクトは、地方創生を目指す取り組みとしても注目を集めています。
「古湯温泉ONCRI/おんくり」から受け継がれる「再生の力」
「ONCRI-KARATSU」を手がける株式会社C&G Value Designは、過去にも佐賀市にある老舗旅館「吉花亭」をリブランドし、「古湯温泉ONCRI/おんくり」として再生させた実績があります。
「古湯温泉ONCRI/おんくり」は、モダンなデザインと伝統的なおもてなしを融合し、地元の観光を活性化させるモデルケースとなりました。
この成功例は、地域の魅力を引き出しながら、現代の観光ニーズに応えるリノベーションとして高く評価されています。
今回の「ONCRI-KARATSU」でも、地域のシンボルとして新たな息吹を吹き込むことが期待されています。
株式会社C&G Value Designが「旅館魚半」のリブランドに踏み切った背景
今回のリブランドについて、株式会社C&G Value Design 最高事業開発責任者の挽田善一さんにお話を伺いました。
─株式会社C&G Value Designとしては、『旅館魚半』のポテンシャルをどのように感じ、リブランディングに踏み切ったのでしょうか?
「唐津という街には歴史、景観、食、豊かな自然の恵みなど、リゾート地としてのポテンシャルは豊富にあるものの、近年においては、リゾートとしての資質が最大限に活用されていないと感じました。
リゾート地としての可能性があるにもかかわらず、特に東唐津エリア事業の活性化や、開発が遅れているように思います。
当エリアの観光および宿泊事業の活性化には、時代のニーズに合わせて伝統と革新を共存させていく必要があります。そのためには、単なる観光地ではなく、リゾートとしての特性を生かした地域活性化的なサービスを提供していくことで、当エリアの新たな歴史、伝統がうまれていくものと考えているためリブランドに踏み切りました」。
─リブランド前に、最後のお客さまをお見送りされたそうですが。
「先月末、最後のお客様をお見送りさせていただきました。このとき胸に去来したのは、この場所が紡いできた歴史への感謝と、ここから始まる新たな物語への決意でした。
幾世代にもわたり、多くの方がこの旅館を訪れ、海の風を感じながら語らい、寛ぎ、思い出を刻んでいかれました。
その営みが絶えることなく続いてきたからこそ、私たちは今、次の時代へとこの場所を託すことができます。
『旅館魚半』が受け継いできたおもてなしの心、唐津の風土が育んできた美しさ、そしてここに集う人々の想い。これらを大切に抱きながら、『ONCRI-KARATSU』として新たな一歩を踏み出します。
最後のお見送りの瞬間は、ひとつの終わりではなく、新たな感謝の連鎖が始まる合図。これからも、この地に流れる時間の美しさを守りながら、訪れるすべての方とともに感謝の輪を広げ、かけがえのない場所を創り続けていきたいと思います」。
─御社にとって、アライアンス初のビーチリゾートということで、これまでの知見+αで取り入れていきたい資源や、目指す姿があれば教えてください。
(※アライアンス:複数の企業や組織が特定の目的を達成するために協力する経営手法のこと)
「ONCRI-KARATSUは、アライアンスとして初のビーチリゾートであり、これまで培ってきたホスピタリティの知見を活かしつつ、“海からの恩恵”を最大限に感じられる特別な滞在を提供します。
そして、他の地域や施設を模倣するのではなく、この土地ならではの魅力を引き出すことを重視しています。コンセプトに基づき、『自然と調和し、心から解き放たれる唯一無二のリゾート』を目指します。
さらに、時間に縛られず、1日を通して海という自然を愛でることができる、そんな施設でありたいと考えています。そして、お客様の心に残る「ただ一つの場所」になるよう、細部までこだわり抜いていく所存です」。
株式会社C&G Value Designが考える「こだわり」のポイントは以下の通りです。
1. 知見+αとして取り入れるリソース
・弊社の強みを活かしたシナジー これまでの宿泊施設運営のノウハウに加え、アライアンス施設それぞれの個性を活用し、リゾートならではの様々な食の楽しみを提供します。地元食材を活かした鮨や、限定メニュー、スイーツをはじめとするカフェメニューのほか、海を身近に感じながら楽しめる特別なダイニング・アウト等も検討中です。
・環境保全の取り組み ビーチの美しさを守るための清掃イベントの開催、アメニティ等におけるプラスチック削減、地域と協力したビーチクリーン活動など、自然との共生を意識したリゾート運営を実施します。
2. 目指す姿
・「時を忘れる海のリトリート」 静寂に包まれ、波音に癒される滞在。デジタルデトックスを促し、時計やスマートフォンから解放される空間を提供します。
・「海を愛で、海に愛でられるリゾート」 宿泊者がただ滞在するのではなく、五感を通じて海と深くつながる体験をご用意します。例えば、ビーチヨガや、地元漁師と触れ合うプログラムなども検討しています。
・「地域とともに成長するリゾート」 唐津の文化や歴史を継承し、地域と共存する場に。単なる観光地ではなく、訪れるたびに新しい発見がある場所を目指します。また、「古湯温泉ONCRI」のように、当館の存在が地域の活性化につながることも大きな目標の一つです。
再生のストーリーが続く「ONCRI」ブランド
「ONCRI-KARATSU」のリブランドは、唐津市を観光の新しい拠点として再生する重要な試みです。
「古湯温泉ONCRI/おんくり」での成功が示すように、地域の魅力を活かした再生プロジェクトは、訪れる人々に新しい体験と感動を提供してくれそうです。
2025年夏、唐津の海岸に新たな物語が幕を開けます。「ONCRI-KARATSU」のこれからに注目です!
「ONCRI-KARATSU」の施設概要
施設名:ONCRI-KARATSU(おんくり唐津)
所在地:佐賀県唐津市浜玉町浜崎1669-55
建物階数:地上4階
客室数:23室
付帯施設:大浴場、レストラン、カフェ、パーティースペース、屋外プール
オープン予定:2025年夏