還暦にもなるとね、いろいろと出来ないことがわかってくる。そこそこの人生は、そこそこの能力だったからだと諦めもつく。そうやって“広く、浅く、深いフリ”が功を奏して引き出しだけが増え続けた。その無駄に多い引き出しを引け散らかして欲しいというご要望に応えてみることにした。
プレゼンは、『まくら』が肝心なのだよ!!
落語を聞くのが好きである。
「芝浜」とか「帯久」とか「蜆売り」とか、
人情噺といわれる古典を愛している。
落語から笑いを取り去ると、実はかなり絶望的な状況が描かれていることが多い。
貧乏のどん底とか、ギャンブルがやめられないとか、女や男に騙されたとか、酒で一生を台無しにするとか……。
それでいても生きることは大事だ。お天道様は見ている。ダメな人間でも救いがあること。生きてりゃ良いこともあるってこと。ポジティブ思考が人生を変えるってこと。愛嬌があれば乗り越えられる苦難があることを教えてくれるのが人情噺である。
人間は、平等には生まれてこれないけれど、考えようによっては幸せだし、その生まれながらの格差は超えられることを、昔の人たちは、落語から学んだのだと思う。
さらに、落語から学べるのは「まくら」の部分である。立川志の輔師匠の落語をぜひ聞いてみてくれ。落語の本題に入る前の数分の掴み方が、抜群にうまい。
そのときどきの時勢を織り交ぜ、お客様の反応をも取り入れながら、落語の本題であるテーマが「まくら」の中に魔法のようにまぶされていく。
その「まくら」の話をうまく回収するのが、落語本体。この「まくら」の技術こそが、プレゼンに必要なテクニックだと思っている。
プレゼン全体が見通せなくては、その「まくら」は話せない。
出口が見えてなくては、入口は作れない。
何が大事かということが見えていなくては「まくら」など話せない。
この噺のオチは、ワタシは「ピロートーク」が上手だよということである。笑
還暦になるけどモテて仕方ない。