コテンリレー #10-2

徹底解説!「ポスト資本主義」に振り切るコテンの未来 ─コテンの未来編─

「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(以下:コテンラジオ)」を運営する「株式会社COTEN(以下:コテン)」の様々な情報をお届けしている「コテンリレー」。今回は、ついにコテンのフェーズ2として大公開された「ポスト資本主義」、そしてコテンの未来展望について前後編にてお届けします。

徹底解説!「ポスト資本主義」に振り切るコテンの未来 ─ポスト資本主義編─に続いて、今回はコテンが目指す未来についてお届けします。


コテンリレー #10-1 徹底解説!「ポスト資本主義」に振り切るコテンの未来 ─ポスト資本主義編─

ポスト資本主義を踏まえ、コテンはこうなっていく

深井

金融資本主義というマネーゲームは本質を見失い、誰も幸せにならない活動を助長していると考えます
お金はまったくないと生きていけない、つまり幸せにはなれませんが、ある一定のところまでいくと価値が減損するんですね。しかし金融資本主義では、お金が増え続けることをよしとしています。
 
また、市場が評価することを我々が評価するというOSを持っているということが、実態とコンフリクトしはじめています

例えば、お金があっても幸せになれないことを既に知っている一部の人たちは、自分の利益とは異なる部分にリソースを割こうとしています。ですが、会社の稟議は旧来の利益追求型のままです。この矛盾に、乖離が起き始めているなと感じています。

 
確かに、私たちは「失われた30年」という平成の時代を通り抜けてきましたが、この間に賃金は上がらず、物価だけが上がり続けています。もちろんこの状況でも十分豊かなのですが、日本経済はここから再度の高度成長を目指せるポテンシャルにあるとは考えにくいです。

そして同時に、もう一度高度成長を、と望んでしまうことそのものに、興ざめしている世代が増えているのも事実です。実際、就職活動時に給与面を第一に見るのではなく、その企業が社会にどんな貢献をしているのかを重視している学生も増えています。

前回ご紹介した株式会社BOOKの樋口さんの弟子・マサさんも、銀行勤めをあえて辞め、衣食住だけが保証されている「丁稚奉公」を選んでいました。


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会社に勤め、勤続年数に応じて賃金が上がり、中間管理職になった頃に家を買い、いい車に乗って、子どもがいい大学に入り、高い洋服に身を包んで…といったことを実現した世代を見ても、決して幸せそうではないし、同じ幸せをつかみたくてもつかめない、何よりつかみたいと思わない人が増えている、皆さんはそう感じたことはありませんか?
 
深井

歴史を学んでいくと、社会が変わっていく際の挙動は、先に実態が変わって、システムが追っていく形で動いていくんです。つまり、ポスト資本主義への変容はもうはじまっています
 
こうした動きを踏まえ、コテンがどうしていきたいかをここから説明します。
 
コテンは資本主義社会に生きている株式会社ですし、もちろん社員に賃金を支払っているので、お金を稼ぐ必要があると考えてはいます。しかし、コテンの事業はお金が儲からない仕組みなので、現時点の資本主義の論理では会社として成立していません。実際に、数ヶ月前までは僕の他の会社での役員報酬をコテンにまわして運営してきました。

しかし少しずつ「個人COTEN CREW」からの支援によって収入が生まれ、そして先日募集を正式にスタートした「法人COTEN CREW」からの支援によって、資本主義とは違う形で事業が成り立ち始めています。
 
投資家には金融商品としての投資はしないでほしいと伝えたというお話は、フクリパのインタビューでもさせていただきました。

 

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はい、そうです。初回のインタビューで、実にマネタイズの謎からはじまり、投資家に直接の見返りを期待しないでと伝えられていることも伺いました。
 
深井

実は、投資家も資本主義上での株式会社の発展と社会貢献性に乖離を感じていたんです。そんな方々が、今回の資金調達で手を挙げてくれましたし、現在の法人COTEN CREWさんも共感してくださっている方々です。つまり、今のコテンの状態は非資本主義的であり、これこそがポスト資本主義的だと僕は思っています。

 
つまり、これからのコテンの活動は、思いっきり世界史データベースに振り切るということ、そこについてきてくれている投資家やCOTEN CREWにも、同じビジョンで世界を見てもらい、その実現こそが見返りだと考えてほしい、ということですね。
 
そしてそこに共感してくれている人たちは、直接の見返りを積み上げて「お金」という形で目の前に一定の価値が得られたとしても、それが幸せに結びつくわけではないことに直感的に気づいている人たちであり、その人たちが持つ考えが「ポスト資本主義」、ということになります。

深井

ここで、共感してくれる方々のためにも早く世界史データベースを完成させたいと考えると、コテンとしてはもっとお金が必要になります。世界史データベースは、もっとお金をかければ人的リソースも積めますので、もっと早く完成するんですね。
 
じゃあ、お金をどうやって稼ぐのか。

ここで資本主義的に思いつくのは広告やスポンサーなどのコテンラジオのマネタイズですが、これらをやってしまうと、市場経済の仕組みの影響を受けて、先日ブラッシュアップしたコテンのミッション「メタ認知のきっかけを世界に提供する」に反してしまいます。世界にメタ認知のきっかけを提供したいのに、コテンを維持するためにその機会を損失させてしまうことになってしまうんですね。

なぜそうなってしまうのかというと、資本主義だと市場にとっていいことしか評価しないからです。この市場にとっての評価という部分をやめてしまえば、全員にとっていい形でコテンが維持できると考えました。
 
また、オンラインサロンなどをやることも考えましたが、僕の時間をデータベース以外に注いでしまうと、世界史データベースにリソースを割けなくなるので矛盾してしまうんです。
 
知名度が上がってきたことで講演活動での単価も上がってきました。ですから、そうした活動で得たお金で世界史データベースを作ることもできそうだなとは考えられます。
しかし、一度お金に変換するので効率が悪いんです。ダイレクトに世界史データベースの活動に使えたほうがいいわけです。
 
こういう理由で、僕たちは、持てる時間を世界史データベースに全力で注ぎたいと考えています。その活動の結果生まれる世界史データベースに魅力を感じてくれている人や法人に、直接僕達のこのデータベース化の事業を応援してもらえばいいのではないか、と考えました。

 
こうして、コテンラジオは法人、個人を問わず、金銭的に支援してくれるサポーター(COTEN CREW)には資本主義的な意味での直接的なインセンティブが発生しない活動に振り切ります、そこに共感してくれる人たちと一緒に、活動を続けていきたい、という発表となりました。
 

OAの段階では、「失敗するかもしれない」と話していた深井さんですが、
「『給料は要らないから(他で稼ぐから)コテンで働きたい』と思っている私のこの考えが、まさにポスト資本主義なんだ!」
といったリスナーからの声が続出しているようです。

ポスト資本主義に振り切る、というコテンの覚悟

これまでのお話で、資本主義とは6つの特徴に整理されるという知見、そして資本主義では人は幸せになれないと気づき始めている人たちが、「ポスト資本主義」に移行し始めているという分析、そこから、コテンが今後どうポスト資本主義的活動に移行していくのかを説明してもらいました。
 
ここで編集部が声を大にして言いたいことは、目の前に社会の大きな変容が訪れようとしており、いつの時代も社会システムよりも先に実態が変容しはじめる、その動きを早期に察知したコテンは、あえて身を斬る覚悟で「ポスト資本主義的活動」にシフトすることを宣言した、という点です。
 
ヒリヒリと「このままではダメだ」感じてはいても、なかなか行動に移すことができない、それが人間だと思います。
それが普通な中、コテンはあえて、見えている先の急先鋒として、我々の前を突っ走るよと言ってくれているのです。
 
今回の4話に渡る「ポスト資本主義」は、大変難しい概念であり、本記事のまとめもすべてを網羅しているとは言えないと思いますが、大きな枠組みとして、コテンが先陣を切って目指そうとする社会に少しでも共感できる人や法人が増えていくことで、我々は、もしかしたら初めて「幸せを感じられる」入口に立てるのかもしれないなと思いました。

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