田園喫茶 ワイルドベリー

糸島の自然が一望できる喫茶店「田園喫茶ワイルドベリー」【福岡県糸島市】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」や「ネオ喫茶」と呼ばれるお店。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。この記事では福岡にあるそんな「昭和レトロを感じられる喫茶店」や「ネオ喫茶」をご紹介していきたいと思います。

「田園喫茶ワイルドベリー」の場所は、福岡市西区から三瀬方面に向かう県道56号線沿い

 

今回ご紹介する「田園喫茶ワイルドベリー」の場所は福岡県糸島市末永。

福岡市からは国道202号線今宿バイパスの「飯氏交差点」を左折し、県道56号線を糸島峠方面に南下。「末永交差点」を過ぎると右手に白壁と瓦屋根の建物が現れます。

 

 

右手の建物がカフェ、左手の建物が併設する「伊都切り絵ギャラリー」となっています。

 

 

こちらがお店の外観。和を感じる日本家屋らしい佇まい。それでは入店してみましょう。

 

最大の特長は大きな窓から眺める素晴らしい田園風景

 

高い天井を持つ広々とした店内。コンクリートに小石が埋め込まれた床には、重厚なレザーのソファーがゆったりと配置されています。

 

 

こちらは6人が着席できるソファー席。このイタリアンレッドの総革張りソファーはオープン時に特注で制作されたもの。20年以上の年月が経過し、実に良い味を醸し出しています。

 

 

傍に置かれたピアノは、世界三大ピアノのひとつ「ベーゼンドルファー」。オーケストラを思わせる響き「ウィンナー・トーン」を持つ、音楽の都・ウィーンの芸術的ブランドです。

ほぼ毎週日曜日には「夕日の見えるコンサート」が開催されており、そのコンサートでも用いられています。

 

ちなみにワイルドベリーの「夕日の見えるコンサート」は20年間で800回近くも開催されており、現在では糸島の音楽文化の拠点にもなっています。

 

 

そしてこちらが窓に向かってレイアウトされた特等席の「カップルシート」。この席に座り、大きな窓の外に目を向けてみると・・・

 

 

素晴らしい田園風景が一望できるんです!この田園は四季折々で様々に変化し、訪れるたびに毎回違った表情を見せてくれます。この田園風景こそがワイルドベリーの最大の特長となっています。

ちなみに1月のこの日は麦の種を植えた直後とのことで、これから初夏にかけて徐々に畑が黄金色に染まってゆくんだそうですよ。

 

 

テラスに出てみると「名水玉水ガーデン」と名付けられた美しい庭園が現れます。

「玉水(たまみず)」とは、この末永地区に流れる純度の高い地下水のこと。弱アルカリの柔らかさと完璧なまでの純度を持つ玉水はミネラル分を多く含んだ硬水で、水のソムリエ・高橋武良さんに「福岡県で一番おいしい水」としてテレビで紹介されたほど。

そんな玉水をたっぷりたたえたローマストーン張りのプールと天然芝で構成された庭園のほとりには槙の木がそそり立っており、ワイルドベリーのシンボルにもなっています。

 

田園喫茶ワイルドベリーの歴史

オーナーの水野博志さん。経済学博士でかつては福岡大学で経済学部の教授をされておられました。

 

田園喫茶ワイルドベリーのオーナー水野博志さんは東京のご出身。ご実家は「藤岡屋」という歌川広重に代表される浮世絵の版元を営まれていたそうです。

 

慶應義塾大学商学部を卒業後は慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程を修了。その後、福岡大学商学部への赴任を機に福岡に移住されることに。

 

福岡大学では商学部助教授を経て1987年に教授に就任。1999年には中央大学で経済学博士号も取得されました。

 

そんな経済学のプロだった水野さん。「これまで学んだ経済学を自分で実践してみよう」と思い立ち、ご自分でお店を立ち上げることに。

 

以前より水野さんのお父様の切り絵作品を展示するギャラリーを作りたいと思っていたところ、戦時中に備蓄倉庫として使われ、それから長い間使用されていなかった現在の場所にある土蔵と出会い、土地を購入。ここをギャラリーとして活用することを決められました。

 

同じ敷地には以前JAのスーパーの跡地だった建物も建っていたのですが、ここを取り壊して新たに土蔵と同じ設えの建物を建て、2000年に奥様の陽子さんとともに「伊都切り絵ギャラリー」とともに「田園喫茶ワイルドベリー」を開業されました。

 

大学教授時代にはお店は奥様の陽子さんをメインに任せておられましたが、2022年に福岡大学を退職されてからはご夫婦仲良くお店を営まれておられます。

 

取材時にお見せいただいた水野さん著書。読めば読むほど日本経済の現状について深く知ることができます。

 

田園風景を眺めながら楽しめる個性的なメニューの数々

 

メニューの代表格であるランチセットは写真のザ・ビーフ・ハンバーグステーキ(税込1,650円)をはじめ、ワイルドベリーカレーセット(税込1,200円)、ピザセット(税込1,200円)、スパゲティセット(税込1,200円)がラインナップされています。

 

 

また、コーヒーor紅茶付きのフレッシュ・ケーキセット(税込900円)をオーダーすると、併設ケーキショップのオリジナルケーキをプレートでお持ちいただけるので、その中から好きなケーキを選ぶことができます。

 

 

今回チョイスしたのは、併設ケーキショップオリジナルの「夢のクリームチーズケーキ 伊都の恵み」と名付けられたフロマージュチーズケーキ。生乳素材の高級クリームチーズが使用されており、柔らかかつ濃厚な食感が特徴です。

 

 

そしてこちらはワイルドベリー自慢の「宝石のコーヒー」

トーホーコーヒーが誇る最高級の豆と最新の焙煎技術、そして水のソムリエ推薦の名水「玉水」を使用し、20年以上のハンドドリップスキルで抽出したという究極の一杯は、砂糖なしでも甘味を感じられるという不思議なコーヒー。

コクのある「カベルネ」と気品のある「ピノ・ノワール」の2種類があり、いずれも税込800円。

なお、カップ&ソーサーは店名の由来にもなっている「ウェッジウッド」を代表するアイコニックパターン「ワイルドストロベリー」で提供されます。

 

 

なお「宝石のコーヒー」はペットボトルでも販売されています。お土産にいかがでしょうか?

 

付近に点在する魅力的な併設施設

 

喫茶店の横に佇んでいるのが昭和13年建築の土蔵をリノベーションした「伊都きりえギャラリー」

オーナーのお父様である水野浚治氏による切り絵作品を後世に残すべく開設されたもの。その作品は海外で高く評価されており、平等院、龍安寺、京都御所、大徳寺大仙院などでオフィシャルポストカードにもなったんだそうです。

現在は土蔵レストランとしても活用されています。(要予約)

 

 

道向かいにあるのは「ケーキ・クロワッサン・ワイナリー」。オリジナルのチーズケーキやロールケーキから、ドイツより直輸入のゲアハルト社のワインを中心とした約50種類のセレクトワインが購入できます。

 

 

その傍にあるは「金次郎の泉」では、先述した名水「玉水」が12リットル100円で24時間購入できます。

 

 

そして現在建設中なのが、自慢の水を使用したプライベート露天風呂&サウナ。サウナの本場・フィンランドでお馴染みの「バレルサウナ」という樽型サウナを採用しています。

 

 

露天風呂の風呂釜はこだわりの美濃焼を採用。

なお、こちらのプライベート露天風呂&サウナは2月中旬オープンとのこと。近々WEBサイトも公開され、ワイルドベリーの公式サイトからもリンクされるそうなのでご興味のある方はチェックしてみてくださいね。

 

 

おいしい水に恵まれた糸島・末永の自然を存分に活用し、多岐にわたる事業を展開されているのは、さすがは経済学博士で元大学教授の肩書きを持つ水野さんならでは。そのバイタリティとアイディアには敬服するばかりです。

 

オープンから今年で25年を迎えながらも、さらなる進化を続けるワイルドベリー。今後の展開を楽しみにしておきましょう。

 

 

田園喫茶ワイルドベリー

住所:福岡県糸島市末永541

TEL:092-331-5705

営業時間:10:00~17:00

定休日:毎週月・火曜日および年末年始

喫煙:不可

公式サイト:https://www.dozochain.com/

 

 

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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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