九州プロレスがおもしろい!謎すぎる活動実態に迫ってみた

福岡をこよなく愛するライター大塚たくまが、福岡で起きていることを徹底深掘りしていきます。今回の深堀り先は、「九州プロレス」。興行だけではない、九州プロレスならではの面白い活動に迫ります!

こんにちは。ライターの大塚たくまです。

2022年8月26日、駅前不動産スタジアムでサガン鳥栖 vs アビスパ福岡戦が開催されました。アビスパサポーターのぼくは、当日スタジアムでどんな催しがあるのかなと思ったら、こんな書き込みを発見。


https://twitter.com/kyushupro_new/status/1560461921916030977

サッカースタジアムでプロレス?? そんなことできるの??

そもそも「九州プロレス」って、「株式会社」じゃなくて「NPO団体」なんです。いったいどんな活動をしている団体なのでしょうか。気になったぼくは、九州プロレスの理事長、筑前りょう太さんに取材依頼を出しました。

九州プロレスとは?


(C)九州プロレス

九州プロレスとは、2008年にプロレスラーの筑前りょう太さんが立ち上げた、NPO法人のプロレス団体です。

「九州ば元気にするバイ!」をキャッチコピーに、試合開催はもちろん、施設慰問や青少年健全育成、人材育成などの活動に取り組んでいます。

プロレス団体としてのNPO法人は世界初であり、非常に珍しいスタイルで運営されています。

九州プロレスの試合の9割は無料で見られる


九州プロレス理事長 筑前りょう太さん

大塚

スタジアム前の広場で試合をやるというのには驚きました。そんなことができちゃうんですね。

筑前さん

営業先のリングは自分たちで設営しています。


大塚

えっ、そうなんですか?じゃあ、レスラーもリング設営をやっているということですか。


筑前さん

今はそういう状況になってしまっていますね。ここ2年で、ようやく搬送は業者にお願いできるようになったんです。以前は練習用のリングを解体・搬送・設営を全て自分たちでしていたので……。


レスラーもすすんでリングを設営する(C)九州プロレス

大塚

すごい。「手づくりプロレス」だ……。じゃあ、スタジアムでも設営からやるわけだから、大変じゃないですか?


筑前さん

いや、むしろ屋外だとトラックを横付けできるんで楽ですね。リングを降ろして、すぐ組み上げられますので。体育館だと搬入エレベータや階段を使わないといけないので、大変なんです。



大塚

なるほど……。それにしても、今回もそうですが無料で見られるプロレスが多く開催されていますよね。


筑前さん

九州プロレスの試合は、無料で観戦できるものが約9割ですね。



大塚

9割!? そんなにですか。


筑前さん

試合は「町おこし活動」としてやるケースが多くて。自治体と協力して、会場を借りて試合を行います。町の企業の方々の協賛で、地域の人は無料で見られるようになっています。


(C)九州プロレス

大塚

なるほど……。地域の花火大会みたいな感じか。


筑前さん

そうですね。プロレスを見るのは無料なんで、現地で食事したり、遊んでいただければと。その地域が盛り上がれば嬉しいです。



大塚

そのようなイベントをするときは、どのように集客しているんですか。


筑前さん

教育委員会にお願いして地域の学校にビラを配ってもらっています。



大塚

あ〜、なるほど。学校でビラが配られるんですね。教室でプロレスのビラが配布されたら盛り上がりそうですね。


筑前さん

あとは、SNSや公式サイトでファンが知って訪れるという感じです。



大塚

九州プロレスのファンは、試合は無料で見られるものが多いし、近隣のいろんな地域に行けて、楽しそうですね。

50万円でプロレスを呼べる衝撃


(C)九州プロレス

大塚

リングごといろんなところに出張できるというのは、大変なように思いますが、強みですね。


筑前さん

スタジアムでしかできないスポーツだったら、どこでもできませんからね。僕らはリングを外に持ち出せるので、どんなに小さな村でも離島でも開催できます。



大塚

そう思うと夢がありますよね。どれぐらいのスペースがあれば開催できるんですか?


筑前さん

基本的に、6m四方のリングを置けて、少し開けてパイプ椅子が並べられれば十分です。4方向に座れる、ちょっと広い会場がいいですね。


(C)九州プロレス

大塚

体育館や公園、イベント会場では開催できそうですね。地域の祭りや企業の展示会でも需要がありそうな気がします。ちなみに「九州プロレスを呼びたい」と思ったら、どれぐらいで呼べるんですか?


筑前さん

2試合と試合開催前の「ちびっこプロレス教室」がセットで、50万円+税ですね。1時間半〜2時間程度の興行になります。


ちびっこプロレス教室 (C)九州プロレス

大塚

えっ、マジですか。たった50万円でプロレス呼べるんですか。え、これけっこう安いんじゃないのかな……。相場観が全然わからないけど。


筑前さん

とても盛り上がるので、イベントのマンネリ化に悩んでいる方がいらっしゃれば、検討してほしいですね。



大塚

ただ、九州プロレスさんは実際にチケット代が発生する興行も行っていますよね。あまり無料で試合を観せてしまうと、価値を落としてしまいませんか?


筑前さん

その通りです。ここで強調しておきたいのは、あくまでまち起こしや催事で行うプロレスは、お試し版ということです。やはり九州プロレスがもっともかっこよく観られるのは、ホールでの興行です。


(C)九州プロレス

大塚

無料で見られるプロレスと何が違うんでしょう?


筑前さん

しっかりした音響と、綺麗なスポットライトを浴びて戦う姿は全然違います。無料でご覧になったあとは「一度、ホールで本格的な試合を観戦してみたいな」と思ってもらえるように、頑張りたいです。

活発な施設訪問活動でやりたいことは「尊厳の尊重」


(C)九州プロレス

大塚

普段は試合以外にも、さまざまな活動をされているんですよね。まずは講演会。講演会では、どんなお話をされているんですか。


筑前さん

レスラーは夢を叶えさせてもらったって実感してる人が多いので、一番伝えたいのは、「夢は叶うんだよ」っていうことですかね。そういった内容をお話しています。


(C)九州プロレス

大塚

おお、説得力ありますね。あとは、幼稚園や保育園、高齢者施設や障害者施設への訪問をかなりされていると。


筑前さん

そうですね、試合よりも施設訪問の方が多いと思います。九州7県の高齢者施設、障がい者施設、児童養護施設、幼保園を年間約350施設訪問してますので。



大塚

めちゃ多い!! そんなにやっているんですか。すごい。訪問先ではどんなことをやっているんでしょうか。


筑前さん

たとえば、保育園だったら一番大事なのは「健全な暮らしの大切さ」を伝えることですね。好き嫌いなく食べて、よく寝るといった生活習慣の大切さを伝えて、レスラーのように強くなろうとお伝えしています。



大塚

なるほど。それは面白いし、説得力ありますね。


筑前さん

レスラーの健康体を見せることで、説得力が増すと考えています。だから普通の格好じゃなくてもうこのレスラーとしての格好で現れる。めちゃめちゃ盛り上がります。



大塚

それはめちゃめちゃ盛り上がるでしょうね。インパクト抜群。


(C)九州プロレス

筑前さん

行く1ヶ月前から、選手の写真入りのポスターを掲示していただきます。何月何日にこの人がやって来ると書いてあるから、だんだんとその日に向けて園内が盛り上がってくるらしいです。



大塚

保育園、幼稚園訪問では他にどんなことをされていますか?


筑前さん

体を動かす楽しさや、みんなで何かをやる楽しさを伝えています。腕立て伏せをやってみたり、レスラー対子どもたちで綱引きをしたり。



大塚

綱引き!!面白いですね。盛り上がるだろうな。そして、高齢者施設にもよく訪問されているんですよね。


(C)九州プロレス

筑前さん

高齢者の方は、プロレスの価値を若い人以上に感じているので、喜んでくれますね。ブラウン管の向こうからやってきたような。



大塚

たしかに、昔はテレビでプロレスを中継されていたわけですもんね。どんなことをしているんですか。


筑前さん

お話をしたり、トレーニングを見てもらったり、体を触ってもらったり。コミュニケーションを図ります。


(C)九州プロレス

大塚

楽しそうですね。交流する際に、注意していることはあります?


筑前さん

一方的に慰めるようなスタイルにはしたくないと思っています。私たちは、高齢者の方も障害者の方も私たちと同じ、人生を戦う「ファイター」だと思っています。ファイター同士の交流会のようなイメージでいます。


(C)九州プロレス

大塚

なるほど。そのようなリスペクトを交換し合うような場だと考えているわけですね。


筑前さん

施設訪問活動で本当にやりたいことは「一人ひとりの尊厳を守ること」です。人間が当然持つべき尊厳を尊重したいと思っています。

元・不登校児がリングへ!フリースクールのプロレス授業


(C)九州プロレス

大塚

九州プロレスのパンフレットを見て、いちばん気になったのが「プロレス授業」です。なんなんですか、これ。


筑前さん

九州プロレス立ち上げの頃からずっとやっている取り組みです。古賀市の「フリースクール玄海」に通う生徒に、毎週金曜日の13時半から世界でも類を見ない「プロレス授業」を行っています。



大塚

え、全員ですか?


筑前さん

はい、全員です。



大塚

本当ですか! 必修科目が「プロレス」って、すごいですね。


筑前さん

卒業するときには「卒業試合」を開催します。その試合では選手はもちろん、演出や進行もすべて生徒自身です。


(C)九州プロレス

大塚

不登校だった子どもがリングの上で暴れまわっていたら、親御さんは驚くでしょうね。「フリースクール玄海」に入学する前は、学校に行かず、部屋でじっとしている姿しか見ていないわけですからね……。


筑前さん

それが、次会ったときは、入場テーマに乗って出てきて何かをやってたり、裸になってその相手と戦う姿ですよ。



大塚

困惑するな。でも、やっぱ嬉しいか。


筑前さん

親御さんは、やっぱりそういう生き生きとした姿を見たかったはずなんですよ。卒業試合は、泣き笑いと言いますか、不思議な雰囲気になりますね。



大塚

それ、めちゃくちゃ興味あります。いつか見てみたいですね。

九州プロレス発足のきっかけとは?



大塚

筑前さんのデビューは98年で、かなりのベテランでいらっしゃいますよね。


筑前さん

私はもともとプロレスラーとして、メキシコで活動していました。5年ほど頑張っていたんですが、挫折して九州に戻りました。戻った後は、アルバイトしながら細々と活動していたんです。



大塚

挫折する前は、どのような目標を掲げていたんでしょうか。


筑前さん

「世界一のプロレスラーになりたい」という夢を持っていました。でも、それが叶わなくて。「自分はいったい、何のためにプロレスをやるのか」と考えるようになりました。


入場する筑前りょう太さん(C)九州プロレス

大塚

筑前さんは、当時は何のためにプロレスをやろうと考えたんでしょうか。


筑前さん

「自分を育んでくれた、この地域のためにプロレスをやろう」を思うようになりました。それが創業のきっかけです。



大塚

なるほど。株式会社ではなく、NPOにしたのはなぜですか?


筑前さん

プロレスを通じて「地元に貢献」という気持ちが強かったので、何のための集団なのかと考えたときに、NPOの方がしっくり来たんですよね。でも、何か具体的なイメージがあったわけではないです。



大塚

活動内容は後から形作っていったわけですね。


筑前さん

ただ、現在の活動内容は2008年の創業当時から変わっていません。私は昔から「人を喜ばせれば、職業として成り立つ」と信じていました。その想いだけで、やってきました。



大塚

現在の収益はどういったものでしょうか。


筑前さん

協賛金がメインですね。NPOで協賛があるおかげで、対価を気にせずに地域貢献活動ができています。

2028年、福岡ドーム興行の夢


(C)九州プロレス

大塚

これからの九州プロレスについて、展望はありますか。


筑前さん

2028年に福岡ドームで興行を開催したいと思っています。



大塚

えっ? 今、福岡ドームって聞こえたんですけど。


筑前さん

はい、2028年に福岡ドームで開催すると決めています。



大塚

えーっ!! 福岡ドームですか!これはまた大きく出ましたね。


筑前さん

本気です。僕らの存在は何のためのものか考えたときに、こういう状況だからこそ夢を示すべきだと思いました。希望を持ち続ける存在でなくちゃいけないと思ったんです。



大塚

本当にやるんですか?


筑前さん

やりますよ。2028年は設立20周年となりますので、区切りとしても盛り上げたいという気持ちです。



大塚

福岡ドームを開催場所に選んだ理由はなんですか?


筑前さん

「ドームでやれるプロレス団体」になりたいんです。「ドームでやっているレスラーが施設に来た」となったら、もっと皆さんに喜んでいただけるじゃないですか。



大塚

すごいことを考えますね。自己実現だけではなく、最終的な着地は施設訪問時の笑顔にあるんですね。


筑前さん

やっぱり、それが九州プロレスの意義ですから。



大塚

福岡ドームで試合をやるために、これからどんなことを頑張りたいと思っていますか。


筑前さん

まずは私自身が経営者として成長し、スキルアップすることが必要だと思います。そして、法人として力を蓄えていきたいですね。



大塚

これからもっと応援したくなりました。ぼくも何かお力になれることがあったら、教えてください。本日は貴重なお話をありがとうございました!

九州プロレスの福岡ドーム興行を応援しよう


(C) 九州プロレス

九州プロレスの活動内容は、普通のプロレス団体とは全然違っていて、面白かったです。最終着地が地域貢献にあるところが、独特ですね。

2028年の福岡ドーム興行の実現には、もっと認知度を高めて、応援してもらえるようになることが必要です。

ぜひとも、まずは無料で観戦できる試合を見に行ってみませんか。きっとお気に入りのレスラーが見つかるはずです。

がんばれ!九州プロレス!!

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ライター・編集者
大塚たくま
福岡をこよなく愛する編集者。みんなが知っているようで深くは知らないことを徹底深堀して「実はここが面白い!」を見つけることを得意とする。グルメ・旅行の他、自身でスポンサーになるほどのアビスパ福岡サポーター。

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