「日本の食料自給率が低すぎてヤバい」と問題視されています。事実、カロリーベースの食料自給率は37%と他の先進国と比べて低い数値となっています。
今回は、食料自給率問題がどうしてヤバいのか。何が問題なのかをまとめながら、個人ができる対策を紹介します。
❏ 日本の食料自給率がヤバい?
農林水産省の「食料・農業・農村白書」(https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r3/r3_h/trend/part1/chap2/c2_1_00.html?words=%E9%A3%9F%E6%96%99%E8%87%AA%E7%B5%A6%E7%8E%87#d0098)によると、2020年のカロリーベースの食料自給率の値は37%だったとのこと。この数値は「国民1人1日当たりに供給している全品目の熱量の合計」に占める「国産の熱量」の割合。
国民一人一人が 1日に必要なカロリーを国全体がどれだけ生産しているかという話です。栄養価をベースにした食料自給率考えです。
また、経済的価値を軸に考える生産額ベースの食料自給率は67%です。生産額ベースの食料自給率が比較的高くても、カロリーベースの食料自給率が低ければ、栄養価が不十分であるという見方ができるわけです。
❏ 食料自給率が低いのは何が問題か?
農林水産省の「その2:食料自給率って低いと良くないの?」(https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-02.html)の記事にもあるように、諸外国のカロリーベースの食料自給率は、カナダ255%、オーストラリア233%、アメリカ131%となっています。国土が大きく、自国で必要とする量以上の農作物を生産しているためだとのこと。
一方、日本の食料自給率は37%です。単純に、食料を自国で生産せず輸入に頼っている割合が高いため、想定外の戦争や未曾有の災害が起こったときに大きな影響を受けるという話です。
またChatGPTに「食料自給率が低いとどんな問題があるのか」を聞いてみたところ、こんな回答をもらいました。
食糧安全保障の脆弱性:食料自給率が低い場合、外国からの輸入に依存する必要があります。しかし、天候や政治的な不安定などの要因によって、輸入が制限される可能性があります。それによって、国内の食料供給が不安定になる恐れがあります。
何が起きるかわからないからこそ、自国で食料を備蓄できる準備が必要だという問題です。
❏ 自分の食料自給率は?
食料自給率の問題は、日本全体の話だけではありません。食料自給率に問題があると思うのなら、自分の生活を見直す視点を持つのもいいです。
例えば「自分自身の食料自給率はどれくらいか」を考えてみるとおもしろいです。「日本の食料自給率がやばい」と嘆くものの、何も対策をしないのはもったいない。問題視する本人が、日々の生活で輸入食品に頼っていては元も子もないわけです。
食料自給率が問題だと思うのなら、自分自身で食料を作ればいい。大きな問題を解決する前に、目の前に自分自身の食料を見直すことからはじめるからこそ気づけるポイントがあります。
❏ 個人の食料自給率を高められるか?
自分自身の食料自給率を上げる思考は問題を別の角度から俯瞰できます。要するに、日本全体というマクロな視点ではなく、一人一人のミクロな視点から問題にアプローチするスタイルです。
個人で食料自給率を高める生活を目指すのは知識も労力も必要です。まずは自分自身で自給率を高めることが難しいか体感すると新たな発見が生まれます。
僕自身、フクリパで以前紹介した『都市と離島の二拠点暮らしを始めた3つの理由』https://fukuoka-leapup.jp/city/202008.106
の記事で自分が食料を調達するために、釣りや海に潜って魚を取る自給自足の生活を目指しました。
『これからの時代を生き抜く農業スキル/アブローダーが実践するさつまいもビジネス』https://fukuoka-leapup.jp/biz/202301.1044
の記事では、サツマイモを栽培して、自分が年間消費するサツマイモ収穫した話を紹介しています。毎日、必要なタンパク質源を探し回ったり、主食となるさつまいもを栽培することで、年々、食についての知識や経験がたまっています。どんな時代になろうとも生き抜くためには、自給自足スキルを高めることも必要です。
❏ 実際にやってみるとおもしろい
最悪の有事を想定して、いつでも自分で「作物を栽培できるスキル」を身につけておくのもおすすめです。結局、「何が起こるかわからない世の中」だからこそ、これからの時代を生き抜くスキルとして知識を蓄えておけばいいわけです。
「日本の食料自給率が低すぎる」「有事が起きたときに食料は足りなくなる」と考えるなら、自ら行動して世の中に発信すればいい。
SNSやウェブサイトで作物を栽培する過程を発信すれば、共感した人たちが農業に興味を持ってくれます。
僕自身、『うまみ農園』https://umami-mori.com/というブログを作って発信しています。田舎のそこそこ広い土地を借りて、さつまいもを中心に農作物を栽培しながら日本の食について発信しています。
今では、じゃがいも、かぼちゃ、ごぼう、ゴーヤ、ナス、さやえんどう、そら豆、ほうれん草などなど、紹介しきれない数多くの野菜をつくっています。まずは、この土地に相性がいい作物を選定しつつ、生産性が上がる農法の情報を調べながら、試行錯誤しています。
❏ SNSやウェブサイトによる情報の民主化
「情報の民主化が加速した」とビジネス界隈で話題になっています。要するに、ウェブサイトやYouTubeで検索をしたり、ChatGPTに入力することであらゆる情報を誰でも手にすることができる時代です。
一昔前であれば、農業を始める方法すら情報が出回っていない状況でした。「どうやって、さつまいもを育てるのか」「種芋はいつ育てるのか」などは近所に住む百姓のおじいさんに直接聞く方法くらいしかなかったわけです。
田舎のじいさんは、寡黙でなかなか育て方を教えてくれません。まさに、僕の祖父は頑固なじいさんで、聞いても教えてくれませんでした。
今では知りたいことがあれば、すぐに検索して全国各地の農家さんが持っている情報にたどり着くことができます。一昔前とは比べ物にならないくらい簡単に栽培方法を知ることができます。
❏ 誰でも自給率を高められる
今の時代、誰でも農業をはじめられます。日本の田舎は土地があまっているし、情報が民主化されたからこそ、誰でも簡単に栽培方法を知ることができます。土地もあるし、作り方もわかるからこそ、簡単に始められます。言い換えれば、誰でも自分自身の食料自給率も簡単に高めることができます。
「食料自給率が気になる」「もっと日本は自給率を高める必要がある」と考えるなら、農業について発信するのも方法の一つです。より気楽に農業ができることをSNSやウェブサイトで発信すれば、共感してくれる人も増えます。
行動経済学の単純接触効果にもあるように、単純に農業に接する機会や食の情報に触れれば触れるほど、食料自給率について関心を持つ人も増えていきます。情報が簡単に手に入る時代だからこそ、チャンスは広がっています。