【石原和幸の夢コラム】

福岡の街は、“園芸文化”をより一層発展させる可能性を秘める!

「1月は行く」、「2月は逃げる」「3月は去る」という言葉を耳にします。1~3月は年度末に向けて1年間のまとめ等を行うために、月日が足早に過ぎてしまうことを例えた言葉です。花や緑もこの寒い時期に栄養をしっかり蓄え、春の開花や芽吹きに向け準備をしているところです。皆さんも来る春に向け準備を整えてください。

春3月、福岡にもガーデニングシーズンが到来する

 
コロナ禍ではありますが、必ず春は来ます。3月末くらいからは、気候も良くなり、暖かさに誘われ皆さんも外に目が向きだすと思います。ガーデニングシーズンの到来です!
 
その頃、福岡市では「福博花しるべ(一人一花スプリングフェス)」が開催されます。2011(平成23)年にスタートして以来、今年の春で10回目を迎えるそうです。春の天神と博多を花々で彩り、花・緑による潤いや癒しを皆さんへ届け、「まち全体を花と緑があふれるガーデンへ」という趣旨のイベントになります。

[公式]福博花しるべ 2020 (fukuoka.lg.jp)

僕は2020年9月に「一人一花」のアンバサダーへ就任させていただいておきながら、勉強不足でこのイベントのことを知らなかったのですが、「内容もよく練られておりすごく素敵な企画だな」と思っています。

5万本を超えるチューリップロードに、回遊型施策、ガーデンコンテストやフォトコンテストのコンテスト企画、シンボルフラワーの装飾と、「花」をテーマにした様々な仕掛けと催し事が予定されています。



「福博花しるべ」イメージ

沿道に咲いた花や各所へ配置された趣向を凝らしたガーデンやアートは、フォトスポットとなり、SNSで情報を拡散。見ては人の目を楽しませ楽しく歩くことで、心と身体の健康を大きく向上させられるのではないでしょうか。
 
また、参加型のコンテスト企画は、出展し表現の場を与えることで、応募者のモチベーションと技術が向上します。“花・緑の伝道師”としての人材作りに繋がると思います。
 
このようなイベントを継続させることで、花の文化のすそ野を広げ、身近な存在へと定着させ、「フラワーシティ福岡」へと近づいていける。そう感じたので、イベントが盛り上がるよう僕も華を添えられたらと願っています。

 

「福博花しるべ」が、“市民に定着し、観光客も楽しめる”花のイベントへと成長を

 
僕の出身地・長崎では、中国の旧正月に合わせた「ランタンフェスティバル」という冬のお祭りがあります。昨年で27回目の開催を迎え、約1万5千個ものランタンが長崎の街を中国色一色に染めます。秋の大祭「長崎くんち」とも肩を並べる大きなものになっています。
 

イメージ

最初から盛大で華やかなイベントであったわけではありません。もともとは長崎に住む華僑の人々が、旧正月を祝うために春節祭のお祭りとして始められました。中華街近くの公園でランタンを飾り、中華まんじゅうなどを食べさせる出店を並べ、毎週末の土日にイベントを行う程度でした。
 
観光の街・長崎として、観光客を楽しませ、市民にも定着したイベントにするために、決して同じ内容を繰り返さず年々工夫を凝らし規模を拡大していった結果、今日のような成功が得られているのだと思います。
 
「福博花しるべ」も、皆でアイデアを出し合い工夫を繰り返し継続していくことで、「博多どんたく」にも遜色なく、“市民に定着し、観光客も楽しめる”花のイベントに成長できると信じています。
 
※2021年の「長崎ランタンフェスティバル」は、新型コロナの影響で中止になりました。
 
 

現代の日本人に合ったガーデニングスタイルの見直し、確立が必要

 
ところで、花の市場で、世界と日本はどのくらいの差があるのでしょうか?
 
イギリスの人口は6千万人ですが、4兆円のガーデニングマーケットがあるといわれます。アメリカは人口2億3千万人で、同じく4兆円のガーデニングマーケットがあるようです。我が日本はといえば、人口1億2千万人に対して、ガーデニングマーケットは3,000億円といわれています。
 
この数字を見ても日本でのガーデニングの普及は遅れているとみられます。ただこれをポジティブな考え方をすると、日本には園芸文化の伸び代がまだまだあると僕は考えます。
 
そんな伸び代を秘めている日本の園芸ですが、歴史をひも解くと今から200年ほど前の江戸時代後期、江戸のまちでは園芸が空前の大ブームとなっていました。江戸のまちは狭いエリアに100万人が集まる、世界でも有数の大都市でした。しかも、鎖国していたことでオリジナルな江戸文化が栄華を極めていました。その中で最も栄えたのが園芸文化だと思います。
 

「江戸の園芸」より

日本人の特性でしょうか。品種改良による変化朝顔や牡丹の花、個人育種ビオラなど新しい品種をつくるなど、江戸の園芸はマニアックな世界にあったようです。
 
庭づくりのスペースとしては、時代を遡っても現代と大差はなく、広々とした庭を持てる人はそういませんでした。もっぱら庶民のガーデンングは鉢植え中心の、今でいうコンテナガーデンが江戸のガーデニングスタイルだったようです。
 

「江戸の園芸」より

伸び代を埋めるためにも、現代の日本人に合ったガーデンニングスタイルというものを見直し、確立することが必要なのかも知れません。
 

「平和の証」=「園芸文化が栄え」である

 
皆さんは「ガーデン」の語源をご存知でしょうか?
 
これは戦争時代に「ガード」して「エデン」を造る、そこから「ガーデン」という言葉が始まっています。ヨーロッパでは戦争が多く、自国の城を守るために高い壁を作り、その中で暮らして楽園を作ったということです。現代のガーデンやガーデニングとは持つ意味合いとは違うようです。
 
塀が低くオープンであること。それ自体が、僕は平和だと思います。先に江戸時代は空前の園芸ブームだったと書きましたが、江戸時代は戦国の世が終わり、260年間、平和な時代が続きました。260年もの長い期間、戦争がなかったというのは後にも先にもこの江戸時代だけで、僕は「平和の証」=「園芸文化が栄え」だと考えます。
 
福岡の街は、海に面しています。自由な文化の交流の場所として、アジア中の方々に来ていただき、福岡の花・緑の美しさを感じてもらう。そんな“アジアとの交流の拠点”になればいいな、と僕は願っています。
 
福岡は気候が穏やかで、県内には久留米市田主丸町や糸島市など植物の生産地としても優れた地域があります。消費を伸ばし市場を広げる上では、生産地が近いのは大きなメリットです。まさに福岡の街は、「平和とともに、園芸文化がより一層発展する可能性を秘めている都市だ」とも言えるのです。

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庭園デザイナー
石原和幸
長崎市生まれ。22歳で生け花の本流『池坊』に入門。以来、花と緑に魅了され生花の路上販売から店舗販売、そして庭造りをスタート。その後、苔を使った庭で独自の世界観が「英国チェルシーフラワーショー」で高く評価されこれまで14回出展し計11個の金メダルを受賞。エリザベス女王より「緑の魔術師」と称される。全国で庭と壁面緑化など緑化事業を展開し環境保護に貢献すべく活躍中。

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