【画像】風味調味料

【経済・ビジネス短信@フクリパ】

福岡市は風味調味料の世帯購入額において全国52都市の中で第1位

日々、寒さが増していくと共に温かい物が恋しく思える〝鍋の季節〟が、いよいよ本格的に到来してきます。総務省『家計調査』によると、福岡市の2人以上の世帯における『風味調味料』の購入額は、日本の52都市中でトップを記録しています。

福岡市の風味調味料額はしょうゆやみそを上回り、乾燥スープとほぼ同額

 【画像】風味調味料

出所:総務省『家計調査』】2020年(令和2年)~2022年(令和4年)平均

 

1位:福岡市3,584円、第2位:京都市3,124円、第3位:静岡市3,063円、第4位:奈良市3,051円、第5位:東京都区部3,008円……。
総務省統計局『家計調査』(2020年~2022年平均)によると、福岡市の2人以上の世帯における油脂・調味料の購入額は、年間46,500円だった。
このうち、風味調味料の購入額は同3,584円であり、福岡市は全国の都道府県庁在地の都市に政令指定都市を合わせた52都市の中でも最多の金額となっている。
福岡市における風味調味料の年間購入額3,584円は、しょうゆ同1,734円(全国順位第26位)みそ同2,325円(同第15位)、ドレッシング同2,108円(同第33位)を上回り、乾燥スープ同3,599円(同第44位)とほぼ同額となっている。

 

なぜ、福岡市の世帯における風味調味料の購入額が、第2位以下に大差を付けてのトップだったのだろうか?
この謎を解明していく上では、しょうゆメーカーの存在と関係しているものと考えられる。
風味調味料の大手であるシマヤは、1890年にみそ製造で創業した後、1907年からしょうゆの生産を始めている。
一方、地元・福岡において、『茅乃舎』ブランドの風味調味料を製造・販売する久原本家グループは、1893年創業のしょうゆ蔵が祖業となっている。

 

 

しょうゆ情報センターがまとめた『醤油の統計資料2021年実績』によると、2021年時点における日本全国のしょうゆ製造の企業(工場)数は1,066カ所だった。
全国47都道府県のうち、最多だったのは、福岡県の86社だった。
福岡県内には、前述の久原本家グループをはじめ、創業者の先々代が営んでいた料亭名を社名の一部に冠した味の兵四郎、本業のしょうゆ醸造と共にめんつゆや白だしなどの風味調味料も生産するニビシ醤油、調味料メーカーとして風味調味料も手掛ける一番食品などがある。
しょうゆメーカー数で最多の福岡県は、風味調味料メーカーも多い県でもある。

 

 

これらの食品メーカーが生産する風味調味料は、天然調味料や天然だしに比べて、長期保存が可能だ。
このため、家庭内での自家消費に加えて、慶弔関係での引き出物としての需要も多い。
これらの結果が、福岡市における世帯あたりの風味調味料購入額にも反映されているものと考えられる。

 

 

風味調味料とは、そもそもどんな調味料なのか

【画像】風味調味料

博多での冬の風物詩の一つであるあら鍋(画像提供:福岡市)

 

和食に不可欠なだしは、大きく3つに分かれる。
天然だし、顆粒だし、風味調味料の3つだ。
これらは一見同じように見えるものの、それぞれのだしに含まれている成分は、大きく異なっている。

 

 

天然だしとは、カツオブシやコンブ、シイタケなどに代表される天然食材から取っただしのことである。
コンブなどの植物性の食材には、アミノ酸の一種であるグルタミン酸が含まれている。
一方、カツオブシや煮干などの動物性の食材には、核酸の一種であるイノシン酸を含有する。また、シイタケに代表されるキノコ類には、うまみ成分であるグアニル酸を豊富に含んでいる。

 

 

これに対して、顆粒だしとは、天然だしで使われるカツオブシやコンブ、煮干などを加工して、使いやすく顆粒状にしたものだ。
顆粒だしでの加工に際し、うまみとコクを出すために、天然だしでは使われていないブドウ糖や砂糖類(砂糖、乳糖)を用いている。
天然だしに比べて短時間で手軽に出だしを作れる半面、塩分が多く、風味面で劣るという。

 

 

一方、風味調味料とは、うまみ調味料とも呼ばれる化学調味料と食材で作られただしのことである。
化学調味料を使用することによって、長期保存が可能になり、いつでも同じ味を作れるというメリットがある。
具体的な商品としては、だしの素、ほんだし、だしパック、めんつゆ、白だしなどが挙げられる。

 

 

なお、農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)に基づいて定められた『日本農林規格』(JAS規格)では、風味調味料について次のように規定する。

3.1風味原料

節類(かつおぶし等),煮干魚類,こんぶ,貝柱,乾しいたけ等の粉末又は抽出濃縮物。

3.2風味調味料

調味料(アミノ酸等)及び風味原料(3.1)に砂糖類,食塩等(香辛料を除く。)を加え,乾燥し,粉末状,か粒状等にしたものであって,調理の際風味原料(3.1)の香り及び味を付与するもの。

 

 

参照サイト

総務省『家計調査』(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング『油脂・調味料』2020(令和2)2022(令和4)平均
https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html

 

松江塩干魚『天然だし、顆粒だし、風味調味料の違い』
https://enkangyo.com/archives/140

 

日本農林規格 JAS03102019『風味調味料 Flavored seasoning
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-36.pdf

 

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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