福岡市の家庭における電気代は主要52都市で3番目の低さ
出所:家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(2020年(令和2年)~2022年(令和4年)平均)
全国の主要52都市の家庭で支出する年間の電気代の少ない上位3都市は神戸市(10万1,448円)、北九州市(11万5,259円)、福岡市(11万5,786円)だった━━━。
総務省統計局では、統計法に基づいて毎月、全国約9,000世帯を対象に家計の収入・支出、貯蓄・負債などについて調べる基幹統計が、『家計調査』だ。
家計調査の結果は、景気動向の把握をはじめ、生活保護基準の検討、消費者物価指数の品目選定およびウエイト作成などの基礎資料として利用されている。
家計調査のうち2人以上の世帯を対象にした調査の結果(2020年~2022年平均)によると、福岡市の家庭では1年あたり4,352kWhの電気を使用し、年間で11万5,786円の電気代を支払っていた。
この電気代は、都道府県所在地都市と政令指定都市を合わせた日本の主要52都市のうち、3番目の少なさだった。また、電気量についても同じく10番目の少なさとなっている。
同電気代ランキングにおいて、第2位に北九州市、第6位に長崎市、第9位に宮崎市、第12位に熊本市、第16位に鹿児島市、第19位に大分市がランクインし、九州の都市が軒並みベスト20入りを果たすという結果だった。
電気料金と火力発電の依存率、そして原子力発電所の存在
経済産業省資源エネルギー庁の資料(料金改定の申請前である2022年11月時点における各電力会社の電気料金)に基に各社の火力依存率を反映して図表を作成した
家計調査の電気代ランキングにおいて、九州の各都市が相次いで上位入りを果たした背景として、九州の各家庭に電気を供給している九州電力の存在が大きいといえる。
資源エネルギー庁『原子力政策の状況について』によると、2023年8月2日時点において、日本国内で稼働中の原子力発電所は11基を数える。内訳は、関西電力6基、四国電力1基、九州電力4基だった。
原子力発電所を稼働させている電力会社の場合、火力発電に依存する割合が相対的に低く、結果として電気料金自体も相対的に安くなる傾向がみられる。
ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとするロシア産資源の禁輸措置や、新興国のエネルギー需要の高まりなどを背景に世界的なエネルギー危機が生じた結果、燃料価格が高騰している。
このため、大手電力会社10社のうち、中部電力、関西電力、九州電力を除く7社は2023年5月、料金値上げを再申請した。電力・ガス取引監視等委員会で審査した後、同月に経済産業省が認可した。
その後、政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業などの支援施策もあった。
その結果、申請した7社のうち6社で改定後の電気料金の水準が申請前を下回り、さらに未申請の3社でも電気料金が下がった。
今後、地域間における電気料金の格差が、拡大していくことも十分にあり得る。
そうした中、移住や企業進出などの都市間競争において、電気料金問題は少なからずの影響を与えていくものと考えられる。
参照サイト
家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市(※)ランキング(2020年(令和2年)~2022年(令和4年)平均)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
経済産業省資源エネルギー庁『2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?(2023-06-27)』
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/denkidai_kaitei.html
経済産業省資源エネルギー庁『日本の原子力発電について』
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_0