家具の街・九州!

20年で年商が200倍へ!家具のまち「福岡県大川市」発の家具通販国内トップブランド「タンスのゲン」とは?

「家具のまち」として知られる大川市を中心に、多くの人気家具メーカー・家具ブランドがある福岡県。婚礼家具や勉強机の需要低下、大手家具量販店の台頭などもあり、競争激しい家具業界ですが、そんななかでも福岡県に在籍する家具関連会社は、商品の企画力や時流に合わせた販売ルートの確保など、企業努力によって人気を集めています。今回お話を伺ったのは、そんな人気家具ブランドのひとつ「タンスのゲン」の常務取締役・橋爪裕和さんに話を伺いました。

タンスのゲンってどんな会社?


タンスのゲン株式会社は家具の企画、製造、販売を行う家具ブランドです。本社を大川市に構えながら、2016年には、中国での商品開発や仕入れの強化に力を入れるため、上海にもオフィスを構えました。現在の従業員数は124名。


創業当時の様子

もともとは、小売・オーダー家具を中心に展開していましたが、2002年にECサイトを立ち上げたことで、福岡だけでなく全国に多くのファンを持つようになりました。

家具メーカー・家具ブランドが多い福岡県。そのワケは?

実は、福岡にはタンスのゲンのほかにも、全国に知られる家具メーカー・家具ブランドが多く存在します。日本で一番規模の大きい家具の産地として知られる大川市の影響が大きいと予想されますが、実際のところ、なぜ福岡には多くの家具メーカー・家具ブランドが存在しているのでしょうか。


常務取締役 橋爪弘和さん

橋爪さん

やはり大川家具の影響が大きいでしょう。日本には、旭川や静岡などの家具の産地がいくつかありますが、なかでも家具を扱う会社や造り手がある程度の規模で残っているのが大川なのです。これは、ほかのエリアはアッパー層がターゲットになっているのに比べて、大川家具が比較的リーズナブルであることに要因があるのではないでしょうか。
 
また、大川では行政が大川家具メーカーに向けて、さまざまな施策を行っています。私たちも、行政と一緒になって、大川家具を盛り上げる取り組みを行っています。例えば、当社のノウハウを生かし、これから販売ルートを広げたいという会社の皆さんに向けて、ECサイトへの出店ノウハウをアドバイスしています。これからも、大川家具を通して大川市を発展させていきたいですね。

時代のニーズに合わせて方向転換を重ね、今やその名を全国区に!


現在のタンスのゲン株式会社の本社

タンスのゲンは、有限会社九州工芸として生まれた婚礼家具メーカーとして1964年に創業しました。当時、婚礼家具は、嫁入り道具のひとつでバブル景気のころは高額な家具が多く売れていました。しかし、その後は核家族化がすすみ、部屋が狭くなるなど住宅事情も変化ライフスタイルに合わせて、嫁入り道具の文化は徐々に衰退していきました

そこで、1991年に小売り販売をスタート。筑後市に小売店「九州工芸筑後店」を開店し、リアル店舗に力を入れることになったのです。しかし平成の半ばには、ニトリやナフコといった家具量販店が家具購入先の主流となるように。中小企業の小売店では、家具販売が苦しくなってきました。そこで、新たに注目したのがネット通販だったのです

橋爪さん

当時、当社と取引があった卸し会社の営業担当者が、雑談の中で、「ネット通販で月500万円売っている大川の家具屋がある」という話を聞いたのがきっかけです。ネット販売について調べ、今でも出店する「楽天市場」にたどり着きました。

楽天市場をはじめとしたECサイト出店を機に今やその名は全国区となったタンスのゲンですが、今の成功があるのは、時代のニーズに合わせた柔軟な姿勢からだったのです。


楽天市場店のトップページ。カテゴリーの多彩さからも、商品の豊富さが見てとれる

IT知識ゼロからECサイトスタート!2021年7月期は年商227億円を達成

2002年に楽天市場へ出店したことがきっかけとなり、ECサイトでの販売を強化し、売り上げを徐々に増やしていったタンスのゲン。2004年には小売店を閉店し、ネット販売1本で勝負することを決め、2021年7月期は年商227億円を達成しました。
 
とはいえ、楽天市場に出店した2002年といえばネットショップはまだ馴染みがない時代。ネットショッピングでのトラブルが問題となっていたことから2001年に、電子消費者契約法が施行されたばかりのころ。

個人情報保護法の施行前で、個人情報の漏洩などに不安を覚える人も多く、家具をネットで購入すること自体、考えられないというのが多数派だったのではないでしょうか。

橋爪さん

確かに、ECサイトを立ち上げたころは、ネットショップで家具を買うことに抵抗がある人は多くいらっしゃいました。もちろん当社にも詳しい者はおらず、社内からも反対の声が上がるほど。本当に探り探りでのスタートでした。
楽天市場に出店した最初の半月の売り上げは20万円ほど。それでも翌月には100万円ほどの売り上げがあり、徐々に数字を増やしていったのです。

ECサイト出店において、工夫されたことについて教えてください。

橋爪さん

ネットショッピングのデメリットは、直接見て触れないこと。サイズや質感、色味などをWEBページ上でしっかり伝えることは当時から大切にしています。文字だけでなく、商品を具体的にイメージできる写真のほか、近年では動画を使用。今後はAR技術も取り入れて、実際に部屋を置いたときのことをより具体的にイメージできるように工夫したいと考えています。

―確かに、大きな買い物になればなるほど、直接見て触れられないのは少し不安ですよね。

橋爪さん

そうですね。そういった理由から、カスタマーサポートも強化するようになりました。商品を検討していて気になることがあれば、電話やメール、チャットなどでご質問をいただくこともあります。直接見て、触れない分、さまざまなサポートで商品を具体的にイメージできるように工夫したいと考えています。

―ECサイト自体の業績は、ずっと右肩上がりでしょうか?
 
橋爪さん

いえ、東日本大震災があった2011年には配送料が2〜3倍ほどに値上がりしてしまい、当時メインで販売していたソファやベッドの価格に影響が出て、売り上げが落ちてしまいました。そこで、新たに力を入れ始めたのが羽毛布団の販売。羽毛布団は軽く、傷つきにくいため運送に関する負担も軽く、ネット販売に向いています。今では、当社の主力商品のひとつです。

タンス屋さんが布団を販売するなんて、思い切りましたね!ここでもタンスのゲンさんならではの柔軟さが功を奏したわけですね。

トレンドをおさえた商品を展開が売りのタンスのゲンの人気商品とは?

タンスのゲンでは、近年、30〜40代の女性をメインターゲットに、商品企画を進めています。例えば、「現役ママが考えたシリーズ」では、絵本ラックや二段ベッド、ジャングルジムなど、ベビー・キッズ向け商品を展開。子どもの自主性を育むための工夫や成長に合わせて設置を変えられるデザインが評判です。また2022年1月には、現役保育士で人気インフルエンサー・てぃ先生が公式アンバサダーに就任。今後、子育て世帯に寄り添う商品開発を予定しているのだとか。

そんなタンスのゲンですが、今、どんな商品に人気が集まっているのでしょうか。

・羽毛布団


「タンスのゲン」という社名ですが、現在いちばん売れているのは羽毛布団。バイヤーチームもかなり力を入れていて、市場調査の結果やトレンドを反映させながら、リニューアルを重ねている珠玉の商品です。
▶羽毛布団はこちら

TVスタンド


最近よく動くようになった商品がこちら。これまではテレビボードが主流でしたが、部屋が広く見えるとあってすっきりしてデザイン性の高いTVスタンドがが動くようになりました。
▶TVスタンドはこちら

ワークチェアやデスク


新型コロナウイルス感染症でリモートワークを導入した企業が増えたことから、ワークチェアやデスクも人気です。ワークチェアでは、これまであまりなかった流行の“くすみカラー”の商品も展開しています。
▶ワークチェアはこちら
▶デスクはこちら

橋爪さん

家具は、景気が悪いと明るい色、景気が良いと暗い色が人気となる傾向にあります。ここ1、2年は韓国インテリアが流行しているように、明るめの色のものが多く動いていますね。
ワークチェアでも導入している流行のくすみカラーは、若い社員からの意見。弊社は若い社員が多いので、商品作りにしっかり生かしていきたいですね。

2022年にECサイト20周年!節目を迎える今、挑戦したいこと

消費者ニーズに合わせてさまざまな商品を展開するタンスのゲンですが、まだまだチャレンジしていきたいことがたくさんあるようです。

橋爪さん

キーワードとなるのが「SDGs」。2020年1月には、SDGs認定も取得しました。今、多くの企業が取り組みに向けて動いていますが、当社でも、今後は環境に配慮した商品展開を考えています。また更なるブランド認知を目指して、デジタルマーケティングも強化したいですね。状況を見ながら、ライブコマースにも参入できたらと考えています。
 

2022年である今年は、私たちがECサイトに出店して20年となる節目の年。何か記念になるようなことも仕掛けたいです。例えば、20年を記念した特別な家具とか…。楽しみにしていてください。

伝統の婚礼家具づくりからはじまり、ECサイトに先見の明を見つけ歩んできたタンスのゲン。販売方法に企画力と、時代のニーズに合わせた運営で大きく成長してきました。トレンドをおさえたインテリアの数々は、みているだけでもなんだかワクワクしてくるもの。引っ越しや部屋の模様替えを検討するあなたはぜひ一度、ネットショップをチェックしてみてはいかがでしょう。

■タンスのゲン株式会社
本社:福岡県大川市大字下林310-1
https://tansu-gen.co.jp/
公式通販サイトはこちら

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紙とWEBの編集ライター
戸田 千文
愛媛県出身。広島、東京生活を経て、転勤族の夫とともに2018年夏に福岡暮らしをスタートした。情報誌やレシピ本、WEBコンテンツの企画・制作を通して出会うローカルのおいしいモノ・楽しいコトが大好き。

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