【2022年の福岡、九州、日本、世界の経済・ビジネスを先読み】

2022年の「福岡」を知る!注目事業紹介 ー福岡躍進のカギを握る7大事業ー

2022年は、福岡市にとって節目の年でもあります。「世界水泳大会」の開催をはじめ、日本初や九州初のユニーク施設が相次いで誕生します。さらに福岡市中央区の旧大名小跡地に「ザ・リッツ・カールトン福岡」やオフィス棟も完成予定です。2022年がどのような年になるのか、見てみましょう。

●2022年は、福岡、九州、日本、世界にとってどんな年になるのか?

2022年における世界のGDP成長率は4.5%増となり、日本は同2.8%で正常化へ向けて本格的に足を踏み出す―。国際金融企業グループのゴールドマンサックスは2021年11月8日、「2022年の世界経済と日本経済の見通し」を発表した。

それによると、「医療状況の持続的改善、積み上がった貯蓄による消費押し上げ、在庫積み増しを追い風に、世界経済は今後数四半期にわたり力強い成長を続ける」と予想。また、「2022年の日本経済を主導するのは消費、次いで設備投資となる」との見方を示す。

2022年度における九州(沖縄県含む)の実質域内総生産(GRP)を 50.6兆円、成長率を+3.5%と予測する――。公益財団法人九州経済調査協会は2021年12月21日、2022年度の九州経済の見通しを発表した。同会によると、「新型コロナウイルス感染拡大前で最も高かった 18年度の50.2兆円を0.7%(約3,505 億円)上回る水準である」としている。

九州の実質GRPに占める福岡市の割合は推測で15.2%であり、2022年度における福岡市の同GRPは7兆6,900億円前後と推計される。世界、日本、九州では、2022年における高い成長が予測されている。都市開発プロジェクトの相次いて進展している福岡市では、推計値より高くなる可能性も秘めている。 

 【2022年3月】

【2022年03月】

(1)日本初の国営公園Park -PFIによる〝パーク・ツーリズム〟の滞在型レクリエーション拠点が「海の中道海浜公園」に開業

美しい海が両サイドに広がる福岡市東区西戸崎の「海の中道海浜公園」は、都心から電車やバス、博多埠頭からも船で手軽にアクセスできる国営公園だが、2022年3月、憩う・学ぶ・遊ぶを体験できるユニークな宿泊施設やレストラン、アスレチック施設がオープンして、公園そのものを観光地にする「パーク・ツーリズム」の取り組みが動き出す。

一連の活動では、民間のノウハウや資金を活用して公園内に営利施設を設けて生じた収益で公園の施設整備や改修に充てる「公募設置管理制度(Park -PFI)」を活用する。国営公園でのPark-PFI を用いた開業は、「海の中道海浜公園」が日本初だ。


「海の中道海浜公園」に〝パーク・ツーリズム〟の滞在型レクリエーション拠点が開業

福岡市中央区の「大濠公園」内にある人気施設「大濠テラス」もPark-PFIで誕生し、「西公園」の再整備でも導入する。「海の中道海浜公園」におけるPark-PFIによる挑戦に注目が集まる。

☆あわせて読みたい⇒【福岡・海の中道】自然と楽しむ体験型リゾートのパイオニアの魅力と進化

【2022年4月】

(2)福岡市が「政令指定都市」への移行50周年迎える

福岡市が〝超成長都市〟に発展した要因の一つは、1972年4月の「政令指定都市」への移行だ。2022年4月1日、福岡市は同時に移行した札幌市、川崎市と共に50周年を迎える。

「政令指定都市」とは、法定人口50万人以上でかつ政令で指定された都市だ。従来、県の担当だった福祉や保健衛生、土木・建築・都市計画などの行政事務と権限、財源が移譲されて効率的な市政運営が可能となる。1972年時点で91万人だった福岡市の人口は1.8倍の162万人(2021年12月)に増加した。一方、644億円だった当初一般予算は、2021年度で16.4倍の1兆545億円になった。

東京都区部に次ぐ大都市である「政令指定都市」は今日、20都市を数える。福岡市は「政令指定都市」を対象とした各種ランキングで上位に名を連ねる実力派都市だ。
 
◎全国20都市の「政令指定都市」地図

(3)実物大νガンダムや話題のエデュテイメント施設も!『ららぽーと福岡』が九州初上陸

九州初登場の「実物大ガンダム立像」、国内3拠点目で九州初の子供向け職業体験施設「キッザニア福岡」、九州初出店の体験型ミュージアム「福岡おもちゃ美術館」、九州初の「MIFA Football Park福岡」……。


『実物大νガンダム立像』が九州初デビュー(©創通・サンライズ)

2022年4月25日開業の複合商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」自体も九州初進出だ。JR博多駅から南東3.5kmの筑紫通り沿いにある福岡市青果市場跡地に建設中の「ららぽーと福岡」は、九州初出店57店を含む222店が出店、3000人を超える雇用を生み出す福岡市内でも有数の商業施設だ。従来無かった〝新顔〟の登場は、新しいモノ好きの福岡人の好奇心を大いに刺激しそうだ。

【『ららぽーと福岡』計画概要
■事業者/ 博多那珂6開発特定目的会社
■所在地/ 福岡市博多区那珂六丁目351番他(福岡市青果市場跡地)
■敷地面積/ 約86,600m(約26,200坪)
■構造規模/ 店舗棟(鉄骨造地上5階、地下1階建)、 立体駐車場棟(鉄骨造地上7階建 2棟ほか)
■延床面積 / 約206,400m(約62,400坪) ※立体駐車場棟含む
■駐車台数/ 約3,050台
■ホームページはこちら

あわせて読みたい⇒九州初の「ららぽーと福岡」2022年4月開業!最新情報とその展望とは。

(4)福岡和白病院が「令和健康科学大学」、大原学園が「IT専門学校」を開校

多彩な大学・短大、専門学校が集まる〝若者の都市〟福岡市に2022年4月、医療・福祉系大学IT系専門学校が新たに加わる。

福岡和白病院をはじめ病院22、学校7を運営するカマチグループは2022年4月、「令和健康科学大学」を開学させる。同グループの福岡看護専門学校と福岡和白リハビリテーション学院を母体とする同大には、看護学部とリハビリテーション学部があり、依然として不足する医療や保健、福祉分野での人材育成に取り組む。

【令和健康科学大学
■学部(定員)/ 看護学部(80人)、リハビリテーション学部(140人)
■所在地 / 福岡市東区和白丘2丁目1-12

一方、全国に専門学校など112校を展開する大原学園グループは現在、福岡市内に簿記情報系、スポーツ公務員系、保育医療福祉系の専門学校があり、2022年4月に4校目となる「福岡情報ITクリエイター専門学校」を開校させる。同校は情報IT学科(2年・3年制度)、ゲーム・クリエイター学科(3年制)でIT人材を供給する。

IT産業が活発な一方、医療・介護分野でも強みをみせる福岡市に新たに誕生する医療・福祉系大学とIT系専門学校は〝有力な新戦力〟として期待される。

【福岡情報ITクリエイター専門学校
■学科(定員)/ ゲーム・クリエイター学科(120人)情報IT学科(120人)
■所在地 / 福岡市博多区上川端町14-13
  022年05月】  

【2022年5月】

(5)新博多区役所が"庁舎〜吹抜広場〜公園、の一体型公共施設として開庁

福岡市の「政令指定都市」への移行前年に完成した現博多区役所は、老朽化に加えて耐震問題もあって、隣接する藤田公園内で新庁舎建替工事を進める。


現庁舎の隣接地に開庁する「博多区役所」の新庁舎

2022年5月に開庁する新庁舎の1階~8階に区役所や保健福祉センター、9階と10階に福岡市関連団体が入居する。1階ロビーには住民票自動交付機や多目的スペース、カフェ、歴史・文化の情報発信スペースも設置する。また、吹抜広場はイベント開催に加えて避難場所として使用可能だ。

新庁舎開庁後、現庁舎跡地に新公園を開設して〝庁舎~吹抜広場~公園〟を一体整備したユニークな公共施設となる。

【博多区新庁舎の施設概要】
■所在地/ 福岡市博多区博多駅前2丁目174-2
■構造・階数/ 鉄骨造(中間階[2階柱頭]免震構造)、地上10階建
■敷地面積/ 2,480.44平方メートル
■建築面積/ 1,735.65平方メートル
■延べ面積/ 15,224.27平方メートル
 

【2022年8月】
(6)西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業(雑餉隈駅~下大利駅)が完成

福岡の交通体系において、大動脈の一つである西鉄天神大牟田線は2022年8月28日、始発電車から雑餉隈駅~下大利駅間における鉄道の運行を高架に切り替える。
2004 年2月に事業認可を受けて以来、足掛け20年にもおよぶ西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業は、高架区間距離は5.2キロだ。このうち雑餉隈駅周辺をはじめとする福岡市内1.9キロの高架区間の事業主体は福岡市であり、春日市内および大野城市内3.3キロの高架区間の事業主体は福岡県となっている。
今回の連続立体交差事業によって19カ所の踏切が無くなることで交通渋滞を解消することに加えて、当該区間を走る電車の運行時間を最大2分短縮できる。
また、高架区間となる雑餉隈駅~下大利駅間の旧西鉄バス雑餉隈営業所跡地に建設し、2023年度後半の開業を予定する新駅について2022年7月27日、『桜並木駅』という駅名が正式に発表された。

 域内の交通アクセスの良さで高い評価を得ている福岡において、今回の西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業が完成したことで雑餉隈駅~下大利駅において高架を走る鉄道運行を実現したことになる。
今後、福岡の強みの一つである交通利便性については、今後さらに高まっていくものとみられる。

【事業概要】
西鉄天神大牟田線(春日原~下大利)連続立体交差事業  
事業主体:福岡県                           事業区間:大野城市栄町一丁目~大野城市下大利三丁目
延 長:3.3km(春日市:0.5km、大野城市:2.8km) 除却踏切数:12カ所
全体事業費:659億円                        事業期間:2003年度~2024年度
西鉄天神大牟田線連続立体交差事業(雑餉隈駅付近)
事業主体:福岡市   事業区間:福岡市博多区南八幡町~福岡市博多区西春町
延 長:1.86km      除却踏切数:7カ所
全体事業費:415億円  事業期間:2010年度~2025年度

【 参 考 : 参照サイト】
「西鉄天神大牟田線連続立体交差事業」鉄道の運行を高架に切り替えます!(福岡県)

【2022年12月】

【2022年12月】  

(7)大名小跡にグローバル創業都市・福岡を実現するオフィス・ホテル完成

国内外のチャレンジャーと企業が集い、新しい価値を生み成長するグローバル創業都市の新たな拠点を創出―-。150年前に開校した大名小学校の跡地に3000㎡の広場をはじめ最高級5つ星ホテル、グローバルオフィス、カンファレンス、保育施設、創業支援、商業、公共施設などで構成された「旧大名小学校跡地活用事業」のホテル・オフィス棟(地上25階・高さ111m)が2022年12月に完成する。


『旧大名小学校跡地活用事業』ホテル・オフィス棟の完成予想図

天神地区でも、ひと際高い高層棟の3階と5~16階に設けるオフィススペースは、ワンフロア2,500㎡と福岡でも屈指の規模となる。さらに17~24階に九州初出店の高級ブランドホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」が入り、50㎡以上の客室162室を設置して2023年春に開業予定だ。象徴的なソリッドデザインの外観を備えたガラス張りの高層タワーは、福岡の新たなランドマークになるものと考えられる。
 
【福岡市「旧大名小学校跡地活用事業」】
■所在地/ 福岡市中央区大名二丁目 165 番 1,2 及び 3
■敷地面積/ 約 11,900 ㎡(計画地面積)(既存の南校舎敷地を除く約10,000 ㎡)
■全体概要 計画概要/地下 1 階、地上 25 階
■延床面積/約 90,400 ㎡
■容積対象床面積/約 80,000 ㎡
■建築面積/約 5,600 ㎡
■最高高さ/約 111m
 
【ザ・リッツ・カールトン福岡
■客室/162 室、全室面積 50 ㎡以上
■付帯施設/レストラン、バーラウンジ、チャペル、ボールルーム、会議室、屋内プールほか
 
☆あわせて読みたい⇒福岡に「ザ・リッツ・カールトン」誘致で、天神の風景はどう生まれ変わる!?

【2023年3月】【2022年年度中】  
道路陥没事故を乗り越えて、地下鉄七隈線の博多駅への延伸工事が完了

福岡市西南部と都心を結ぶ、日本で4番目の鉄輪式リニアモーターミニ地下鉄「福岡市営地下鉄・七隈線」は現在、博多駅への延伸工事を進めており、福岡市交通局は1月7日、延伸事業を進めている福岡地下鉄 七隈線 天神南駅~博多駅間について、2023年3月開業の見通しとなったことを発表した。

現行の天神南駅から博多駅に至る1.4キロの延伸線工事は当初、450億円を投じて2020年度の開業予定だった。しかし、2016年11月8日に発生した博多駅前での大規模な道路陥没事故で2022年度開業に見直されたほか、労務単価や資材価格などの高騰の影響もあって、事業費も587億円に見直された。

福岡市の地下には、第四紀層が広く分布しており、地下鉄・空港線の博多駅への延伸工事では新幹線や在来線直下の難工事で駅舎の完成が大幅に遅れて、仮駅を設けて開業した。

2023年3月の開業に向けて土木工事および関連施設工事と並行しながら、検査と試運転を重ねた後、博多駅への延伸開業を迎える予定だ。
 

2023年3月の開業に向けて、「福岡市営地下鉄・七隈線」の延伸工事は進む

●2022年の福岡市は、もっと元気で魅力的になり、さらにオモシロくなる

2022年の干支は、「壬寅(みずのえとら)」だ。「壬」は「妊に通じ、陽気を下に姙(はら)む」、「寅」は「螾(ミミズ)に通じ、春の草木が生ずる」という意味がある。壬寅は《厳しい冬を越えて、芽吹き始め、新しい成長の礎となる⦆とする

厳しいコロナ禍を乗り越えた2022年の福岡市は世界的イベント開催をはじめ、日本初の施設開設、さらに国内外から注目を集める都市開発プロジェクトなどが芽吹き始めている。

これらも礎にしながら、福岡市が一層元気になって、魅力的になっていくことでヒトやカネ、ビジネスを一層呼び込んでいき〝より魅力的で、オモシロい街〟になっていくと考える。

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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