「私、コテン歴ではフクリパさんより後輩なんですよ」
そんなお話でインタビュー初っ端から笑わせてくれた下西伽倻子(かやこ)さんは、この連載がスタートしたあとの2021年5月に株式会社COTEN(以下:コテン)に入社されました。
しかしながら、広報・法人担当としてコテンを語る熱さはもはやベテランの域!
コミュニケーション力の高さで最初から圧倒されてしまったのですが、さらに衝撃の事実が!
コテンでは、新型コロナウイルス感染拡大以前から、「フルリモート」の働き方で事業を推進していることは賢明なフクリパ読者ならびにコテンファンの皆様ならご存知かと思います。
コテンリレー #01 理念経営が自律性の高い社員を呼ぶ。リモートが基本な株式会社コテンの働き方を、深井社長に聞いてみた!
下西さんも例に漏れずリモートでお仕事をされているのですが、なんと、お住まいがアメリカなんです!14時間の時差がありながら、コテンの窓口としてご活躍されているんです。
(「え、いいじゃん、アメリカでも。何か問題かな?」と口にされている深井さんやたかちんさんの姿が目に浮かびます。)
そんな下西さんがコテンに入社するまでのキャリア、そして広報担当として思い描くコテンの未来についてお伺いしました。
キャリア迷子から自分のやりたいことを見つけるまで
「私のキャリアって他の方から見ると“迷子”だと思うんです。30代前半にしてコテンが4社目ですし。見る人が職務経歴書を見れば“ヤバいやつ”だと判断されると思います(笑)」
と下西さん。
新卒で入社した会社にはシステムエンジニア(SE)として入社されたそうです。
下西
迷いに迷った末に小学生の頃からホームページを作るのが好き、という点からSEに辿り着き、1社目である大阪のSIer(※システムインテグレーター)にご縁があって入社しました。
新卒で入社した会社では人にも恵まれ、不満なく過ごしていたんだとか。
下西
自分なりに充実した日々は送っていましたが、彼のように“楽しい!”と高揚したことは一度もなかったんです。猛烈に“羨ましい…!”と思いました。
ただ、私は人のことを羨むのが嫌なんです。人を羨むなら、自分もそうなりたい。そう思い、すぐに転職先を探し始めました。
社会人1年目の頃の下西さん
先述の彼から刺激を受け、2社目は旅行関係のベンチャー企業に社内SEとして入社しました。社長の強い思いから“ビジョナリー”な経営をしており、社内文化やルールが綿密に設計されている、かなり尖った会社でした。会議室に置くホワイトボードの、ペンの向きや色の順番まで決まってたんですよ(笑)。
当初は、文化やルールの癖が強すぎてなかなか受け入れられませんでした。受け入れて従っているメンバーを見て“うわ、意識高いな。”なんて斜に構えてました。
でも働くうちに“意識高い、なんて揶揄して現状を受け入れず、全力を出してない自分ってかっこわるくないか?意識なんて高い方がいいに決まってる”と思うようになったんです。
正直、そう思った自分に驚きました。働く環境や文化・ルールによって自分が変わったというか、自分の違う部分が開花したのを感じ、人って環境次第で変わるんだ!面白い!と思ったんです。
この体験がきっかけとなって、“人”に興味を持ち、人事としてのキャリアを構築しようと決めました。初めて“やりたいこと”が見つかった瞬間でしたね。
とはいえ、やっぱりその会社の文化とはマッチしていないところも多かったので、他の会社を探すことにしました。ただ、今の私が会社のビジョンや社風を重視しているのは、この時の体験から来ていると思います。
環境で人は変われる。すでにコテンの理念に近づいているようなお話です。
人事時代の癖が奏功した、コテンとの運命の出合い
3社目で人事をやっていた頃の下西さん
さらに3社目を経て、下西さんはコテンと出合います。
下西
その会社は人材の業界最大手でバリバリ活躍していた方々が立ち上げたこともあり、知識と経験に基づいたチャレンジングな社風で、私自身ともとてもマッチしていました。人事として、社会人として今の私を創ってくれた会社です。
しかしその後、旦那さんの転勤の都合で3社目を退職し、下西さんはアメリカへと渡ります。
そしてある日、家族でドライブをしているときに“コテンラジオ”と出合ってしまうのです。
アメリカでの下西さんとお子さん。絶景ですね!
下西
“アメリカ開拓史”のシリーズが目に止まり、“私たちちょうどアメリカにいるし”ということで聴き始めると、とにかくおもしろくて。
アメリカという国の成り立ちから現代に至るまでのこの国が抱えている矛盾など、この知識なしに今のアメリカは本当の意味では理解できないなという情報に溢れていて、目から鱗でした。
そこから他のシリーズも聴き、コテンラジオにどハマりしました。
同時に、コテンという企業にも興味を持ちました。どんな会社がコテンラジオを作っているのか知りたかったですし、エピソードの端々で語られる世界史データベース事業の詳細も気になっていました。そこでコテンのコーポレートサイトにアクセスし、ついでに採用情報も見てみたんです。企業について調べた時に採用情報を見るのは、3社目で人事として採用を担当していたときからの癖ですね。
すると、ちょうど“事業推進メンバー”を募集しており、更には募集要件がすごく自分に当てはまっていると感じたんです。そこからコテンについて調べまくり、応募しました。
コテンラジオがきっかけで、コテンの選考へ挑むこととなった下西さんですが
「入社を決めた理由はコテンのビジョン、コテンが描く社会に強く共感したからです」
と言います。
入社日の写真。下西さんへのメッセージで埋め尽くされた歓迎の壁紙。メンバーの想いが伝わりますね
具体的には、どのような共感を持ったのでしょうか。
下西
また、コテンラジオを通して、こんなに身近な“歴史”から学ばない手はない。歴史を日常の糧にすることをもっとスタンダードにしたい!と思ったんです。
私は人事時代に採用を担当しており、面接では1時間以上かけて相手のストーリーを聞いていました。人は自分の人生しか生きられない。だからこそ、人の人生を聞くことで新たな気づきや学びがある。それが面接の好きなところでした。
誰もがこういう機会を持てるわけではありません。でも歴史なら、学びが凝縮された人生をたくさんインストールできるわけです。歴史を学ぶことは、自分自身をメタ認知することや、違う誰かの視点・立場を知ることに繋がる。世界史のデータベースは、膨大な世界史の知見に誰でも簡単にアクセスできるようにする試みで、これが完成したら世の中を変える、と思いました。そしてこの取り組みに絶対関わりたいと思ったんです。
コテンメンバーのMTGの様子。なんだかゲーム画面のようで楽しそう…!
ビジョンへの共感が起こす“同じ土から多様な植物が生えた”状態
入社からたった数か月の間に、資金調達や顧問を迎えられるなど、目まぐるしいスピードと業務量をこなされている下西さんにとって、実際コテンという組織はどのように映っているのでしょうか。
下西
ボランティアで支援してくださっているや、現時点ではビジネスモデルが確立できていないにもかかわらず投資してくださる方がいて、株式会社ってこういう形もあるんだなという印象を持っています。
実績や売上よりもコテンのビジョンや社会的意義に共感してくださる方々によって支えられている新しい形の会社だなと思います。
冒頭でもご紹介したコテンリレー第一回目で、深井社長も“理念への共感”について語って下さっています。
理念への共感が自律性の高い社員の獲得に繋がるため、組織マネジメントは行なっていないという深井さんのお話でした。
(そして、この深井さんのインタビューの頃に行われていた採用で選ばれたのが下西さんです。物凄いスピード!)
下西
ただ、ビジョンに強く共感しているという土台が同じなだけで、一人ひとりを見ればキャラクターが全然違います。
人種や言語の点では、ヤンヤンさんは中国人ですし、第一言語が英語の人もいます。
働き方でいくと、たかちんのように他の会社を運営している人もいれば、副業をしている人、コテンが”副業”の人、私のように時差がある人…などこれだけでも多種多様です。更に性格や価値観も含めると本当にみんな様々で、個性的なメンバーばかりです。
同じ土から生えているのに、みんな違う植物のようなイメージですね。
こんな多様な人材が、同じビジョンの元に集まり、一つの組織で働いているのは凄いなと感じています。
みんなそれぞれ、世間で当たり前とされている企業や働き方の枠組みにハマれない、はみ出し者なのかもしれません。
ただその結果、コテンなりの価値観が形成されていると感じます。“当たり前などない”、“自分の価値観が世間の価値観ではない”し、“自分と相手が一致するとは限らない”、というように、コテンという組織自体がある種、リベラルアーツなんじゃないかなと思っています。
下西
私自身のキャリアも、他人から見れば迷子のように映ると思います。。SEでキャリアをスタートさせ、人事の仕事に移り、現在は広報というように、“一本の道を極めることこそが美しい”とされる日本の価値観とは全く異なるキャリアを歩んできました。
それでもずっと人生楽しいですし、働きたいと思ったコテンでこうして仕事ができています。私がずっと大切にしてきたのは、“今の自分に正直でいる”ことなのですが、そんなキャリアの築き方も選択肢の一つにあって良いんじゃないかなと思います。
歴史上の偉人たちなんて、“普通”じゃないキャリアの人たちばっかりですよね。
“こうあるべき”という強迫観念にとらわれてキャリアを決めるのではなくて、自分のやりたいことやなりたい姿に正直に選択してもいいんじゃないかなと思います。
そんな時に役立つモノの一つが歴史だと思いますし、世界史のデータベースを使って人生の視点を増やすことが前向きな変化に繋がると思います。
私は、世界史のデータベースがGoogleのようになると思っています。
今って、毎日のようにGoogleなどの検索エンジンを使って何かを検索するじゃないですか。
それと同じように、この先、人間が何かを考えるうえで、歴史的事象を参照することが当たり前になると思っています。そんなときに、世界史のデータベースが使われれば良いなと思います。
***
常に“自分と向き合う”ことから逃げずにきた下西さんは、世間一般から見ると“キャリアの迷子”かもしれませんが、1社ごとの経験を確実に自分の肥やしにして、コテンの広報という場所にたどり着きました。
そしてそのコテンの事業は、“Googleのような存在になる”と自信を持って言える高い解像度とビジョンを携えています。
それは、どこかに生きづらさや理不尽を感じてきたメンバーが集まっているからこそ、世界史データベースという事業が“人類が、人類をより深く理解することに貢献する”のだと、心から思えるのだと思います。
実体験として、歴史に救われた人たちが集まり、さらにまた彼らの事業を通して救われたり、何かを見つける人が増えていく。
“世界史のGoogle”は、もう、すぐそこかもしれません。
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