福岡高砂の「BINカレー」~女性に嬉しいヘルシーカレーと猟師直送の限定ジビエメニュー~【福岡市中央区】
薬院駅から徒歩約10分、住宅街の一角にひっそりと佇むカレー店「BINカレー」。グレーの波板で覆われたシンプルな外観に、手描きの看板が印象的です。
2022年12月12日にオープンしたこのお店、外見は控えめですがスパイスマニアも納得の本格スパイスカレーが提供されています。
大きな窓にはTAKE OUTの文字、入り口には鍋にスプーンが刺さったユーモラスなイラストの看板があります。
「びんちゃん」から生まれた店名
店名の「BIN」には面白いエピソードがあります。オーナーの岡田敏太郎さんが子供の頃から呼ばれていた「びんちゃん」という愛称が由来なのだそう。「敏」を音読みして生まれたあだ名が、今では福岡のカレー店の名前になっているというのは興味深い話です。
岡田さんは元々別の仕事をされていて、カレー店は全くの異業種からの転身だったそうです。しかも、ご家族とは離れて福岡で単身赴任をしながらお店を経営されているとのことで、新しい分野での挑戦に加えて家族と離れて暮らすというのは、かなりの決断が必要だったのではないでしょうか。
こだわりの盛り付けと味わい
牛テールと牛すじ煮込みカレー&スパイシーチキンカレー あいがけ:税込1600円
実際にカレーをいただいてみると、まず盛り付けの美しさに目を奪われます。深いブルーのお皿に艶やかなカレールーが盛られ、中央には白いご飯がこんもりと。その上にスパイスパウダーがかけられ、新鮮なパクチーが彩りを添えています。
味の方はスパイスの複雑な香りが特徴的で、後から日本の調味料の優しい旨味も感じられます。具材はそれぞれが丁寧に調理されているのが分かり、食べ応えもあります。
スパイスの効いたカレーながら体に優しい仕上がりです。パクチーはお好みに応じて有無を選ぶことができます。
独自の調理法で生まれる新しいカレー
BINカレーの大きな特徴は、岡田さん独自の調理法にあります。一般的にインド系カレーは油を多用しますが、岡田さんは油の量を極力抑え、食材から出る水分で旨味を凝縮させる手法を取っています。これにより、BINカレーはインド系カレーとは一線を画した独特な味わいを実現しているのです。
岡田さんは、油を控えながらスパイスとの絶妙なバランスを追求し、独自の技術を確立されました。相当な試行錯誤を重ねた末にたどり着いたその調理法は、食材本来の旨味を引き出しつつ、スパイスの香りと味わいを際立たせる、まさに岡田さんならではのアプローチです。
また、ビリヤニなどにも使われるバスマティライスよりも日本米の方がBINカレーには合うということで、日本米を使用しているそうで、食べ終わった後の軽やかさも特筆すべき点です。油を控えめにした効果で、食後の重たさがほとんどありません。「また食べたいな」と思える後味の良さは、この調理法によるところが大きいのでしょう。
限定メニュー「ジビエカレー(イノシシ)」
ジビエカレー(鹿肉):税込1300円
BINカレーでは現在、イノシシと鹿の2種類のジビエカレーを不定期で提供しています。このメニューの誕生には人とのつながりがあったそうで、来店されたお客様の中に猟師の方がいらして、その方から新鮮なジビエ肉を卸してもらえることがきっかけになったのだそう。こういう偶然の出会いから新メニューが生まれるのは興味深いですね。
今回いただいた鹿キーマに関しても、ジビエ特有の深い旨味がありながらクセが無く、岡田さんのスパイス使いによって食べやすく仕上がっています。
副菜との相性も抜群で、全体のバランスが絶妙でした。新鮮なジビエ肉が入手できた時だけの限定提供なので、その際はお店のInstagramのストーリーでお知らせしているとのことです。
「今日はジビエカレーがある」と分かった時の特別感は格別ですね。いつ食べられるか分からないからこそ、出会えた時の嬉しさもひとしおのはずです。夏場は鹿肉がおいしい季節ということなので、これからの時期は鹿カレーに出会える機会が増えるかもしれません。
単身赴任生活が生む温かい雰囲気
家族と離れて暮らしながらお店を続ける岡田さん。その分、お客さんとの関わりを大切にされているように感じます。
お店全体に漂う親しみやすい雰囲気は、岡田さんの人柄が反映されているのでしょう。初めて訪れた方であっても、なんとなく居心地の良さを感じられるのはそうした岡田さんの人となりによるところが大きいのかもしれません。
オープンから約2年半が経ち、BINカレーは着実に地域の方々に親しまれる存在になりました。単身赴任という環境の中で、カレーを通じて新しい人間関係を築いている岡田さん。お店が地域のコミュニティの一部になっているのを感じます。
まとめ
BINカレーは、岡田さんの「びんちゃん」という親しみやすい愛称から生まれた店名が示すように、堅苦しさのない親しみやすいカレー店です。
スパイスの効いた本格的なカレーでありながら、日本人の口に合うよう工夫されているのが印象的でした。
タイミングが良ければ限定のジビエカレーに出会えるかもしれませんし、店内が混み合っていなければ岡田さんとお話しできる機会もあるかもしれません。そんな偶然の出会いも含めて、BINカレーならではの楽しみ方があるお店だと思います。
店舗情報
■住所:〒810-0011 福岡県福岡市中央区高砂2丁目23−3 オメガスペース5000 [MAP]
■アクセス:薬院駅から徒歩12分
■営業時間: 11:30〜15:00(売り切れ次第終了)
■定休日: 火曜
■テイクアウト: 可能
■Instagram: @bin_curry
福岡でミールスが味わえる隠れた名店「インド食堂ワナッカム」【福岡市中央区】
福岡市中央区清川の住宅街に佇む「インド食堂ワナッカム」は、南インド・ケララ州の伝統的な定食「ミールス」が味わえる貴重なカレー屋さんです。
平尾駅から徒歩12分という立地にありながら、本格的な南インド料理を求める人たちで賑わっています。店内は8席のみの特別な空間で、アットホームな雰囲気が漂います。
山下さんが受け継いだ味とこだわり
現在このお店を切り盛りしているのは、オーナーの山下さんです。実は、インド食堂ワナッカムというお店は以前から存在していましたが、2023年6月に山下さんが運営を引き継ぎ、リニューアルオープンしました。
山下さんは元々カレー好きが高じて、カレー屋で働きたいと考えていた時期がありました。そんな時、ワナッカムの先代店主から声をかけられたのがきっかけで、このお店を引き継ぐことになったそうです。
先代の店主は、長年愛されてきたワナッカムというお店に強い思い入れがあり、どうしてもこのお店を残したいという想いがあったといいます。
「最初はプレッシャーもありました」と山下さんは振り返ります。リニューアルオープン当初は、先代の頃からの常連客の足が遠のくこともあったそうですが、山下さんが手掛けるようになってから、新たな常連客も圧倒的に増えているとのこと。お客さんに愛されるお店へと発展していることがうかがえますね。
福岡では貴重な本格ミールスが味わえる
ワナッカムの最大の魅力は、なんといっても本格的な南インド・ケララ州の伝統的な定食「ミールス」が味わえることです。福岡市内でミールスが食べられるお店は限られているため、このようなお店は非常に貴重な存在といえるでしょう。
店内に入ると、温かみのある木製のテーブルと椅子が並び、壁にはインドの装飾が施されています。決して広くはない店内ですが、アットホームな雰囲気で居心地の良い空間です。厨房からは本格的なスパイスの香りが漂い、期待が高まります。
2つのミールスから選べる本格的な南インド定食
ワナッカムでは、「ベジミールス」(1,300円)と「ノンベジミールス」(2,000円)の2種類のミールスが用意されています。
ベジミールスは、豆と野菜のカレー、スープ、副菜、ヨーグルト、バスマティライスがセットになった菜食主義者向けのメニューです。野菜だけとは思えないほど深い味わいで、それぞれの料理が絶妙なバランスを保っています。
一方、ノンベジミールスは、ベジミールスの内容に加えて、日替わりのカレー2種類とワダ(豆で作った揚げ物)が付いてくる、より豪華な内容となっています。この日替わりカレーは、ベジミールスにオプションとして追加することも可能です。
ミールスは伝統的な銀色の大きなプレートに盛り付けられて提供されます。中央に真っ白なバスマティライスが盛られ、その周りに色とりどりのカレーや副菜が並ぶ様子は、まさに芸術品のような美しさです。
スープやヨーグルトでお口直しをしつつ、最後まで飽きることなく食べられるのがミールスの魅力です。
週末限定のビリヤニも見逃せない
毎週土日限定で提供されるビリヤニも、ワナッカムの人気メニューです。最近ではミールスと同じくらい、このビリヤニ目当てで訪れるお客さんが増えているそうです。
ビリヤニは、香り高いバスマティライスと肉や野菜を層状に重ねて炊き上げた、インドの炊き込みご飯のような料理です。一粒一粒がパラパラとした食感で、スパイスの香りが口いっぱいに広がります。
進化し続ける山下さんの挑戦
山下さんは「今後もベースは変えずに、自分なりに合うアレンジを加えていきたい」と語っています。伝統的なミールスの良さを保ちながらも、日本人の口に合うような工夫を凝らしているのが感じられます。
住宅街の中にあるワナッカムは、決して目立つ立地ではありません。しかし、だからこそ落ち着いて本格的なインド料理を味わえる隠れた名店として、多くのカレー愛好家に愛され続けています。
山下さんの人柄も、このお店の魅力の一つです。お客さんとの距離が近く、料理について質問すれば丁寧に説明してくれます。初めてミールスを食べる方でも、安心して食べられるのではないでしょうか。
一人でも、友人同士でも、家族でも、様々なシーンで利用できるアットホームな雰囲気も魅力的です。特に本格的なインド料理を求めている方、新しい味に挑戦したい方には、ぜひ一度訪れてほしいお店です。
まとめ
福岡でなかなか味わえない本格的なミールスが楽しめるインド食堂ワナッカム。山下さんが受け継いだ伝統的な味を大切にしながら、お客さんに愛されるお店へと発展させている姿には、真のホスピタリティを感じます。
西鉄平尾駅から少し離れていますが、訪れる価値は十分にあります。特に週末限定のビリヤニは早めの時間帯がおすすめですが、ミールスも絶品なので、どちらを選んでもきっと満足できるはずです。
本格的な南インド料理を求める方、新しい味覚体験を求める方、そして温かい雰囲気の中で美味しい食事を楽しみたい方にとって、インド食堂ワナッカムは必ず訪れる価値のある特別なお店となることでしょう。
店舗情報
■住所:〒810-0005 福岡県福岡市中央区清川3丁目19−2 [MAP]
■アクセス:西鉄平尾駅から徒歩12分
■営業時間:水曜〜日曜 11:30〜15:00(L.O14:30)、金曜・土曜 夜営業 18:00〜21:00(L.O20:30)
■定休日: 月曜、火曜(変更あり)
■Instagram: @vanakkam_indoshokudo