平均路線価の変動率トップ3は東京都、沖縄県、福岡県
国税庁は2025年7月1日、相続税や贈与税の算定基準となる土地の価格となる路線価を公表した。
国税庁が発表した同年1月1日時点での路線価によると、全国約32万カ所の調査地点における平均路線価の変動率は、2.7%増だった。
変動率自体については、4年連続で上昇しており、その上昇率は現行の算定方法になった2010年以降で最大となっている。
47都道府県の平均路線価で最も変動率が高かったのは、東京都の8.1%増で、沖縄県の6.3%増が続いた。同変動率で6.0%増だった福岡県は、第3位にランクインしている。
47都道府県別における平均路線価の変動率では、35の都道府県が前年を上回り、残り12の県が下回っていた。
平均路線価の変動率を九州圏内でみてみると、第9位:佐賀県3.3%増、第11位:熊本県2.8%増、第17位:大分県1.7%増、第20位:長崎県1.1%増、第29位:宮崎県0.4%増、第35位:鹿児島県0.1%増だった。
今回、全国的に路線価が上昇している要因としては、引き続き好調なインバウンド(訪日外国人)需要による観光地での別荘建設が相次いでいることに加えて、マンション需要の高まり、都心の物件価格高騰、さらに大都市圏近郊も含めた再開発の活発化などが考えられている。
出所:国税庁『令和7年分:財産評価基準書路線価図・評価倍率表』
福岡市で45年連続トップの渡辺通りは最高路線価ランキングで5位
全国32万所の調査地点において、路線価の最も高かった地点は40年連続で東京・中央区銀座5丁目の銀座中央通りだった。
同地点の路線価は、1平方メートル当たり4,808万円であり、前年比で8.7%増となっている。
第2位に大阪市北区角田町の御堂筋が前年比3.2%増の2,088万円で入り、続く第3位に横浜市西区南幸1丁目の横浜駅西口バスターミナル前が同1.4%増の1,720万円でランクインした。
さらに第4位に名古屋市中村区名駅1丁目の名駅通りが同0.0%の1,288万円で入り、第5位に福岡市中央区天神2丁目の渡辺通りが同2.5%増の968万円でランクインした。
福岡県内の路線価最高位の渡辺通りは45年連続で福岡県内トップであり、九州で最も路線価の高い地点にもなっている。
そして、渡辺通りの路線価は、福岡市の都心部機能更新誘導方策『天神ビッグバン』がスタートした2015年からの10年で約2倍に上昇している。
出所:国税庁『令和7年分:財産評価基準書路線価図・評価倍率表』
【参考】〝一物四価〟とも呼ばれる不動産価格のまとめ
同一の土地であっても、目的や評価方法によって、不動産価値は異なってくる。
不動産価値のベースになっているのは、〝時価〟である。
つまり、実社会において、いくらで取引されているかが、一つの判断基準になるのだ。
時価に基づいて、公示地価、基準地価、路線価(相続税路線価)、固定資産税評価額が決められており、時として〝一物四価〟といわれることもある。
4つの不動産価格を整理すると、次のようになる。
【公示地価】
毎年1月1日時点での土地の標準価格を国土交通省が毎年3月下旬に公表する。
公示地価は、土地の基本的な価格であり、土地取引の目安とされる。
【基準地価】
毎年7月1日時点での地価を各都道府県が9月下旬に公表する。
基準地価の公表は公示地価の半年後であり、地価変動を補完する役割も担う。
公示地価、基準地価に加えて、課税のための評価基準が、相続税路線価と固定資産税評価額だ。
【路線価】(相続税路線価)
国税庁が実施して公示価格の8割。
【固定資産税評価額】
固定資産税を徴収する市町村(東京23区は東京都)が実施し、公示地価の7割をめどとする。
なお、路線価(相続税路線価)、固定資産税路線価は、公示地価を基準にしており、地価の最上位基準は、公示地価である。
参照サイト
国税庁『令和7年分:財産評価基準書路線価図・評価倍率表』
https://www.rosenka.nta.go.jp/