博多駅から徒歩8分。博多駅南のオフィス街に佇む「カフェ・エスプレッソ」
今回ご紹介する「カフェ・エスプレッソ」の場所は、福岡市博多区博多駅南。博多駅筑紫口から徒歩8分、オフィス街の一角に居を構えています。
お店の並びには筑紫通りを隔てて、有名ラーメン店「博多一双 博多駅東本店」があります。
レンガ調の外壁にグリーンの看板が映える外観。看板や窓には創業年である「SINCE 1980」の文字が。今年でちょうど創業44周年にあたります。
入り口横にはメニューが掲示されているので、入店前にチェックしておきましょう。
ちなみに営業時間は10:00〜15:00のたった5時間のみ!タイミング逃すと入店できませんのでご注意を。
ゆるい空気が流れる、落ち着いた雰囲気の店内空間
入店すると、10人が着席できるL字形のカウンターが目に入ります。
このような手の込んだ造作は昭和の喫茶店ならでは。現代ではなかなか作れないそうです。
こちらはカウンター向かいのテーブル席。くすんだベージュの壁とコーヒーカラーのソファーの色合いが落ち着いたムードを演出してくれます。ちょうど取材時には壁面を活用して絵画が展示されていました。
明るい日差しが差し込む席も完備されています。店内のスペースに効率良くレイアウトされた席数は30席もあります。
おそらく福岡最古!40年以上前のエスプレッソマシンが鎮座
カウンターの奥に鎮座している年代物のエスプレッソマシンは、1980年の創業直後に導入されたもの。
おそらくですが、現存するエスプレッソマシンとしては福岡最古。
現役のバリスタさんにとっては、きっと歴史的価値のある一台!
メインはイタリア「ガジア」社のエスプレッソマシン、その上にアメリカ「ギャラクシー」社のカプチーノマシンを組み合わせているそうで、特にカプチーノマシンの装飾が美しすぎるんです!
今のエスプレッソマシンはボタンひとつでコーヒーが抽出できる自動式ですが、40年前のエスプレッソマシンは手動式。レバーを下げて圧力をかけてコーヒーを抽出していたんだそうです。
現在このマシンでコーヒーを抽出していないそうですが、蒸気を出すスチーム部分は今なお使用しているとのこと。
カフェ・エスプレッソの歴史
マスターの桃根浩憲さん。シンボルのエスプレッソマシンとともに。
「カフェ・エスプレッソ」が誕生したのは1980年(昭和55年)。元々「庵道珈琲」で働いていた先代オーナーが独立開業という形で博多駅にほど近い博多駅南一丁目に1号店をオープン。その1年後に「庵道珈琲」時代の同僚だった現在のマスター・桃根浩憲さんが加わりました。
先ほど紹介したエスプレッソマシンは、先代オーナーが「これからはエスプレッソの時代だ!」という先見の明で導入を決意したもの。当時にしては車が買えるほどの高額だったため、銀行から融資を受けようと相談したところ「そんな高額なコーヒーマシンを買っても採算がとれない」という理由で融資を受けることができず、「それならば!」と自腹で購入。
当時福岡ではまだ珍しかったエスプレッソが話題となり、多くのお客さんが来店。マシンの購入代金はわずか1年ほどで回収できたそうで、銀行担当者もかなり驚いていたんだとか。
今では多くのコーヒーショップが提供しているエスプレッソ。ここ福岡での元祖は「カフェ・エスプレッソ」と言っても間違いないでしょう。
そうして一躍人気店となった「カフェ・エスプレッソ」。1984年には現在の場所に2号店がオープン。桃根さんは2号店の店長として配属されました。当時この界隈はまだ開発途上で、まわりにはネギ畑があったんだそうです。
やがて時代はバブルへと突入。博多駅まわりの開発も進み、人の流れや嗜好が変わったこともあり1号店は閉店することに。2号店だけが残った状態で、1988年より桃根さんが先代オーナーより「カフェ・エスプレッソ」を譲り受けました。
年々発展していく博多駅界隈。博多駅南も駅から近いオフィス街として数々のビルが立ち並ぶようになり、オフィスワーカーも増加。そのニーズに応えるべく、「カフェ・エスプレッソ」もコーヒーメインではなくランチメインのスタイルへと舵を切るのです。
実はコーヒーより人気!?行列ができる「自家製ペペロンチーノ」
改めてメニューをチェックしてみると、左がコーヒーメニュー、そして右がフードメニュー。その一番上に載っているのがペペロンチーノ。
なんとコーヒーよりもペペロンチーノが人気なんだそうで、1日の来店者の実に7割がこのペペロンチーノをオーダーしているんだとか!
そんな話を聞いたら、食べてみるしかないでしょー!
こちらが「ペペロンチーノ」税込700円。このメニューはマスターが熊本「うぶやま香草園」の香草ソルトと出会ったことがきっかけ。そのあまりの美味しさに惚れ込み、香草ソルトの特性を活かしたメニューを開発していく中で誕生したんだそうです。
使用している素材にはこだわりがあり、イタリア産パスタを筆頭にエジプト産のバジル、スペイン産のEXバージンオリーブオイルとピュアオリーブオイルの混合オイル、青森県産にんにくに山形県産チョリソソーセージ、福岡県産の特注ベーコン、そして輪切唐辛子は横浜中華街から取り寄せたもの。
マスター曰く「腕がないなら、いい素材を使おう!をモットーにしている」そうです。
別添えの粉チーズをたっぷりかけていただきます。普通のペペロンチーノは茹で上がったパスタをにんにくを炒めたオリーブオイルに絡めて作るのですが、こちらのペペロンチーノはオリーブオイルでしっかり炒めているので、いわば「ペペロンチーノ焼きそば」のような食感。
しっかり炒めた分、味が凝縮されている上、ベーコンやソーセージの塩味が食欲をそそります!しかも唐辛子もしっかり効いてます!かなりクセになる味わいで、ランチタイムには行列ができることもしばしば。
ちなみに通常サイズは100gですが、プラス100円で145gの中盛り、プラス150円で200gの大盛り、プラス300円で260gの特盛りにもできますよ。
マスターセレクトのコーヒーもバリエーション豊富!
店名が「カフェ・エスプレッソ」なだけに、コーヒーのバリエーションも魅力。ストレートコーヒーは「ブラジル・サントス」「コロンビア」など10種類が用意されており、コーヒー豆は南区長住にある「北野珈琲」によるオリジナル焙煎のものを使用しています。
メニューにはそれぞれマスターの一言コメントが添えられているのでこちらも要チェック。
なお、アイスコーヒーは銅のカップでキンキンに冷えた状態で提供してくれるので、暑い日には美味しさも倍増です。
アレンジコーヒーのひとつ「カプチーノ」は税込650円。エスプレッソにクリーム状に泡立てたふわふわのミルクが加えられ、上にはココアパウダーと刻んだチョコレートが浮かびます。
添えられているのはシナモンスティック。これでカプチーノをかき混ぜるとシナモンの香りも楽しめます。今ではあまり見かけないスタイルですが、昔の日本はエスプレッソが普及していなかったため、こうして甘くしたり香りづけして飲まれていたのです。かつての名残りですね。
さらに「ブラインドコーヒー」という面白いサービスも実施中。
スタッフが銘柄を隠して提供するストレートコーヒーを10種類の中から当てるというもの。見事当たれば300円で飲めちゃいますよ!(外れたら550円のお支払いです)
コーヒー通の方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
創業から44年、博多駅南に居を構えて40年。近隣の博多駅界隈は時代とともに目覚ましい開発が進んでいますが、「カフェ・エスプレッソ」は長年ずっと変わらぬスタイルで、近所のオフィスワーカーたちの良き居場所として今日も営業しています。
カフェ・エスプレッソ
住所:福岡市博多区博多駅南2丁目1−26
電話番号:092-473-7825
営業時間:10:00~15:00
定休日:日曜日