今回は博多の須崎町に本店を構える、福岡を代表するお菓子メーカー「石村萬盛堂」に伺いました。
育った家から1番近い和菓子屋さんが石村萬盛堂でした。私が和菓子を好きになったのは石村萬盛堂なしには語れない、といっても過言ではないほど、物心ついた時からお世話になっているお店です。
リニューアル前の歴史ある店舗もとても好きでしたが、新しくなった店舗は大きな暖簾が目印。明るくカフェのような、いい意味で和菓子屋さんらしくない店舗に生まれ変わり、この夏で3年目を迎えるそうです。
定番の福岡土産「鶴乃子」
石村萬盛堂の始まりは1905年、明治38年のこと。
「競争はするな勉強をせよ。人が角いものを作ればこちらは丸いものを作れ」。創業者の石村善太郎さんは、人と争わず共生しようとするこころを持つこと、人の真似をせず独創的な菓子づくりをすることを信条としていたんだそう。そんな思いのもと生まれたのが石村萬盛堂を代表するお菓子「鶴乃子」です。
創業当時、石村萬盛堂は日本三大銘菓「鶏卵素麺」を製造していました。その製造過程で卵白が大量に残ることから、卵白を使って作られる淡雪(あわゆき)と餡をつめた鶴乃子が誕生しました。
最近では季節限定の味も楽しむことができ、春は抹茶、秋は栗、冬はあまおう苺みるく、そして今の時期は日向夏と抹茶を楽しむことができます。
もふもふっとした丸いかわいらしい見た目は何度見ても癒されます。日向夏は思っていた以上にしっかりした果実感を感じることができ、ほろ苦さもアクセントになっています。夏にぴったりのとても爽やかな鶴乃子です。
そして、本店ではカフェが併設されており、ここでしか味わうことのできない、作りたての「生マシュマロ」がのったスイーツやドリンクが提供されています。
今回はこれからの季節にぴったりな「夏雲スカッシュ」をいただきました。マシュマロを入道雲に例えたなんとも芸術的なドリンクです。飲んでいるだけでこれからやってくる夏が楽しみになります。他にもアイスクリームとマシュマロを味わえるスイーツ「つるのこのこ」も人気です。
新銘菓「祝うてサンド」
続いて紹介する祝うてサンドは、2021年に誕生したお菓子。
「よーお」(パン・パン)
「もひとつ」(パン・パン)
「祝うて三度」(パパン・パン)
福岡・博多に地元独特の手締め「博多手一本」。博多のお祝いの席、行事の“締め”に欠かせない風習です。そんな風習から誕生したのが「祝うてサンド」。本店では一番人気の商品なんだそうです。この「博多手一本」の風習は、博多祇園山笠から始まったんだそうです。
手一本を連想する、かわいい手形のクッキーにほろ苦いキャラメルクリームとキャラメリゼしたくるみがサンドされています。
おめでたい気分になれる「祝うてサンド」は手土産にもピッタリ!もらって、贈って、食べて!楽しい気分になれるお菓子です。
「祝うてサンド」のほかにも、塩豆大福やプチガトーなどたくさんのお菓子があります。私にとってはどれも、それぞれに思い出がたくさん詰まったお菓子たちです。
和菓子、洋菓子、食べたい気分に合わせて、贈る相手に合わせてお菓子を選ぶことができる豊富なラインナップは福岡のお菓子文化を物語っています。取材の日は観光客の方も多く、県外の方、そして海外の方へこのお菓子文化が伝わっていく瞬間を見ることができ嬉しかったです。
リニューアルしてさらに進化を遂げた石村萬盛堂。地元の方にこそ改めて味わってほしいお菓子たちです。
店舗情報
石村萬盛堂 本店
住所:〒812-0028 福岡県福岡市博多区須崎町2−1[map]
営業時間:
【本店】10:00~19:00
【つるのこの工房】10:30~18:00 (13:00~14:00は昼休み)
TEL:092-291-1592
定休日:毎月第3水曜日
駐車場:無
HP:https://www.ishimura.co.jp/