大学生ライターが行く!福岡のアート発見・再発見〜新天町の大時計塔〜後編

現役大学生の目から見た福岡を、「パブリックアート」を切り口に取材してもらう企画・「大学生ライターが行く!福岡のアート発見・再発見 〜新天町の大時計塔〜」。新天町の大時計に、さらなる秘密がありました。今回は、後編をお届けします。

前編はこちら→「大学生ライターが行く!福岡のアート発見・再発見 〜新天町の大時計塔〜 前編」

 

前回の「大学生ライターが行く!福岡のアート発見・再発見 〜新天町の大時計塔〜 前編」では新天町の大時計が「メルヘンチャイム」という名前であることや、作られたきっかけなどをご紹介しました。

 

しかし、実はまだまだたくさんその魅力がありまして、今回は音楽やデザインなど、メルヘンチャイムをより深く掘り下げます!そして新天町から見た福岡・天神への思いも、前編同様株式会社しばた洋傘店の代表取締役、柴田嘉和さんに伺いました。

 

音楽の「再発見」~18時は飲みに出る合図!?~

 

前編でご紹介した新天町の大時計、正式名称は「メルヘンチャイム」ですが、実は時間帯によって流れる音楽が違うことを知っていますか? 流れる音楽にも、たくさんのこだわりがあるそうです。

 

 

 

柴田社長「メルヘンチャイムを作ったとき、宣伝部の部長さんがすごく音楽好きだったので、その時間帯の雰囲気に合わせて鳴らすメロディーを選んだんです。

 

17時は、恋人同士が夜どこかへ遊びにいく為に待ち合わせる時間だから『ラバーズコンチェルト』とかね。他にも、13時にどんたく囃子が入って、18時に黒田節が入って……。

 

どんたく囃子は、新天町が毎年どんたくに出てるんで、それをみんなに覚えてもらいたいっていう理由で選びました。あと、18時はその部長が結構酒好きな人だったんで、それでもう18時は“黒田節”になったんですよ(笑)」

 

簡単に説明すると、黒田節というのは、福岡の偉人である黒田長政などにまつわる歌です。『酒は呑め呑め〜』という歌詞から始まるなんとも陽気な音楽なので、一度聞くと耳に残ります。

 

つまり、その部長さんは「18時からは酒を呑もう!」という思いを込められていたんですね!18時の音楽が飲み屋に繰り出す時を告げる音…自由で素敵です!(笑)

 

このお話を聞いてからメルヘンチャイムの音楽を聞くと、設置当時の人々や街の雰囲気までもが伝わってくるようでした。

 

鐘の「発見」とイベントの「再発見」~チャイムの鐘を使った、参加型イベントの原点!?~

 

時間によって多様な音楽を奏でる12個の鐘。実はこの鐘の調整をするのは難しいそう。

 

 

柴田社長「キレイに鐘を打つのが結構難しいんです。今は電気仕掛けで打つようになってるんだけど、それが強すぎると鐘が痛むし、ギリギリだとだんだん当たらなくなってくる。たまにいくつか音が飛ぶんだけど(笑)」

 

手動で調整されたりもするそうで、キレイな音を出すのはとても労力がかかるそう。その時々によって違う音、それも味ですね!そんなメルヘンチャイムの肝とも言える、鐘の遍歴も伺いました。

 

柴田社長「前はね、全部オランダの鐘の仕組みが上にそのままあって。紙に穴が開いた楽譜が時間になるとくるっと回って、音が鳴り出していたんです」

 

昔は時計塔の上部に、オルゴールや自動演奏ピアノのような仕組みがあったそう。その当時のアートだけでなく、技術も輸入されていたんですね。

 

すると柴田さんは「あっ」と思い出したように、メルヘンチャイムの下を指さしました。

 

柴田社長「そうそう、昔はそこで、オルガンの形の同じ仕組みのものを下に持ってきて、みんなに弾いてもらうっていうのをやったこともあるね。あの音をオルガンで鳴らせたんですよ」

 

 

 

1988年に行われたメルヘン広場のカラー舗装完成記念イベントのときの写真です。まだアーケードの屋根がありません!(驚)

 

電気仕掛けではなかったからこその、当時ならではのイベント。物珍しさから多くの人が集まったそうです。ぜひまた似たような、鐘にまつわるイベントを期待したいです!

 

そしてこのようなイベントは現在でも常に考えられているそうです。

 

 

柴田社長「メルヘンチャイムのあるこの場所は、現在コンベンションビューローの経済特区なんです。だから道路を占有してイベントに使っていいですよ、という許可が出ています。

 

今年の節分の時には、オープントップバスに乗ったHKT48のメンバー三人がここで豆まきをやりました。この場所にバスがあることもおもしろいですし、とてもにぎわいました。

 

そういう楽しいことがワイワイできる場所がメルヘンチャイムであり新天町なんです」

 

今は人工雪を降らせたり、メルヘンチャイムにも雪の結晶の電飾などが飾られています(2020年2月取材時点)。

 

前編での『四季の楽しみを伝える商店街』というコンセプトや『人を喜ばせたい』という思い。ここにもその思いが現れていました。

 

新天町の「あたたかみ」の秘密~来るとほっとする秘密~

 

そんな楽しいイベントを常に考える柴田社長や新天町の皆さんは、こんな思いもお持ちでした。

 

柴田社長「今はネットでなんでも手に入るからね。やっぱり商店街に来なきゃ味わえないものがあったほうがいいなって。ただ買い物をするだけじゃなくて、人との関わりとかを大切にしたいなと考えています」

 

その一つがイベントという形で現れているそう。他にも明るさの調整など、多くの工夫をされています。

 

確かにメルヘンチャイムの後ろからも自然光が差し込んでいて、屋根があっても無機質さを感じさせない工夫が見られました。

 

 

そんなあたたかみのある新天町。私が幼い頃から時計塔を見て楽しんでいたこともきっと皆さんのこうした思いがあったからなんだとじんわり感動しました。そしてさらに、驚きの秘密が!

 

柴田社長「一番の『あたたかみ』の元は、新天町の雰囲気だろうね。明るさとか、色合いとか、デザインとか。実は時計塔を改築する時に、『最初から古い感じだったら、時間が経っても古い感じにならないんじゃないか』っていう意見が出て、今のデザインに決まったんです(笑)

 

新しいものっていうのはどんどん変わっていく。だから新しいデザインはどんどん古く感じることもあるけれど、最初から古い感じにしておけば、古くならないかなって思ってね(笑)」

 

ということで、時計塔はあえてレトロな雰囲気になったんだそうです!慣れ親しんだレトロ調のデザインに、まさかそんな戦略があったとは知りませんでした(笑)。

 

その工夫が今の新天町の良さを作り上げていると思うと、素晴らしいアイディアだったと感心してしまいます。

 

私が長年心惹かれてきた理由はまさにその思いに共鳴していたんですね。

 

 

また、新天町のロゴにも時計のモチーフが使われています。メルヘンチャイムは、新天町の雰囲気を形作る、不可欠な存在となっていることがわかりますね。

 

天神のこれからとメルヘンチャイムのこれから~人々のつながりが残る場所~

 

天神は2024年に向け、『天神ビッグバン』という再開発が進行中です。天神ビブレ等の主要施設の閉店もニュースに取り上げられ、これからの天神への期待が高まっています。そんな変わりゆく天神で、メルヘンチャイム、また新天町のこれからを伺いました。

 

柴田社長「何しろビッグバンだから、今のうちに改築をしてって言われてるんだけどね(笑) この時計塔は残して欲しいという声も多いですね」

 

新天町がここにある限り、メルヘンチャイムもある。そう言い切った柴田社長。

 

柴田社長「天神ビッグバンは、大きいビルになりますっていう話ばっかりで……。それじゃなんか寂しいなって思ってね。だから新天町は“人が行きたくなる場所”とコンセプトを守っていきたいですね」

 

福岡が都市として育ってきた歴史が刷新されてしまうのは、少し寂しい気もします。そう言うと、柴田社長は笑顔を浮かべました。

 

柴田社長「その心配もあるけど、まぁなんとかなるのかなって思っています(笑) 天神ビッグバンは福岡市が進めていますが、天神には『都心界』という会があります。

 

その会は昭和23年からあるのですが、『みんなでたくさん天神にお客様を集めましょう』という思いで作られた会です。今もその思いを持っている人たちがやっているから、大丈夫だと思いますよ」

 

そう言って大きく頷いた柴田社長。

 

私も天神ビッグバンに対しては「見慣れた天神が変わってしまう」という焦りも持っていたのですが、この言葉ですっかり安心しました。

 

新しいものとこれまでのものが溶け合う天神は、今以上に魅力的になるのではないかと思います。

 

春から東京で社会人になる私ですが、帰省するたびに、変わらずに変わり続ける天神を見ることが楽しみになってきました。

 

そして最後に、今後のメルヘンチャイム、また新天町に望むことについてお伺いしました。

 

柴田社長「やっぱり実際に足を運びたい、行きたいと思ってもらえる場所にしたいですね。その“行きたさ”は歴史が作り出すものだと思うから、今の雰囲気は守りつつも、時代に取り残されないように考えながら(笑) とにかく基本的には人間臭いところがある商店街であってほしいなと思っています」

 

 

メルヘンチャイムの人形のように、人々のつながりが残る場所にしたい。そんな思いが強く伝わってきました。

 

福岡に来たときには「福岡のあたたかみ」を発見できる場所。福岡に戻ってきたときには「やっぱりここが落ち着く」と、福岡の良さを再発見できる場所。そんな素敵な新天町の在り方を、メルヘンチャイムは示していました。

 

今回の取材に際し、快くインタビューを受けてくださった柴田社長、またご協力いただいた新天町事務所の方々にお礼申し上げます。

 

記事:見潮美宥 写真:大畑来夏(九州大学芸術工学部4年生)

 

——————————————————-以上、前後編に渡ってお届けしてきた「大学生ライターが行く!」企画、いかがでしたでしょうか?
インターネットで誰でも気軽に発信できるようになり、大学生も社会人に負けないITスキルを持って学業に励んでいます。しかも今回記事を担当してくれたライターの見潮さんとカメラマンの大畑さんは、すでに発信にもとても慣れていて、取材に関して編集部も戸惑うほどに自ら率先して進めてくれました。
二人はこの春から社会人となります。働き出したあとも、たまに新天町やメルヘン広場のことを思い出してほっこりしてもらえたら嬉しいなと思います。
見潮さん、大畑さん、ご卒業おめでとうございます!春から、頑張ってステキな社会人になってくださいね。——————————————————

 

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大学生ライター
見潮 美宥
1996年、福岡市生まれ。九州大学芸術工学部画像設計学科4年(2020年3月現在)。妹尾研究室所属。「クリエイターによる心理学」として、卒業論文・卒業制作を行なった。個人にて『musica プロジェクト』を立ち上げ、3Dアニメーション制作、Webサイト運営、小説制作、グッズ制作などを行っている。

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