もはやPodcast代表!「コテンラジオ」とは?
第3回JAPAN PODCAST AWARDSで「殿堂入り」を果たした「コテンラジオ」。このPodcastを運営している「株式会社COTEN」は、福岡発のスタートアップ企業です。
「コテンラジオ」は株式会社COTEN(以下、コテン)の広報活動として2018年11月に始まった歴史系Podcast。コテン代表の深井龍之介さん、メンバーの楊睿之(通称:ヤンヤン)さんと株式会社BOOK代表の樋口聖典さんの3名が、日本と世界の歴史を面白く、かつディープに、そしてフラットな視点で伝えてくれるインターネットラジオです。
そのおもしろさにハマるサラリーマンが続出中!
この数年で瞬く間にファンが増え、今年3月に開催される「JAPAN PODCAST AWARDS」では「殿堂入り」となりました!
フクリパでは、これまでコテンの代表・深井龍之介さんからスタートしたコテンメンバーのご紹介記事「コテンリレー」をお届けしてきました。
そして先日発表されたコテンの「ポスト資本主義」。
COTEN CREW(コテンサポーター)の皆さんの間でもこの新しい考え方に様々な意見が出始めており、いよいよコテンは新たなフェーズへ舵を切りました。
今回から何回かにわけて、そんな新フェーズ後のコテンの向かう未来についてご紹介していきます。まずはじめに、以前にも登場いただきました、佐野貴(以下:たかちん)さんに改めてお話を聞いてみました。
たかちんさんはCGO(Chief Genius Officer)という役職で「全社員の才能を引き出して、その才能が活かされる状態を作り、会社のパフォーマンスを上げる」仕事をされています。
コテンリレー #04 才能を見出し発掘することで這い上がった。株式会社コテンCGO・たかちん(佐野貴)さんが考える才能の魅力に迫る!
たかちんさん視点での「ポスト資本主義」、そしてそれを実現するための「才能を活かした組織づくり」は、資本主義的には評価されていなくても、社会への貢献に寄与する才能であればそこに光をあてたいという、とてもワクワクする内容でした。
才能の観点で見る「ポスト資本主義」とは
たかちん
資金調達や法人/個人COTEN CREWからの資金を世界史データベース事業にダイレクトに使うことで、データベースが完成し人類のメタ認知に貢献できることをベネフィットとしてほしいというコテンのメッセージは、「お金の流れを変える」=支払った対価を自分の手元に置くのではなく、別のもっと広い価値に使う、という考え方。これがコテン流の「ポスト資本主義」です。
たかちん
言い換えると、「儲かるから投資する」「欲しいから買う」の2つだったお金を使う目的に、「社会や次世代のためになるからサポートする」を加えませんか、という提案です。
ちなみに、経済的価値も感情的価値もなくならないと思っているので、既存の資本主義を否定する概念ではないです。
未来価値を重視することで、これまでだと投資対効果(経済的価値)がないと認識されていた人の才能にお金を使うことができるようになるんです。
例えば、コテンの歴史調査を担うチームのメンバーがまさにそうで、彼らは資本主義社会では本来得意とすることでお金を稼ぐことが難しい中、コテンだと才能を発揮できているんです。
ディオゲネスチームの室越さんは、海外でフィールドワークをされていましたが、研究者として得た知識や経験を活かす仕事を見つけるのは非常に難しいとおっしゃっていました。
▲ヤンヤンさん(左)と室越さん(右)
コテンで室越さんが才能を活かして仕事をされているのは、コテンのポスト資本主義的考え方だからこそ実現しているわかりやすい例ですね。
「経済的価値」にも「感情的価値」にも合致せず、「お金にならない」とされてきた領域のひとつである「人文学」。そこに「社会や次世代のためになる」という「未来価値」を見出し、コテンはお金を出しています。この状態こそがコテンが実現したいと考えている未来なのだと思います。
たかちん
才能の定義は「ついついやってしまうこと」だけではなく、「個人の欲求」が鍵
たかちん
コテンは「より多くの人が自分と人のために考え行動している社会」をビジョンに掲げ、「メタ認知を高めるきっかけを提供する」ことをミッションにしています。なので、「メタ認知を高めるきっかけを提供したい」という欲求を持っている人達が働くことで才能を発揮できるわけです。そして、自分の役割がミッション、ビジョンに繋がっていることが大切です。
ただ単に自分がやりたいことを主張するだけでは、会社にも社会にも貢献できない「個人的なわがまま」ですが、投資対効果以外の才能でもミッションの実現に寄与できるのなら光をあてたいというこのコテンの考え方は、単なる既存システムへの批判ではなく、とても具体的で建設的です。
CGOとして目指す「才能文化の形成」
たかちん
事業理解が進み、自分が携わる仕事が社会にどう貢献するかが見えていたとしても、「やりたくないな」「不得意だな」と感じる業務は出てきますよね。
ここで直感的、定性的な判断に陥ることなく、制度設計として考えるのがコテンであり、才能博士・たかちんさんがいる才能組織ならではです。
写真右から3人目がたかちんさんです
たかちん
この仕組みを導入すると、社長や上司に遠慮することなく自分の働き方や給料を提案できます。従来の労働環境には「報酬勢力」というものが存在しています。「報酬勢力」とは心理学の用語なのですが、報酬決定者が行使できる潜在的な圧力を意味します。例えば「報酬勢力」が存在する労働環境では、「社長や上司にこんなことを言ったら報酬に影響が出るんじゃないか」といった思考に陥りがちです。しかし給与自己申告制度では、本人の要望と会社の要望を全てテーブルに出した状態で話し合う前提であるため、この「報酬勢力」が極限まで無力化するんです。
そうすると、周囲の反応や自分の給与への影響を気にせずに思ったことを言えるようになります。
また、経営者視点に立ち、お金の支払われ方がわかるようになるため、自分がいまやっていることが人類の発展にどう寄与しているのかがわかるようになります。さらに、自分の才能を発揮させることができる環境がコテンにはあることをメタ認知でき、自分の才能にお金を払ってくれるステークホルダーにも感謝できるようになります。
コテンはビジョンに基づく才能組織形成への取り組みはもちろんなのですが、こうして一つひとつの事象や調整すべき課題にしっかりと定義づけを行うことで組織作りのPDCAを回しているのだと改めて思いました。
今までとは違う才能組織を作りたい
最後に、ポスト資本主義を実現するための才能組織の形成において、給与自己申告制度以外にもやっていること・やっていきたいことがあるとたかちんさんが語ってくれました。
たかちん
現時点での具体的な取り組みとして、下記の通りです。
<才能への理解促進>
●才能勉強会
毎週、全メンバーを対象に才能についての勉強会を実施しています。会社全体として才能リテラシーを上げ、一人ひとりが才能を意識してより活用できるようにすることを目的としています。
●才能診断のスキルトランスファー
上記の勉強会とは別に、「才能診断」スキルをメンバーへ教えています。知識の伝達と実践を繰り返し、もうすぐ「才能診断」ができるようになるところまできているメンバーもいます。
●才能1on1
各メンバー毎に役割と業務内容を明確にし、その役割を達成するまでの過程を整理し、どのように才能を活かしているか、今後改善していくかといったことを1on1で行っています。
<メンバーの良好な関係構築>
●毎日の全員MTG
毎朝、全メンバーでMTGを実施しています。全員で話し合いたいと思うことを議題に上げておき、議論します。この「全員で意見を言い合う」場があることが、全員リモートで働くコテンでのメンバーの良好な関係づくりに寄与していると思います。全メンバーMTGの後に雑談することもあります。
●「心理的安全性」の確認
コテンでの「心理的安全性」の定義は「対人リスクを取ってでも、会社にとって意義のあることを言えるか」なのですが、これを数値化して毎日の全員MTGで報告し合っています。誰かの数値が低くなったときも問い詰めたりはしません。周囲はケアしつつもどうするかは本人に委ねます。この「毎日報告する」ことが大切で、業務のスタート時点で自分の心理的安全性について考えることで、自分と周囲の心理的安全性に対するアンテナが高く保てるのだと思います。
●「健康状態」の確認
上記同様、健康状態を数値化して確認しあっています。体調が良い悪いをお互いに知ることで言葉がけが変わり、支え合いが生まれます。
●不安を気兼ねなくシェアする場
最近、社内でコミュニケーションツールとして使っているSlackに「不安や悩みを吐き出せる」チャンネルが設置されました。早速やりとりが発生していて、こういった「受け止めてもらえる」場があることも、メンバーの良好な関係構築に寄与すると思います。
実施していること以外に、今後やりたいこともたくさんあります。COTEN CREWや株主の方々など、コテンを応援してくださっている方々の知見を借りながら共創していけたらいいなと考えています。
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今回のたかちんさん視点での「ポスト資本主義」では、経済的価値、感情的価値に加わる第三の「未来価値」を提唱しており、「従来の2つの価値とは異なるお金の流れ」という提案なのだという表現が登場しました。
この「未来価値」によって、これまで投資対効果としては見られなかった「才能」にお金を払えるようになりますし、そうした才能にはお金を払うべきだ、という考え方がコテンにはあります。
ここでいう「才能」に関しては、個人のわがまま止まりではなく、人類の発展に寄与する欲求であることが重要です。わがままにはなっていいけれど、個人止まりではないという点がポイントですね。
その結果、自分の才能を発揮して社会の貢献に寄与できることが理解できるようになり、自分の仕事に対して支払われるお金の意味が理解でき、さらにはステークホルダーに対して感謝できるという、経営視点に立てる組織になっていきます。
ここでいう経営視点に関して、コテンでは数字ではなくミッションを実現できるかどうかを大切にしているので、「メタ認知を高めるきっかけを提供」できているかどうかが判断材料になります。
ちなみに、こうした「才能組織」を形成していくうえで、コテンが実行しようとしていることを最後にまとめましたが、特に「給与自己申告制度」は、自分がやりたいことを会社に提示し、会社との協議で給与が確定するので、「これを提案したら怒られるのではないか」といった「報酬勢力」が無力化し、個々人の主体性が生まれるという非常に画期的な試みであることもわかりました。
余談として、「やりたいこと」と「才能」の分岐点はどこにあるのかについてもたかちんさんに聞いてみましたが、
たかちん
と返ってきました。
ただし、継続的にできることが必要なので、諦めないこと、そしてこれは当然ですが結果を出すことが重要です。そうした要素を伴う「やりたいこと」には、お金を払うべきだ、というのがたかちんさんの考えです。
そしてここでいう「結果」は経済的価値だけではなく未来価値でもいい、つまりは投資対効果にならなくても、人類の発展に貢献できるならば、たかちんさん視点でのポスト資本主義としては「やるべき」という判断になります。
何かしらの能力を持ちながらも、既存の資本主義のレール上では投資対効果を生めないからと後回しにされてきた「才能」が、人類の発展に寄与できる社会。ぜひコテンと一緒に目指していきたいですね。
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