【石原和幸の夢コラム】

チューリップで始まったかしいかえん。閉園を彩る1万本のアイスチューリップ計画、その結果は?

2021年12月30日に福岡市で唯一の遊園地だった「かしいかえん・シルバニアガーデン」が多くの人に見守られながら閉園し、65年の歴史に幕を閉じました。僕は2017年のリニューアルオープン時に植栽のプロデュースをさせていただいて、そこから約5年のお付き合いでした。

「かしいかえん・シルバニアガーデン」の閉園に際し、アイスチューリップを1万本咲かせる

 
「かしいかえん」の前身が「香椎チューリップ園」だったということで、閉園にあたり最後の思い出をチューリップと共に刻んでもらいたいと思い、冬に咲くアイスチューリップを1万本提供することにしました。前回の記事#15では開花調整や準備を進め、満開になるように花の神へ祈るところで終わっていました。
 
あわせて読みたい⇒福岡の人々が思い出刻む「かしいかえん」の幕に、1万本のチューリップ咲かす!

さて、その後チューリップは満開となって文字どおり閉園に花を添えられたのでしょうか!?
気になるところだと思います。果たしてその結果は…。
 

アイスチューリップ1万本計画の結果は!?

 
アイスチューリップは12月14日にスタッフと一日かけて植付けをしました。この日まで温室で開花調整を行ってきましたが、この時点ではまだ蕾も上がってなくて、望んでいた状況から既に遅れていました。正直「ヤバイ」と直感的に思いました。もう少し温室で調整することも考えましたが、興行的なことを考えると日程もギリギリなので、「植えるしかない」と決断しました。
 
少しでも成長が進むよう微生物を含んだ土壌改良剤を土に混ぜ、醗酵作用で地中の温度を上げるようにしたり、表土に黒色のマルチング材を敷いて覆ったりなど、様々な対策をしました。
参考までにいうと、黒のマリチング材で表土を覆うことで何が変わるかというと、日中の太陽光を効率よく吸収し、その熱が土へ伝わり土壌温度を上げ、夜間は保温の役目もし、温度低下を緩やかにしてくれます。 他に、土壌中水分の蒸散のコントロールをする効果があります。

できる限りの対策を講じましたが、やはり冬…。
寒波が到来し雪がチラつくなど、なかなか気温も上がらなかったため、思うように成長を促せず。結果は残念ながら微妙な咲き具合となり、満開とはなりませんでした。

 

閉園の賑わいづくりと、PR効果を考え、「いかに注目を集められるか」を常に意識して行動する

 
いつも僕は、考えるより前に言葉や行動が先になります。
今回も「チューリップで始まり、チューリップで終わる」という素敵なエンディングを思いついて即行で提案しました。アイデアとして思いつく人はいても、実際に行動へ移せる人はなかなかいないと思います。
 
更に言えば、僕は「いかに注目を集められるか」ということを常に意識しています。ここが一般的な造園屋さんや花屋さんと圧倒的に違うところです。
 
何事にも当てはめられると思いますが、「同じことをやったとしても、そこに付加価値をいかに付けられるか心遣いを添えられるか」で、結果には大きな差が出ます。「その特色をいかに磨き作り上げていくか」が、社会で上に上がっていく大きな武器になるのではないでしょうか。
 
僕の場合の強みは、「英国チェルシーフラワーショー」へ何度もチャレンジし、エリザベス女王よりいただいた11個のゴールドメダルに基づけられるブランド力です。
 
今回もアイスチューリップを冬の閉園時に咲かせることで興行的にも閉園へ花を添え、さらに僕が提案したことで話題性も上がり、テレビ、新聞などの各マスメディアからの取材もありパブリシティ効果による大きな宣伝効果が得られ、二重の効果を得られたかと思います。


 

“春の使者”チューリップで、「かしいかえん」最終日の来園者に笑顔と記憶を残せた

 
さて12月30日の最終日には寒い中、今年最高の約9,000人の来園客が訪れました。僕も別れを惜しみながら園内を散策してみると、たくさんの笑顔と世代を超えた家族連れが目につき、「かしいかえん」が長い間愛されてきたことがよく分かりました。また僕のことを知っている人からは「チューリップありがとう」「キレイです」とたくさん声をかけてもらいました。
 

満開とはならないまでも春の使者であるチューリップを寒い12月に先取りし存在感を出せ、「かしいかえん」の最後の思い出にと訪れた多くの来園者の皆さんの笑顔とともに記憶には残せたことは最高の結果だったと思います。
 
今後の跡地活用はまだ白紙のようですが、最寄りの「香椎花園前駅」の名前はそのまま残るということなので、跡地も少しでも「かしかえん」を継承した花緑に囲まれた何かに生まれ変わることを願っています!
 
また、「これまで園内を彩った植物は地域の皆さんへ継承されていく」ということなので、花緑がますます福岡市へ広がって彩っていくことでしょう。僕は大晦日恒例のNHK「紅白歌合戦」で、花で飾られた舞台セットを観て改めて花のパワーを感じました。花は場を華やかにし、見るものにある時は癒しを、ある時は元気を与えてくれます。2022年も花の魅力をより一層発信していきたいと思っています。
 
 

あわせて読みたい⇒12月30日閉園!移住1年のきむ兄が「かしいかえん」で、最初で最後の思い出作り!

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庭園デザイナー
石原和幸
長崎市生まれ。22歳で生け花の本流『池坊』に入門。以来、花と緑に魅了され生花の路上販売から店舗販売、そして庭造りをスタート。その後、苔を使った庭で独自の世界観が「英国チェルシーフラワーショー」で高く評価されこれまで14回出展し計11個の金メダルを受賞。エリザベス女王より「緑の魔術師」と称される。全国で庭と壁面緑化など緑化事業を展開し環境保護に貢献すべく活躍中。

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