未経験で大手メーカーと勝負する!株式会社ウィズキュリオス代表・上崎圭哲さん
2018年にクラウドファンディングサイト「Makuake」で目標金額の5047%、金額にして1,500万円超を叩き出したプロジェクトがありました。それが、有名メーカーのタイヤを使ったキャリーケース「リージェントスクエア」。
https://www.makuake.com/project/regent-square/
クラウドファンディングの実行者である「株式会社ウィズキュリオス」は、福岡県の企業であると知り、早速取材へうかがいました。
広報担当として応対いただいた上崎圭哲さんにお話を聞いてびっくり!なんと、こちらは上崎さんが経験ゼロから立ち上げた会社なんですって。しかも、クラウドファンディングはこのプロジェクトが一発目。「実は、キャリーケースなんて使ったこともなかったんですよ」という衝撃の一言まで飛び出したのです。 けれども、その後に続いたのは華麗なシンデレラストーリーではありませんでした。好奇心とガッツを武器に困難を乗り越えた冒険譚だったのです。
“メーカー経験ゼロ”から飛び込んだ、自社製品開発へのチャレンジ
スポーツクラブに勤務していた上崎さんが、地元福岡を拠点にパソコン一つで起業できるECビジネスに転身したのが2012年。最初は服飾雑貨を輸入してECサイトで販売をしていたそうですが、商売が軌道にのってから次なる目的ができたのだとか。
上崎さん
「グッドイヤー」のタイヤ部分は取り外しも可能。故障したら取り替えることができるのも魅力
ーキャリーケースというアイデアは最初からあったんですか?
上崎さん
香港に本社を構える「Darton group」は14社もの子会社を持つ巨大メーカー。上崎さんの話にもきちんと向き合ってくれたという
キャリーケースの多くが海外の工場で作られています。上崎さんは、中国、香港、イタリア、フランス、ニュージーランドなどへおもむき、現場を直に見ては担当者に話を聞いたそうです。その中で出会った香港の企業「Darton group」に興味を抱いた上崎さん。なんとその場で業務委託の交渉を持ちかけたとか。
上崎さん
初めての展示会での苦い経験が、キャリーケース大ヒットのカギに
せっかくのアイデアが評価されなかったのは、製品が日本用にローカライズされていなかったこと、そして実績が無かったことにあると考えた上崎さん。もっと日本の市場に合わせて考えなければ売れないと、自らキャリーケースの改良を工場に提案します。
ーキャリーケースの改良は、どんな点にこだわって開発されたんですか?
上崎さん
ビジネスバックやお土産まで入れたいという声もあったので、中の仕切りを移動させて容量を調整できるようにしたんです。他にも、日本のユーザーは細かい要望が多いと感じていたので、できるだけニーズをひろっていこうと。実際に空港に行ったり、展示会で会ったメーカーさんに話を聞きに行ったり、必死で情報を集めました
さらに、上崎さんはインパクトのある実績を作るため改良版をクラウドファンディングに出品したのです。Makuakeに登場するや、キャリーケースは予想を超えて大ヒット!その結果は、モノづくりの経験が無かったからこそだと上崎さんは考えています。
上崎さん
キャリーケース本体にUSBポートがあり、ポケットルーム内にモバイルバッテリーと接続できるケーブルを内蔵。手持ちのバッテリーでそのまま充電できる
例えば、キャリーケースに付いているUSBポート。キャリーケースからパソコンにつながっている写真は、ダイレクトに機能性を感じさせます。これも、上崎さんがこだわった見せ方の一つ。
企画からデザイン、広報と、全てに自分が関わっていたからこそ、一貫してわかりやすく、支援者の心に響くプロモーションができたのです。
クラウドファンディング中には、展示会で名刺を交換した企業にも営業をかけていたという上崎さん。プロジェクト開始から、500万円達成、100名達成など、まるで実況中継のようにメールを送っていたそうです。
上崎さん
「クラウドファンディングは営業ツール」。コロナ禍にヒントを得た第二弾も成功
自社製品第二弾として非接触ツールを開発。多くの人に使って欲しいと、1本購入してシェアするともう一本もらえるキャンペーンも実施
クリーンタッチの詳細はこちら
クラウドファンディング後は営業をかけるたびに話がまとまり、全国展開の大手量販店での取り扱いも始まりました。この経験をきっかけに、クラウドファンディングの捉え方も変わったそうです。
上崎さん
ところが、まさにこれから、という時期に新型コロナウイルスが流行。トラベルグッズの動きは、完全にストップしてしまったのです。それでも上崎さんはこの状況からヒントを得て、第二弾のアイデアを進めました。
上崎さん
旅を楽しむようにビジネスで遊ぶ。上崎さんのこれからとは…
上崎さんが一人で動きだしてから約3年、メーカーや工場との関係性も180°変わりました。今では、開発で知り合った海外メーカーが日本のマーケットに進出するために製品開発のサポートも行っているそう。クラウドファンディングの履歴にも、多種多様なアイテムが登場しています。
その中でも、特に印象的なのがスーツケースを共に作った香港の「Darton」とのパートナーシップです。
「リージェントスクエア」は最初のクラウドファンディング後、すぐに東急ハンズ全店で導入された。同年にはコンテストで「ニューフェイス賞」をゲット。上崎さんの大きな自信につながったという
上崎さん
⽇本の ⼤⼿メーカーが⾹港の⼯場に『うちで代わりに作らせて』と交渉した時も、必ず 僕を通すよう⾔ってくれて。本当は⼤⼿企業と直接契約した⽅が彼らにもメリ ットは⼤きいはずなんですよ。でも、デザインや商品開発、販売先を開拓した僕の熱意とアイデアを認めてくれましたし、第⼆弾のプロジェクトも積極的に協⼒してくれ た。今回勝ち得た信頼はお⾦に勝るものがありますね
店舗取り扱いが増えて、さらなる改良が加えられた「リージェントスクエア」。アフターコロナの旅行需要に備えた量産も検討している
「リージェントスクエア」第二弾プロジェクトの詳細はこちら
知らない世界に飛び込んで、失敗を積み重ねながら糧にしていく。なんとも泥臭いトライアンドエラーの一方で、クラウドファンディングなど新しいシステムを利用する。柔軟な活躍の背景にあるのは、「やったことがない道を選ぶ」というモットーです。
上崎さん
目的地に到達したら、また次を目指す。上崎さんのビジネスはまるで旅行者のようなワクワクに満ちています。今の時代だからこそ叶うサクセスストーリーは、こちらの“旅心”にも火を付けてくれるのではないでしょうか。
株式会社ウィズキュリオス
代表 上崎圭哲(ウエサキ タカノリ)
2012年に服飾雑貨を扱う貿易会社として起業して、輸入した製品をAmazonや楽天市場などの大手モールに出品。2018年4月には「楽天市場月間MVPショップ・オブ・ザ・マンス」を受賞した。また、2018年からトラベルグッズの開発に着手し、キャリーケース「リージェントスクエア」の総代理店事業も行う。現在は、海外メーカーとも提携しながら、独自の製品開発を進めている。
https://withcurious.com
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