資金調達だけじゃない、クラウドファンディング

“企業と伴走し成長を育む”西日本シティ銀行ならではの視点で行うクラウドファンディングの取り組み

「クラウドファンディングは単なる資金調達の手段ではありません」 今までの取材の中で、何度も耳にした一言です。金額達成よりも、むしろ自分たちの製品が世の中に必要とされていること、応援してくれるファンができたことの方が将来的な支えになってくれた。そう語る事業者は少なくありません。 支援する側も、事業者が挑戦する姿に励まされるのではないでしょうか。 こういった“モノ”だけではなく“ヒト”を見るクラウドファンディングにおいて、今回取材した西日本シティ銀行デジタル戦略部による「NCBクラウドファンディング」は、事業者にとって最も頼れる仲人役かもしれません。 地域経済に寄り添ってきた西日本シティ銀行が、新たにクラウドファンディングという形で企業支援に取り組む背景には、どのような狙いがあるのでしょうか?

企業の成長を支える西日本シティ銀行的発想がきっかけに

2004年の合併以前から、常にお客さま起点で事業や暮らしをサポートしてきた西日本シティ銀行。本社オフィスではスーツ姿の銀行マンがバリバリ働いているのかと思いきや、デジタル戦略部はどこかクリエイティブな雰囲気です。


グリーンの壁が目を引くデジタル戦略部のオフィス。中途採用の人材も多く、さまざまなスキルが集う
※緊急事態宣言前に撮影したものです

取材に対応頂いた麻生侑希さん、古門真太朗さんもノータイのシャツにジャケットとカジュアルなスタイル。いい意味で銀行らしからぬ空気感は、デジタル戦略部の取り組みにも現れています。


左から、古門真太朗さん、麻生侑希さん。ファッションをはじめ、お客様が話しかけやすい雰囲気作りにも気を配っているそう

デジタル技術を活用し、お客さまにとって利便性の高い金融サービスの企画を機動的に推進する専門部署として2020年4月に発足したデジタル戦略部。2020年9月にはお客さまの事業成長をサポートする取り組みとして「NCBクラウドファンディング」がスタートしました。
デジタル戦略部では、古門さんと麻生さんが中心となって、約30件の案件を進めています(2021年5月時点)。

「NCBクラウドファンディング」が始まったきっかけを教えてください。

麻生さん

通常の融資と違って、クラウドファンディングは資金調達の機能に加え、PRやマーケティングなど様々なものに活用できます。また支援してくれる人の声が届くので、それ自体が励みになるという特徴もあります。このクラウドファンディングを活用してお客さまの成長を支援できないかと思い導入に至りました。

具体的にどんな支援をされているのでしょうか?

古門さん

「NCBクラウドファンディング」は国内最大級のクラウドファンディング「CAMPFIRE」のプラットフォームを活用し、「CAMPFIRE」の提携先であるQTnetさんと連携して運営しています。

クラウドファンディングにプロジェクトページを立ち上げる場合、通常であればお客さまご自身でクラウドファンディングサイトにログインしてページをつくりますが、当行ではお客さまの課題をヒアリングの上、プロジェクトの起案から公開、達成までの実務やアドバイスなどをQTnetさんと連携してサポートしています。このサポートに対して別途費用がかかるということは一切なく、お客さまご自身でプロジェクトページを立ち上げる場合とかかる費用は同じです

また、コロナ禍の影響もあって社会的にクラウドファンディングの利用がかなり増えています。「CAMPFIRE」だけでも多ければ1万件を越す掲載があり、そのまま掲載するだけでは埋もれてしまうことも多いです。「NCBクラウドファンディング」をご利用いただくことで地域に特化した専用Webサイトへの掲載や西日本シティ銀行の公式アプリやSNSなどでもプロジェクトをご紹介させていただくことができます

フェイスtoフェイスの強みでクライアントの不安を解消

クラウドファンディング初心者にも心強いサービスですね。でも、無償ということは西日本シティ銀行としてのメリットがないのでは?

麻生さん

確かに、目先の利益だけを考えればメリットはないように思われるかもしれません。しかしクラウドファンディングの活用で、資金調達やお客さまの知名度が上がり成長すれば地域の活性化にもつながり、西日本フィナンシャルホールディングスグループの「地域の発展なくして当社グループの発展なし」という信念にも通じてきます。そうやって常にお客さまの発展を考えながら一緒に成長するのが、私たち地場の銀行にとって重要だと考えています


西日本シティ銀行のウェブサイトでもクラウドファンディングの取り組みを告知している

古門さん

福岡をはじめ九州には歴史もあり、素晴らしいサービスやモノづくり技術を持つ企業がたくさんあります。製品にかける熱意や技術、そして歴史といったストーリーはクラウドファンディングの仕組み上、とても相性がいいと考えています。そして何より、取引先であるお客さまの素晴らしさをもっと世の中の人に知ってもらいたいという想いもあります

デジタル戦略部に所属する前、古門さんと麻生さんは営業店の営業担当として数多くの企業や事業主の方と向き合ってきたそうです。面と向かって対話を重ねたからこそ芽生えた地域企業への想いも、この事業を支える理由の一つです。クラウドファンディングにもその経験が生かされているとか?

麻生さん

クラウドファンディングの多くはインターネット上のサービスで、基本はオンライン完結になるかと思います。コロナの影響でオンラインでの対応は浸透してきているものの、お客さまの中にはオンラインだけではまだまだ不安という方もいらっしゃいますので、不安な点があれば何でもサポートしたいと考えています。支店勤務時と同様に、地銀としてお客さまに寄り添う姿勢は変えず、お客さまお一人おひとりのお悩みに応えていきます。

地域を支えてきた誇りが新たな成長の芽を育てる

「NCBクラウドファンディング」がスタートして8ヶ月あまり。成果や課題が具体的に現れるのはまさにこれからという段階ですが、反響が大きかったものを2件ご紹介いただきました。

【秘湯“湯平温泉”コロナ×豪雨被災から復活させ、疲れた心とからだを癒したい!】

プロジェクトページはこちら

「NCBクラウドファンディング」第一号のプロジェクト。旅館業と飲食業を営む「鷹勝グループ」の一つで、大分県にある湯平温泉の旅館『癒しの宿 鷹勝』さんが発起人。

コロナ禍で客数が減り、さらに九州豪雨で大きな被害を受けた湯平温泉。温泉街の共同浴場も再開できずにいるそうで、“一人でも多くの方に湯平温泉を楽しんでほしい”とコロナ対策を考慮した「貸切立ち寄り湯」の新設目指しプロジェクトがスタート。クラウドファンディング上のみならず大きな反響があったそうです。

麻生さん

当行の営業担当者がクラウドファンディングのご案内をしたのがきっかけでプロジェクトがスタートしました。系列の飲食店での募金箱設置に加え、専用サイト「NCBクラウドファンディング」で紹介することで、普段では届かない層の方にも情報が届いて、支援金額も一気に増えました。

さらにそのPR効果で旅館の予約数も大幅に増えて、結果的に目標金額近くまで達成できました。地域の活性化を目指す当行にとっても嬉しい結果でしたね。私も立ち寄り湯が完成したら行きたいと思っています。

【キャンプにおすすめ 暗闇専用ボードゲーム!家族・友達と協力してお宝探し】

プロジェクトページはこちら

キャンプ女子株式会社(福岡市中央区大名)が開発したボードゲームの商品化プロジェクトです。国内最大級女性キャンパー向けコミュニティ『キャンジョ』の運営や、商業施設などとコラボでキャンプ企画・運営など、幅広く手掛ける“キャンジョ”だけあって、ボードゲームもかなりユニーク。なんと暗闇で遊べるんですって。

小さな子どもから大人まで楽しめるわかりやすいルールに、カードや駒は手作りでアレンジできるなど、遊びの要素をふんだんに取り入れています。

また、おうちで過ごす時間も多い中、アナログなボードゲームを家族で遊んで過ごすのにも良さそうです。ウェブサイトにアップしてから最速で目標金額を達成したとか。

古門さん

スタートして数日で目標の2倍の金額を達成しましたね。こちらは当行グループもスポンサーとして参画している福岡市のスタートアップ支援施設『Fukuoka Growth Next』出身で、すでにいろいろなメディアに取り上げられ、SNS のフォロワーもすごく多い注目のスタートアップ企業です。

個人的にも暗闇で遊ぶという視点が面白そうだなと注目していました。クラウドファンディングって、既存のファンはもちろんのこと、はじめて知った方でもそのプロジェクトの背景にどれだけ共感を得られるか鍵になってくると思っていて、創業したばかりの企業のことを少しでも知っていただくきっかけをつくれたことはよかったのではないかと考えています。

そのほかのプロジェクトはこちらから

事業者の皆さんにとって、クラウドファンディングは資金調達のみならず今までにはないアイデアなどを得るチャンスです。とは言っても、ウェブサービスに親しみがないとハードルを感じてしまう方も多いと思います。そんな時こそ、信頼のおける西日本シティ銀行のバックアップは心強いのではないでしょうか。

最後にこのような熱いメッセージもいただきました。
「私たちは、常に事業者の成長を考え、クラウドファンディングだけではなく、皆さまの状況に合ったサポートをご提案します。また、日々生まれる新しいサービスについても勉強しています。新しいチャレンジや事業課題について少しでも気になることがあれば、何でも営業店窓口等にお問い合わせください」
背中をドンと押してくれるような力強いメッセージに心が動いたなら、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょう。

西日本シティ銀行 デジタル戦略部
2020年4月、先進的なデジタル技術を活用して、より利便性の高い金融サービスを推進する専門部署として設立。顧客取引や営業プロセスのデジタル化、地場企業とのオープンイノベーションの推進などを目指す。部内のプロジェクトの一つとして、九州を中心に地元でチャレンジする事業者をサポートする「NCBクラウドファンディング」をスタート。古門さんと麻生さんを含むスタッフで、現在約30件の案件を進めている。

NCBクラウドファンディングウェブサイト

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ライター
大内 理加
壱岐出身。福岡市内の編集制作会社を経てライターとして独立。現在は、福岡のweb、紙媒体を中心に食、カルチャー、地域活性など、ジャンルを問わずに執筆しています。趣味は、街ぶらと1人旅。妖怪と忍者、サメ・ワニ映画などのワードに飛びつく癖がありますが、話し出すと大体苦笑いに終わります。

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