レトロな福岡県立美術館の中にある「県立美術館喫茶室」【福岡市中央区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」や「ネオ喫茶」と呼ばれるお店。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。この記事では福岡や福岡近郊にある「レトロを感じられる喫茶店」や個性的な喫茶店・カフェをご紹介しています。

須崎公園の一角に佇むレトロな福岡県立美術館

 

今回ご紹介する「県立美術館喫茶室」は、その名の通り福岡市中央区の須崎公園にある「福岡県立美術館」の中にあります。

 

まずはアクセス方法から。福岡市地下鉄「天神駅」より地上に出て北へ。「天神北交差点」を東に約200m進むと須崎公園に辿り着きます。

須崎公園に入ると、今年3月に開業した「福岡市民ホール」が姿を表します。

 

 

福岡市民ホール沿いの遊歩道をそのまま進みます。

 

 

すると、レトロな雰囲気が漂う福岡県立美術館が出現します。

 

 

こちらが入り口。ドアを開けて入館します。

 

 

入ってすぐ左手に「県立美術館喫茶室」があります。ここまで天神駅から徒歩約10分で到着しました。

 

 

福岡県立美術館の歴史

 

喫茶室をご紹介する前に、まずは福岡県立美術館について少しご説明します。

 

この福岡県立美術館の前身である「福岡県文化会館」は、美術館と図書館の複合施設として1964年(昭和39年)11月に開館しました。

 

建物の設計は、当時数多くの公共建築を手掛けていた建築家の佐藤武夫氏が担当したそうです。

 

開館当初から数々の展覧会が実施され、中でも開館翌年に開催された「ツタンカーメン展」には約59万人もの来場者を記録したんだとか。

 

その後、約20年間に渡り、様々な活動を行ってきた文化会館をより一層発展させるため、美術館と図書館は分離独立の道を歩むことに。

 

図書館は福岡市東区箱崎に場所を移し、1983年(昭和58年)4月に「福岡県立図書館」として開館。

 

そして残った美術館は建物の全面改装を行い、1985年(昭和60年)11月3日、「福岡県立美術館」として再スタートを切り、現在に至ります。

 

福岡県文化会館としての開館から数えて60年以上が過ぎた建物は、昭和中期の面影を色濃く残す施設として、天神ビッグバンで再開発が進む天神の街の中でひときわ異彩を放っています。

 

参考:https://fukuoka-kenbi.jp/about/

 

 

かつて美術館の駐車場だった場所に作られた空間

 

ガラスのドアを開けて入店すると、まず驚くのがその天井の高さ。この高さのおかげで、非常に開放的な空間に仕上がっています。

 

 

椅子に座ってみると、その高さを実感。

その理由を尋ねてみたところ、元々この場所は美術館の駐車場だったんだそう。その場所に鉄筋を組み、ガラス窓をはめ込んでお店が作られているんです。

高い天井なのは、美術館のエントランスの軒裏がそのまま生かされているから。お店の天井がそのまま外まで繋がっているのが写真からもおわかりいただけると思います。

 

 

ちなみに、駐車場当時に使われていたアーチ型の車止めはそのまま活用されています。

 

移転前の九州大学で使われていた歴史的価値が高い什器たちを使用

 

店内で使用されている大型の本棚やテーブルなどの什器は、かつて箱崎にあった九州大学で使われていたもの。

 

大学が伊都キャンパスに移転する際、古い什器が不要となって廃棄される中、その歴史や価値の重要さを知った九州大学の教授が「九大什器保全活用往路プロジェクト」を立ち上げ、その一環として民間で使ってもらいながら什器を保存する「在野保存」を考案。その思いに共感した店主が使用しているんです。

 

中には、製造されて100年を超えるものもあるんだそうですよ。

 

 

そのほか、木の樽をテーブルの足として活用している席もあります。

 

 

一角に鎮座する木製のピアノ。これは1960年代のヤマハ製で、設計を担当したのは美術教育者や日本を代表するインダストリアルデザイナーとして名を馳せた故・小池岩太郎氏によるもの。

不定期で開催されている「須崎のすずめ音楽堂」と名付けられたコンサートの際には、実際に演奏でも使用されています。

 

 

店内には福岡市出身の小説家・夢野久作の作品やグッズがたくさん

 

店内には店主が好きだという福岡市出身の小説家・夢野久作の様々な作品が展示・販売されています。

本棚に並んだ書籍は、喫茶利用すると席で読むこともできるんです。

 

 

かつては画家を志していたとされる、夢野久作による数々のスケッチ画(複写)も数多く掲示されています。

 

 

さらに様々な「久作グッズ」が販売されています。

 

 

アクリルスタンドやバッジなど、オリジナルの「夢野Q作グッズ」などもありました。

 

県立美術館喫茶室のオープンまでの道のり

この「県立美術館喫茶室」の店主を務める花田典子さんは福岡市のご出身。以前より須崎公園や「福岡県文化会館」に足繁く通っており、大好きな場所だったそうです。

 

それから結婚・出産・子育てを機に、あまり行く機会がなかったそうですが、約16年前に娘さんの個展が美術館で行われることを機に久しぶりに来館したところ、当時はなかった喫茶店が出来ていることを知り、「自分もいつかこの大好きな場所で喫茶店をやりたい」という思いを持っていたそう。

 

それからまた時を経て2021年、美術館の喫茶店が空きテナントになっていることを知り、自らの出店を決意。リニューアルを経て2022年1月、新たに「県立美術館喫茶室」としてオープンすることになりました。

 

 

美術鑑賞のお供に楽しめるアイコニックなメニュー

 

それではメニューをみてみましょう。

 

サイフォン式で抽出するコーヒーのほか、豆乳や和紅茶、丹沢サイダーといったドリンクから、人気のアップルパイやトゥンカロンなどのスイーツ、チーズフランスやウインナーパンなどがラインナップされています。

 

 

中でもおすすめなのが「トゥンカロン」

トゥンカロンとはフランス生まれのマカロンが進化した韓国スイーツのこと。

 

トゥンカロンは、写真の「すずめ画伯のトゥンカロン(コーヒーチョコ)」と「夢野久作トゥンカロン(黒ごまクリーム)」の2種類から選べます。

 

 

こちらは久作の「Q」の文字が入った「夢野久作トゥンカロン」。トゥンカロンは単品550円/ドリンクセット1,100円となっています。

昭和時代に使われていたレトロなカップと、久作アクリルスタンドとともに撮ってみました。

 

 

トゥンカロンは通常のマカロンよりひとまわり大きいサイズで、中に特製のクリームがサンドされています。フォークを入れるとこのように形が崩れやすいので、手にとって食べるのをおすすめします。

 

 

そのほか、「ふくおかさん家のうまかもんアワード2023」の飲食部門で第1位を受賞し、特別栽培のあまおう果汁を使用した「あまおうのソーダ(780円)」「あまおうのクリームソーダ(980円)」も人気ですよ!

 

ということで、今回は天神の須崎公園の一角にある「県立美術館喫茶室」をご紹介させていただきました。

近年開発が進み、高層ビルが着々と立ち並んできている天神において、お店が入店する「福岡県立美術館」は都会でレトロさとノスタルジックさを感じられる数少ないスポットです。

天神でありながら喧騒を感じることもなく、穏やかな時間を過ごせるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

【県立美術館喫茶室】
■住所:福岡県福岡市中央区天神5-2−1

■アクセス:福岡市地下鉄「天神駅」から徒歩約10分

■営業時間:12:00~17:00

■定休日:月・火曜(月曜が休日の場合は営業し、火・水曜がお休みとなります)

■TEL:090-9489-7444

■Instagram:@kenbikissa/

 

 



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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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