2025年度、「高等専門学校の設置に向けた詳細な検討」に着手
出典:福岡市教育委員会『令和7年度当初予算案等の概要』
福岡市の2025年度一般会計予算1兆1,128億3,000万円のうち、教育委員会所管予算は1,528億9,099万円であり、一般会計に占める教育費の割合は13.7%だった。
福岡市教育委員会は、2025年度予算における「魅力ある高校づくりの推進」(高校教育課、予算額9,269万円)の一環として、福岡市立博多工業高校の学科改編や高等専門学校(高専)の設置に向けた検討を実施する予定だ。
博多工業高校を巡っての社会・産業の変化としては、工業人材への需要高やデジタル人材の不足が挙げられる。
そのため、今年度2025年度において、「学びの内容の検討」と共に「高等専門学校の設置に向けた詳細な検討」を進めていく。
そして、2027年度に「学科改編」を行う予定だ。
福岡市の資料によると、2024年2月時点で全国に58校の高専がある。設置者別でみると、国立高専51校、公立高専3校、私立高専4校となっており、全国で約6万人の生徒が学んでいる。
福岡県内には、北九州工業高等専門学校、久留米工業高等専門学校、有明工業高等専門学校という3校の国立高専がある。
2024年度の入試倍率は、北九州高専1.4倍、久留米高専1.8倍、有明高専1.5倍だった。
一方、福岡県立高校の2025年度における一般入学者選抜倍率の速報値(志願変更後)は、全体平均で1.11倍だった。
入試面において高専人気の高さがうかがうことができる。
有識者会議報告書で専攻科の新設や高専の併設を検討・提案
出典:福岡市教育委員会『専門学科を有する市立高校のあり方に関する有識者会議報告書』
福岡市教育委員会の有識者会議は2024年2月1日、4校ある福岡市立高校のうち、福岡女子高校と博多工業高校の現状と課題を検討し、今後のあり方について提案している。
『専門学科を有する市立高校のあり方に関する有識者会議』の報告書では、計5回の会議において、育成する人材や設置学科、教育内容・制度などについて議論を重ねて、取りまとめたとする。
博多工業高校については、1学年・7クラス・280人であり、3学年での定員は840人となっている。
工業高校としての専門学科は、機械科、自動車工学科、インテリア科、建築科、画像工学科、電子情報科の6学科がある一方、1990年の印刷科学科を画像工学科に、電子科を電子情報システム科に改編して以来、同じ学科構成となっている。
博多工業高校における今後のあり方については、3年間に限らない教育課程として、工業高校での3年間の学びに加えて、高校卒業後も引き続き2年間学べる専攻科の設置や、最初から5年間学べる高専の併設を検討・提案している。
高専の併設については、「いまの時代に合わせた技術を高校3年間で学ぶことができるかというと、かなり難しい状況にあるのではないか。福岡市に、より高次の教育を行える高等専門学校が必要ではないか」という委員の意見があった。
その一方で「高等専門学校設置による人材育成のメリットは感じるが、施設整備や教員の確保は課題であり、これらのことも踏まえ、議論を進める必要がある」という意見も寄せられていた。
参照サイト
福岡市教育委員会『令和7年度当初予算案等の概要』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/zaisei/zaisei/shisei/documents/17_R7_kyoiku.pdf
福岡市教育委員会『専門学科を有する市立高校のあり方に関する有識者会議報告書』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shisei/kouhou-hodo/hodo-happyo/2023/documents/senmongakkawoyuusuruitiritukoukounoarikatanikansuruyuusikisyakaigihoukokusyo.pdf