福岡のグルメ好きが、個人的に愛してやまないお店が一冊の本になりました!
福岡で様々なグルメ本などを手掛けている編集者の弓削聞平さん(聞平堂)が、1月22日(金)に新刊『私、この店、大好きなんです。』を出版されます。
『私、この店、大好きなんです』>>詳細はコチラ
何やら今回のこの本、これまでのグルメ本とは一線を画した内容になっている様子。本の内容や、紹介されているお店の中から弓削さんが「あぁ、ここいいなぁ」と思ったお店を一足お先に紹介してもらいました。
弓削さんのプロフィール
2000年からフリーランスのエディター(個人事務所「聞平堂」)として活動。
グルメ雑誌「epi」(発行:文榮出版社)の編集長を創刊から6年、さらにグルメ雑誌「ソワニエ」(発行:エフエム福岡)の編集長を創刊から8年務め2018年に同誌を卒業。
2012年に出した糸島エリアのガイドブック「ぐる〜り糸島」を皮切りに、「福岡 路地に隠れたうまい店」「気軽で楽しい町の寿司屋」等を続々出版。
また、2019年8月には糸島発展のきっかけとなったカフェ「サンセット」の創業時のスタッフや常連らへのインタビュー集「ちょっとヤバかった みんなが知らない 糸島のカフェ サンセットの話(手島裕司著)を発行し話題に。
現在はRKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」「オトナビゲーション(内「本日のユゲ押し」)に毎週出演中のほか、西部ガス広報誌「&and」にコラムを連載中。
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弓削さんが選ぶ、グルメ本視点ではない、気になるお店“5選”
今回の本は、いわゆる編集者が自らのリサーチによりお店を紹介する“ガイド本”ではなく、「特定の誰か」のお気に入りのお店の紹介、という斬新な切り口。実際、福岡で食べ歩きの好きな様々な業種の方々56名が、「個人的に愛してやまないお店」を紹介しています。
今回は、本の発売を前に、その中でも弓削さんが「あぁ、ここいいなぁ」と思ったお店を5店舗ピックアップしていただき、気になった理由を紹介してもらいました。
① 小谷(博多区・博多駅前)
選者:謎の食道楽女王様 紅葉(くれは)女王様(米田ふうこ)さん
知る人ぞ知る割烹。(全てではないが)店主が釣った魚を、手間暇かけて調理し、小皿で次々と出してくれる。何度も通い心が通じ合ってるからこそ知る大将の魅力がちらほら。
【小谷】
■TEL:092-451-6978
■住所:福岡市博多区博多駅前1-11-4 中尾ビル 2F
② 酒と食事処 みなみ(中央区・渡辺通)
選者:コピーライター・手島裕司さん
親子が営むガイドブックにはまず出てこない小料理屋さん。「ミシュラン」などに載る店とは対極の店。このジャンルは大抵そうでしょうが、まさに“相性”が合えばどハマりする店でしょう。
【酒と食事処 みなみ】
■TEL:092-713-6086
■住所:福岡市中央区渡辺通5-16-12
③ ちょいさぼ(中央区・渡辺通)
選者:情報サイト「cu mondo」編集長 公門秋絵さん
そもそも沖縄料理とタイ料理の酒場ということ自体、他にはない独創的な店ですが、その料理レベルの高さは私自身も太鼓判を押す店です。公門さんとともにぼくもイチオシなのは「手羽中のレモングラス揚げ」。何個でもイケちゃいます。
【ちょいさぼ】
■TEL:092-737-5402
■住所:福岡市中央区渡辺通2-3-8 渡辺通カステリア 1F
④ ぎょうざ亭(中央区・薬院)
選者:ライター・重村直美さん
ご主人がご存命のときには「あまりやる気がなかったかもしれない」と振り返る女将さん。今は「お客さんとお話するのが楽しみでやってるんだから忙しすぎるのは嫌い」と、週に4日自分一人で店を開けている。
【ぎょうざ亭】
■TEL:092-713-8128
■住所:福岡市中央区薬院2-4-35 エステートモアシャトー薬院 1F
⑤ 春吉バル CLUTCH(中央区・春吉)
選者:コピーライター・岡田賢さん
執筆者曰く「いい人ランキング 飲食店部門第1位」という店主がやっているバルは、春吉の奥の方にあるビルの2階にある。私はライブイベントのときに行っただけだが、次は若松の人気天ぷら屋さんの丸天をつまみに行きたい。
【春吉バル CLUTCH】
■TEL:092-724-4664
■住所:福岡市中央区春吉2-4-14 2F
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福岡にお住まいの皆さんは、いくつご存知だったでしょうか?そして県外の方は、「お、ここは自分好みかも!」なんて想いを抱かれているかもしれません。
いわゆるグルメ系雑誌の企画や本、WEB記事などで定番のお店ももちろん良いのですが、こうした「誰かのお気に入り」というのもまた興味をそそられるのではないかと思います。
(今回は、本を楽しみにしていらっしゃる方にとってネタバレにならないように、軽~くご紹介いただきました。続きはぜひ本をお手に取ってお楽しみください!)
そして、そんな「誰かのお気に入りのお店」がグルメ本になってしまうというこの事実こそが、「福岡は食の都」と言われるすそ野の広さのようにも思えます。
福岡のグルマンが自分の言葉で綴る、自分だけの「三つ星」
── 食べ歩き好きな人達が、ガイドに載る/載らないとは関係のない、自分軸のお気に入りを持っているということに着目した今回の『私、この店、大好きなんです。』。そもそも、弓削さんはどんな背景があってこの本を企画されたのでしょうか?
弓削さん
雑誌の編集をしていた頃、グルメな方にお気に入りの店を紹介してもらう企画をときどきやっていて、なかなかの人気ぶりでした。やはりグルメな人が推薦する店となると、信頼度はぐっと増すようです。
私自身、友人などと食事をしたときに、「最近行ったあの店、めちゃくちゃよかったよ」と言われると、信頼できる情報としてインプットします。
もちろんその教えてくれた人の素性は大切で、いろいろなお店に行っていて経験値が高いこともありますが、自分と嗜好が似ていることも重要です。
── 確かに、自分の知り合いでお店に詳しい人の情報や、特定のジャンルに異常に強い人の情報を知って、気になってついそのお店のことを検索してしまう、というお店との出合い方って、皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
弓削さん
今回は福岡在住で食べ歩き好きだったり、なじみの店をもっている方々に、ご自分のお気に入りを披露していただきました。みなさんにお願いしたのは「多くの人に支持されそうないいお店」ではなく「自分自身がこよなく愛し、これからもずっと通いたいお店」を選んでもらうこと。
わかりやすくいえば、ミシュランガイドの調査員のようにお店を客観的に評価するのではなく、他の人が気に入るかどうかは度外視し、「自分にとっての三つ星店」を挙げてもらいました。
そして店を選んでもらうだけではなく、自分の言葉でその〝愛情〟を語ってもらいました。一部、ライターさんなど文章を書くことを生業にしている人もいますが、多くは文章を書くという点では素人で、「ちょっと文章は苦手なんです」という方もいらっしゃっいましたが、語彙が豊富で文学的表現を駆使したものより、つたなくても深い愛情の上に書かれた文章はきっと読む人に伝わるはずと確信し、みなさんにお願いしました。
▲実際の誌面。筆者の人となりから始まるページも多いようです。こんなグルメ本、ありそうでないですよね!
── 「食べ歩きの好きな人」がお店を紹介するにとどまらず、ご自身の思い思いの言葉でお店への愛を綴っているなんて、いまから内容がとっても楽しみです!
弓削さん
推薦者からは各人3軒ほど挙げてもらい、そのなかから私の方で掲載する店を決めました。
でるだけガイドブックの常連店より、その人にとって〝近所のなじみ〟的な存在の穴場店を掲載しています。
ここに掲載した店が、読者にとっても三つ星店になればとても嬉しい限りです。
お店も人も、相性がある。「いい店」も、人の数だけある。
── 自分なりの三つ星っていう表現、ステキですね!そして「自分だけが知ってるいい店」って、確かに魅力的です。今回は56名の方々に出してもらった候補の中から1店舗ずつの紹介とのことですが、情報としてあがってきた軒数は100軒を優に超えますよね?並べてみて、選定されてみて、どんなことを感じられましたか?
弓削さん
私自身、仕事のほとんどは“読者や視聴者が行きたくなりそうな店”をセレクトしますが、それっていわゆる最大公約数なわけです。
でも人の嗜好は本当にいろいろ。しかもそれは料理の味だけではなく、価格、内装、スタッフの人柄など、あらゆるスペックに関して個人差があります。
そう考えると、意外に最大公約数的セレクトでは漏れてしまうけれど、実はよい店というのがあるんです。
その店は全体の8割の方々に好まれるわけではないかもしれません。それでも必ずその魅力に賛同する人がいるものなんです。
▲情報誌のように、インテリア、料理人の経歴、料理のこだわり、メニュー構成といった客観情報(データ)ではなく、執筆者自身がどうやってその店に出会い、どんなおつきあいをしてるのかやお気に入りのメニューなど、日頃感じているその店の魅力について愛情を込めて書き綴っています。「それは一度取材にいっただけではわからない、リアルな体験談なんです」と弓削さん。
弓削さん
そんなことを考えて今回の本を編集したのですが、改めて“よい店=相性”ということを再認識しました。
よく「店(の善し悪し)は人だよね」ということばを聞きますが、そもそも人も好き好きありますよね。恋愛に置き換えてもそうです。自分が苦手なタイプの店主の店でも、多くの常連がついていることはよくあることで、もちろんその逆もあります。
店主との、もっといえばそこの常連たち(常連などお客さんはお店の雰囲気に大きく影響します)とも相性が合う店こそ、自分にとっての三つ星店だと思いました。
── 人もお店も、みんなそれぞれに好き好きがあっていいじゃない、というメンタリティに満ちているということですね。
「去る者は追わず来る者は拒まず」と言われる博多の気風とも通じるのかもしれません。
またひとつ、福岡の人が福岡のことを好きになるトピックが生まれたように思いますが、弓削さんにとって、福岡の魅力ってどんなところですか?
弓削さん
よく言われることですが、コンパクトシティという点が一番気に入ってます。福岡市は九州一の都市でありながら、そこから30分、1時間で糸島や宗像など海にも山にも行けるのがありがたいです。
さらに私の仕事でいえば、本を編集する際に、リサーチや取材がとても効率的に行えるのもとても助かります。
これは料理人やサービスマンにとっても同様で、気になる店にはすぐ行けるし、気になるシェフや食材やお酒などの生産者にもすぐ会える距離感は東京などの人たちからすると、実に大きなメリットです。
また、新鮮でおいしい食材が豊富で、しかもそれを生かす料理人のレベルが高いことも福岡の魅力のひとつですね。どんなにいい食材があっても、それを生かすスキルがなければおいしい料理にはなりませんから。
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都市と海や山との距離が近いから、いい食材が届きやすい。その食材をどんな形で楽しませてくれるか、の飲食店のバリエーションがとっても豊かな食文化構造。
こうした様々な要素が、福岡好きな福岡人の胃袋を満たしていて、それが県外の方からも“福岡が美味しい街”と言われる理由のひとつなのかもしれません。
みなさんもぜひ、「自分だけの三つ星」を探してみてくださいね。
「私、この店、大好きなんです。」は1月22日(金)発売です!
発行:聞平堂
発売日:2021/1/22
販売:福岡の書店・コンビニ、アマゾン
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『私、この店、大好きなんです。』(2021/1/22 発行)