博多湾芸術花火2023

「福岡市内に大きな花火大会を復活させたい」─「博多湾芸術花火2023」開催秘話─

2023年9月16日(土)に福岡市西区の愛宕浜マリナタウン海浜公園で開催された「博多湾芸術花火2023」。一度は途絶えた福岡市内での大きな花火大会の復活にかけた、実行委員会の裏話をお届けします。次回以降、これまで以上の喜びと感動で花火を味わうことができると思います。

 

福岡市西区愛宕浜で開催された「博多湾芸術花火2023」が、2023916日(土)、音楽との調和を奏でながら60分間にわたり、約13,000発の花火を打ち上げ、市内に再び賑わいをもたらしました。

 

 

この花火大会は福岡市内で久しぶりに開催され、福岡タワーよりも高く打ち上げられる尺玉も含まれており、全席有料ながらもそのスペクタクルな光景は遠くからも楽しむことができました。

  

 

 

まずは博多湾芸術花火2023の感動の写真集を!

 

 

 

 

 

芸術花火とは?

この「芸術花火」は、音楽のリズムや曲調と綿密なプログラムでシンクロさせることが特徴。全国各地で展開されてきたなか、今回の会場である愛宕浜の広大なエリアでは、防波堤の5カ所と沖合の台船2台から打ち上げる計画が実現しました。

 

 

芸術花火総合プロデューサーの福田信さんは「愛宕浜は幅が1kmと広く、打ち上げの高さも奥行きもとれる。全国的にも非常にすばらしい会場です」と語っています。

 

この「芸術花火」は、福田さんが音楽業界にいた知見やセンス、人脈をもとに組み立て企画してきた総合芸術です。繁忙期外の花火師の仕事にもなる、新しい取り組みとして全国に広がり始めていた矢先、コロナがやってきてしまい、開催中止が相次ぎました。

 

開催前日の記者会見の様子

 

だからこそ、コロナを経ての復活は、全国各地が候補にあがりました。では、なぜ全国でも引っ張りだこのこの芸術花火が福岡で実現したのか、その裏側を出田正城・筆頭副代表に聞いてみました。

 

出田正城・筆頭副代表

 

 

 

惜しまれつつ閉幕した、西日本大濠花火大会

福岡市内では、混雑による事故の懸念や警備費の増加などの理由で、長らく親しまれてきた花火大会が次々と消えていきました。なかでも長年、福岡の夏の風物詩であった「西日本大濠花火大会」は、2018年の開催時に約40万人を集めましたが、この年をもって閉幕となり、以降、福岡市内では大きな花火大会が開催されないまま、コロナ禍に突入。

 

2017年の西日本大濠花火大会を、今回開催された愛宕浜から撮影していた写真(編集部撮影)

 

多くの市民から残念だという声や復活してほしいという声があがりましたが、終わらせるのも大変である一方、復活はさらに難しいのが花火大会。

この想いを実現しようと、復活に動いた人や組織は、複数あったといいます。

 

そんな中、今回の開催は福岡青年会議所の有志と芸術花火再開を目指していた福田さんらが協力し、実現しました。コロナを経て、復活の候補地が福岡に決定した背景には、出田さんたちが別の想いで動いていたことが大きく起因しています。

 

 

 

エッセンシャルワーカーへの想いから始まった、博多湾芸術花火2023

出田さんは、2020年に福岡青年会議所の理事長に就任。先行きの不透明なコロナ禍に大事な役目を預かったものの、所属するメンバーにもそれぞれの会社や守るべき家族があるので、運営はかなり苦労したと言います。

 

 

 出田さん

もう、何をどう判断していいものかわからず…しかし、そんなときに気づいたんです。コロナ前に終わってしまった西日本大濠花火大会を復活させてほしいという声は多いけれど、なかなか難しい。

しかし、そもそもあの花火大会は、1949年、戦没者の鎮魂と戦後復興を目的にスタートしたもの。コロナで不安な中、頑張ってくれているエッセンシャルワーカーの人に「ありがとう」を届けたいと思いましたし、みんなそれぞれの立場で我慢したり頑張ったりしている今だからこそ、花火をあげたいなと考えました。

 色々と地域協力を求めて活動をしたりしていた際に、芸術花火の福田プロデューサーと出逢いました。芸術花火は、通常の花火大会よりも高くあがると聞き、「これなら、みんなが集まらなくても花火を見ることができるのでは?」と思ったのが、博多湾芸術花火構想の発端です。

 

それから実現に向けて動き始めた出田さんと福田プロデューサーでしたが、やはりコロナの終息が見えないなかでの開催は難しく、出田さんは理事長の任期を終え、福岡青年会議所を卒業します。

 

それでも、出田さんたちの想いは変わりませんでした。そこからは青年会議所OBが結束し『福岡の花火なくさんけん』有志の会を、様々な交渉を経て、今回の実現に至ったのです。

 

 

当日、有料観客は18千人を動員しました。

また、イベントの運営には1,000人のボランティアも参加し、翌日には高校生を中心としたゴミ拾いイベントも開催。始まりから終わったあとまで、それぞれの人たちが、できることを持ち寄って実現した博多湾芸術花火2023は、多くの笑顔と感動をもたらしました。

 

 

 

 

 

次回以降の開催予定

 出田さん

今回開催するにあたり、地域の方々から様々な声をいただきました。最終的に今回、愛宕浜地区の方々に多大なご協力とご理解を得て実現したことを、本当に、心から感謝しています。

以前、花火大会を実現しようとしたけれど叶わなかった、とおっしゃる方々から、当時の新聞記事を見せて頂いて「頑張って!」とエールをもらったことも

当日の案内係や翌日のゴミ拾いイベントなど、地元の女子高校生にボランティアで参加してもらいましたが、僕達おじさんが注意するより、女子高生に言われたほうが、大人も「ちゃんとしよう」ってなるものだなぁと、改めて運営には色んな人の力を活かせるのだと学びにもなりました。

また、実現の際には「必ず継続して欲しい」という声を多くいただきました。

 

女子高校生ボランティアによるごみ拾いの様子

 

福岡青年会議所は、一人の力ではなかなか実現できないことに全力でのぞみ、形になってきた人や街づくりの新たなムーブメントを市井に引き継いでいくという活動をしています。

近年では完全に定着した「中洲JAZZ」も、もともとは福岡青年会議所の実行委員会の企画からうまれたものです。

 

 

 出田さん

はい、ですので、この博多湾芸術花火も、地域の方々にノウハウを引き継いでいただけるように、毎年開催しながら育てていけたらと考えています。

 

すでに2024年の開催も計画中とのこと。しかも、この年は青年会議所の全国大会が福岡で開催されるとのことで、今年以上に盛り上がる一年になる予感です。

みなさん、ぜひ来年も、「博多湾芸術花火大会」をお楽しみに!

 

 

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