「福岡新風景:経営者と語る福岡の魅力」第4回は,株式会社コウダプロの幸田八州雄(こうだ・やすお)さんです。
幸田さんとの出会いは,福岡で長年起業家育成,経営者の学ぶ機会を提供されてきた企業主催の講座で,幸田さんが受講生,私が講師として関わったことに始まります。以後,ゼミ卒業生が同社に就職して活躍の場を得ており,学ぶ環境づくりに有形無形のご支援を頂いております。
※こちらのブログをご一読ください。https://note.com/koudapro/n/n94236337ca65
では,コウダプロがどんな事業を営んでいるのか。それを簡単に説明するのは実は難しいです。商品開発の支援を行えば,自社ではアイデア溢れる商品を生み出して「熱狂的ファン」がいる。社内には「コウダプロ憲法」なるものがあるし,運や縁の大切さを朝礼で説くなど,幸田さんの考え方が色濃く反映されています。
入口から個性的です。
今回は社会人経験で9回の転職をした幸田さんがどのようなことを考えて会社経営をされているのか,福岡で事業を営む意義をどのようにお考えなのかを伺いました。ぜひご一読ください。
自己紹介 コウダプロの強さの源泉は「なぜ?」の追求にある
飛田 宜しくお願いします。さっそくですが,プロフィールをご紹介ください。
幸田 私,株式会社コウダプロを営んでおります幸田八州雄と申します。よろしくお願いします。1996年に福岡大学を卒業して、東京のある企業に就職しました。その会社で百貨店営業とかをやってたんですけど,退職して福岡に転職,でまた転職で東京、さらにまた転職で福岡,はたまた転職で東京,最終的に福岡に戻ってきて会社を創業しました。この前数えたら都合9回職を変えていることがわかりまして,転職の多い50歳でございます。よろしくお願いします。
飛田 9回も転職!?その話もぜひお伺いしたいところですが,それでは紙幅がいくらあっても足りません(笑)では,今の会社を創業されたのはいつですか?
※コウダプロ創業に至るまでの幸田さんの転職記録はPodcast(※)でお楽しみください!
飲みに行くと色んな表情が出てくる幸田社長。
幸田 8年前ですね。2016年。歳でいうと42歳とか,それくらいです。でも,通販会社を退職して今の会社を立ち上げるまでの間,4-5年くらいは別の仕事をしてました。経営者の真似事みたいなことをしていたんですよね。
飛田 なるほど。それでコウダプロっていう会社を立ち上げようと思われたキッカケはどういったことなんですか。
幸田 面接した学生さんとかにもそこを聞かれるんですけど、僕には誇れるような思いなんて何もなくて。コウダプロを創業する前に、東京にオーナーがいる会社にお世話になっていて,そこで経営者をしていました。けど,実力がちょっと不足していたんでしょうね,オーナーの眼鏡にかなわなくて辞めざるを得なくなりました。他の道を選ばざるを得ないってところで,自分で会社を立ち上げることにしました。だから「創業の志」をとかって聞かれるんですけど、創業した頃に「俺食っていけるかどうか心配だな」って思ってました。でも,実を言うと,そのオーナーが非常に温情をかけてくださって、僕が福岡に戻ってもその会社の商品の配送業務を営業代行みたいな形で続けられるようにしてくれたんです。そこで会社を作って経営を始めたというのが,今につながっていますね。
飛田 その営業代行の会社でOEMをやるようになっていくキッカケみたいなのがあるんですか。
幸田 はい。僕が元々単純に言えば商品開発が好きなもんですから,やり続けているとなんだかんだと結果もついてくるし,お客様が頑張って(経営規模が)大きくなられたりすると勝手にくっついて成長しちゃうみたいな。
飛田 でもOEMで商品開発やるって言ったってマーケットを見つけてかなきゃいけないわけじゃないですか。そういうスキルをそれまでのキャリアで身に着けられていたのでしょうが、そもそもマーケットを作っていくっていうことを幸田さんはどう考えて今のような面白い会社に繋げていったのですか?
幸田 ビジネスってどこか争いですよね。当然ながら競合していきます。例えば,戦国時代の戦で考えてみると,向こうは100人で攻めてきたんで,こっちは150人だから勝てるだろうっていうのは何の工夫もないわけです。けど,それを50人しかいないけど、向こうは刀だけでこちらには弓矢があるとか。つまり、商品開発の本質というのは、結局ビジネスで勝つって言ったときに要因っていうのがあります,と。セブンイレブンでモノを全店舗で売るとするなら、極端な話をすれば他の会社さんのチェーンに出しても負けなきゃいいんですよね。
例えば,ローソンで売っているものと同等品だったら,あとは店舗数と立地の良さの掛け算で勝てます。だけど,「商品開発とはなんぞや」って言ったら,結局差別化なんですよね。要するに,隣のものとどう違いを生み出して、「世の中にあるもの、隣のもの、今あなたがお使いの商品に比べてこっちはいいですよ」っていうモノをどう作るかが大事です。その差別化っていうのがやっぱ必要なんですよね。「風変わりな会社を作る」というのも差別化の象徴であって,隣の会社と何が違うんだ,ちょっと変わった会社だよねというところをいかに表現していくか。それはビジネス全ての根っこにあることかなって思いますね。
飛田 なるほど。会社の理念や戦略といった方向性はそうだと思うんですけど,そういうことに気づけるようになっていったのは前職やそれまでのさまざまなキャリアを積んできたというのが大きく影響してるっていうことなんですかね。
幸田 そうですね。それは少なくないと思います。ただ常識とか,当たり前とされていることを疑う,疑ってかかるマインドというか,そういうものはもっと小さな子どもの頃とか,学生の頃とかに萌芽するものという気はしますね。
飛田 なるほど。幸田さんは芦屋(福岡県遠賀郡)の出身でしたよね?芦屋で育った幸田少年は,そういう疑問をたくさん持って,日々生活をする少年だったんですか。
幸田 ですね。父親が自衛官だったんですね。航空自衛隊で働いていました。でも,学校は組合が強くて先生方からはいろんなことを言われました。そこで僕はどちらが良いとか悪いとかじゃなくて,家で父親が言ってることと、学校で先生が言ってることが逆なので,どうしてだろう,なぜだろうって考えるようになりました。
飛田 なるほど,なるほど。それはもう「なんで?」ってならざるを得ない状況ですね(笑)
幸田 それが小学校1年生とかだったので,やっぱり必然的に良い意味で前提を疑うという思考が身についたように思います。
飛田 同じ現象を見たとしても,立場と考え方が違うとこんなにも見方が違うんだ,みたいなことを子どもの頃から身に着けてたってことですね。
幸田 そういう傾向はあったと思いますね。
飛田 なるほど。そういう思考を持つのが当たり前になって,40代半ばの,今ももちろんそうだと思うんですけど,コウダプロがいろんな面白い商品を出したり,アイデア商品を出す会社になっていったりってことですね。
それで言えば,コウダプロって言ったら「憲法」ですよね。確か憲法にもそのようなことが書いてあったように思います。先程の運とか,縁とかも含めて。そういったものをまとめようとかあの文章にしようとかっていうふうに思われたのは何かきっかけがあったんですか。
幸田 それはもちろんありました(笑)。何かと言うと,僕が福岡大学の法学部出身なもんですから,授業で憲法とかあるわけです。そのときに思ったのは「人間って,自分じゃ気づかないほど社会の前提の影響を意外と受けている」っていうことで。何かするときに多数決で決めるっていうのも民主主義の影響を受けているんじゃないかなとか。そう考えたときに,「やっぱり僕らは日本国憲法の影響をものすごく受けてるぞ」と。憲法ってパワーなんだなってすごく思いました。
飛田 なるほど。さっきのお父様の影響なのか,学校の先生の影響なのか。同じ憲法を読んだとしても立場が違えば違うみたいな話もありますよね。
ぜひお読みの方にも「コウダプロ」を検索して頂くと「コウダプロ憲法」の話が出てくるのでご覧いただければと思うんですけど,会社というのはそれなりに成長していくというか,人を雇って事業していくっていう過程の中で,組織をマネジメントしていくための共通言語みたいなのが必要だとか,あるいは経営者兼オーナーでいらっしゃる幸田さんがどういう考えで経営をしているのかってことを伝えるための手段が必要になりますよね。恐らく幸田さんはそのようなことを考えて憲法を作り上げられたのでしょうが,作った当時はどんなことを考えて作られたんですか。
幸田 当然こうしたい,ああしたいっていうのもあったんですけど,組織という名がつくところで働いた経験のある方だったらご理解頂けると思うのですが,矛盾とか,「これマジか」みたいな,なんでそんな合理性のない決定が出てくるんだとか,ありますよね。そういうことを経験されてない方って恐らくいないと思うんですよ。強弱はあると思いますが。
そうしたときに,僕がこういう非合理性が排除された会社を作ったとしたら,みんなものすごく働きやすくて,(経営者である)自分と同一視して主体的に働いてくれる職場になるんじゃないかなっていう思いがあったんですよね。なので,私が思う非合理性の排除っていうのを心がけながら,憲法を作ったっていうのはあったんですね。
飛田 なるほどなるほど。憲法には幸田さんが考えられてきたことをもとに,ロジックというか,順番があるのでしょうが,その順に並び替えたら「コウダプロ憲法」ができたと。
幸田 左様でございます。
規模の追求ではなく,成されるべきことを成していれば結果は後でついてくる
飛田 同様に「上場を目指さない」というような目標があるのも,会社を経営しているとどうしても多くの人が規模を拡大するとか,儲けなきゃいけないとか,そういうことを考えがちなんですけど,コウダプロでは規模の追求ではなく,行われるべきことをしっかりとやっていくっていう経営方針でよろしいんですかね。
幸田 はい。売上や規模を大きくするのは,僕は必須だと思っています。ただし,それそのものが目的になることは絶対にないということですね。我々が追求する価値を追求してそれを世に問うていったら,売上も増えるし,そうすれば人手も必要なので,人も増えていく。結果としてそれは起こるっていう考え方ですね。
飛田 そのコウダプロは,元々OEM中心でしたが,今では他にも結構面白い商品を出されてますよね。
幸田 「アスガール」という二日酔い対策サプリとか,家庭内カレー問題を解決する「大人のカレースパイス」とか,唐揚げの油をよく吸って,冷めても美味しく食べられるようにする「カラットペーパー」といったことを展開しています。
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飛田 僕もアスガールを頂いて,飲むと次の日すっきりして仕事に望めるんですけれども,ああいうニーズを発見していく中で,幸田さんが一番目の付けどころとしてポイントにされてることって何かありますか。
幸田 はい。「生活者実感」と「ニーズの強さ」と「市場のサイズ」ですね。ここは気にしてます。「生活者実感」というのは誰かが理論的に机の上で生み出したものではなくて,「こんなのあったらいいのに」っていうお客様が持たれている希望を叶えるものが筋がいいんですね。その次に,主婦の方に使って欲しいモノなんだけど,10人ぐらいの方に「こういうモノがあったら欲しいか」と聞いたら,それでニーズのあるなしはわかります。そこで泣かず飛ばずだったらやめます。最後のマーケットのサイズっていうのは,ボリュームがどの程度見込めるものなのかっていうことですね。この3つを見極めてビジネスを考えています。
飛田 なるほど。どうしても市場調査と言うと,たくさんの人にしなきゃいけないっていうイメージがあると思うのですが,「好き嫌い」ってちょっとした人数で何となくわかるから,それを信頼する,声を大切にするっていうことですよね。
幸田 おっしゃる通りです。
飛田 ここまでの話を伺って幸田さんご自身のキャリアであったりとか,会社の進め方をお聞きしていると,「コウダプロ」という会社は圧倒的な商品開発能力と,圧倒的な営業力っていうのが幸田さんに備わっているってことでしょうね。普通の会社であれば,営業は営業,商品開発は商品開発と組織的に分かれますが,中小企業だったり,ベンチャー企業だと両方兼ね備えていることがポイントになりますね。で,コウダプロはその面白さももちろん大事なのですが,実は幸田さん自身が冷徹に,いや,冷静にマーケットの声に耳を傾けているというのがあって,会社の強みは商品開発にあるけれども,「これは売れるぞ!」と営業に持ってくと,「売れるものは別に売ろうとしなくったっていいものだったら売れるでしょう」みたいなバランスが面白いなと思ったんですよね。
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幸田 そのレイヤーで掘られたので僕はいまびっくりしてるんですけど,まさにその通りなんです。僕は多分どっちかといえばアイデアマンだと思います。「これ面白いな」と感じる頻度は多分高いと思うんですけど,それに対して反対側からトンカチを叩いて,「これは売れそうだと感じたのは本当なのか」っていう自分自身の感覚を疑うっていうのも絶対必須だと思っています。そのときに商品開発でもそうですし,他のビジネスの判断の場面でもそうなんですけど,ちょっと私,プロレスファンなので申し訳ないんすけど…。
関節技ってありますよね。技をかけた人がかけられる人の関節を押さえると,意思とは関係なく,構造的に痛いものは痛いという。ビジネスも同じようなことだと思っていて,良い商品ってのは,説明を聞いたが最後,もう買わざるを得ない。これは僕が商品力と訴求力のある商品だと思っていたとして,誰が話してもこの情報が伝わったが最後,欲しくなってしまうっていうのはまさに今先生がおっしゃったところです。
飛田 でも,それってある種の普遍性の追求ですよね。
幸田 そうです,そうです,そうです。ペダルを踏んだら,その人がどんな思想の持ち主でもこの車は前に進むんですっていうようなことがどこにあるかっていうのを常に考えてますね。
飛田 なるほど。その話って感情に働きかけるとか,例えば,エモさをどうやって伝えるかとか、SNSのようにズバッと,短時間で情報が入ってきて感覚に働きかけるみたいな話はあったりして,消費者はそこを感覚的に受け止めているつもりでいたりします。しかし,実は仕掛けている側は,かなりロジカルにこうすればこういうふうに人の反応があるっていうのをずっとテストし続けています。
幸田さんの関節技の話はこういう機構を作ればこういうふうになるものだって話なんだけど,私から見たときに幸田さんがやっている事業は,機構を作りたいんだけど,簡単に作れない部分もあるというすごい難しいところだなっていうふうに思うんですよ。
幸田 おっしゃる通りです。本質的なニーズ,というか商品力ですね、商品力の核心は何かっていうのがあります。例えば「冷えピタ」っていうものがあります。商品力の革新というのは,「おでこに貼っていたら,ちょっとやそっとじゃ剥がれず、冷やし続けてくれる」,これが商品力の核心ですと。それに「冷えピタ」っていうネーミングにしたら刺さったとしましょう。 とすると,「商品力のコア」と「それをどう伝えるか」っていう2層があって,どちらも満たしたらヒットするわけです。
商品力の核心が何なのかっていうのを見極める,売れる商品というのは2つの要素から成り立っていて,「1回使ってみたいという要素」と「1回使ったら使い続けたい」っていう2つの要素で,エモい部分というのは「1回使ってみたい」というところに作用させる難易度が高いところなわけです。でも,1回使って「やっぱこれいいね」「もう発熱したときはこれがいいね」っていうのは「1回使ったら使い続けたい」という部分ですね。1回使ったら使い続けたくなるっていうのも商品力の核心なんですよね。
飛田 なるほど。だから,ヒット商品を作るってのはなかなか簡単なことではないというのはもちろん,当たると製品のライフサイクルがめちゃめちゃ長くなっていって会社を支える収益源になっていくってことですよね。
幸田 おっしゃる通りですね。
飛田 なるほどなるほど。ここまでの話を踏まえると,必要なものを作っていく,支持されればそれが長く売れるんだっていうのは,一般的に学生が考える商品開発に対する印象と異なるように感じます。幸田さんの話が間違いなく本質だと思うんですけど,日頃学生が「商品開発やりたいんです」って言ってることに対して「なんで?」って聞くと「お菓子が大好きで」とかって話になりがちです。しかし,そうではなくて,商品開発のポイントはどう長く愛されて支持されていくものを作っていくのか,だから要するにいかに必然を作っていくのかってことですよね。コウダプロの場合,幸田さんがビジネスキャリアの中で突き詰められてきたのは,たくさんいろんなものを見てきたからですよね,きっと。
幸田 私たちは酸いも甘いも知っているからそう考えられているんですけど,学生さんとかって,すごくクリエイティブな何かを感じて,自分の感性で良いものを作れたらいいなっていうので商品開発に魅力を感じられると思うんです。そういう面をもちろん否定はしないのですが,積み上げというか、感性とロジック,論理性といったところを突き詰めるということが大事ですよね。学生の皆さんはやっぱりこの感性の部分というかですね,そっちの方にやっぱ関心が行きがちだなというふうに思いますね。
飛田 そうですね。エモーショナルな部分をロジックに乗せ替えていけるようになるとまた違うんでしょうね。学生と話をしていると,プロジェクトなどで組織的に何か活動するときに,必ず「ヒト対ヒトのコミュニケーションの難しさ」を挙げます。商品開発で言えば顧客が何を求めていて,それを長く愛して使ってもらうためにするためにはどういう仕掛けがあればいいのかって,コミュニケーションを円滑にするって意味では,モノやサービスを通じて行うのか,ヒト対ヒトでやるのかっていうのは現象の違いこそあれ,実は根本的に同じだなって気づきました。
幸田 おっしゃる通りですね。経験値の累積のようなものが商品開発というものであって,「これ良くないですか」っていうのもすごい大事な感性なんですよね。新商品作るときに特許の有無って大事なんですね。すぐに大手企業に真似されてしまう可能性があるから。例えば,販路を既に持ってる会社が「いいじゃん,これうちも作ろうぜ」って言われちゃうような事案があれば,俺たちやっちゃ駄目なんだよってわかります。そうであっても,若者の感性だったら、「うん,いいものだから売れるでしょう」みたいなことがあるんです。
福岡で事業を営む意味
飛田 最後に,福岡で事業を続けていかれる意義をどのように感じておられるかをお伺いできますか。
幸田 はい。これは明確にあるなと思っているのが,「僕は福岡が好き」っていうことです。それだけでなく機能的側面で考えると,福岡は東京に比べたら当然ローカルです。 そういう意味で情報量であったり,エッジの立った人間の絶対数であったりっていうのは当然東京の方が大きいです。けど,頭角表すことを考えたら,ローカルなところでやった方が無競合というか,「福岡にあるあの会社だよね」と見てもらえる可能性が高いと思います。東京だったらいろんな人も会社もありますから。それは1万人の中の上位25番目になるより,100人のNo.1になった方が良い。福岡はそういう戦略が取れるのではないかと。
飛田 規模が小さくても他社が真似できないことをやっている会社だから,支持される会社を作るんだ,製品サービスを作るんだったら,別にどこにあってもいいわけですよね。
幸田 おっしゃる通りです。ハンディキャップはないと思うんですね。
飛田 ですよね。たまたま幸田さんが生まれ育った場所が福岡で,たまたまビジネスが起きたのが福岡だからここにいるんだけども,その点に関しては関東関西にいることとのハンディキャップは原則的にはないっていうことですね。
幸田 ただ,僕はたまたま福岡人ですけれども,他県で福岡と同じことができるかって,多分できないんです。
飛田 そこをお伺いしたいですね。
幸田 つまり,これが「積極的理由の福岡」ということなんですが,適度に都会であって、人の気質として進取性の高い土地柄であること。保守的の反対というか。面白くて新しい知識を珍しがってくれます。あと,東京の人に福岡のローカリズムとか距離感を説明するときに言うんですけど,福岡って「みんな知り合いですよ」と。知らない人と会っても大体知り合いの知り合いです。巨大な村みたいなもんですよ。
例えば,当社でビジネス上のお付き合いのある方って,大体徒歩圏内なんですよね。交通機関で何も乗らずに会いに行ける,営業行ってきますって言って歩いていくんですよね。多分東京の人は想像できないと思うんですよ。その距離感の中でいろんなことが起きていくっていうのは,僕なんかちょっと面白い機能だなというふうな感じですね。
飛田 コミュニケーションが非常に濃密だっていうのはそうである一方で,何か逆に怖さもありますよね。
幸田 そういう怖さもあるんですけど,東京と福岡で有利不利を考えたときに営業機会がありますね。東京のほうが人口が多いので,当然大きなマーケットで営業機会が大きい。けど,これは今やオンラインミーティングと出張でハンディキャップはそんなにはないと思ってるんですよね。
飛田 なるほど。
幸田 それでいくと,ローカルの不利なポイントって2つで,1つは大市場からの距離っていう側面。もう1つは人材獲得。当然東京の方が若い人も多いですし,学生もいっぱいいて面白い人もいる。だけど,福岡に残っている若い人にはそれなりに理由があって,就職活動で「福岡に面白い会社ないのかな」と思っている人って結構多いと思うんです。 それはさっきの1万人の25番より100人中の1番の方が獲得しやすいみたいな。こう考えていくと,「積極的福岡」が良いと思う理由として,人材も福岡の方が獲得しやすいというのもあるなと思います。
飛田 なるほど。僕も福岡に住んで長くなりますけど,ネイティブじゃない引け目みたいなのを感じるんですよね。
幸田 いや,もう根,張りまくってるじゃないすか。
飛田 そうは言っても,「あんた外者よね」みたいなのを感じることもあるんですよ。
それでは最後に福岡で面白いビジネス,面白いチャレンジをしているコウダプロは今後どういう展望を持ってチャレンジをされていくのか,教えて下さいますか。
幸田 ありがとうございます。結論的に我々はクオリティの質,質としての世界企業を目指しています。我々のわくわくする面白いサービスというのをまずは日本に展開していく。その延長線上に海外でもビジネスが立っているっていう形になっていくと思います。そのとき,非常に社内にバイタリティあふれる若者がいっぱい来てくれて,そういうものを,世界を股にかけて,我々のビジネスを展開していく。ロードマップというほど詳細ではないんですけど、そのように思っています。
当社に入社した若者たちが成長して,当社の中にはビジネスアイデアが溢れてます。誰がやるのっていう話で,「このビジネスは私がやります」と。なんなら自分が考えたビジネスをやってくれたって良いんですね。社内起業家や社内連続起業家というのがいっぱい育ってきたときに,我々のクオリティとしての世界企業というのはおそらく実現するんじゃないかなと考えています。
飛田 チャレンジする機会っていうのを作りつつ,人に望まれるものを作っていけば新しい社会が構築できる可能性がある。それをコウダプロは目指すということでしょうかね。とても有意義なお話を伺うことができました。ありがとうございました。
幸田 ありがとうございました。
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飛田先生が毎回ゲストをお迎えして福岡の魅力を探るこの企画が、Podcastになりました!
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