今回は、SDGsやサステイナブルのワードに興味がある社会人に向けた話です。「SDGsって意味ないのでは?」と懐疑的な僕が、福岡でSDGsやサステイナブルを意識して暮らしてみた試行錯誤を紹介します。
福岡でSDGsやサステイナブルを意識して、ゴミをなるべく出さない暮らし方という「ゼロウェイスト生活」を福岡生活で実践してみました。
結局これらの活動に意味があるのか、体感したベネフィットは何かをまとめます。
SDGsとかサステイナブルってどうなの?
最近、日本でも環境に配慮する動きが新しい言葉と共に普及されているように感じます。「SDGs」という言葉が流行り、「SDGsバッジ」という何だか怪しげな七色のバッジをつけている人も増えてきました。
僕自身、これらの活動に懐疑的でファッションとしか思っていませんでした。「結局、SDGs推進企業って謳うだけのマーケティングの一部でしょ」「サステイナブルです!といって商品を買わせるポジショントークだよね」という印象です。
そもそもSDGsは「国連が提唱した持続可能な開発目標」https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/ です。国は言葉を普及させるためにお金を使い、企業が推進するような構図になっているように感じます。
サステイナブルは持続可能なという意味の英語です。「地球に優しい暮らしを目指そう」という文脈で使われる広い意味の言葉です。
いずれにせよ、マーケティングの流行り言葉に一度乗ってみようと思いました。知識不足だったため、まずは本を読むことにしました。
1 サステイナブル本を読み漁る
まずは福岡の本屋さんをまわり、環境問題関連の本を買い漁りました。僕自身、知識がない初心者だったので本を読んで勉強することにしました。
実際に高知でサステイナブルな暮らしをされている著者、服部さん夫婦の『サステイナブルに暮らしたい ―地球とつながる自由な生き方―』の本は「日本でこれほど地球に優しく暮らす家族がいるのか」と感動できる本でした。
『サステイナブルに暮らしたい ―地球とつながる自由な生き方―』詳細はこちら
詳細はこちらまた、昨年出版されて全米で話題となったマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツさんの著書『地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる』の原本は、アメリカのAmazonで7000件近くのコメントが書かれるほど反響があった本です。世界は『地球の未来を守る』『環境に配慮する』動きが活発になっているように感じました。
『地球の未来のため僕が決断したこと 気候大災害は防げる』の詳細はこちら
詳細はこちら他にもジョージーナ・ウィルソン・パウエルさんの著書『これってホントにエコなの?日常生活のあちこちで遭遇するエコのジレンマを解決』は「これってエコなの?」と疑問になりがちな活動を解説してくれます。
「マイボトル持ち歩いてるけど意味あるの?」や「ペットボトルやトレイって分別されるけど、ほとんど焼却処分されてるよね」など、一見、エコっぽいとされる活動の裏側も研究データや数値で解説してくれます。
何十冊も手に取ると、少しずつ環境問題に関する知識がついてきました。環境問題を考える本を読んだ結果、自分ができることを実践したくなりました。
■ ゴミを出さないゼロウェイストとは?
本を読み漁ったなかで、気になったワードがあります。それが「ゼロウェイスト」です。ゼロウェイストとは、ムダなモノを出さない考えです。要するに「ゴミを出さない」動きです。
この「ゴミを出さない生活」を実践しているのが『ゼロ・ウェイスト・ホーム』の著者、ベア・ジョンソンさん家族です。この家族は1年間のゴミの量が「1瓶分のみ」だそう。小さな瓶に入る程度のゴミしか出さない生活です。
『ゼロ・ウェイスト・ホーム』の詳細はこちら
詳細はこちら 1年間、ほぼゴミを出さずに暮らすことなんて考えられません。ただ、世界にはゴミを出さずに生活しているプロがいることがわかりました。「実践するならこれくらいエッジが効いていないと面白くない」と思い、僕もやってみることにしました。
■ 利己主義から利他主義へ
以前『福岡で月8万円のミニマル生活をしながら、やりたいことにお金と時間を投資する話』https://fukuoka-leapup.jp/biz/202006.64 の記事でも紹介したように「少ないモノで生きること」はできています。ただ、「ゴミも少なくする」という発想はありませんでした。
どちらかというと「自分が」少ないモノで暮せるという「利己の視点」です。だからこそ、自分が少ないモノで生きるだけではなく、ゼロウェイストで「地球に優しい暮らし」も目指す「利他の視点」も取り入れようと思うようになりました。
単純に「モノも減らして、ゴミも減らす暮らし」がしてみたいなという願望です。ミニマリストだけでなく、サステナビリストを目指してみたいなと思い、はじめてみました。
2 不要なモノを整理する
まず見直したのが「モノの整理」です。極端に言えば、全くモノを持たず、買わずに、自分で作って生活すれば、ゴミは出ません。極端な原始人のような生活をせずとも、現代に合った「少ないモノで暮らすこと」を目指すのはありです。
以前、『福岡と田舎の島暮らしW拠点を始めた3つの理由』https://fukuoka-leapup.jp/biz/202008.106の記事でも紹介したように、僕自身、あまりモノを持たずに「お金がかからない生活」ができるタイプです。必要最低限のモノがあれば島でも田舎でも生活ができます。
「必要なモノだけ」で生活する基盤を作れば、自ずと「ウェイスト」も減ります。不要なモノを整理するときに気を配ったのが「ただ単に捨てないこと」です。
以前は、不要なモノがあれば、どんどんゴミとして処分していました。ですが、リーズル・クラークさん、レベッカ・ロックフェラーさんらの著書『ギフトエコノミー ―買わない暮らしのつくり方―』の本を読んでから「人に譲ること」を意識するようになりました。
『ギフトエコノミー ―買わない暮らしのつくり方―』の詳細はこちら
詳細はこちら■ 人に譲った結果
要するに、自分が不要になったモノでも他の人が必要なモノもあるという話です。すぐに捨てるのではなく、必要な人のところへ届けることを考えるようになりました。例えば、フリマアプリの「メルカリ」を使ったり、地域に特化した「ジモティー」を使って売ったり譲ったりできます。
僕も不要になった家電製品を欲しいという友人に譲りました。単純に喜んでもらえたので効用が上がりました。ただ捨てるのではなく、必要な人のところへ届ける意識があれば、喜んでもらえるし、ゴミは減るというシンプルな気づきです。
3 家庭ゴミの資源物回収を見直す
普段、何気なく捨てているゴミの「分別」を再確認するのも方法の一つです。「燃えるゴミ」として捨てていたモノを資源回収にまわすことで、地球にも優しく、自分のゴミ出しのコストも抑えることができます。
福岡市中央区では、毎日「資源物回収所」を利用できる場所があります。最寄りのスーパーでも牛乳パックやプラスチックトレイを回収しています。こうした資源物回収を徹底して見直せばゴミも減ります。
環境省の『令和元年度容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集等の実績について』https://www.env.go.jp/press/109333.html データによると「ペットボトル」の分別回収の「全市町村の実施率」は、98.4%と高い数値になっています。またガラス製容器類は94%を超えているそうです。
ただ、プラスチック製容器包装は76.7%と少し劣ります。国内の分別資源回収はかなり進んでいるものの、改善できる余地があるからこそ、見直してみるのも方法の一つです。
■ ゴミ出しの回数が減った効果
福岡市内は週に2回、燃えるゴミを回収してくれます。これまで僕は、週に2回、毎度ゴミを出していました。ゼロウェイストを意識するようになった結果、今では週に1回のみとなっています。ゴミ袋のサイズも中サイズから小サイズへ変更しました。もっというと、燃えないごみ用、空きびん・ペットボトル用のゴミ袋も必要なくなりました。
ゴミ袋を買わなくなったのでゴミを出すための費用がかからなくなりました。ただ何よりゴミを減らせたという自己満足感が高まりました。
4 長年使えるアイテムを選ぶ
もっと知識を深めるために読んだのが、シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハさんらの『プラスチック・フリー生活』です。便利で使いやすいプラスチックがどのように環境を汚染して、どう人体に影響しているのか俯瞰できる内容でした。有害で耐久性が低いプラスチック製品ではなく「長年使えるアイテム」を考えるのにも参考になりました。
『プラスチック・フリー生活』の詳細はこちら
詳細はこちらプラスチックの容器から環境に配慮してつくられたシリコンや陶器、ステンレス製のアイテムなど、「長年愛用できること」を基準に日用品を見直しました。
例えば、使い捨てのコーヒーフィルターから何度も使えるステンレス製にかえたり、使い捨てのプラスチック保存パックから数千回以上利用できるシリコンバッグにかえたり、プラスチックの電気ケトルからステンレス製に変えたりと、長年使えるアイテムを丁寧に選びました。もちろん、壊れても修理しやすいモノです。
■ 長持ちするアイテムを選んだ結果
10年以上愛用できるアイテムを丁寧に選ぶ長期投資の感覚です。長年使えるアイテムを意識し続けることで出費も減ります。短期で見ると出費は大きいですが、長期で費用を回収する目線です。
何より、人体に悪影響がある素材に関する知見を広げる勉強への投資にもなりました。
やってみた結果、日常生活で「満足度」と「知識欲」の2つが高まった
「SDGsって意味ないのでは?」「サステイナブルな暮らしってどうなの?」と懐疑的だったのですが、実際に体験してみると見方が変わってきました。
SDGsはビジネスのファッションであることは否めません。ただ、サステイナブルな活動を真剣に考えることに意味はありました。
僕自身、サステイナブルを意識したことで「満足度」と「知識欲」の二つが高まりました。実際に本を読んで知識が増えました。日本にも世界にも未来の地球のためにゴミを出さずに生活しているプロフェッショナルな人がいることを知り、近づくために行動しました。
実際にやってみたことで、ゴミの量が減った満足感を得ました。また同時に難しさを実感し、もっと極めたい欲も出てきたわけです。今後、よりゴミを出さないゼロウェイスト生活を実践していきます。
行動することで満足度が高まったと同時に「そもそも何が正解かわかりにくい」という発見がありました。「地球温暖化は起きていない」という研究者もいますし、「ゴミの分別やリサイクルは無意味だ」と唱える人もいます。
目まぐるしく変化する世の中だからこそ、今まで正解だったことが、次の日には不正解になることも多々あります。変化が激しい時代だからこそ、知識を増やし続けようという欲がでてきました。
常に情報をアップデートして、正解に近づく試行錯誤を続けようと思います。
SDGs活動は、真剣に取り組まれているモノも胡散臭いものもあるモノもあります。ファッションを鵜呑みにせず俯瞰しながら試すのがおすすめです。自分がやっている活動が「意味があるのか」「意味がないのか」を考えるためにも「知識」が必要です。さまざまな角度から地球に優しい暮らしをするためにどうすればいいのか考えるようになったことが大きな変化でした。