■ 毎年経済は成長しない?年収も上がらない?
「日本の経済は成長していない」「年収も上がっていない」という話をよく耳にするようになりました。1990年代のバブル景気以降、日本は経済成長も乏しく、労働者の賃金もさほどあがっていない横ばい状態が続いています。
ビジネス界隈で人気の著者、デービッド・アトキンソンさんの『給料の上げ方―日本人みんなで豊かになる』の本でも上がらない日本の給与を問題視されています。
例えば、経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表した「平均賃金」はOECD加盟国38ヵ国の中で24位となっています。
また、国際通貨基金(IMF)のデータベースによると「一人当たりのGDPは世界35位」と先進国でありながら低い状態です。端的にいうのなら、世界的に見ても日本の賃金は低く、一人当たりの国内総生産はどんどん下がっているのが現状です。
■ 小さな資本主義を意識して個人でできることをする
「日本の経済は成長していない」「年収も上がっていない」からこそ、「右肩上がり」に経済成長するという前提ではなく、なだらかな横ばいを受け入れる「小さな資本主義」の思考が広まっています。
経済成長や平均賃金は個人が一人で動かせるモノではありません。国全体の成長の伸びや平均賃金は横ばいになっているからこそ、個人は現状を受け入れてそれなりの生活を楽しむ動きが増えつつあります。
また、経済成長も年収も今のままでは横ばいなことに危機感を覚える人も、個人で収入を増やすために動いています。「日本の経済全体が沈んでいる」からこそ、自分で投資の勉強や副業をして収入の分散を目指す人も増えました。
意識が高い個人は鈍化する日本全体の成長を受け入れ、会社だけに依存しない暮らしをする準備をしています。要するに、現状を受け入れず、自分にできることを模索し続ける意識があれば、より人生の選択肢は広がります。
■ 会社に依存しない暮らし方とは?
要するに「会社は個人を支えきれなくなってきた」「日本は世界的に見て弱くなりつつある」という思考を持つことが第一歩です。かつて「ジャパンアズナンバーワン」といわれた日本を過去のことだと冷静に分析しつつ、今から個人でできることを考えればいいわけです。
会社だけに依存しつづけるのはリスクでしかありません。だからこそ、リスクを分散しつつ、個人ができることをしましょう。実際、どんなことができるのか具体的な方法をまとめます。
❶ 会社以外にやりたいことを始める
あなたは今の社会人生活に満足していますか。満足しているのであれば、より一層邁進すべきです。ただ、「どこか不満がある」「もっとやりたいことがありそう」という人は、会社以外にやりたいことを今すぐに始めましょう。
「もっと時間があればやりたいのにな」とか「今の仕事を辞めたらやりたいけど」とか考えているうちに歳をとってしまいます。時間は有限だからこそ、思い立ったときに始めるのが最善です。
まずはちょっとした小さな行動から始めましょう。「不動産投資に興味が出たからマンションを見に行った」「ウェブで副業を始めたいからクラウドソーシングに登録した」など、本当に小さなことから始めるのがコツです。小さな行動の積み重ねが大きな変化になります。
僕も会社員時代、小さなことから始めました。まずは仕事帰りに街の図書館に通うことから変化させました。会社と家を往復する習慣を変えたかったからです。結果、図書館へ通うことで、今まで見たことがなかった副業雑誌や不動産投資の本を片っ端から読み漁ることができ、知識がつきました。
❷ やりたいことを自ら決める
「やりたいことがない」「何をやっていいかわからない」という人も多いです。何をしていいかわからないからこそ、目の前に没頭して会社人間になるのも手段の一つです。
ただ、より人生の選択肢を広げたいのなら「やりたいことを自ら決める」のも方法です。人は物事を深く考えてしまう生き物です。「やりたいけどリスクがある」とか「やってもお金にならない」とか、考えれば考えるほど悲観的な部分に目がいきます。
だからこそ「何となくいいな」「ちょっとでもやってみたいな」と思ったことを続けてみることが必要です。小学生の頃の夏休みを思い出してください。あの頃は何も考えず、ひたすら1日中ゲームをしたり、友達と遊んでいたはずです。
何も考えず続けた結果、没頭できたり、仕事につながることがほとんどです。ポイントは、とにかくやってみること。少年少女だった頃の初心を思い出しつつ、何も考えず、とりあえずやってみるのがコツです。
❸ 会社以外のつながりをつくる
会社だけのコミュニティーは閉鎖的になりやすいのは言うまでもありません。毎日、職場で同じ人に会って、似たようなことをすると思考が偏ってしまいます。人は毎日同じルーティンになればなるほど慣れてしまい、考えることをやめてしまいがちです。
よくあることですが、学生から社会人になったばかりの頃は、学園生活と会社とのギャップで不安や不満が芽生えがちです。ただ、数年経てば会社生活に慣れてしまい、変化が少ない生活になってしまいます。
会社生活に慣れる時期こそ、新しい人脈や環境に踏み出すことも重要な一歩です。「海外へ行くのが好きな友人」をつくったり、東南アジアのビジネスに詳しい知人をつくることで、会社以外の人脈から思わぬ仕事の話が生まれたりします。
会社に依存しない生き方を模索するからこそ、会社以外の友人や知人をつくって視野を広げましょう。
❹ 趣味を広げてみる
日本全体的に見ると「年収は上がりづらい」のが現状です。あなたが勤めている会社はどうでしょう。あなた自身の働きに見合う収入は得られていると思いますか。
もし不満が少しでもあるなら、別の選択肢を模索しましょう。会社を辞めても別の軸で生きられる柱を作ることで、生活の選択肢を分散させると財布にも心にもゆとりが生まれます。
やりたいことをはじめたり、興味があることに手を出すことで趣味が広がります。広がった趣味をきっかけにつながりができたり、ちょっとした趣味から収入がつくれるようになります。
❺ 給与収入の他に現物収入を得る
何もお金だけに視点を偏らせる必要はありません。例えば、生きていくために必要な「食料」を自給自足するのも分散の一つです。
食という現物を手にするという意味で「現物収入」を得るのはありです。例えば、自分が食べる「さつまいも」を自分で栽培したり、よく食べる野菜をマンションのベランダで家庭菜園するのも現物収入になります。
僕自身、さつまいもを栽培しています。今ではジャガイモやごぼう、たまねぎや里芋など数種類の野菜を育てるようになりました。7月の豪雨の影響で畑が水没しましたが、今のところ栽培できそうなくらい回復してきました。
こうした自然災害との戦いや栽培の過程をブログにアップしたり、できた野菜を販売すれば収入にもなります。何より、植物を育てて自分で食べることは幸福度を高めることができます。
❻ 楽しみをいくつも持つ
「楽しい」と思えることを何個も持てば人生の幸福度が増します。「収入は右肩上がりにならない」と受けいれ、収入とは別軸で幸福度にアプローチする感覚です。
よく人は「お金があれば幸せになれる」と勘違いします。もちろん、お金は幸福度を高めてくれるツールではあるものの、幸せそのものではありません。
だからこそ「自分の幸せにするには何が必要か」を考えてみるのも一つ。趣味に熱中するのもいいし、週末に楽しめることを見つけるのもいい。僕の場合、月に一度は海外へ行き、新しい情報の仕入れをしています。最近は東南アジアを中心に、ベトナムや韓国、香港へ行っています。幸福度が高まる趣味を何個もつくることで、幸せ度を上げる手段を増やす思考はおすすめです。
■ 経済は鈍化しても幸福度は右肩上がりにする
「小さな資本主義」を意識して、幸福度を高める暮らしを試してみましょう。これからの日本全体が「年収は右肩下がりになる」「日本経済は衰退する」と想定するなら、今から自分で対策をすべきです。
僕は危機感を感じて会社以外の人生の選択肢を模索しました。結果、8年前にフリーランスとなり、自分一人で会社を立ち上げ、ビジネスを営むことができています。
現状を悲観的になりすぎず、冷静な分析をして個人ができることを準備する思考は大切です。人生に何が必要か、どうすれば楽しくなるか、幸福度を高まる視点で考えるとおもしろいです。