『世界がモンキーマンを見るのではなく、モンキーマンが世界を見る』/「モンキー」エレファント・ラブ
1996年に真心ブラザーズのYO-KINGらが結成したヒップホップユニット、「エレファントラブ」。
“人生いろいろあるけど、やっぱり美しくて楽しいものだ”というポジティヴな広義の意味での“愛”をテーマにしたラップで注目を浴びたグループです。
社会の価値観と自分の価値観を比べて、悩んでいた10代のころに、この曲を聞いて以来、様々な場面で思い出します。
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世界をどう観るのか、観たものからどう考えていくべきなのか。
学校の授業では教えてくれない大切な問いです。
観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか (SB新書)
詳細はこちら本書「観察力の鍛え方」は、『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』『漫画 君たちはどう生きるか』の編集者ととして、クリエイターの発掘、育成を行う佐渡島庸平さんによる、世界の見方と向き合う一冊。
帯には「ぼくらは目でなく脳で世界を観ている。「自分」という牢獄から出よう。」と書かれてあります。
「観察力」とは世界を見る精度をあげること。
それによりインプットが改良され、そこから生み出されるアウトプットも改良されていきます。
よい質問がよい回答を生むという言葉があるように、いい観察がいい創造物を生むのかもしれません。
「問い→仮説→観察」のループにおける「問い」には多くの注目が集まっており、「問い」にまつわる書籍も多数出版されています。
しかし、著者は仮説を持つことで観察につながり、アクションしやすくなることで、より行動に熱量が生じて「問い→仮説→観察」のサイクルが始まりやすくなるといいます。
本書にある観察力を鍛えるために観察を阻んでいる3つの要因とはこちら。
・認知バイアス
・身体・感情
・コンテクスト
この3つを、世界を見るときの「メガネ」と表現。
「メガネ」というと、色眼鏡で見るといったように悪印象を受けるかもしれませんが、ここでいう「メガネ」は悪いものではありません。
むしろ、自分の見方が何のバイアスもない、まっすぐなものであるということはないことを自覚することで、自分がかけているメガネにはどんな特徴があるのかを理解し、それを使うことによって観察力が伸ばしていくものです。
「メガネ」の話を入り口に、目の前のことを見るための技術、観察の方法や観察を歪ませる認知バイアスなどについてわかりやすく、時としてマンガも用いながら教えてくれます。
現代は、価値観が多様になり、これまでに以上に自分で考えることが必要とされる時代になってきています。
親から言われたから、先生から言われたから、社会的にこうだからと言われているから、などとこれまで言われていたものが本当に現代に合っているのか、いまの自分に合っているのかを考える場面が増えているはずです。
そして考えに考えて選んだ選択肢も、果たして正しいものなのかの判断に悩まされる、なんてこともしばしばあります。
私達が生きる中で価値観を考えるさまざまな場面において、起きた事柄をできるだけ観たままに「観察」し、そこから起きたこととそれによって生じている自身の感情を把握することができると、判断がしやすくなります。
それはビジネスの場面だけでなく、人生のいろいろな場面で起きることとの向き合い方にも役に立ちます。
すぐに役立ちそうな内容に加えて、自分と世界の接し方も考えさせてくれる本作品は、価値判断の立脚点をつくるきっかけになり、結果として自分のこれからに大きく影響を与える一冊になるかもしれません。
さらに本書の最後の章では、観察により世界を知ろうとすると、「わかる」ことを意識し始め、「わかる」から「あいまい」の世界まで言及されます。
この「あいまい」の世界は、速さや正解が求められて過ぎている気がする現代社会の中で、生きやすく、かつ面白くするものとして気になるところ。次の作品ではそのあたりについても語られるのか、とても楽しみです。
本書の中でも何度か触れられるのですが、著者は東京から福岡に移住されたということもあり、その暮らし方にも注目です。
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観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか
佐渡島 庸平 (著)
出版社 : SBクリエイティブ (2021/9/6)
https://www.amazon.co.jp/dp/B097QQKLF6
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