デスクワークをソフトウェア型ロボットに代行させて自動化する技術「RPA」。㈱オルトロボは、RPAで中小企業の競争力を高め、地方創生の一端を担う

入力作業などのデスクワークをソフトウェア型ロボットに代行させて自動化する技術・RPA(Robotic Process Automation)。そのスペシャリスト企業は全国でも珍しく、福岡では株式会社オルトロボのほかに見当たりません。異分野から一念発起し、知識とスキルを身につけRPAのスペシャリストとなった同社代表の野下主税(のげ・ちから)さんに、あえて起業の道を選択した先にどんなビジョンを描いているのか尋ねてみました。

年収が半減しても身を置いてみたかったITの世界。未経験からスペシャリストへとスキルセット                          

 野下主税さんは京都の大学を卒業後、故郷の鹿児島で法人担当の銀行マンとなった。当時、融資先企業がどこも力を入れていたのは多額のIT投資。ITのことを何も知らなかった野下さんは、IT化を軸とした事業計画書の収支予測を半信半疑で見ていた。
 
ところが、どの企業も想定以上の効果をもたらすのを目の当たりにして、ITへの興味が次第に高まっていく。仕事のかたわら独学でITを勉強するうち、野下さんはその可能性にすっかり魅了されていった。
 
野下さん

ITの世界に身を置いてみたい!と直感的に思いました。


 

ITベンチャー社長のイメージとは一線を画す、穏やかで物腰柔らかな話しぶりが印象的な野下主税さん

24歳の時、思いきって銀行を辞めて上京し、未経験からエンジニア人生をスタートさせた。年収は半減。初めての東京暮らしは苦労の連続であった。それでも、エンジニアへの転身を後悔したことは一度もないという。
 
未経験からのスキルセットであったが、プログラマーITコンサルタント業務コンサルタントと着実にステップアップ。その中で出会ったのがRPAだった。
 
通常のシステム開発のように、プログラムを書かなくても自動化できること。システム間の連携が簡単にできること。システム開発に比べればずっと少ない投資額で自動化が叶うこと。こうしたRPAの魅力や可能性に惹かれた野下さんは、経験を積むためフリーランスのエンジニアとなり、RPA案件を集中して手がけることでスペシャリストへの道を歩み始めた。
 
 
RPAはプログラミングが不要だが、派生して依頼されるシステム開発やカスタマイズなどプログラマーやSEといったエンジニアが活躍できるシーンも多い。既存スキルを発揮しながら、RPAスペシャリストをめざすキャリアセットも可能だ

都市圏から地方都市へと広がる「RPA」の新たな段階に向け、福岡での起業を決意する

 
RPAの魅力は、適応範囲の広さ低コストで業務効率化を実現できる点にある。野下さんがRPAに出会った数年前は、まだ多くのエンジニアがその単語さえ知らなかった。
 
しかし、年々その認知度は高まり、今では首都圏のほとんどの大手企業がRPAを導入し、その波は中堅・中小へと広がりを見せている。ITの世界においてRPA市場が拡大するのは時代の自然な流れであり、それは今後、地方へと着実に広がっていく。こうした流れを肌で感じていた野下さんは、同じくRPAのスペシャリストをめざしていた仲間と3人で、2018年9月に会社を設立した。
 

「RPA、福岡」で検索するとトップページに表示されるオルトロボ。公式サイトからの問い合わせのほか、昨今は丁寧で専門性が高い仕事ぶりが評価され、紹介案件が着実に増えている

野下さん

都会で働くより、地方で暮らしたいというのが、3人共通の思いでした。


 
3人は、すでにRPA市場が一定の広がりを見せている東京で、会社を設立する気はなかった。これからRPAが広がっていく地方都市に可能性を感じていたし、生活の場としても地方の方が魅力的であった。そして候補地として絞り込んだ大阪と福岡のうち、最終的に福岡を選んだのだ。福岡を選んだ理由は、地方都市の中でもIT市場が発展しており、創業の気風がさかんな街であること。そして3人ともに九州にゆかりがあったことだった。
 
野下さん

福岡には、コンパクトな都市機能があり、自然との距離感も近い。何より、食べ物がおいしいし、人もやさしい。福岡に移り住んですっかり太ってしまい、今は会社まで、家から25分歩いて通っています(笑)。


 
とは言え、正直なところ、フリーランスのRPAスペシャリストとして仕事を続けていた方が、野下さん自身の収入は増え、気楽だったはずだ。それでも会社設立の道を選択したのは、なぜなのか。
 
野下さん

1人でできることには限界があります。フリーランスを経験したからこそ、仲間の存在の大切さがよくわかるんです。


 
RPAの市場が拡大する中、自分一人より仲間と一緒に理想的なRPAソリューションを提供する方が、ずっと面白い仕事ができると野下さんは考えている。
 
野下さん

一人より、みんなで一緒にワクワクした方がずっと楽しいと思っています。


 
会社設立のもう一つの目的は、RPAスペシャリストの育成であった。今後の市場性を考えたとき、RPAスペシャリストはあまりにも少なすぎる。着実な市場拡大のためには、担い手となるスペシャリストが不可欠だ。自身が未経験からスペシャリストになった経験を、次代の人材育成に生かしたいと考えている。
 

3人でスタートして2年半が経ち、現メンバーは7名。リモート勤務やオンライン会議が主体の、自由な勤務スタイルを実践している

「RPA」はあくまでも手段。その先にめざす本当の目的がある

RPAは、ソフトウェアのロボットに作業を記録してワークフローを作成すれば、次回からそのワークフローに基づいてRPAツールが自動で作業を代行する技術である。ワークフローは、ドラッグ&ドロップ操作で簡単に作成できるため、プログラミングの知識がなくてもRPAツールを使うことができる
 

紙の帳票をデータ化する技術「OCR(光学文字認識/Optical character recognition)」を組み合わせた、「RPA×OCR」の提案も行っている。

   

RPAは、従業員・企業それぞれに、大きな導入効果をもたらす。例えば、ソフトウェアロボットに任せることで作業的業務から解放された従業員は、人にしかできない高付加価値業務に集中することができる。また、時間を有効的に使ってワークライフバランスを実現できるので、働くことへのストレスが格段に軽減する。
 
企業の視点から見ると、「スタッフは質的業務・ロボットには量的業務」と効率的な労働が実現でき、人件費を削減できる。定型業務をロボットに任せることで人的ミスが減るため、結果として事務品質は向上する。「○○さんに聞かないとわからない」といった属人化を防げるし、人手不足という頭の痛い経営課題からも解放される。何より「長く安心して働ける環境づくりへの取り組み」を実践する企業として、社内外へ効果的なアピールができるなど、多くのメリットがある。
 
野下さん

RPAツールを導入すれば誰でも扱えると思われがちですが、実際には、導入しても十分使いこなせていない企業がとても多いのです。


 
野下さん率いるオルトロボの強みは、RPAに精通したスペシャリストが揃っていて、検討・対応すべきポイントをしっかり把握している点である。多くのRPAツールがある中、それぞれの特徴を理解した上で効果的なRPAの導入支援を行っている
 
一般的にRPA導入の多くは、SIer(System Integratorの略)がシステム開発の流れで手がけている。そのためRPAの専門知識が少なく、取り扱うRPAツールも制限されるといったデメリットが見受けられる。
 
一方、野下さんたちはクライアントの業務に適したRPAツールを選択し、時には最適なRPAツールを探し出して導入するなど、細部にわたってスペシャリストの視点から万全のサポートを提供する。
 
野下さん

私たちがよく使うのは、UiPath、WinActor、BizRoboといったRPAツールですが、他にも国内外にはいくつものツールがあります。個々の業務に最適なツールを選択し、安心して使えるよう導入するのは意外に難しい。そこに私たちの存在価値があります。


 
クライアントにとって、RPAを熟知したスペシャリストがツールの選択からワークフローの作成、導入、保守・メンテナンスまでトータルでサポートしてくれるのは、とても頼もしいはずだ。
 
野下さん

RPAはあくまでも手段に過ぎません。私が本当に叶えたいのは、業務効率化によって人手不足を解消し、地方企業の競争力が向上すること。それが地方創生につながれば、こんなに嬉しいことはありません。


 
野下さんの思いは、自社の成長という枠を超え、地方に活気を取り戻したいという広い視野にある。RPAスペシャリスト育成への意欲も、RPAをもっと世の中の役に立てたいという強い思いの表れだ。
 
 

中小企業の〝システム顧問〟として、地方創生に向け、プライドと気概を抱き続ける

 
福岡でオルトロボがスタートして2年半。当初は福岡ならではの、長年のつきあいを優先する商習慣にとまどいも感じたと振り返る。だが、クライアントが着実に増える中で、自分たちに求められる立ち位置が明確になってきたと語る。
 
野下さん

中小企業の〝システム顧問〟というのが、いま私たちが担うべき役割だと感じています。


 
実際、RPAツールの導入をきっかけに、システム開発や業務コンサルティングを依頼されるケースが増えている。RPA導入に際してはクライアントの業務を十分に理解する必要があり、周辺業務も含めて細部まで丁寧なヒアリングを行う。
 
RPA導入で取引が始まった、不動産業のクライアント案件は、その好例と言えるだろう。ニーズをもとにヒアリングを重ねて業務を整理し、万全なRPA導入を果たしたところ、その仕事ぶりと導入成果が高く評価され、新たな依頼を受けた。現在、WEBシステムの開発や事業ビジョン事業体制の改変に伴うさまざまなプロジェクトなど、より経営の根幹に近い仕事に携わっている。
 
中には、システム化や業務効率化が追いついていない企業も少なくない。このようにRPA導入のプロセスにおいて信頼関係が生まれ、あらゆる業務課題を相談されるうちに、新たなシステム開発の案件が生まれる場合があるそうだ。
 
こうした九州圏内のニーズをふまえ、野下さんは現在、RPAだけに特化しない次代の事業ビジョンに向けた取り組みを進めている。それはRPAを幹に据え、さまざまな事業領域を枝葉に配し、〝システム顧問〟として企業の競争力を高めることで、地方創生の一端を担うというビジョンである。
 
ソフトウェアロボットを通じて〝オルタナティブ(既存のものにとって代わる新たなもの)〟を実現する──という意味を込めて名付けた「オルトロボ」という社名には、野下さんのプライドと気概がこめられている。
 

オリジナルキャラクターの「オルトロボくん」が、業務改革を推進する多くの企業をRPAの世界へといざなう
 
株式会社オルトロボ
https://altrobo.co.jp/
■設立/2018年9月
■住所/福岡市博多区比恵町4-17日高ビル2階 
■電話/092-482-8550

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ライター
森 熊太郎
1965年、福岡市生まれ。西南学院大学卒業後、人事系広告代理店で採用広告・企業PR・教育研修分野の営業・制作を担当。その後、地場の複合業態グループで経営企画・採用・社内教育・事業開発・合併業務・製造部門の事業管理に従事し、独立。パラレルワーカーとしてライターの他、自然療法/びわ温きゅう師の顔も持つ。モットーは〝おおむねごきげん〟。

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