なぜ、福岡に人が集まる!?

マネージャー層にも可能性大!福岡の街が持つバランスの良さが、 仕事も生活も大切にしたい人を呼び込む

人口の減少が社会問題となっている昨今ですが、福岡市ではまだまだ人口流入が続いています。今回は「移住」をテーマに、福岡市の人口増加の背景を考えていきたいと思います。移住といえばスローライフな面ばかりが強調されがちですが、福岡は仕事と生活を両立しやすい場所として人気を集めているのです。

福岡への移住者が語る魅力。「都心の近くに、こんなに豊かな環境があるなんて!」

東京一極集中が続いてきた日本にあって、東京から地方への移住が静かに広がり始める潮目となったのは2011年の東日本大震災である。

震災を経験し、自身の生き方を見つめ直した人たちが、東京を離れ、地方に生活の場を移した。

福岡市西区を拠点に移住支援事業に取り組んでいる須賀大介さんもその一人だ。(※トップ画像:福岡市西区今宿の海岸で子供とくつろぐ須賀さん)

須賀さんは茨城県水戸市の出身。東京で立ち上げたWEBデザイン・マーケティング会社を、従業員35人を抱える企業に育て上げた。

しかし、業容が拡大するに伴い勤務は深夜に及ぶようになり、子育ても妻に任せきりの日々。

「これから先も、こうした生活を続けていくのか」と考えるようになった矢先に、東日本大震災に遭遇した。


須賀さん

生活の不安に加え、会社の経営資源を東京に集中させておくリスクも考えるようになり、移住先を探すようになりました。

時間を見つけて長野や山梨などに足を運んではみたものの、須賀さんの頭から離れなかったのは、福岡県西部に位置する糸島市の光景だった。


糸島市の北部は夕陽が映える海、南部は紅葉が美しい渓谷など豊かな自然で知られる(糸島市観光協会HPの地図をもとに編集部で加工)


須賀さん

家族で福岡市を訪れた時に糸島まで足を伸ばしたんです。目の前に海が広がる豊かな自然新鮮で豊かな食材。福岡市都心部から電車で約40分のところに、こんな環境があることに驚きました。

その後、社員との話し合いを重ね、2012年8月に糸島市に隣接する福岡市西区に移住。

本業のかたわら、同時期に移住してきた仲間たちや移住をサポートしてくれたメンバーと「福岡移住計画」を立ち上げ、福岡の「居(コミュニティ)・職・住」に関する情報発信やイベント企画などを始めた。

その後もコワーキングスペースの運営、不動産仲介など活動の幅を広げ、今では移住サポートが会社の主力事業となっている。


福岡市西区内にある福岡市ヨットハーバーの夕景

「仕事のパフォーマンスを上げてくれる環境が、福岡にはある」

須賀さんたちのように東京から地方へ移住する人が出てくる中で、2014年には国が人口減・超高齢化への対策の一つとして「地方創生」を掲げ、地方移住・就労を推進するようになる。

とはいえ、いきなり生活の拠点を移すことは難しく、実際に行動に移したのも、比較的場所を選ばずに仕事ができるIT関連企業やフリーランスが中心だった。

1990年代から情報通信産業の振興に力を入れていた福岡市では、2014年にはIT・デジタルコンテンツ企業の従事経験者を対象にU・Iターンを支援する「福岡クリエイティブキャンプ」を開始。

クリエイティブ人材がこのプロジェクトをきっかけに、福岡への転職・移住を果たした。

2015年頃からはIT・デジタルコンテンツ産業以外からも、福岡に移住する動きが見られるようになった。

福岡移住計画での活動を通じて、その動向を見てきた須賀さんが説明する。


須賀さん

地方創生の次に出てきたキーワードが『働き方改革』です。

働き方改革とは〝持続的な働き方とは何なのか〟という問い掛けでもあるわけですが、福岡はこの問い掛けに対し、働き方の一つのモデルを示すことができた街だと思います。

それは端的に言えば、良好なビジネス環境生産性を高め労働時間の短縮につながることで生活にゆとりが生まれ、結果として仕事への意欲につながる働き方、というものだ。


須賀さん

移住してきた方は、東京にいた時よりも労働時間が短くなる傾向にありますが、売り上げや成果が大きく落ち込むことはない。

つまり、生産性が上がっているということです。なぜ、生産性が上がるのか。それは、仕事へのモチベーションを高めてくれる環境があるからです。

例えば東京では、満員電車での長時間通勤を強いられる人も多く、休日にリフレッシュしようと思っても、時間とお金をかけないと難しい。

その点、福岡はコンパクトな街なので通勤時間も短くてすみますし、都心の近くに自然があり、食べ物も安くておいしい。

暮らす人たちの多くが人情味にあふれ、助け合いを持っている。そうした環境が仕事への意欲も高め、結果として生産性を高めていると思います。


須賀さんの会社が運営する福岡市西区今宿のシェアオフィス・コワーキングスペース「SALT」

こうした環境が与える影響は、仕事だけに留まらない。そこで家族と暮らし、子供を育てる上でも大きなメリットとなっている。


須賀さん

福岡は九州経済圏の中心地でもあり、アジアへも近い。ビジネス拠点でありながら、生活をしていく場所としての経済的合理性も高い。

ビジネス環境、自然、物価、交通利便性、コミュニティ、医療、教育…街の持つ数ある要素の中で、個々を見れば福岡より魅力的なところもあるでしょう。

しかし、それらを万遍なく高い水準で包含しているのが、福岡の特徴であり魅力なのです。


眼下には博多湾が広がり、やさしい潮騒がオフィスを包む

収入は下がっても、可処分所得・時間の上がるメリットは大きい

会社員の場合、移住に際しては独立か、移住先の企業へ転職する選択に迫られる。

一般的に福岡の収入の水準は東京の7割程度と言われており、転職を選択した場合、収入が下がることは覚悟しなければならない。

いくら仕事や生活がしやすいと言っても、この現実を受け入れられるかがポイントになる。

それでも、トータルで考えると生活の質が落ちることはない、と須賀さんは言う。


須賀さん

福岡に移住すると多くの場合、収入は下がりますが、可処分所得は上がる傾向にあります。というのも、これだけの規模の都市の割にオフィスや住居の賃料は手頃ですし、新鮮な食材を使った料理が安く食べられる。

通勤も含めた仕事の時間が短くなることで可処分時間も増え、プライベートの充実が図れる。そこにメリットを見出せれば、収入が落ちることはそこまで気にならないと思います。


西区内にあるアウトレットモール「マリノアシティ福岡」

マネージャー層が不足する地場企業。中高年齢層にも活躍の余地あり

比較的、転職のしやすい20~30代だけでなく、企業でキャリアを積んできたベテラン社員にも、福岡は活躍できる余地がありそうだ。


須賀さん

福岡移住計画では人材紹介会社とも連携しているのですが、福岡は多くの若い人が活躍する一方で、企業のマネージャークラスの人材が不足していると聞きます。

そのため40~50代のビジネスパーソンも、これまでの経験を福岡で生かせる余地は十分にあると感じます。

移住者を受け入れる地場企業も、雇用に対する考え方が変わりつつあるという。


須賀さん

東京と同じ待遇で雇用するのは難しくても、同じような課題を抱える企業が共同で一人の人材を採用して〝シェア〟すればいい。そう考え始める企業も出てきました。

移住者の中にはこうした枠組みの中で、複数の企業で仕事をする人も出てきています。

予算は限られるが、キャリアを積んだ人材が欲しい。そう考える地場企業の知恵が、移住者に新たな働き方を提供している。


西区内にある波静かな小戸公園

住む場所を選ぶ時代の到来、福岡への移住者はさらに増える⁉

ここにきて、地方での生活を選ぶ若者も出始めている。

福岡移住計画が提携する国内最大の移住相談機関「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」のデータを見ても、20代の移住検討者は増加傾向にあるという。

須賀さんは「東日本大震災以降、生き方、働き方に対する価値観が多様化する中で、仕事以外の生きがいや、社会や地域との関わりを大切にしたいという考え方が若年層にも広がっている」とした上で、こうした若者も含め、今後も福岡への移住は増えていくだろうと予測する。


須賀さん

東京オリンピック・パラリンピックの熱気が冷めた後、この先どこで誰と生きていくのか、ということを改めて考える人が増えてくると見ています。

人生100年時代の今、何を大切に生きていくかを考え、その上で生活する場所を選択していく傾向は顕著になっていくはず。

福岡の街としてのバランスの良さは全国でも突出しており、今後も有力な移住先の一つになると思います 。

仕事に一生懸命取り組んで、自分や家族との時間も大切にしたい。そう考える人たちの視線の先に、福岡がある。


県が発行する冊子「福岡移住読本」には、福岡市への移住も紹介されている

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編集者・ライター
光本 宜史
1972年、北九州市生まれ。西南大卒。地域経済誌『ふくおか経済』で経営者への取材、特集記事を担当。「宣伝会議」ではマーケティング・コミュニケーションに関する取材、教育講座の企画に携わる。2014年にフリーの編集者・ライターとして独立。著書に『幸せを届けに~五輪ランナー小鴨由水 もう一つのゴール』(海鳥社・2019年)

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