将来に向けて資産形成を行うために多くの方が不動産投資を選択していますが、家賃収入を得るためにはその仕組みを理解し、計画的なアプローチが必要です。
この記事では、家賃収入を得るための流れと仕組みを解説。安定した収入を確保するためのコツなど役立つ情報をお伝えしていきます。
家賃収入とその内訳
まずは、「家賃収入って何?」「全額自分の収益になるの?」という基本的な部分から確認していきましょう。
家賃収入とは
家賃収入とは、所有するアパートやマンションといった賃貸物件の入居者から受け取る賃料収入のことです。
家賃の全額が利益になるわけではなく、物件管理・維持に必要となるさまざまな経費を差し引いた金額が実質的な利益になります。
家賃収入の内訳は、主に以下のようになっています。
家賃収入の内訳
家賃
家賃の金額は、立地エリアの家賃相場や物件の仕様に基づいて決めます。 また、利回り、ローン返済額、固定資産税などの費用も考慮する必要があります。
これらのコストをカバーし、利益を上げるために適切な家賃を設定することが重要です。
なお、家賃は最初に設定したら終わりではなく、市場動向や物件の状態に合わせて定期的に見直しが必要になります。
空室になると家賃収入を得られないので、入居者のニーズに合った価値を提供できるよう対策していきましょう。
共益費
共益費は、家賃とは別に毎月支払う費用です。これは不動産物件内の共用部分(例:エントランス、エレベーター、共用廊下など)の電気代、保守、清掃などの費用に充てられます。
共益費の相場は家賃の5~10%が一般的で、オートロックやエレベーターなど設備が充実している物件は比較的高めに設定されているケースが多いです。
敷金・礼金
敷金は、賃貸物件を借りる際に入居者が預ける一時金です。この敷金は、家賃滞納、設備の破損、クリーニング代などに使用し、退去時に残金があれば入居者に返還します。
一方、礼金は貸主に対して支払う謝礼金なので返金されないのが一般的です。
敷金礼金ともに家賃1~2ヵ月分が相場になりますが、礼金に関しては空室リスクを避けるため0円にしている物件が増えています。
更新料
更新料は、賃貸契約の更新時に入居者が支払う費用です。
物件の契約期間は2年ごとに設定されていることが多く、更新料は家賃の1~2ヵ月分程度が相場となっています。
ただし、更新料を支払うより引っ越しを検討したほうが良いと考える入居者もいるため、空室を出さないように徴収しないケースも増えています。
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投資家へのネクストステップ
家賃収入の仕組み
ここでは、家賃収入を得るまでの流れ・仕組みについて確認していきましょう。
物件の購入
家賃収入を得るために、最初に行うべきステップは賃貸物件を取得することです。
土地を購入して賃貸用物件を建てることもできますが、最初は区分マンションなど小規模の賃貸住宅を購入し、これらの物件を入居者に貸し出す方のほうが多いでしょう。
物件の購入には多額の資金が必要になるため、ローンを組むことが一般的です。
金融機関との交渉や関連手続きも行うことになるので、不動産会社とよく相談しながら物件の運用方法や資金計画を策定していきましょう。
賃貸の開始(入居者の募集)
物件が準備できたら、不動産会社へ依頼して入居者を募集します。
入居者の募集は自身で行うこともできますが、内見の対応や問い合わせへの対応など多くの作業が発生するので、不動産会社へ委託する方が多いです。
また、物件の管理・メンテナンスや入居者サポートといった業務も委託できます。
業務委託料の相場は家賃の2~5%程度が一般的とされているものの、支払いペースや料金は会社によって異なるのでしっかり確認しておいてください。
家賃入金
入居者が決まると、毎月家賃が入金されます。
不動産会社に管理業務を委託している場合は、入金された家賃から管理手数料や諸経費が差し引かれ、残額が振り込まれます。
なお、家賃収入から経費を引いた収益が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。毎年会社で年末調整を行っている会社員も同様なので、注意しましょう。
家賃収入を得るために必要な費用
投資物件を取得して家賃収入を得るには、物件価格以外にもさまざまな経費がかかります。
これらの経費は確定申告の際に計上することで節税効果が期待できるため、利益を最大化したい場合は支出の内訳もきちんと把握しておきましょう。
税金
賃貸経営では、さまざまな種類の税金が課されます。
- 所得税
- 住民税
- 登録免許税
- 印紙税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 都市計画税
上記の不動産に関連する税金は経費として計上できます。確定申告をスムーズに行うためにも、賃貸経営に関連する税金と個人的な税金は明確に分けて記録しておくことを心がけてください。
保険料
火災保険や地震保険といった損害保険への加入も、賃貸経営を行っていくうえで必要になってきます。
これらの保険料も経費として計上可能で、数年単位の契約を結んでいる場合は1年あたりの保険料を割り出して申告します。
減価償却費
不動産など価格が大きく何年も使用できるものは、購入した年に全額費用を計上するのではなく、減価償却期間(法定耐用年数)に応じて分割計上することができます。
例)4,400万円で木造の新築アパートを建築した場合。
4,400万円÷22年(法定耐用年数)=200万円
耐用年数は建物の構造によって異なるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
修繕費
専有部分の修繕、経年劣化による原状回復費用、設備故障による修理・交換費用なども物件の維持管理に必要な経費で、修繕費として計上できます。
また、おおむね3年以内の周期で行われる修理・改良や、一つの修理・改良費が20万円未満の場合は内容に関わらず修繕費として必要経費に算入可能です。
なお、一つの修理・改良費が20万円以上になる場合は「資産価値を向上させた」と解釈されるため、費用計上ではなく資産として計上し減価償却していくことになります。
参考:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」
ローン金利
ローン金利も、家賃収入を得るために必要な経費です(ローンを組んでいる場合に限る)。
家賃収入を得る目的で物件を購入する場合は、住宅ローンではなく不動産投資ローンを組むことになるのですが、その際の融資手数料とローンの利息は確定申告時に計上できます。
税理士・司法書士への支払い
購入した物件の登記手続きや、帳簿・確定申告書の作成を専門家へ依頼した場合は、依頼にかかった費用(=報酬)も必要経費として計上可能です。
ただし、賃貸経営と関連しない内容の依頼報酬は対象外なので、別件で依頼している場合は区別できるよう整理しておきましょう。
安定した家賃収入を得るために押さえておきたいポイント
ここでは、安定した家賃収入を得るためにおさえておきたい5つのポイントを確認していきましょう。
知識や情報を得る
安定した家賃収入を確保するために、知識と情報を身につけることは必要不可欠です。
賃貸物件の運用業務は不動産会社へ委託できるので、知識がなくても問題ないと思う方は少なくありません。
しかし、物件価格や家賃の適正さ、管理会社の実務や手数料の適切さを判断するのは自分自身です。
不動産投資は大きな金額が動く長期的な事業であるため、正確な情報と的確な判断力は安定的な家賃収入を得るために欠かせない要素といえます。
市場動向、法的変更、投資戦略など、常に最新の情報をキャッチできるよう心がけることが大切です。
良い物件を選ぶ
適切な物件の選択も、安定した家賃収入を得るために重要な要素です。
もちろん物件価格も見るべきポイントですが、それがすべてではありません。安定的な家賃収入を見込めるのは、空室が発生しにくい立地の物件です。
たとえば、交通アクセスが便利で、周辺にスーパーや病院などの施設が充実している場所は、高い賃貸需要が期待できるでしょう。
また、立地エリアに住む人々の年齢層、世帯状況、人口密度などの調査も必要です。
どんなに立地条件が優れていても、エリア内の住人の特性に合致しなければ、入居者は集まりにくい可能性があります。たとえば、ファミリー世帯が多いエリアの場合は、一人暮らし向けのワンルームより2DK・2LDK以上の物件を購入した方が多くの需要を見込めるでしょう。
部屋の内装・設備は改善できても立地条件やエリアの特性を変えることは難しいため、物件を選ぶ段階で慎重に分析して判断していきましょう。
福岡の人気の高い物件についてはこちらで紹介しておりますので、ぜひご参考ください。
キャッシュフローを把握する
キャッシュフローとは、収入(キャッシュイン)から支出(キャッシュアウト)までのお金の流れのことです。
賃貸経営においては、家賃収入からさまざまな経費を差し引いた後、手元にどれだけ現金が残るかを示す流れを指します。
キャッシュフローがプラスであれば問題はありませんが、マイナスであれば自己資金から不足分を補填しなければなりません。ローンを抱えている場合はとくに、キャッシュフローがマイナスに転じるリスクがあります。
できるだけ正確な修繕費やローン金利を把握し、キャッシュフローをうまく回すための戦略を立てておきましょう。
不動産の専門家に依頼する
専門知識が必要な不動産投資の世界では、信頼できるプロのサポートが不可欠です。
投資用物件の選び方、物件の価値を下げないための管理方法、高い入居率を維持するコツなど、効果的な戦略を提案してくれる相談先を見つけましょう。
なお、自分の投資目的に合った物件の選定、自己資金に応じた収支シミュレーション、物件の維持・管理まで総合的なサポートを希望する場合は、販売実績が豊富な不動産会社を探すのが得策といえます。
不動産投資の相談先については、こちらの記事で紹介しておりますのでご参考ください。
まとめ
家賃収入を得るためには、【物件の取得→入居者募集→家賃入金】といったステップを踏む必要があります。
しかし、家賃収入はそのまま利益につながるわけではなく、業務委託料や税金など多くの費用が発生します。
赤字を避け、収益を最大化するためには賃貸経営における収支の詳細を理解しておくことが不可欠です。さらに、賃貸物件の運用をスタートさせたあとは、入居率を下げないために適切な管理が必要になってきます。
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