福岡でのアパート経営が注目される理由
不動産投資を検討する際、立地は最も重要な要素の一つです。特にアパート経営では「継続的な入居ニーズ」と「資産価値の維持」が投資成功の鍵となります。その点で福岡市は、全国的にも注目されるエリアのひとつです。総務省のデータによると、福岡市は人口が増加傾向にあり、2025年5月時点で166万人(※)を超え、人口増加率に関しては政令指定都市の中でも上位に位置しています。
(※)参照:福岡市公表の推計人口

また、天神ビックバンや博多コネクティッドといった中心部の大規模都市再開発が進行中で、商業・オフィス需要も増加しつつあります。中でも注目を集めているのが、2025年4月に福岡ビル、天神コア、天神ビブレの跡地一帯に天神ビックバンの中核とも言える複合ビル「ONE FUKUOKA BLDG.」通称「ワンビル」の開業です。開業直後から多くの人で賑わいを見せており、周辺エリアにも大きな影響を与えています。

引用:https://fukuoka-leapup.jp/gourmet/202504.53036
交通インフラの充実に加え、若年層の転入者数が多いことも福岡の特長です。これらの要素はすべて「賃貸住宅のニーズが安定的に存在している」ことを裏付けており、アパート経営を始めるうえで安心材料と言えるでしょう。以下では、具体的な需要の背景や立地別の特性について詳しく見ていきます。
直近での人口増加と都市開発による安定した需要
福岡市の人口動態を見ると、特に若年層(15歳〜29歳)の転入超過が顕著で、2017年から2021年にかけては約39,000人が福岡に移り住んでいます(※)。背景には「住みやすさ」「交通アクセスの良さ」「雇用機会の多さ」などがあり、就職・進学の目的で福岡を選ぶ若者が多いことが分かります。
出典:福岡アジア都市研究所『FUKUOKA GROWTH 2022』

さらに、現在進行中の「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」はオフィスビル・商業施設の建て替えを通じ、都市機能を大幅に強化する計画です。これらの開発が完了すれば、今後も企業誘致や雇用創出が進み、それに伴って住宅需要も安定すると予測されます。
このように、人口増加と再開発の両面から福岡市は「長期的な賃貸ニーズが見込める都市」として、アパート経営に向いたエリアと言えるのです。
移住者・学生・単身者など幅広い入居ニーズ
福岡市には現在15の大学と9の短期大学があり、全国的にも多い水準です。また、若年層の移住者だけでなく、都市部へのアクセスの良さから地方出身の社会人単身者、転勤族のファミリー層まで、幅広い入居層が存在します。

引用:https://www.fukuoka-u.ac.jp/fukudaism/campus_life/21/04/16472.html
とくにワンルームや1Kといった単身者向け物件は、都市部および駅周辺で常に高いニーズがあります。これは、生活利便性の高さや、通勤・通学の負担を軽減したいと考える入居者のニーズと合致しているためです。
加えて、福岡は生活コストが東京・大阪などに比べて低く、コンパクトで効率のよい都市構造も魅力です。こうした条件から、長期的な居住を希望する入居者が多く、空室率の低下や家賃下落リスクを抑える要因にもなっています。
福岡で物件を選ぶ際のポイント
福岡でアパート経営を始めるにあたり、物件選びは成功の可否を左右する非常に重要なステップです。同じ福岡市内でもエリアごとに特性が異なり、収益性や空室リスクも変化します。ここでは、立地条件や空室リスクへの対応など、投資判断に必要な視点について詳しく解説します。
駅近?福岡市郊外?立地で変わる収益性
福岡市はコンパクトシティとして知られ、地下鉄や西鉄電車・JR、バス路線が市内外を広く網羅しています。福岡市郊外や近郊のエリアであっても駅徒歩5~10分圏内の物件は利便性が高く、入居者からの人気も高いため、比較的安定した賃料収入が見込めます。また、福岡市郊外のエリア(糸島市・新宮町・糟屋郡など)でも再開発や子育て世帯の流入により、一定の賃貸需要があります。こうしたエリアは、地価が比較的安いため初期投資を抑えられる点も魅力です。利回りを重視する投資家にとっては、郊外エリアでのファミリー向け物件も一つの選択肢になります。

写真提供:福岡県観光連盟
重要なのは、「家賃設定」と「需要」のバランス。収益率だけにとらわれず、将来的な空室リスクや維持費も考慮した総合的な判断が必要です。
地域ごとの空室リスクとその対策
空室リスクはアパート経営における最大の不安材料の一つです。福岡市内でも空室率にはエリア差があり、博多区などの都市中心部は需要が高いため空室率は比較的低め。一方で、交通の便が劣る福岡市郊外エリアでは多少空室リスクが上昇する傾向があります。
このリスクを軽減するためには、以下のような対策が有効です。
- 駅近・大学の近く・病院の近くなどの立地特性を活かす
- 防犯性や設備(オートロック、Wi-Fi無料など)を重視した改修
- ターゲット層に応じた間取りや内装の工夫
さらに、地元に根差した管理会社との連携により、入居者ニーズに則した提案や空室対策が可能になります。物件の立地特性に合った管理・運用方法を選ぶことが、長期的な安定経営につながります。
福岡市近郊の需要が見込めるおすすめエリア5選
ここでは、福岡市とその周辺でアパート経営に適した注目のエリアを5つご紹介します。人口動態や開発計画、交通利便性、賃貸ニーズなどを総合的に評価したうえで、エリア特性と投資ポイントを解説します。
福岡市西区(JR九大学研都市駅)
九州大学伊都キャンパスの最寄り駅である九大学研都市駅周辺は、九州大学に通う学生や若年層ファミリーに人気のエリアです。九大学研都市駅の周辺にはイオンモール福岡伊都を中心としたスーパーやドラッグストア等が数多く出店しており、今後の開発余地も高い地域。家賃相場は福岡市内中心部に比べて抑えられており、初めてのアパート経営にも適しています。
福岡市西区(地下鉄七隈線橋本駅周辺)
福岡市地下鉄七隈線の終点・橋本駅は、木の葉モール橋本をはじめとする商業施設や病院、学校が集まり、ファミリー層の定住志向が高いエリアです。道路アクセスも良好で、福岡都市高速の野芥インターも近く、車移動の利便性も確保されています。また、2023年3月には七隈線の天神駅南-博多駅間が延伸開業し、博多駅まで乗り換えなしで移動できるようになったため、博多駅周辺で働くビジネスマンからの人気も徐々に高まっており、落ち着いた住環境と安定した賃貸需要が魅力です。
福岡市東区(JR福工大前駅周辺)
福岡工業大学に通う学生が多く行き交う福工大前駅周辺は、大学や福岡看護専門学校などの専門学校の影響もあり、単身者向けの賃貸ニーズが旺盛です。周辺にはスーパーや飲食店も多く、JR福工大前駅の中には図書館やコワーキングスペースなどの設備を備えた公共施設「コミセンわじろ」が入居しているなど、生活利便性が高い一方で、家賃相場は比較的リーズナブル。学生や若年社会人をターゲットにした投資戦略が有効です。
糟屋郡(JR酒殿駅周辺)
福岡県内でも有数の規模を誇る大型ショッピングモール「イオンモール福岡」の最寄りである酒殿駅は、近年開発が進む注目エリア。駅前には大型スーパーやドラッグストア等の生活に必要不可欠な施設が近年次々オープンしており、博多駅周辺エリアへのアクセスも良好で、商業と住環境のバランスが取れた地域です。交通の便と生活の利便性を両立でき、子育てにも最適な立地は、ファミリー層からの需要が期待されます。
糟屋郡(JR篠栗駅周辺)
自然豊かな環境が広がる篠栗駅周辺は、都市の喧騒を離れた落ち着いた暮らしを求める層に支持されています。JR福北ゆたか線を使用した通勤アクセスも良好で、快速電車に乗車すれば乗換なし最速18分という速さでJR博多駅に到着することからベッドタウンとしての需要も高まっています。比較的低価格で物件を取得できる点も、投資家にとって魅力のひとつです。
福岡でアパート経営する際の注意点
福岡はアパート経営に適したエリアとして注目されていますが、立地や物件選びさえ間違えなければ「安定収入が得られる」という単純なものではありません。投資としてのリスクを正しく理解し、次のような点に注意する必要があります。
信頼できる管理会社・建築業者の選び方
アパート経営の成功には、信頼できるパートナー選びが欠かせません。とくに管理会社や建築業者は、長期にわたって物件の価値と収益性を支える重要な存在です。
- 地元エリアに精通しているか(空室対策の提案力)
- 家賃回収やトラブル対応の実績
- 入居者ニーズに沿った内見・募集体制
- 管理委託費の明瞭性
- アパート建築の実績(特に木造・軽量鉄骨など)
- 設計・施工一貫体制かどうか
- 建築後の保証・アフターサービスの有無
契約前には、複数社からの見積もりや過去事例の確認を行い、信頼性や対応の丁寧さを比較検討することが大切です。
空室対策としてできる工夫には何がある?
アパート経営で継続的に収益を上げるためには、空室リスクをいかに低減するかが鍵となります。近年は入居者ニーズの多様化により、以下のような空室対策が効果的とされています。
- Wi-Fi無料化:単身者・学生を中心に好評な設備投資
- 宅配ボックスの設置:共働き世帯や単身者に需要増
- ペット可・楽器可など、付加価値のある条件設定
- 壁紙や床材のデザイン刷新:築古物件でも印象アップ
- スマートキー・IoT設備の導入:若年層に好まれる傾向あり
入居者のターゲット層(学生、社会人、ファミリーなど)を明確にし、そのニーズに応じた設備・間取り・賃料設定を行うことが、空室対策に直結します。
アパート経営を始めるための基本知識
アパート経営には、物件取得以外にも様々な知識が求められます。ここでは、初心者が押さえておきたい費用や管理、法律面の基礎知識について整理しておきましょう。
初期費用の目安と資金計画の立て方
アパート経営にかかる初期費用は、主に以下の項目に分類されます。
- 土地・建物の購入費
- 仲介手数料
- 登記費用・印紙税
- ローンの頭金(2〜3割が目安)
- 修繕・リフォーム費
物件の規模や築年数によっても異なりますが、7,000万円〜9,000万円規模の投資では、頭金・諸費用を含めて1,500万〜3,000万円程度の自己資金が必要とされるケースが一般的です。
事業計画書をもとに、将来の家賃収入や運営費用を試算し、無理のない融資計画を立てることが重要です。
管理・運営にかかるコストには何がある?
アパート経営における運営コストには、以下のようなものがあります。
- 管理会社への委託費(家賃の3〜5%が相場)
- 共用部の清掃・電気代
- 修繕積立金や設備修繕・メンテナンス費
- 空室期間中の広告費・更新手数料
これらの経費を考慮せずに表面利回りを算出すると、過大評価になってしまう可能性があります。実質利回り(=家賃収入から経費を引いた後の利回り)で収益性を把握することが重要です。
福岡でのアパート経営の利回りの目安は?
福岡市内・福岡市近郊における中古1棟アパートの表面利回りは、エリア・築年数によって異なりますが、福岡市近郊エリアに関しては5〜7%程度が一般的です。福岡市内エリアは物件価格が高いため利回りはやや低め(3〜5%)になる傾向があります。
一方で、郊外エリアや築年数が経過した物件は価格が安く、表面利回りが高くなります。ただし、空室リスクや修繕費なども高まるため、単純な利回りだけでなく、キャッシュフローや出口戦略も視野に入れた投資判断が重要です。
アパート経営初心者が安心して始めるために必要な準備
アパート経営に初めて挑戦する方は、不安や疑問も多いものです。失敗しないためには、事前準備や情報収集が不可欠です。ここでは初心者が取り組むべき準備事項を解説します。
無料相談やセミナーの活用方法
福岡市内では、不動産会社や金融機関、FP(ファイナンシャルプランナー)などが主催する無料相談会やセミナーが定期的に開催されています。これらを活用することで、
- 地元市場の最新動向
- 成功している投資モデルの事例
- 資金計画や税務の基本
- 不動産管理会社の選び方
など、実務に直結する知識を得ることができます。オンライン開催のセミナーも多く、仕事の合間に情報収集できる点もメリットです。
融資や補助金制度の情報収集
アパート経営を始めるうえで、多くの方が金融機関から融資を受けます。金利や融資条件は金融機関によって異なるため、複数行への相談が必要です。
また、以下のような支援制度が利用できる場合もあります。
- 地方自治体の空き家対策補助金
- 省エネ・耐震化に関する改修補助制度
- 中小企業向けの創業・事業支援融資(個人事業者向け)
金融機関の選定とあわせて、行政の制度情報にもアンテナを張り、資金調達の選択肢を広げましょう。
目的に合った投資スタイルを見極める
不動産投資には、アパート以外にも区分マンション投資や戸建賃貸など、さまざまなスタイルがあります。福岡は区分マンション投資の人気も高く、資産形成目的での投資先として注目されています。
区分マンション投資のメリットは、以下のような点です。
- 管理の手間が少なく、運営の負担を軽減できる
- 初期費用を抑えて投資を始められる
- 管理組合があるため、建物全体の維持管理を個人で担う必要がない
福岡市中心部エリアで、1R、1K等の単身者向け物件であれば1,000万円台後半から3,000万円程度が相場とされており、比較的少ない資金で始められることから、投資初心者にとって手の届きやすい選択肢といえます。
また、銀行からの融資については、一般的に「年収の7〜10倍」が借入限度額の目安とされており、いきなり数千万円規模の物件を購入するのは難しいケースもあります。だからこそ、まずは自己資金と融資のバランスを見ながら、ワンルームマンションなど小口の投資からスタートするのが現実的です。
実際に運用してみることで、不動産投資に関する知識や経験値が蓄積され、次のステップへと進む際の判断材料にもなります。さらに、福岡のような都市部では需要が安定しているため、空室リスクを抑えた堅実な運用が見込めます。
福岡でのマンション投資を検討されている方は、地元での実績が豊富なパートナーを選ぶことも成功の鍵です。福岡市を中心に120棟以上のブランドマンション「エンクレスト」を展開している、株式会社えんへのご相談も選択肢の一つです。
まとめ|

福岡市周辺のエリアは都市機能がコンパクトにまとまり、交通アクセスも良好なことから、安定した賃貸需要が見込まれるエリアです。再開発や人口流入も活発で、今後も不動産投資の有望地として注目されています。
特にアパート経営は、立地や物件選び、管理体制をしっかり整えることで、長期的な収益確保が可能です。初心者の方も、地域の特性を踏まえた情報収集と準備を行うことで、安心して一歩を踏み出すことができるでしょう。
最初は小さく始めて、経験を積みながら徐々にスケールアップしていく。そんな堅実な投資スタイルが、福岡でのアパート経営を成功に導く鍵となります。