マンションの騒音トラブルはどう解決する?対応手順と相談先を解説

マンション騒音_アイキャッチ

マンションの騒音で悩んでいる方に向けて、騒音の目安や記録の残し方、管理会社への相談方法、警察へ連絡する場面まで、対応の順番に沿って紹介します。

読み終わると、トラブルを避けて平穏な生活を取り戻すためのアクションを起こせるようになるでしょう。基本的には、発生日時や音の種類を記録したうえで、直接苦情を言うよりも管理会社や第三者機関へ相談するほうが、トラブルを避けやすくなります。

マンションの騒音に悩んだときは、次の順番で対応しましょう。

  1. 発生日時・音の種類・継続時間を記録する
  2. 管理会社や大家へ記録とともに相談する
  3. 危険がある場合は110番、緊急でない警察相談は#9110を利用する
  4. 改善しない場合は、自治体の相談窓口や弁護士、民事調停を検討する

相手の部屋を断定して直接訪問すると、発生源の取り違えや対人トラブルにつながるおそれがあります。まずは第三者を通じた対応を優先してください。

目次

マンションの騒音トラブルとは?よくある原因と基準

マンションで生活するうえで、周囲の生活音に関する悩みは少なくありません。ここでは、どのような音がトラブルの原因になりやすいのかを整理します。あわせて、法的に問題となる音の基準についても確認していきましょう。

騒音の発生源よくある具体例気になりやすい場面
構造物を通じた音(固体音)足音、ドアの開閉音、洗濯機の振動周囲が静かな夜間・早朝
空気を通じた音(空気音)大きな話し声、テレビや音楽の音量夜間や在宅時間が長いとき
室外からの音駐車場での会話、車のアイドリング音窓を開けているときや夜間・早朝

マンションで響きやすい騒音の種類

マンションの室内に聞こえる音は、主に空気を通じて伝わる音(空気音)と建物を振動させて伝わる音(固体音)に分けて整理できます。加えて、窓や換気口などから入ってくる屋外の音が気になるケースもあります。

デスクとスピーカー

自分が想定している以上に、周囲の部屋に振動として伝わっている場合もあります。どのような経路で音が届いているかを把握することで、適切な対策を立てやすくなります。

騒音とみなされる受忍限度の基準

生活音と騒音を分ける境界線として、法的な判断では受忍限度という考え方が用いられます。受忍限度とは、社会通念上、我慢すべきとされる限度のことです。具体的には、音の大きさだけでなく、発生する時間帯(深夜・早朝かどうか)や頻度、継続時間、建物の構造、周囲の生活状況などを総合して判断されます。

環境省の環境基準では、一般地域のうち、専ら、または主として住居に利用されるA・B類型について、昼間の6時~22時は55デシベル以下、夜間の22時~翌6時は45デシベル以下とされています。ただし、地域類型は自治体が指定し、道路に面する地域などでは別の基準が適用されます。なお、この環境基準は生活環境を保全するための行政上の目標であり、マンション室内の生活音が違法かどうかを直接判定する一律の基準ではありません。受忍限度は、音の大きさだけでなく、時間帯、頻度、継続時間、被害の程度、地域性などを踏まえて個別に判断されます。

トラブルを解決するためには、こうした客観的な基準を念頭に置いて状況を整理することが求められます。

参考:環境省「騒音に係る環境基準について」第1「環境基準」1・2

マンションで騒音被害に遭ったときの基本的な対応手順

騒音の対処法_図解

騒音に悩まされると、すぐにでも苦情を言いたくなるかもしれません。しかし、感情に任せて行動すると、事態をさらに悪化させる恐れがあります。冷静に手順を踏んで対応していくことが、問題解決への近道となるでしょう。

ここでは、トラブルを避けて安全に解決するためのステップを解説します。

騒音の発生状況を記録する

騒音トラブルでは、まず発生状況を客観的に説明できる記録を残すことが重要です。いつ、どこから、どのような音が、どれくらいの時間聞こえたかを記録に残します。ノートやスマートフォンのメモ機能を活用して、日々の状況を詳細に書き留めておきましょう。スマートフォンの騒音計アプリや録音機能を使い、音が発生した時刻や継続時間を補助的に記録する方法もあります。ただし、アプリの測定値は端末やアプリによって誤差が生じるため、デシベル数は参考値として扱いましょう

スマホを持つ手

これらの記録は、管理会社や警察に発生状況を具体的に説明するための補助資料になります。人の記憶は曖昧になりやすいため、その都度こまめに記録をつけることが重要です。発生日時や頻度を継続して記録しておくと、第三者にも状況を具体的に説明しやすくなります。

管理会社や大家への相談

発生日時や音の種類を記録したら、管理会社や大家に相談します。長期間分がそろうまで待つ必要はなく、危険を感じる場合や生活への影響が大きい場合は早めに相談してください。相談の際は、「上の階がうるさい」といった感情的な伝え方ではなく、客観的な事実をベースに説明しましょう。記録したメモや音声データを提示すると、担当者にも状況が伝わりやすく、対応につながりやすくなります。

相談時には、次の項目をまとめて伝えると状況を共有しやすくなります。

  • 騒音が発生した日付と時間帯
  • 1回あたりの継続時間
  • 音の種類(足音、話し声、音楽、振動など)
  • 発生頻度(毎日、週末のみ、不定期など)
  • 睡眠や仕事など生活への影響
  • これまで相談した日付と対応内容

音の発生源を確認できていない場合は、特定の部屋を断定せず、「上方向から聞こえるように感じる」など、分かる範囲で伝えましょう。

管理会社の初期対応としては、掲示板での注意喚起や全戸への案内文の投函などが取られることがあります。改善しない場合は、管理会社に再度記録を提出し、管理規約や契約内容に基づいて、実施可能な対応を確認しましょう。発生源が特定できている場合には、管理会社から個別に注意してもらえることもあります。管理会社という第三者を経由すれば、当事者同士で直接やり取りするよりも、対人トラブルを避けながら改善を求めやすくなります。

当事者同士の直接交渉を慎重に判断すべき理由

騒音で集中できない女性

騒音の発生源に直接苦情を言いに行くのは、状況によってはトラブルを招くため、慎重に判断することが推奨されます。当事者同士で話し合うと、お互いに感情的になりやすく、口論に発展する危険性が伴います。相手が「自分はうるさくしていない」と反発した場合、嫌がらせなどの新たなトラブルを引き起こすことも考えられるでしょう。

建物内では音が壁や床を伝わるため、聞こえてくる方向だけでは発生源を特定できないことがあります。間違った相手を責めてしまうと、ご近所関係が悪化するおそれがあります。安全に進めるためにも、管理会社など第三者を介して対応することが重要です。

【関連記事】騒音トラブルに遭った時の対処法は?トラブル例や騒音対策を解説-不動産LeapUp!|不動産のお役立ち情報メディア

管理会社が動いてくれない場合の相談先

管理会社に相談しても、必ずしも問題が解決するとは限りません。そのような場合は、外部の専門機関を頼ることを検討する必要があるでしょう。状況に応じて、適切な相談先を選ぶことが重要です。

ここでは、管理会社以外の主な相談窓口について解説します。

警察への通報の判断基準

暴力を疑う叫び声、助けを求める声、物が激しく壊れる音など、事件・事故の危険があり、今すぐ警察官に来てもらう必要がある場合は110番へ連絡します。緊急性はないものの、警察に相談したい場合は#9110または最寄りの警察署を利用します。

警察は相談内容や緊急性に応じて対応を判断します。足音や洗濯機の音など、事件・事故の危険がない生活音については、まず管理会社や大家への相談が基本となります。

相手方への伝え方や、自分の氏名・部屋番号の扱いに不安がある場合は、相談時に警察へ希望を伝えてください。ただし、状況によっては希望どおりにならない可能性もあります。

参考:警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」各種相談窓口

参考:政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ」

自治体の公害苦情相談窓口の活用

騒音に関する公害苦情は、お住まいの市区町村または都道府県の公害苦情相談窓口に相談できます。窓口の名称や担当部署は自治体によって異なりますが、環境関連の課が担当していることがあります。相談内容に応じて、自治体が被害の状況を確認し、発生源者などへ改善のための指導や助言を行うことがあります。

自治体によっては騒音計の貸出制度を設けている場合があります。貸出の有無、費用、対象となる騒音、測定方法は、お住まいの自治体に確認してください。ただし、住戸間の生活騒音が相談や調査の対象になるかどうかも、自治体によって異なります。

公害苦情相談で解決が難しい場合、事案によっては都道府県の公害審査会などが行う公害紛争処理制度を案内されることもあります。一人で抱え込まず、地域のサポート体制を積極的に活用することをおすすめします。

参考:政府広報オンライン「騒音や悪臭などに困ったときは、気軽に公害苦情相談窓口へ」

弁護士への法的相談と調停

絶望する男性

管理会社や自治体へ相談しても改善せず、生活や健康への影響が続く場合は、弁護士への相談も選択肢になります。状況によっては、弁護士を通じて騒音の差し止めや損害賠償(慰謝料を含む)の請求を検討できる場合があります。差し止めや損害賠償が認められるかどうかは、騒音の程度、継続期間、測定方法、生活への影響、相手方への申入れ状況などによって異なります。

具体的な見通しは、記録を整理したうえで弁護士に確認してください。弁護士に相談すると、証拠や被害状況に応じて、通知書の送付、民事調停、訴訟などの選択肢を検討できます。内容証明郵便を利用するかどうかも、事案ごとに判断されます。

話し合いによる解決を目指す方法として、簡易裁判所の民事調停を申し立てる選択肢があります。民事調停は、裁判のように勝敗を決めるのではなく、裁判官と調停委員が関与し、当事者間の合意を目指す手続です。弁護士費用は、相談だけか、相手方との交渉や調停・訴訟まで依頼するかによって異なります。相談料や着手金などの費用体系を、依頼前に確認しましょう。相談前に、騒音の発生記録、録音データ、管理会社とのやり取りなどを整理しておくと、弁護士へ状況を説明しやすくなります。

参考:裁判所「民事調停」概要・手続の流れ

自身が騒音の加害者にならないための防音対策

防音対策_図解

騒音問題は、被害を受けるだけでなく、自分が気づかずに加害者になってしまうリスクも潜んでいます。マンションは集合住宅のため、日頃からお互いに配慮することが大切です。

ここでは、自宅ですぐに始められる具体的な防音対策を紹介します。

床の防音対策

下の階へ伝わる足音や物音を抑えるには、床の防振対策が有効です。子どもが走り回る足音や、椅子を引く音は、下の階の人にとって大きなストレスとなり得ます。フローリングの上に防音性能の高いカーペットやラグを敷くことで、衝撃音を和らげることができます。マットを選ぶ際は、厚さだけでなく、床衝撃音の軽減性能や使用できる床材、管理規約を確認しましょう。

また、スリッパの裏に柔らかい素材がついているものを履くだけでも、足音の軽減につながるでしょう。生活スペース全体をカバーするのが難しい場合は、よく歩く動線や子どもが遊ぶスペースに絞って対策を施してみてください。

壁や窓の防音対策

隣の部屋への音漏れを防ぐには、壁と窓の対策を並行して行うことが大切です。テレビやスピーカーなどの音響機器は、隣室と接する壁から離して置くと、壁を通じた振動が伝わりにくくなる場合があります。家具を壁際に置く場合は、一定の遮音効果を期待できることもありますが、転倒防止対策を行ってください。

窓から出入りする音には、厚手のカーテンや隙間テープが補助的な対策になります。ただし、足音など建物を伝わる固体音への効果は限定的です。

さらに、夜間は音量を下げる、イヤホンを使うなど、日々の習慣も大切です。

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 騒音の発生日時や頻度を記録し、状況を具体的に説明できるようにする
  • 発生源を断定して直接訪問することは避け、まず管理会社や大家など第三者への相談を優先する
  • 事件・事故の危険がある場合は110番、緊急でない警察相談は#9110を利用する
  • 管理会社や自治体へ相談しても改善しない場合は、弁護士への相談や民事調停を検討する
  • 被害者になるだけでなく、日頃から床や壁の防音対策を行い加害者にならない配慮も必要となる

適切な手順と相談窓口を活用し、平穏な生活を取り戻すための一歩を踏み出していきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次