「不動産投資は副業扱いになる?」
「副業禁止の会社でも不動産投資はできる?」
実は、多くの企業で不動産投資は副業とみなされず、資産運用の一種として認められています。
しかし、事業規模の不動産投資を行っている場合や利益相反の可能性がある場合は、不動産投資が認められないケースもあります。
本記事では、「不動産投資が副業にならない理由」や「副業で不動産投資を始めるときの注意点」などを詳しく解説します。
副業として不動産投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
副業禁止でも不動産投資は認められるケースが多い
2024年現在、副業禁止の会社に勤めていても、不動産投資は認められるケースが多いです。
実は、多くの企業で副業が解禁されており、そもそも不動産投資が副業とみなされないことが一般的になっています。
その理由は、不動産投資が資産運用の一種とみなされることが多いためです。
次に、相続などでやむを得ず不動産を所有するケースがあるからです。
最後に、不動産投資は本業への影響が少ないと考えられているからです。
このように、多くの企業では不動産投資を副業とは見なしていません。
ただし、投資規模が大きくなりすぎたり、本業に支障をきたすほど時間を取られたりする場合は、注意が必要です。
基本的には、5棟10室未満の規模で、年間家賃収入が500万円未満程度であれば、問題になることは少ないでしょう。
不動産投資が副業にならない理由
不動産投資が副業とみなされない理由は、以下の通りです。
- 資産運用としてみなされるため
- 相続や譲渡などのやむを得ない事情があるため
- 本業に支障が出にくいため
- 副業禁止規定に抵触しにくい
それぞれの理由について解説していきます。
資産運用としてみなされるため
不動産投資は副業ではなく、資産運用としてみなされるため、多くの企業で認められています。
その理由は、不動産投資が株式投資や債券投資と同様に、資産を増やすための手段だと考えられているからです。
つまり、不動産を購入して賃貸収入を得ることは、お金を運用して利益を得ることと同じように扱われるのです。
また、不動産投資は長期的な視点で行われることが多く、日々の業務に影響を与えにくいという特徴もあります。
このように、不動産投資は多くの場合、副業ではなく資産運用として認識されています。
ただし、投資規模が大きくなりすぎたり、本業に支障をきたすほど時間を取られたりする場合は、注意が必要です。
相続や譲渡などのやむを得ない事情があるため
不動産投資が副業とみなされない理由の一つに、相続や譲渡などのやむを得ない事情がある場合があります。
例えば、親から相続した賃貸アパートの家賃収入を得ることは、本人の意思とは関係なく発生した状況です。
このような場合、会社が一律に禁止することは難しいのです。
親が所有していた賃貸マンションを相続した場合、その物件からの家賃収入は自動的に発生します。
また、実家を相続し、自分は別の場所に住んでいるため賃貸に出すというケースもあるでしょう。
さらに、親族から譲渡された不動産を有効活用するために賃貸経営を始めるということもあります。
これらの状況は、本人が積極的に副業として始めたわけではなく、やむを得ない事情によって生じたものです。
そのため、多くの企業では、このような不動産投資を副業とはみなさず、容認する傾向にあります。
本業に支障が出にくいため
不動産投資は、一般的な副業と比べて本業への影響が少ないとされています。
その理由は、不動産投資は、日々の管理にそれほど時間を取られないからです。
例えば、賃貸物件を所有している場合、入居者が決まれば、あとは家賃収入が自動的に入ってくるため、日常的な作業はほとんど必要ありません。
マンション一室を購入して賃貸に出す場合、物件の管理は不動産会社に委託することができます。
入居者の募集や家賃の回収、建物のメンテナンスなどを任せることで、オーナーの手間を大幅に減らすことができます。
このように、不動産投資は本業にほとんど影響を与えずに運用できるため、副業禁止の会社でも認められやすいのです。
副業禁止規定に抵触しにくい
不動産投資は、多くの企業の副業禁止規定に抵触しにくいと言われています。
不動産投資は通常の業務とは関係のない活動であり、会社の機密情報を利用したり漏れたりするリスクが極めて低いからです。
このため、多くの企業では不動産投資を副業とは見なさず、容認しています。
たとえば、一般的なサラリーマンが不動産投資を行う場合、自分の勤務先の情報を利用する必要はありませんし、そもそも利用できる情報もないでしょう。
ただし、不動産会社や金融機関に勤務している場合は、業務上知り得た情報を不動産投資に利用する可能性があるため、会社の規定を確認する必要があります。
しかし、これらは特殊なケースであり、大多数の会社員にとっては当てはまりません。
このように、不動産投資は多くの会社員にとって、副業禁止規定に抵触しにくい資産運用の方法だと言えます。
副業で不動産投資が禁止されているケース
副業で不動産投資が禁止されているケースは、以下の通りです。
- 銀行や証券会社に勤務している場合
- 公務員の場合
- 事業規模の不動産投資を行っている場合
- 利益相反の可能性がある場合
それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
銀行や証券会社に勤務している場合
銀行や証券会社は、不動産投資を含む副業が厳しく制限されている可能性が高いです。
金融機関で働く方は、業務上、機密性の高い情報や未公開の重要情報(インサイダー情報)に触れる機会が多くあります。
そのため、株式投資やFXなどの金融商品取引については、原則として禁止されていたり、事前の届け出が必要だったりする場合が多いのです。
不動産投資についても、金融機関によって対応が異なります。
なかには投資活動全般を禁止しているケースもあり、不動産投資まで制限される可能性があります。
例えば、金融機関では相続したケースを除いて投資全般が禁止されているといったケースもあるようです。
このような状況下で不動産投資を行いたい場合、まずは自社の就業規則を確認し、不動産投資が認められているかどうかを確認することが重要です。
公務員の場合
公務員でも規模が小さければ不動産投資を行うことができます。
ただし、一定の基準を超えると副業とみなされ、禁止される可能性があるので注意が必要です。
その理由は、公務員には国家公務員法や地方公務員法により、原則として副業が禁止されているからです。
これは、公務員としての職務に専念し、公平性や信頼性を保つためです。
しかし、人事院規則によると、一定の規模に達していない不動産投資は副業に該当せず、公務員でも実施できる可能性があります。
具体的な基準としては、以下のようなものがあります。
- 独立家屋の数が5棟未満
- 貸与できる独立的に区画された数が10室未満
- 土地の賃貸契約の件数が10件未満
- 駐車台数が10台未満
- 不動産または駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が年額500万円未満
例えば、アパート1棟(6室)を所有し、年間の賃貸収入が400万円程度であれば、これらの基準を満たすため、副業とみなされない可能性が高いです。
ただし、不動産賃貸の管理業務に自分が携わると、「職務の遂行に支障あり」とみなされる可能性があるため、不動産管理業者への委託が必要になることがあります。
また、具体的な規定は自治体や職場によって異なる場合があるため、必ず事前に確認することが重要です。
事業規模の不動産投資を行っている場合
「5棟10室」以上の不動産投資は事業規模とみなされ、副業禁止規定に抵触する可能性があります。
そのため、副業として不動産投資を行う場合は、この基準を超えないように注意する必要があります。
この基準が設けられている理由は、大規模な不動産投資が本業に支障をきたす可能性があるためです。
多くの物件を運用すると、管理や対応に時間がかかり、本業のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
また、事業規模になると、単なる資産運用の範疇を超えて、副業というよりも別の事業を営んでいるとみなされる可能性が高くなります。
具体的な例を挙げると、アパート1棟(6室)を所有している場合は問題ありませんが、アパート2棟(計12室)を所有すると、「5棟10室」の基準を超えてしまいます。
また、戸建て投資の場合、4棟までは大丈夫ですが、5棟目を購入すると事業規模とみなされる可能性があります。
年間の賃貸収入が500万円を超える場合も、事業規模と判断される可能性があるので注意が必要です。
利益相反の可能性がある場合
利益相反の可能性がある場合、副業としての不動産投資が禁止されるケースがあります。
以下のような状況では不動産投資が認められない可能性が高いです。
- 本業と関連する不動産への投資
- 取引先や競合他社の物件への投資
- 会社の機密情報を利用した投資
不動産会社に勤めている場合、自社が扱う物件や開発予定地への投資は利益相反とみなされる可能性があります。
また、金融機関の従業員が取引先の不動産に投資することも問題となる可能性があります。
さらに、会社の内部情報を利用して有利な不動産投資を行うことは、明らかな利益相反行為です。
このように、利益相反の可能性がある場合、副業としての不動産投資は認められないケースが多いです。
副業で不動産投資を始めるときの注意点
不動産投資を始めるときの注意点は、以下の通りです。
- 就業規則を確認する
- 事業規模に注意する
- 確定申告を行う
それぞれの注意点について、詳しく説明していきます。
就業規則を確認する
不動産投資を副業として始める際は、初めに就業規則を確認することが大切です。
多くの企業では不動産投資を副業とみなしていませんが、明確に禁止している場合もあります。
具体的な確認方法としては、人事部門に直接問い合わせるか、社内のイントラネットなどで就業規則を閲覧することが挙げられます。
特に注目すべき点は、副業に関する規定や資産運用に関する記述です。
例えば、「副業は原則禁止」と明記されていても、「資産運用は除く」といった但し書きがある場合があります。
就業規則を確認した結果、副業が禁止されている場合や制限が厳しい場合は、人事部門に相談してみるのも一つの方法です。
不動産投資の具体的な内容や収益の見込み、本業への影響などを説明し、許可を得られる可能性もあります。
事業規模に注意する
投資規模が大きくなりすぎると、副業ではなく事業とみなされ、会社の副業禁止規定に抵触する可能性があります。
一般的に、不動産投資が事業とみなされる基準は「5棟10室」以上とされています。
これは、国税庁のタックスアンサーで示されている基準で、具体的には以下のような条件に当てはまる場合です。
- アパートやマンションの場合:貸与する部屋数がおおむね10室以上
- 独立した建物の場合:おおむね5棟以上
たとえば、1棟のアパートで6室を所有している場合は問題ありませんが、2棟のアパートで合計12室を所有すると、この基準を超えてしまいます。
また、1棟のアパートは2室としてカウントされるので、3棟のアパートを所有すると、6室とみなされることにも注意が必要です。
公務員の場合は、さらに厳しい基準が適用され、年間の家賃収入が500万円以上になると問題になる可能性があります。
たとえば、月額家賃8万円の物件を6室所有すると、年間576万円の収入となり、この基準を超えてしまいます。
このように、副業として不動産投資を行う場合は、「5棟10室」未満、かつ年間家賃収入500万円未満に抑えることが重要です。
確定申告を行う
不動産所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
確定申告が必要な理由は、不動産所得が給与所得とは別の所得として扱われるからです。
会社員の場合、通常は年末調整で税金の精算ができますが、不動産所得がある場合は自分で申告する必要があります。
たとえば、年間の家賃収入が240万円で、経費が50万円の場合、不動産所得は190万円となります。
この場合、20万円を大きく超えているため、確定申告が必要です。
確定申告書の作成には、青色申告決算書や収支内訳書などの書類が必要です。
これらの書類は、日々の収支をきちんと記録していないと作成が困難になるので、投資を始めたら毎月の収支をしっかりと管理することが大切です。
このように、確定申告を適切に行うことで、不要なトラブルを避け、安心して不動産投資を続けることができます。
わからないことがあれば、税理士に相談するようにしましょう。
不動産投資の副業に関するよくある質問
不動産投資の副業に関する以下のよくある質問について紹介していきます。
- 不動産投資は会社になぜバレるのか?
- 不動産投資の副業に宅建資格は必要か?
- 不動産投資の副業はどう始めればいいのか?
不動産投資は会社になぜバレるのか?
不動産投資が会社にバレる主な理由は「住民税の変動」です。
不動産投資による収入が発生すると、翌年の住民税額が変わるため、会社側に不動産投資していることが知られてしまう可能性が高くなります。
その理由は、多くの会社員の住民税が「特別徴収」という方法で納付されているからです。
特別徴収とは、会社が従業員の給与から住民税を天引きして、自治体に納付する仕組みです。
そのため、不動産投資による収入が発生すると、翌年の住民税額が増加し、会社側にその変動が通知されることになります。
たとえば、年収500万円のサラリーマンAさんが、不動産投資で年間100万円の収入を得たとします。
この場合、翌年の住民税額は前年より約10万円増加します。
会社は従業員の住民税を給与から天引きするため、この増加分を把握することになり、Aさんが不動産投資をしていることが推測されてしまうのです。
このように、不動産投資は住民税の変動を通じて会社にバレる可能性が高いのです。
不動産投資の副業に宅建資格は必要か?
不動産投資に宅建資格は必要ではありません。
なぜなら、不動産投資が「不動産賃貸業」に該当するからです。
不動産賃貸業は宅建業法の対象外であり、基本的に宅建資格がなくても行うことができます。
多くの個人投資家は、宅建資格を持たずに不動産投資を行っています。
ただし、不動産投資の規模が大きくなり、頻繁に物件の売買を行うようになった場合は注意が必要です。
国土交通省の見解によると、取引の目的が利益を得ることで、かつ頻繁に行われる場合は「宅地建物取引業」に該当する可能性があります。
このような場合は、宅建業の免許が必要となり、結果的に宅建資格も必要になる可能性があります。
一般的な不動産投資の副業では宅建資格は必須ではありませんが、投資の規模や形態によっては必要になる場合もあります。
不動産投資の副業はどう始めればいいのか?
不動産投資の副業を始める手順は以下の通りです。
- 不動産投資について学ぶ
- 資金計画を立てる
- 物件を選ぶ
- 融資を受ける
- 物件を購入する
- 運用を開始する
投資にはリスクが伴うため、十分な知識がないまま始めると失敗する可能性が高くなります。
また、多額の資金が必要となるため、慎重に計画を立てる必要があります。
具体例として、まずは不動産投資のセミナーや書籍で基礎知識を学びましょう。
次に、自分の資金状況を把握し、どの程度の物件を購入できるか計算します。
その後、不動産会社と相談しながら物件を選び、銀行で融資を受けます。
物件購入後は、管理会社と契約を結び、運用を開始します。
このように段階を踏んで進めることで、リスクを最小限に抑えながら不動産投資を始めることができます。
まとめ
不動産投資は多くの企業で副業とみなされず、資産運用の一種として認められています。
- 資産運用としてみなされるため
- 相続や譲渡などのやむを得ない事情があるため
- 本業に支障が出にくいため
- 副業禁止規定に抵触しにくい
ただし、銀行や証券会社勤務、公務員、事業規模の投資、利益相反の可能性がある場合は注意が必要です。
また、住民税の変動により会社に投資が知られる可能性があることも認識しておきましょう。
不動産投資を副業として始めたい方は、まず十分な知識を身につけ、慎重に計画を立てることが大切です。
セミナーや書籍で学び、資金計画を立て、物件選びや融資、購入、運用と段階を踏んで進めていくことをおすすめします。
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