「不動産投資は節税になる」と耳にすることは多いですが、それは本当なのでしょうか?
実際には、「節税効果を期待して始めたものの、思ったほどの恩恵を受けられなかった…」という声も少なくありません。不動産投資には確かに節税メリットがありますが、それが適用されるのは一部のケースに限られ、誤った理解で始めると思わぬ損失につながる可能性もあります。
本記事では、不動産投資が「節税にならない」とされる理由や、節税効果が発揮される条件、そして投資判断を誤らないための注意点を徹底解説。読後には「節税ありきではなく、総合的に資産形成を考える視点」が得られる構成です。
福岡で不動産投資をご検討中の方に向けて、耳寄りな情報もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
結論|不動産投資が節税にならないケースもある

不動産投資が必ずしも節税につながるとは限りません。実際には「損益通算ができない」「減価償却の恩恵が限定的」「経費や維持コストの方が大きい」といった理由から、節税にならないケースが存在します。特に所得が少ない人や赤字計上ができない給与体系の方にとっては、税負担軽減のメリットを感じにくい構造です。
また、節税を期待して高額な物件を購入した結果、空室リスクや資産価値の下落によって赤字が膨らむと、本末転倒です。節税効果は「副次的なメリット」であり、投資全体の収益性を損なうものであってはなりません。
まずは、「不動産投資が節税にならない代表的なケース」について一つひとつ確認していきましょう。
損益通算ができない場合とは
損益通算とは、不動産所得の赤字を給与所得などと相殺して所得税を軽減する仕組みです。しかし、すべての赤字が自動的に通算できるわけではありません。たとえば、物件購入費用のうち「土地部分」は減価償却できず、そこから生じた損失は損益通算の対象になりません。
さらに、令和3年の税制改正により、いわゆる「節税目的の赤字計上」への規制が強化され、不動産所得の損失を利用した節税には一定の制限が設けられています。税務署による否認事例も増えており、安易な損益通算への依存はリスクを伴うと言えるでしょう。
減価償却の限界と節税効果の減少
不動産投資の節税でよく活用されるのが「減価償却費」の計上です。これは建物や設備の価値を毎年少しずつ経費として計上する仕組みで、表面上はキャッシュアウトがないにもかかわらず経費として扱われるため節税につながります。
しかし、建物の法定耐用年数を超えた後は一部の事例を除いて償却できなくなり、節税効果は年々減少します。特に中古物件を短期間で減価償却し終えた場合、その後の税負担は重くなる可能性があります。
また、償却額が大きい年に課税所得を抑えすぎてしまうと、金融機関からの評価が下がるなど、資金調達面での不利になることもあるため注意が必要です。

節税よりコストが上回る場合もある
不動産投資では管理費、修繕費、ローン金利、固定資産税など多くの維持コストが発生します。節税メリットがあるとしても、それ以上にキャッシュアウトが多ければ、実質的な損失につながります。

たとえば、年間100万円の減価償却費で節税効果が約30万円あったとしても、修繕費や空室による収入減で200万円の赤字が出ていれば意味がありません。特に築古物件では大規模修繕の発生頻度が高く、これらの出費を甘く見積もると収支バランスが崩れてしまいます。
不動産投資が節税になるとされる理由とは?
一部のケースでは、不動産投資が確かに節税効果をもたらします。これは主に「経費計上による所得圧縮」が可能である点に起因します。特に高所得者層にとっては、不動産所得の赤字を給与所得と相殺(損益通算)することで、納税額を抑えることが可能です。
この節税の仕組みを正しく理解しておくことは、無駄な税負担を避ける上でも有益です。ここでは、不動産投資によって実際に節税が可能とされる具体的な理由について見ていきましょう。
減価償却やローン利息の控除
建物や設備は時間とともに価値が減っていくとされ、その減少分(=減価償却費)を毎年の経費として計上できます。たとえば、2,000万円の建物を法定耐用年数で20年償却すると、毎年100万円が経費となり、その分だけ所得が圧縮されます。
また、ローンを組んで物件を購入した場合、その利息分も経費として処理可能です。たとえば年間50万円の利息を支払っていれば、それも経費となり、税負担を軽減できます。現金の支出は発生していても、税金の軽減効果がそれを上回れば、実質的な利益に結びつく構造です。
ただし注意が必要なのは、必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額については、損益通算の対象外となる点です。これは、土地自体が減価償却の対象ではないため、税法上の取扱いとして制限されているためです。そのため、ローン利息の扱いについては、対象となる資産の性質に応じて正しく区分・計上することが大切です。
管理費・修繕費などの経費計上
物件の運営に必要なコスト、たとえば管理会社への委託料、定期清掃、設備点検なども、すべて経費として計上できます。また、老朽化による修繕費やリフォーム費用も、適切な処理を行えば損金算入が可能です。
これにより、実質的な所得が減り、納税額が下がる仕組みです。仮に家賃収入が年間240万円あったとしても、各種経費を差し引いた後の所得が少なければ、税負担も最小限に抑えることが可能になります。
資産の組み替えによる課税最適化
不動産は流動性のある金融商品とは異なり、「保有・売却・買い替え」の各タイミングで課税最適化を図ることが可能です。たとえば、含み益のある不動産を売却して課税対象となる前に、損失が見込まれる不動産に買い替えることで、全体の税負担を圧縮することができます。
また、相続税や贈与税の観点でも、不動産の評価額は市場価格より低く算定されることが多いため、資産の組み替えによって相続対策を図る手法もよく使われます。このような戦略的な活用も「節税になる」とされる理由のひとつです。
不動産投資を節税目的で行う際の注意点とリスク
たとえ節税効果が期待できるとしても、それを目的として不動産投資に取り組むことには明確なリスクが存在します。税制は常に変化しており、制度頼みの投資戦略は不安定です。また、空室率や物件価格の変動など、収益性そのものに影響する要素も無視できません。
ここでは、節税を期待して不動産投資を始める前に、必ず認識しておくべきリスクや注意点を具体的に解説します。
- 税制改正リスク
- 空室・価格下落リスク
- 実際のキャッシュフローと乖離する可能性
税制改正リスク
税法は毎年のように改正が行われており、過去に有効だった節税策が翌年には使えなくなるケースもあります。たとえば、2021年の税制改正では、海外不動産を利用した節税スキームが封じられました。同様に国内の不動産でも、減価償却費の計上や損益通算の制限が強化される可能性があります。
このような「制度変更リスク」は、節税ありきの投資戦略にとって致命的です。節税メリットが一時的なものであることを前提に、中長期で収益性を維持できる物件を選定する視点が求められます。
空室・価格下落リスク
節税を目的に物件を購入したものの、想定していた家賃収入が得られなければ、節税どころかキャッシュフローが悪化するおそれがあります。特に地方や郊外の物件は入居者確保が難しく、空室率が高まると収益構造は一気に崩壊します。
また、築年数が進むとともに資産価値も下落しやすく、将来的な売却を見越していた場合にも損失が発生する可能性があります。収益と評価額の両面でリスクを想定したうえで、エリア選定や物件の質には十分注意すべきです。
実際のキャッシュフローと乖離する可能性
帳簿上の赤字によって税金が軽減されたとしても、現実のキャッシュフローが黒字とは限りません。減価償却費などはあくまで「帳簿上の経費」であり、実際には現金が手元に残るわけではないからです。
さらに、税負担が減ったからといって毎月のローン返済や修繕費が軽くなることもありません。こうした「見かけ上の節税」と「実際の収支」とのギャップを見誤ると、長期的には資金繰りに苦しむ事態にもなりかねません。
また、節税目的で不動産投資を行う際の注意点はこちらの記事でも詳しく解説しています!

不動産投資は「節税だけ」で判断すべきでない理由
不動産投資において節税は確かに一つのメリットですが、それが主目的になってしまうと、思わぬ落とし穴にはまりかねません。長期的に安定した収益を得るためには、節税以上に「資産形成」や「収益性」「リスク管理」といった視点が重要です。
ここでは、なぜ「節税だけ」で不動産投資を判断すべきでないのか、その根拠とともに解説していきます。
- 節税以上に重要な資産形成の視点
- 長期保有や収益化の戦略の重要性
節税以上に重要な資産形成の視点
不動産投資の本質は、あくまで「中長期的な資産形成」にあります。たとえば、毎年20万円の節税効果があっても、物件そのものが大幅に値下がりしたり、空室で家賃収入が減ったりすれば、最終的に資産を失うことにもつながります。
一方で、入居率が高く安定的な賃料収入が得られる物件であれば、節税以上の価値を長期的に享受できます。節税効果はあくまで「副次的な恩恵」として捉え、健全な資産形成を主目的に据えることが重要です。
長期保有や収益化の戦略の重要性
投資として成功するためには、キャッシュフローの安定性や出口戦略(売却時の価格想定)を含む長期的な収益計画が欠かせません。節税だけを目的に短期保有するケースでは、売却益に対する課税や、経費回収の難しさなどの課題が表面化します。
そのため、「将来的にどう資産を活用するか」「何年保有するか」「地域の再開発動向はどうか」といった長期的な視点を持ったうえで、戦略的な判断を下すことが欠かせません。
物件選びには「エリア」が重要。いま注目すべきは福岡市!
本記事では、「不動産投資が節税にならないケース」と「節税になる理由」について、それぞれの構造とリスクについて解説してきました。結論として、不動産投資を節税目的だけで判断するのではなく、長期的な資産形成や収益安定性といった本質に目を向けることが極めて重要です。
その中でも、物件選びにおいて最も重視すべきなのが「エリア選定」です。エリアの人口動態や再開発状況、賃貸需要の高さによって、投資成果は大きく左右されます。
近年とくに注目を集めているのが福岡市です。若年層の人口流入が続き、「天神ビックバン」や「博多コネクティッド」に代表されるような大規模な再開発が行われ、全国でも珍しく「若者の人口が増えている都市」である福岡市は、再開発や都市インフラの充実も進んでおり、将来性の高さが評価されています。不動産投資において「どこに、どんな物件を持つか」は、結果に直結する重要な判断ポイントです。

物件選びに迷われている方は、まずはエリアの可能性から見極めることをおすすめします。