将来の資産形成のために不動産投資を検討しているサラリーマンの方は多いのではないでしょうか。しかし、インターネットで情報を集めていると「サラリーマンは不動産投資のカモにされやすい」といった言葉を目にして、不安に感じているかもしれません。残念ながら、知識が不十分なまま始めてしまい、悪徳業者に利用されてしまうケースは存在します。
この記事では、なぜサラリーマンがターゲットにされやすいのか、その理由と具体的な手口を解説します。さらに、カモにされないための具体的な対策や、信頼できる不動産会社の選び方まで詳しくご紹介します。正しい知識を身につけ、不動産投資で失敗しないための第一歩を踏み出しましょう。
サラリーマンが不動産投資で「カモ」にされる3つの理由
サラリーマンは、その社会的信用や状況から、不動産投資において格好のターゲットと見なされることがあります。なぜ「カモ」にされやすいのか、その主な3つの理由を解説します。
| 理由 | 背景 | 悪徳業者の狙い |
| ローン審査の通りやすさ | 安定した給与収入があるため、金融機関からの信用が高い | 返済能力を過大評価させ、高額な物件を売りつける |
| 専門知識の不足 | 本業が忙しく、不動産投資の勉強に時間を割きにくい | 業者の言うことを鵜呑みにさせ、不利な条件で契約させる |
| 心理的な魅力 | 「節税」や「不労所得」への憧れが強い | メリットを強調し、リスクを隠して判断を誤らせる |
安定した収入でローン審査に通りやすいため
サラリーマンや公務員は、毎月決まった収入があるため、金融機関からの社会的信用が高いと評価されます。このため、不動産投資ローンの審査に通りやすい傾向があります。これはメリットである一方、悪徳業者にとっては「ローンを利用させて高額な物件を売りつけやすい顧客」と見られてしまう原因にもなります。
業者は「あなたほどの年収があれば、このくらいのローンは問題なく組めます」といった言葉で、相場よりも高額な物件や、収益性の低い物件の購入を勧めてくることがあります。
不動産投資の専門知識が不足しているため
多くの方は、本業で忙しく、不動産投資に関する複雑な知識を学ぶ時間を十分に確保できません。物件の適正価格、利回りの計算、税金、法律といった専門知識がないまま業者と話をすると、提示された情報が正しいのか判断できず、言われるがままに契約してしまうリスクが高まります。
情報の非対称性(業者側が圧倒的に多くの情報を持っている状態)を利用し、業者にとって都合の良い情報だけを提示してくるケースは少なくありません。
「節税」や「不労所得」という言葉に魅力を感じるため

「不動産投資で節税になる」「働かなくても家賃収入が入ってくる」といった言葉は、多忙なサラリーマンにとって非常に魅力的に聞こえます。しかし、この心理が悪徳業者に利用されることがあります。
節税効果や不労所得といったメリットばかりを強調し、空室リスクや家賃下落リスク、修繕費用の発生といった重要なデメリットを十分に説明しないのです。その結果、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔することになります。
要注意!サラリーマンを狙う悪徳業者の危険な手口

悪徳業者は、サラリーマンの知識不足や心理的な弱点につけ込み、巧妙な手口で近づいてきます。ここでは、特に注意すべき代表的な3つの手口を紹介します。これらの手口を知っておくことが、被害を防ぐ第一歩です。
| 手口 | 概要 | 具体的なセールストーク例 |
| 高額物件の購入 | 周辺の相場より著しく高い価格で物件を販売し、多額のローンを組ませる。 | 「このエリアは将来値上がり確実です」「皆さんこのくらいのローンを組んでいますよ」 |
| 悪質なサブリース契約 | 「30年家賃保証」などと謳いながら、実際は数年で賃料減額や契約解除を迫る。 | 「空室の心配は一切ありません」「すべてお任せで安定収入が得られます」 |
| 修繕情報の隠蔽 | 近い将来に大規模修繕が必要なことを隠し、購入後に高額な費用負担を発生させる。 | 「リフォーム済みで綺麗ですよ」「この物件は管理状態が良いので安心です」 |
相場より高額な物件を無理なローンで購入させる
最も古典的で多い手口の一つが、物件の価値に見合わない高額な価格で売りつけることです。業者は自社の利益を上乗せした価格を提示し、「将来性がある」「限定の非公開物件だ」といった言葉で契約を迫ります。
購入者は適正価格を知らないため、その言葉を信じてしまい、返済負担の大きい無理なローンを組むことになります。その結果、家賃収入でローンを返済できず、毎月赤字が続くという事態に陥ります。
「家賃保証」をうたう悪質なサブリース契約を結ばせる
サブリース契約とは、不動産会社が物件をオーナーから一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。オーナーは空室に関わらず一定の賃料を受け取れるため、「家賃保証」として魅力的に見えます。
しかし、悪徳業者の場合、「最初の数年間だけ高い賃料を保証し、その後一方的に賃料を大幅に減額する」「些細な理由をつけて契約を解除する」といったトラブルが後を絶ちません。契約書には、業者に有利な条件が小さな文字で書かれていることも多く、注意が必要です。
大規模な修繕が必要な物件情報を隠して販売する

中古物件の場合、外壁の補修や給排水管の交換といった大規模な修繕が将来的に必要となります。悪徳業者は、こうした修繕計画や積立金の状況について正確な情報を伝えず、あたかも問題ない物件であるかのように見せかけて販売します。
購入者は、買ってから数年後に数百万円単位の想定外の出費を強いられることになり、資金計画が大きく狂ってしまいます。
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あなたは大丈夫?カモにされやすいサラリーマンの特徴
悪徳業者は、誰にでも同じように声をかけるわけではありません。彼らが「この人なら騙しやすい」と判断する、特定の特徴があります。自分に当てはまる点がないか、チェックしてみましょう。
| 特徴 | 行動パターン | 陥りやすい罠 |
| 丸投げタイプ | 「プロに任せた方が安心」と考え、自分で調べたり判断したりしない。 | 業者の言いなりになり、不利な契約を結んでしまう。 |
| 楽観主義タイプ | メリットの話ばかりに耳を傾け、リスクを軽視する。 | 「自分だけは大丈夫」と思い込み、失敗の可能性を考えない。 |
| 目的不在タイプ | 「何となく儲かりそう」という理由で、具体的な目標がない。 | 営業トークに流され、自分の目的に合わない物件を買ってしまう。 |
業者にすべてを丸投げしてしまう
「自分は素人だから」「専門家に任せるのが一番」という考えで、不動産会社に判断を委ねてしまう人は非常に危険です。物件選びから資金計画、契約内容の確認まで、すべてを業者任せにしてしまうと、相手の思うツボです。
不動産投資は、あくまで自己責任で行う事業です。信頼できるパートナーを見つけることは重要ですが、最終的な意思決定は自分自身で行うという意識を持つ必要があります。
リスクを理解せずメリットばかり見ている
不動産投資には、空室、家賃滞納、金利上昇、災害など、様々なリスクが伴います。 これらのリスクを直視せず、「家賃収入で楽に暮らしたい」といったメリットばかりに目を奪われていると、業者の甘い言葉に簡単に騙されてしまいます。
「この物件なら絶対大丈夫です」とリスクの説明を全くしない業者は、むしろ信用できません。リスクとリターンは表裏一体であることを理解し、冷静に判断することが重要です。
明確な投資目標を持たずに始めてしまう
「なぜ不動産投資をしたいのか」という目的が曖昧な人も、カモにされやすい傾向があります。「老後資金のために月5万円のキャッシュフローが欲しい」「10年後に資産を5,000万円にしたい」など、具体的な目標があれば、その目標を達成できる物件かどうかを判断軸にできます。
しかし、目標がないと、業者が勧める物件が良いものなのか悪いものなのか判断できず、ただ流されて契約してしまうことになります。
【関連記事】不動産投資で騙されやすい人の特徴を紹介!注意すべき不動産業者や対策を解説! – 不動産Leap Up!|不動産のお役立ち情報メディア
不動産投資でカモにされないための4つの対策
ここまで不動産投資の危険性について解説してきましたが、事前に対策をすれば、そのリスクを大幅に減らすことができます。ここでは、カモにされないために必ず実践すべき4つの対策をご紹介します。
| 対策 | 具体的なアクション | 目的 |
| 知識の習得 | 書籍やウェブサイト、セミナーなどで基礎を学ぶ。 | 業者の話を鵜呑みにせず、自分で良し悪しを判断する力をつける。 |
| 会社の見極め | 複数の不動産会社と面談し、比較検討する。 | 信頼できるパートナーを見つけ、悪徳業者を避ける。 |
| 相場観の養成 | 不動産ポータルサイトで類似物件の価格や家賃を調べる。 | 提示された物件価格や家賃設定が適正か判断する。 |
| シミュレーション | 家賃収入、経費、税金、ローン返済を計算し、手元にいくら残るか試算する。 | 甘い営業トークに惑わされず、現実的な収支を把握する。 |
不動産投資の基礎知識を身につける
まず何よりも重要なのが、自分自身で学ぶことです。不動産投資の仕組み、メリット・デメリット、リスクの種類など、基本的な知識を書籍や信頼できるウェブサイトで学びましょう。知識があれば、業者の話がおかしいときに気づけるようになります。
国土交通省のウェブサイトでは、不動産取引に関する注意喚起や価格指数などの公的なデータが公開されており、客観的な情報を得るのに役立ちます。
信頼できる不動産会社を見極める
不動産投資の成否は、パートナーとなる不動産会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。最初から1社に絞らず、必ず複数の会社と面談し、提案内容や担当者の対応を比較検討しましょう。
自分の投資目標に真摯に耳を傾け、メリットだけでなくリスクについてもきちんと説明してくれる会社を選ぶことが重要です。
複数の物件を比較して相場観を養う
業者から物件を提案されたら、すぐに決断してはいけません。不動産ポータルサイトなどを活用し、同じエリアや似たような条件の物件がいくらで売られているか、家賃はいくらくらいかを自分で調べましょう。
これを習慣づけることで、提案された物件価格や想定家賃が妥当な水準なのか、自分自身で判断できるようになります。このひと手間が、高値掴みを防ぎます。
キャッシュフローのシミュレーションを自分で行う

業者から提示される収支シミュレーションは、家賃が下落しなかったり、空室が全く発生しなかったりするなど、甘い想定になっていることがよくあります。 必ず自分自身で、エクセルなどを使ってキャッシュフロー(手元に残るお金)のシミュレーションを行いましょう。
家賃収入から、管理費、修繕積立金、固定資産税、ローン返済などを差し引いて、実際にいくら残るのかを計算します。少し厳しめの条件(空室率を10%に設定する、2年ごとに家賃が1%下落するなど)で計算してみることが、現実的な収支を把握する上で大切です。
【関連記事】不動産投資の利回りは何%が最低ライン?収益を確保するための基準と注意点を解説 – 不動産Leap Up!|不動産のお役立ち情報メディア 不動産投資の利回りの最低ラインは?
信頼できる不動産会社の選び方のポイント
良いパートナーとなる不動産会社を見つけることは、不動産投資を成功させるための鍵です。では、具体的にどのような点に注目して選べばよいのでしょうか。3つの重要なポイントを解説します。
| チェックポイント | 確認方法 | なぜ重要か |
| 行政処分の履歴 | 国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で社名を検索する。 | 過去に法令違反がある会社は、トラブルを起こす可能性が高い。 |
| リスクの説明 | 面談時に、空室や家賃下落などのリスクについて質問する。 | リスクを正直に話す会社は、顧客の利益を考えている誠実な会社である可能性が高い。 |
| 契約の進め方 | 「今日決めないと他の人に取られる」などと急かされないか確認する。 | 顧客に冷静な判断をさせない会社は、自社の利益しか考えていない可能性がある。 |
行政処分の履歴がないか確認する
信頼できる会社かどうかを判断する客観的な指標として、過去に行政処分を受けていないかを確認する方法があります。国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」や、各都道府県のウェブサイトで、宅地建物取引業者の行政処分情報を検索できます。
もし検討している会社が過去に業務停止命令などの処分を受けている場合は、契約を見送るのが賢明です。
メリットだけでなくリスクも正直に説明してくれる
「この物件はメリットしかありません」「リスクはゼロです」といった説明をする業者は絶対に信用してはいけません。誠実な会社であれば、必ず不動産投資に伴うリスク(空室、家賃下落、金利上昇など)についても具体的に説明し、その対策まで提案してくれます。
面談の際には、あえてこちらから「この物件のデメリットは何ですか?」と質問してみましょう。その際の回答が曖昧だったり、はぐらかしたりするようなら、その会社は避けるべきです。
【関連記事】不動産投資のデメリットとメリットを紹介!リスクへの対策や向いている人を解説 – 不動産Leap Up!|不動産のお役立ち情報メディア
購入をあからさまに焦らせてこないか
「この物件は人気ですぐに埋まってしまいます」「今日決めていただければ特別に値引きします」など、契約を急かせるのは悪徳業者の常套手段です。 不動産は高額な買い物であり、冷静な判断が必要です。
信頼できる会社であれば、顧客が納得するまで十分に考える時間を与えてくれます。少しでも焦らせるような言動が見られたら、一度距離を置いて冷静になることが大切です。
まとめ
サラリーマンが不動産投資で「カモ」にされる背景には、ローン審査の通りやすさや専門知識の不足といった理由があります。悪徳業者はそこにつけ込み、高額な物件を売りつけたり、不利な契約を結ばせたりします。
しかし、不動産投資の正しい知識を身につけ、信頼できるパートナーを選び、自分自身で相場を調べてシミュレーションを行うことで、これらのリスクは十分に回避できます。
本記事で紹介した対策を実践し、業者の言うことを鵜呑みにせず、常に冷静な視点を持つことを忘れないでください。そうすれば、不動産投資はあなたの将来にとって力強い資産となるはずです。