福岡の成長を支える力:人口動態と都市開発の現状
福岡の成長は、単なる一過性のブームではありません。
堅実な人口増加と戦略的な都市開発が、その成長を力強く後押ししているんです。
人口増加の勢い:九州No.1、若者が集まる都市
福岡市は、全国的に見ても珍しい人口増加を続けている都市です。
特に注目すべきは、九州随一の人口増加率を誇り、若年層の流入が活発である点です。福岡市の推計人口によると、2025年5月1日時点の総人口は1,666,217人となっており、政令指定都市の中でも特に顕著な増加を見せています。
参考:福岡市の人口が2040年に170万人を突破と推計!福岡市が人口を伸ばし続ける都市なのはなぜ?
福岡市の将来推計によると人口のピークでは2040年で約170万2,000人に達します。福岡市総務局による前回(2012年)の推計でピークだった2035年から、さらに5年ほど人口増加が続く見込みとなっています。
出典:福岡市総務企画局『令和5年12月議会総務財政委員会報告資料』
例えば、「いい部屋ネット 住みたい街ランキング2024<全国版>」では、福岡市が5年連続で1位に輝いており、多くの人々がいつか住みたいと思っている街となっています。
これは、企業の進出や雇用の創出、そして「シティブランド・ランキング―住みよい街2024―」においても都道府県庁所在地で1位を獲得するほどに暮らしやすいと評価される環境が若者を引き付けている証拠と言えるでしょう。
さらに、福岡市は若い世代が働きやすい環境が整備されており、県外からの転入者も増加傾向にあります。総務省の住民基本台帳人口移動報告(2024年結果)によると、福岡市の日本人転入超過数は1万705人で、全国の21大都市中4位という高い水準を維持しています。
出典:総務省統計局『住民基本台帳人口移動報告』2024年結果
特に東京圏からの転入者が目立ち、テレワークの普及や福岡のスタートアップ支援策などが、新たな働き方を求める若者にとって魅力的に映っているようです。
実際に、2025年1月1日時点の福岡市住民基本台帳年齢別人口データを見ると、福岡市における20歳から39歳までの人口は393,168人で、総人口(日本人住民)に対する割合は約25%に上ります。これは、全国平均の約16%(総務省統計局「人口推計」2025年5月報)と比較しても高い水準にあり、この若年層の厚みが、都市に活気をもたらし、消費活動を活発にする好循環を生み出しているのが、福岡の大きな強みと言えるでしょう。
このような人口増加の背景には、福岡市が近年力を入れている「クリエイティブ・ラボ・フクオカ」などの産業振興策や、「スタートアップカフェ」といった起業支援施設の充実があります。
実際に、福岡市は2023年度の開業率が5.3%と、政令市を含む21大都市の中で6年連続で最も高い水準を記録しています。これは、新しい挑戦をしやすい環境が整っていることの明確な証拠です。IT産業やコンテンツ産業など、新しいビジネスが次々と生まれており、多様な雇用機会が創出されています。
また、福岡市はアジアの玄関口としての地理的優位性を活かし、国際的なビジネス交流も活発です。こうした取り組みが、国内だけでなく海外からもビジネスパーソンを引きつけ、結果として人口増加に貢献しているのです。
都市としての魅力も人口増加を後押ししています。福岡市は、福岡空港から都心部へのアクセスが地下鉄でわずか5〜10分と非常に良く、公共交通機関も充実しているため、市内での移動がスムーズです。
食文化の豊かさや、海や山といった自然が近くにありながらも都会的な利便性を兼ね備えている点も、特に若年層にとって魅力的に映る要素です。これらの要素が複合的に作用し、福岡市は今後も継続的な人口増加が見込まれる、数少ない地方都市の一つとしてその存在感を高めています。この安定した人口増加は、不動産を活用した資産運用における賃貸需要の根幹を支える最も重要な指標と言えるでしょう。
一人暮らし世帯の増加傾向とライフスタイルの変化
現代社会において、単身世帯は増加の一途をたどっています。
「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によると、一人暮らし世帯の割合は2020年の38.0%から2050年には44.3%へと増加する見込みです。特に、一人暮らし世帯は2020年の2,115万世帯から2050年には2,330万世帯へと増加すると予測されています。
福岡県については世帯総数は2020年の231.8万世帯から2050年には226万世帯へと減少すると推計されていますが、一人暮らし世帯は2020年の94.3万世帯から2050年には105万世帯へと増加する見込みです。
都道府県別の一人暮らし世帯の割合では、東京都が54.1%で最も高く、次いで大阪、京都と続き、福岡県は46.4%と全国で4番目に高い数字になる見通しです。
出典:日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)より抜粋
福岡市も例外ではなく、学生や若手社会人、転勤者など、様々な理由で単身生活を送る方が増えています。
特に、福岡市は企業の誘致や起業支援に力を入れており、これに伴い社会人の転入増加が顕著です。多くの企業が福岡に拠点を設けたり、新しい事業を立ち上げたりすることで、全国から優秀な人材が集まっています。
また、福岡市内には九州大学をはじめとする多くの大学が集中しており、学生人口の集中も単身世帯増加の大きな要因です。文科省の学校基本調査のデータによると、福岡県内の大学・短期大学の学生数は約12万人にも上り、その大半が福岡市とその近郊に集中しています。これらの学生が卒業後も福岡に定着するケースが多く、さらなる単身世帯の増加につながっています。彼らは、都市の利便性や雇用の機会、そして比較的物価の安定した生活環境を魅力に感じ、福岡での定住を選択しているようです。
実際に、福岡市の世帯数の推移を見ると、2020年時点での世帯構成比では、単身世帯が83万世帯中の43.1万世帯、51.9%となっていますが、2050年の推計では118.6万世帯中の78.2万世帯、65.9%が単体世帯になると見込まれています。
出典:福岡市の将来人口推計(令和6年4月)
このようなライフスタイルの変化は、単身者向け賃貸需要の拡大をダイレクトに押し上げています。
特に、福岡市地下鉄沿線や大学・オフィス街へのアクセスが良いエリアでは、ワンルームマンションや1K・1DKといったコンパクトな住居の需要が非常に高く、空室が出てもすぐに次の入居者が決まる傾向にあります。単身世帯の増加は、福岡の不動産市場において、今後も継続的な需要を創出する強力なドライバーとなるでしょう。
「天神ビッグバン」などの都市開発による魅力の向上
福岡市は、官民一体となった大規模な都市開発プロジェクトが進行しています。
特に有名なのは、天神地区の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」です。
この「天神ビッグバン」により、老朽化したビルの建て替えや、新たな商業施設、オフィスビルの建設が進められています。福岡市の発表によると、福岡市の発表によると、天神ビッグバンは建設投資効果が約2,900億円(2015年からの10年間)、そしてビル建て替え完了後には毎年約8,500億円の経済波及効果が見込まれています。
これにより、天神地区はこれまで以上にビジネスと商業の中心地として機能強化され、雇用創出やさらなる人口流入が期待されます。
2025年現在も複数のプロジェクトが進行中で、1月に商業・オフィス・ホテルを備えた「ヒューリックスクエア福岡天神」、4月には高層オフィスビルの「天神ブリッククロス」、そして新たな天神のシンボルと都市型複合ビル「ONE FUKUOKA BLDG.」も誕生。さらに、6月末には天神エリア最高層となる「天神住友生命FJビジネスセンター」も完成するなど、新たな商業施設やホテルが続々と開業し、都市の魅力は日々進化しています。
参考:福岡・天神に“創造交差点”誕生!ワンビルの全貌を徹底解剖!
また、天神ビッグバンに加えて、博多駅周辺でも「博多コネクティッド」と呼ばれる再開発プロジェクトが進んでいます。
これは、博多駅を起点とした交通ネットワークの強化と、オフィス機能の拡充を目指すものです。これらの大規模プロジェクトは、単に建物を新しくするだけでなく、防災機能の強化や、緑地の増加、歩行者空間の整備など、都市全体の住みやすさや働きやすさを向上させる狙いがあります。
「博多コネクティッド」の一環で、誕生した博多駅筑紫口のランドマークとなる新たなオフィスビル「コネクトスクエア博多」についてはこちらの記事で紹介しています。
コネクトスクエア博多が福岡東総合庁舎敷地の有効活用事業で筑紫口に完成【福岡市博多区】
さらに、国際的なMICE(会議、研修旅行、国際会議、展示会等)誘致にも積極的であり、ビジネスハブとしての機能強化が、不動産価値向上に繋がるでしょう。これらの都市開発は、福岡の将来性を示す明確な指標であり、長期的な不動産を活用した資産運用を考える上で見逃せない要素です。
参考:ビジネスイベント『MICE』で新たな飛躍を目指す福岡市。産業振興や地域活性化の〝未来航路〟へ進む
福岡の成長がもたらす、不動産活用の機会
福岡の堅調な成長は、不動産を活用した資産運用においてどのような具体的なメリットをもたらすのでしょうか。資産づくりを考える視点からその魅力を分析します。
単身者向け物件が支える「空室知らず」の安定性
前述の人口増加と単身世帯の多さから、福岡市ではワンルームマンションなどのコンパクトな物件に対する安定した賃貸需要が見込めます。特に福岡市中央区の単身者向け物件は常に高い稼働率を維持しており、部屋探しをする人が後を絶ちません。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が毎年まとめている「日管協短観」によると、賃貸住宅の入居率の全国平均は2023年度で95.8%でした。
また、福岡市を中心に単身者向けマンションを管理する「株式会社えん賃貸管理」のデータによると2025年1月〜5月までの入居率の平均は99.73%と全国平均を大きく上回る数字となっています。
この福岡市における安定した需要は、不動産を活用した資産運用における空室リスクを低減する上で非常に重要であり、長期的な家賃収入の基盤となります。
安定した家賃収入(インカムゲイン)の上昇トレンド
高い賃貸需要は家賃相場にも好影響を与えています。
公益財団法人不動産流通推進センターのデータによると、福岡圏の賃貸マンション(1LDK~2DK)の家賃相場は、2015年からの約10年間で上昇傾向を示しています。
実際、三井住友トラスト基礎研究所などが公表する『マンション賃料インデックス』によると、福岡市の賃料は2024年時点で東京や大阪と並ぶ高い上昇率を示しており、その背景には人口流入による旺盛な需要と、建築費高騰による供給の抑制という需給のひっ迫があります。他の民間調査でも、特にファミリー向け物件ではこの10年で賃料が大幅に上昇したとの報告もあり、福岡の賃貸市場が活況であることがうかがえます。
出典:マンション賃料インデックス公表資料2024年第4四半期
さらに具体的なデータとして、アットホーム株式会社が発表した「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向」(2025年2月分)では、福岡市の賃貸マンションの平均家賃指数が、2015年1月を基準とした場合、シングル向き・カップル向きで約1.2倍(指数126.8)、ファミリー向きと大型ファミリー向きで約1.5倍(指数152.3)に着実に伸びていることが示されています。
これは、東京23区を含む全国主要都市と比較しても高い上昇率であり、特にファミリー向け物件においては顕著です。
例えば、LIFULL HOME’S PRESSのレポートでは、福岡市のファミリー向き賃貸物件の掲載平均賃料が2023年1~3月頃より上昇基調で推移し、2024年3月時点で120.1%に達しています。これにより、安定した家賃収入(インカムゲイン)を得られる可能性が高まります。毎月の家賃収入は、住宅ローンの返済に充てるだけでなく、将来の資産形成の基盤を築く上で大きな役割を果たします。
福岡の成長力を追い風に、資産づくりの第一歩を
いかがでしたでしょうか。福岡は、人口増加と大規模な都市開発により、今後もさらなる成長が期待される都市といえます。
この成長は、不動産市場に安定した賃貸需要と将来的な資産価値上昇の可能性をもたらし、ビジネスパーソンにとって魅力的な資産づくりの機会を創出しています。安定した家賃収入や税負担の軽減効果、そしてインフレ対策としての資産価値維持・向上など、不動産活用が提供するベネフィットは多岐にわたります。
福岡の成長力を追い風に、あなたの資産づくりを本格的に考えてみるのも良いかもしれません。